平成21年10月 選句結果

                     
得点 兼題 「霧」 作者 戴いた人
5 霧晴れて百戸が海を見てる島 七海 晶子 春雪 弓子 まさき 優美
5 夕霧が帰る子を待つ母包み 零風 ウクレレ 狂平 おさむ いくこ すすむ
4 一瞬の神の湖霧迅し あきこ ししうど 可不可人 暖流 ゆき
3 川霧や出がけの珈琲熱くして 優美 あきこ 小自良 櫻貝
2 岳の霧動きも見せず湧きつづく 櫻貝 かれん 静歩
2 霧晴れて黄赤はじける山の朝 ししうど オーク あつこ
1 朝霧やポニョ見へ隠れ鞆の浦 初凪 もも
1 安曇野や夜霧あさぎり昇り立つ 春雪 霧子
1 大江山霧深くして鬼と歌 しおみ ちあき
1 感で打つゴルフボールや深い霧 静歩 初凪
1 霧はれて畑あやなす一両車 ちあき 西寿
1 霧雨のけぶりてほのか街路灯 西寿 しおみ
1 霧晴れ間誤解もいつか解ける日も まさき だいご
1 濃き霧をかき分け鶏の餌を求む 晶子 七海
1 泣き顔を夜霧に隠し別れ行く 霧子 零風
1 山霧のふうわりとして昭和あり もも
得点 雑詠 作者 戴いた人
8 里の子に追はれ上手な稲すずめ ゆき 小自良 春雪 もも いくこ 西寿
静歩 まさき 優美
5 飄々と老ひたきものやとろろ汁 ゆき ししうど 七海 晶子 静歩 櫻貝
4 蟷螂のあえなき斧を吾をどす 晶子 七海 ゆき 初凪 櫻貝
4 濃霧にはたくらみふたつ潜むらし ししうど しおみ もも だいご まさき
3 菊日和母笑みたれば子も笑まひ 暖流 ゆき 春雪 あつこ
3 訪ねくる人は一枝萩の花 零風 弓子 あつこ すすむ
3 日の匂い稲の匂いやきょうの空 七海 ウクレレ オーク 弓子
2 入り日いま燃へ滾るごと枯れすすき 初凪 暖流 ちあき
2 一点を目指して歩み秋遍路 まさき ししうど 西寿
2 祈りもてトキ羽ばたけり佐渡は秋 もも 可不可人 狂平
2 運動会百のカメラの動く音 静歩 ウクレレ おさむ
2 霧晴れて鈴鹿連峰茜色 櫻貝 霧子 かれん
2 コスモスをちょっとからかい今朝の風 ししうど 狂平 優美
2 昭和史を読みて来し方草紅葉 春雪 ちあき だいご
2 何故に急ぎ逝きしや萩の花 いくこ かれん 可不可人
2 呼び捨ての友いまは無く暮の秋 櫻貝 オーク 暖流
2 若者が栗と飯とは別にして 霧子 しおみ おさむ
1 足湯しつ故郷自慢秋深し もも あきこ
1 秋深し綺麗に削る色鉛筆 暖流 晶子
1 あちこちに秋の稔りのお裾分け いくこ 零風
1 菊日和しのび旅とて人目避け だいご すすむ
1 金木犀小走りに子はトイレかな まさき 小自良
1 四万十の駆ける炎と躍る鮎 零風
1 デジタルの風景に立つや夜長かな ちあき 初凪
1 手を合わす墓前に僧と蟲の声 狂平 零風
1 曇天やふるさと遠し秋彼岸 西寿
1 亡き人の声遠くある良夜かな 晶子 あきこ
1 白雲の湧きて流れて待つ紅葉 しおみ 霧子
1 友情は遠くにありて秋深し だいご いくこ
私の選んだ一句
霧晴れて百戸が海を見てる島 七海 「いかにも海の村の暮らしがのどかに見えてくるようです。そして安穏に暮らしているのが察せられます。」(晶子)
「百戸の島というと小さな集落ですから、おそらく漁村でしょう。漁師にとって霧は迷惑な存在、晴れるのを今か今かとみなが待っている、そんな鄙びた漁港の景色を想像出来る句ですね。」(春雪)
