平成21年09月 選句結果

                     
得点 兼題 「仲秋」 作者 戴いた人
6 そこまでのつもりが遠出秋半ば 櫻貝 弓子 もも 静歩 零風
だいご
3 中秋の満月海に浮きゆれる 霧子 オーク 可不可人 かれん
3 目に映るものみな澄みて秋半ば 暖流 おさむ CGE 西寿
2 仲秋や母の寝息に添え寝して ゆき 摩耶 まさき
2 仲秋や夏蝉憐れ声変わり 狂平 しおみ 霧子
2 中秋や母の住まいは床の中 まさき 七海 初凪
2 仲秋や不作を嘆く畦の老 優美 晶子 いくこ
2 散らばれる反古みな焚いて秋半ば あきこ 春雪 優美
2 どことなく日記遺書めく秋半ば だいご ちあき 暖流
2 満月に心あずけし仲の秋 七海 ゆき 狂平
1 秋半ばスカート丈の反抗期 もも ししうど
1 渇きたる土台に図面仲の秋 晶子 あきこ
1 仲秋や妣のLP聴き直す 春雪 櫻貝
1 蛇渡り川面に波紋仲の秋 しおみ 小自良
得点 雑詠 作者 戴いた人
5 秋さびしオールドブラックジョーを吹く 暖流 ししうど まさき かれん 初凪 櫻貝
5 白壁を覆い尽くして蔦紅葉 優美 晶子 霧子 オーク 零風 いくこ
4 玉音を聞きしは十八仮兵舎 静歩 おさむ 七海 可不可人 かれん
4 西瓜割り次は晦日と散り散りに しおみ 七海 西寿 櫻貝
3 栗ご飯小さき膝の寄せゐたり ゆき もも あきこ だいご
3 筋金の錆びる事なき敬老日 初凪 春雪 あきこ 優美
3 立ち止まる肩にひとひら秋の色 だいご CGE いくこ だいご
3 白濁の湯はゆたかなり初紅葉 もも CGE ししうど 小自良
3 行く雲や牧羊犬の夏終わる あきこ 春雪 弓子 暖流
3 老妻の杖ひく影や秋の蝶 だいご 静歩 狂平 初凪
2 秋なすを嫁と分け合う今朝の畑 優美 しおみ 小自良
2 鰯雲突き刺さるよに機影あり もも ちあき
2 爽涼や波音寄せし星近き あきこ しおみ 狂平
2 どんぐりや幸せ一つ拾いおり 七海 晶子 西寿
2 主の居ぬ庭にひっそり赤まんま まさき ゆき 零風
2 ひややっこ箸技みごと三歳児 しおみ 摩耶 ちあき
2 曼珠沙華映す水面も燃えてをり 櫻貝 オーク 暖流
2 目覚むれば午前二時なり秋涼し 西寿 おさむ 可不可人
2 老犬やひそかに葉月知るごとし だいご ゆき 弓子
1 コスモスの花散る里の静けさや いくこ 霧子
1 ざくろ折る村長むかし餓鬼大将 ゆき もも
1 四股を踏む子等のかけごゑ竹の春 春雪 優美
1 大敗を喫す選挙や秋果てぬ 西寿 摩耶
1 初蕎麦はちょっと仕合せふたり旅 ししうど 静歩
1 水澄めば底に沈めし齢あり 初凪 まさき
私の選んだ一句
そこまでのつもりが遠出秋半ば 櫻貝 「<見送りが遠出となりて桜の夜>という好きな句あり、桜も秋色も人を誘う魍魎かと・・・」(弓子)
「木々の紅葉を愛でながら、ついついと歩を延ばす光景が、良く表現されているなと、感心しました。」(薫)
中秋の満月海に浮きゆれる 霧子 「清冽な中秋を思い起こさせますね。 今土佐日記を講読中こんな場面が出てきます。」(かれん) 
目に映るものみな澄みて秋半ば 暖流 「あくまで澄み切った秋空の日中か 満月煌々たる夜半の光景か気になる句」(おさむ)
仲秋や母の寝息に添え寝して ゆき 「今もなお お元気なお母様なのでしょうか?寝息を聞きながら安心して添え寝をしておられる様子が浮かんできました。叶うなら寝たきりの母の傍らで添い寝をしたい!って思いました。」(摩耶)
「年老いた母の脇、寝息にほっとして心安らぐ一時なんでしょうね。そのうち、私も仲間に・・・ 。(まさき)
仲秋や夏蝉憐れ声変わり  狂平 「蝉の命は短くも、語りつくせし我あわれ。」(しおみ)
中秋や母の住まいは床の中 まさき 「亡母も2年ほど寝たきりで床の中ですごしました。母は寝たきりになるとわかった瞬間、呆けました、あのしっかり者の母がです。私や兄姉には、かえってそれが救いでしたね。愛おしくて、よく母の髪や顔をなでたものです。」(七海)
「もの悲しい秋に、この句に触れて、長く病んだ姑の辛さ慟哭を垣間みた思いがしました。一つの部屋で一緒に呼吸をした者だけが知る自由の利かないもどかしさを・・・四六時中見守りました。それが切なくこみ上げた句でした」(初凪) 
仲秋や不作を嘆く畦の老 優美 「作者が大体解ってしまうのですが、この嘆きは今皆のなかに有るのではないでしょうか。」(晶子)
「今年は日本全体が不作なのでしょうね 北海道もジャガイモ、鮭が随分長雨と海水の温度の高さで駄目なようです。」(いくこ)
散らばれる反古みな焚いて秋半ば あきこ 「この『焚く』は実際に焚いたのではないのでしょう。あちこちに消してしまいたい物が散在しているのは私も同じです。」(春雪)
どことなく日記遺書めく秋半ば だいご 「秋の静かな夜に、1日を振り返りながらの日記には”物思い、、、”に ふけるときっと そんな思いになるのでしょうね、、年齢もそのようなお年頃なのかも」(ちあき) 
「上五・下五には何を持ってきても良いと思えるくらい、『日記遺書めく』という中七が際立って輝いています。『どことなく』という上五の安易さが、やや惜しまれますが、下五は、普通なら『暮の秋』や『冬隣』を置きたいところを『秋半ば』としたことで、句の内に柔らかみと透明感が生まれたように思います。俳句の十七音は長すぎる、そんな感想を持った佳句ではあります。」(暖流)
満月に心あずけし仲の秋 七海 「佳句ですね〜私も心を預けて無心で眺めてます」(ゆき)
秋半ばスカート丈の反抗期 もも 「秋でなくとも、スカート丈は反抗するかも?と思いました。 が、言葉の取り合わせの面白さに一票。」(ししうど)
蛇渡り川面に波紋仲の秋 しおみ 「秋のひんやりと蛇、似合います。」(小自良)
秋さびしオールドブラックジョーを吹く 暖流 「吹いているのはハーモニカ?サックスだったら、かっこいいな。」(ししうど)
「曲名は分かりますがメロディーが??? 思い出せない、小学校か中学校で習ったはずなのにね 吹いたのはハーモニカ?  口笛? だから、さびしいのでしょうかいずれにしても懐かしい名、オールドブラック ジョー。トムソーヤ、ハックルベリー 幼い頃知った名前だけが・・・」(まさき)
「オールドブラックジョーの黒い柔和な悲しい目は綿花畑の晩秋を思い起こさせ 物悲しくさせます。」(かれん)
「秋の寂しさを人生の寂しさにことよせて、フォスター の名曲でさらりと詠まれた句が、爽やかな旋律で響きました。老いの悲喜交々を9文字に凝縮され、句にオーラが・・・」(初凪)
白壁を覆い尽くして蔦紅葉 優美 「何気ない句と思っておりましたが、春鹿さんの写真を拝見して、本当に壁を真っ赤にするであろうと、信じ込みました。」(晶子)
「古い洋館に良く有りますね、何時もどんな方が住んでいらっしゃるのかしらと思って通り過ぎたものでした。」(いくこ)
玉音を聞きしは十八仮兵舎 静歩 「62年前 嬉しさと悔しさ 半々の18歳の昔事」(おさむ)
「あれからもう65年近くになります。それでも強烈に鮮明に記憶に残っている・・・」(七海)
「他の句を選んでいたのですが ふと18歳の若者の空虚な心と夏空をおもい 心が揺れました。」(かれん) 