「この句から何故だか鞆の浦を思いました。行ったこともない鞆の浦は私の中では未だ霧の中。名を上げた地酒が飾り棚に一本鎮座しています。何時か霧が晴れたら百戸の港に立ってみたい。」(優美)
夕霧が帰る子を待つ母包み 零風 「『岸壁の母』を連想する句」(おさむ)
「母子の愛情が暖かい句です。」(いくこ) 
一瞬の神の湖霧迅し あきこ 「摩周湖のような情景を彷彿とさせます。次々に湧き来、去る霧に、束の間姿を見せる湖。」(ししうど)
「湖に速い霧が流れていて、ある一瞬、神秘的で厳粛な姿に見えたのでしょう。『一瞬の神の湖』という表現が見事です。(暖流)
川霧や出がけの珈琲熱くして 優美 「朝は川霧がたちこめていると推定できておられたのですね。秋も深まってきたのでしょう、熱い珈琲でしっかり目を覚ましておでかけです。霧はやがて晴れるのでしょう。霧は情緒がありますね。」(あきこ)
「気持ちの良い朝ですね!」(小自良)
岳の霧動きも見せず湧きつづく  櫻貝 「山の頂きをじっと眺める程の精神のゆとりがない毎日を送っております。」(かれん)
安曇野や夜霧あさぎり昇り立つ 春雪 「安曇野には、友人も家を建て、旅行も何度かでかけました。綺麗な景色に思い出がいっぱいあります。」(霧子)  
大江山霧深くして鬼と歌 しおみ 「一昔まえの『大江山オフ会』のことを懐かしく思い出しました。都会にお住まいの皆さんは霧深い山々を墨絵のようだと感動されてましたね。鬼も隠れていたのかも・・・・・」(ちあき)
感で打つゴルフボールや深い霧 静歩 「霧の日のゴルフコンペ なんて?きりきり舞ですね。スリルも楽しめて、ビビっとグ〜です?無心(感)で打つとスーパーショットになったりして・・・霧の中、鷲(イーグル)が微笑むのではと想像が膨らみました。」(初凪)
霧雨のけぶりてほのか街路灯 西寿 「フランス映画。ガス灯ならいっそう。」(しおみ)
山霧のふうわりとして昭和あり もも 「思い出をふうわりで表現されている見事さに感服です」(薫)
里の子に追はれ上手な稲すずめ ゆき 「群れる雀が見える大きな景色」(小自良)
「良寛さまか、一茶の世界を彷彿とさせる日本の原風景のような句です。」(春雪)
「子供と雀の鬼ごっこがユーモラスですねさてどちらに、軍配が・・・(笑)」(いくこ)
「稲に寄ってくる雀達は利口者、追う子供がいなくなれば避難?していた電線や人家の屋根などからサッと戻ってきます。『追はれ上手』が旨い表現ですね。 感心しました。」(まさき)
「追はれ上手・逃げ上手なスズメと子供たちの遊び。追はれ上手との表現に脱帽です。」(優美)
飄々と老ひたきものやとろろ汁 ゆき 「飄々と老いたい。そう願う人は多い。しかし、それは願望。実際にはそうもいかなくて・・とろろ汁も粘っこい。」(ししうど)
「とろろ汁は喉を通り易く、老人むき。飄々と枯淡に生きたきものよと願っていますが・・・」(晶子)
蟷螂のあえなき斧を吾をどす 晶子 「ひょうきんな顔の蟷螂ですが、目が合うと一歩引いてしまう心理状態を巧く詠まれましたね、蟷螂と睨みっこしたくなる闘争心が湧いてきました。ユーモアがあっていいですね」(初凪)
濃霧にはたくらみふたつ潜むらし ししうど 「追っ払う霧笛もありますよ。レーダーも。」(しおみ)
菊日和母笑みたれば子も笑まひ 暖流 「おだやかな昼下がりですね。」(春雪)
入り日いま燃へ滾るごと枯れすすき 初凪 「『入り日』は『入日』と俳句的に表記するとすっきりすると思います。また『燃へ』はヤ行下二段活用の動詞ですので、『燃え』と書きます。それはそれとして、真っ赤な夕日と枯芒の取合せが絵のようです。『燃え滾る』が落日の美しさを鮮明に物語っています。」(暖流)
「夕刻の散歩のときこのような風景に出会います。自分も一緒に燃え大きなものに包まれるよう気がします。」(ちあき)
一点を目指して歩み秋遍路 まさき 「一点を目指して、がとても効いているように思います。秋遍路ともよく合致しているみたい。」(ししうど)
運動会百のカメラの動く音 静歩 「最近はビデオカメラが 巾をきかして カメラは横の方で『手ひさしで 孫の姿を 追っかける』こんな句がありましたな 昔 カメラの無い のどかな運動会風景」(おさむ) 
霧晴れて鈴鹿連峰茜色 櫻貝 「鈴鹿モオーターサーキット を良く見にいきました。今は衰退してしまいましたが。自然は変わらないですね。」(霧子)
「「鈴鹿」と聞くと 反射的にF1レースを夫と見に行った過ぎし日の峰の険しさを思い出します」(かれん)
コスモスをちょっとからかい今朝の風 ししうど 「風はコスモスが好きだからチョットからかったのかな。男の子が好きな子によく可愛い悪戯をして喜んでいたっけ。幼い頃を思い出しました。」(優美)
昭和史を読みて来し方草紅葉 春雪 「激動の昭和にどんな思いがあるのでしょうね 草紅葉が似合ってます。」(ちあき)
何故に急ぎ逝きしや萩の花 いくこ 「胸に迫り上げてくるような哀しみを何年たっても この句で味わいました」(かれん) 
呼び捨ての友いまは無く暮の秋 櫻貝 「竹馬の友もみな世を去り、作者の深い哀感が偲ばれます。晩秋にふさわしい寂しい境涯が胸に迫ります。」(暖流)
若者が栗と飯とは別にして  霧子 「どちらを先に口にいれるのでしょう。」(しおみ)
「栗おこわの食べ方知らないか 栗が好物で後に残したのか?」(おさむ)
足湯しつ故郷自慢秋深し もも 「様子が目に浮かびます〜 足湯も気持良さそうです。」(あきこ)
秋深し綺麗に削る色鉛筆 暖流 「蓋を開けて、まだ新しいのか、手入れがいいのか。すぐにも絵が描けそう。色が見えてきます。」(晶子)
金木犀小走りに子はトイレかな まさき 「廊下が冷たそう」(小自良)
四万十の駆ける炎と躍る鮎 零風 「テレビ画面を見ているような素晴らしい描写に感心しています。」(薫)
デジタルの風景に立つや夜長かな ちあき 「秋の夜長さえアナログからデジタルに移りゆく気配が・・・新しい夜明け、いえ いえ新しい夜更けをイメージしました。」(初凪)
曇天やふるさと遠し秋彼岸 西寿 「ふるさとが近くても、坂道が急で墓参が出来ない身には、ひしと伝わり心打たれる句です。」(薫)
亡き人の声遠くある良夜かな 晶子 「私もお布団に入って父母のこえ 優しく思い出しますよ(^_^) そうして上げると あちらもきっと嬉しいのですよね。作者はもっと身近なひとをなくしたかもしれません。良い月がでていていっそう思いが深いようですね。」(あきこ)
白雲の湧きて流れて待つ紅葉 しおみ 「我が集落と同じ景色。紅葉を待つ気持ちは同じなんだ」(霧子) 
友情は遠くにありて秋深し だいご 「私も遠くに居るお友達、何時も心で詫びながら、思いやって居ます。」(いくこ)