西瓜割り次は晦日と散り散りに しおみ 「にぎやかで楽しかったお盆。今度は大晦日、帰ってくるのを待ってるね。」(七海)
「核家族風景を、みごとに捉えた句。そこには、当然のように散り去る若き家族との、束の間の喜びと期待が感じられます。」(薫)
筋金の錆びる事なき敬老日 初凪 「いいですね、こういう老人。矍鑠としてぶれない主張には筋が通って傍若無人な若者や我がまま気ままな老人、美意識に欠けるおじさんおばさん大声で一喝してほしいもの。」(春雪)
立ち止まる肩にひとひら秋の色 だいご 「情緒溢れる俳句ですね。何の葉がこぼれ落ちて、肩に止まったのでしょうか。」(いくこ) 
白濁の湯はゆたかなり初紅葉 もも 「露天のお風呂か。湯船で手足をのびのびと伸ばせば、寿命までも延びそう。」(ししうど)
「旅行の宣伝文句みたいだが、旅に出たくなりました。」(小自良)
行く雲や牧羊犬の夏終わる あきこ 「夏の間活躍して羊の番をしていた犬達も秋には仕事が終わるのでしょうか。個性的な着眼点の句ですね。」(春雪)
「 ボーダーコリーかな、無垢の瞳に秋空が映る。心情的な言葉は皆無でも、何やら泣ける」(弓子)
「印象派の絵画のような抒情を感じます。牧歌的とも言えます。動きのある雄大な景が、とても爽やかです。」(暖流)
老妻の杖ひく影や秋の蝶 だいご 「老いの美しさ、ひかえめな秋の蝶の様な淑やかさが見 えてきます」(初凪)
秋なすを嫁と分け合う今朝の畑 優美 「それぞれの所帯で別メニュー。孫のおやつを考える。」(しおみ)
「秋なすは嫁に食わすなと言いますが、良い情景ですね!」(小自良)
鰯雲突き刺さるよに機影あり もも 「最近美しい、この句のまったく同じ景色をみました、スカッと気持ちよかったです こんなときぱっと句が浮かぶといいのですが、 わたくしにはできませんでした」(ちあき)
「神戸の町は、伊丹・神戸の2空港から飛び立った機影をよく見ます。突き刺さるという感覚の鋭さに驚きました。」(薫)
爽涼や波音寄せし星近き  あきこ 「そして波間漂う怪しき光は夜光虫」(しおみ)
どんぐりや幸せ一つ拾いおり 七海 「幸せは余り落ちておりません。拾ったと思う方の幸せを祈ります」(晶子)
主の居ぬ庭にひっそり赤まんま まさき 「目に見えるような情景ですね、赤まんまが鮮やかに効いてますわ」(ゆき)
ひややっこ箸技みごと三歳児 しおみ 「幼子が上手にお箸を操ってお豆腐を食べているのでしょうか。その子を見守る家族の食卓の温かい様子が詠まれていますね〜」(摩耶)
「日々、身に着けなければならない、生活技を一つ一つおぼえていくのですね たどたどしくも”おてて”が かわいいですね 見守るひとの愛が感じられます」(ちあき)
曼珠沙華映す水面も燃えてをり 櫻貝 「真っ赤に輝いている曼珠沙華を直に描写するのではなく、レンズをズームアウトさせるように花の手前に川(もしくは池)をとらえ、赤く揺れている水面に焦点を変えたことで、景が大きくなりました。『水面も』の『も』が、少しうるさい感じがしますが、『の』とすべきかどうかは好みの別れるところです。」(暖流)
目覚むれば午前二時なり秋涼し 西寿 「ラジオ深夜便のロマンチックコンサートをイャホゥンでも聞くか」(おさむ)
老犬やひそかに葉月知るごとし だいご 「きつと老犬も季節を感じてるのでしょう」(ゆき)
「何も教えてもらわなくても動物は物識りで繊細。葉月の移ろいに耳を澄ます」(弓子)
大敗を喫す選挙や秋果てぬ 西寿 「総選挙での自民党の惨敗ぶりが『秋果てぬ』で言い表されていますね〜二大政党の一つがこんな恰好のままでは日本の政治が淋しすぎます。立て直してよりよい国家を作ってほしいものです。」(摩耶)