平成21年12月 選句結果

                     
得点 兼題 「手袋」 作者 戴いた人
5 手袋のそのままぬぐふ涙かな ちあき 瓢七 暖流 西寿 優美 もも
3 北へ行く厚い手袋買い足して 静歩 霧子 桜貝 初凪
3 手袋や老いて青春キップ買ふ 桜貝 晶子 狂平 七海
3 手袋がおしゃべりしてる幼なの手 初凪 しおみ ゆき だいご
3 手袋を編む母の背の丸さかな いくこ ししうど 零風 葱坊主
3 指先のなき手袋や化粧爪 晶子 まさき 可不可人 静歩
2 手袋を外しかしわで神妙に 西寿 おさむ 小自良
2 発車べる手袋振りてなにか言ふ ゆき ウクレレ いくこ
2 頬にある母のぬくもり毛手袋 狂平 あつこ あきこ
1 おそろいの編み手袋や宵の街 ししうど すすむ
1 革ジャンに黒の手袋ジャズを聴く 春雪 ちあき
1 手袋のほつれのように迷いみち もも
1 手袋を忘れて判る暖かさ 零風 かれん
1 手袋や今年も仲良く隠れん坊 だいご 春雪
1 手袋を探しあぐねて日暮れかな 七海 弓子
1 遠き日の母の作りし手套(てとう)かな あきこ 摩耶
得点 雑詠 作者 戴いた人
11 巨星墜つシルクロードの冬の月 春雪 おさむ ししうど まさき かれん
あつこ あきこ 狂平 桜貝 初凪
葱坊主
5 大根買ふをとこ米寿の気骨見せ 晶子 ししうど 小自良 初凪 ちあき だいご
4 十年は生きぬと願ひ日記買ふ 春雪 ウクレレ 可不可人 七海 摩耶
4 初冬の赤き花のみ求めけり ちあき 弓子 すすむ ゆき あきこ
4 母が読む親指姫や流行風邪 桜貝 おさむ 暖流 もも 静歩
3 妻病んで前籠に積む落葉かな 暖流 かれん あつこ 小自良
3 床の間の虎も眠りて冬座敷 優美 ウクレレ まさき もも
2 湖北から白鳥飛来と便りあり もも 西寿 桜貝
2 残照をしばしとらえて冬菫 だいご 晶子 狂平
2 暖炉燃え見しらぬ人の里なまり  ゆき 優美 春雪
2 旅すれば木曽路艶やか柿すだれ 零風 霧子 いくこ
2 ちちははの国へ懸けたる冬の虹 あきこ 暖流 七海
2 慎ましく片付きし部屋柿二つ 七海 すすむ 可不可人
2 無人駅ひいらぎの花こつこつと まさき 晶子 摩耶
2 山小屋に靴のひも解く雪催 ししうど 優美 春雪
2 柚子の香を纏ひ一番風呂の夫 桜貝 いくこ 静歩
2 柚子風呂に涙のような種を追ふ 初凪 瓢七
2 雪虫や眠りに入る道ありて 七海 弓子 だいご
1 脚長き犬のコートや雪おんな 晶子 しおみ
1 圧巻の紅葉に筆も一休み ちあき 零風
1 落ち葉散る道に木の実の二つ三つ いくこ 西寿
1 京の夜焦がす炎や鞍馬寺 零風 霧子
1 住み馴染む狭山根通りお茶の花 静歩 しおみ
1 そぞろ寒胸のボタンの掛け違い 初凪 瓢七
1 蕎麦掻きや母の味なり囲炉裏端 優美 零風
1 熱ある日薬包並べて師走かな もも ゆき
1 母黄泉へ年賀も書けぬ日々過ごし 霧子 ちあき
1 窓越しにランドセル見送る小春かな まさき 葱坊主
私の選んだ一句
手袋のそのままぬぐふ涙かな ちあき 「大人と子供に悲しさの違いは無いんだろうけど、子供心に手袋に染み込んで行く涙を無心で見てたね〜。」(瓢七)
「手袋を脱ぐ間も無くぬぐったのは、悲しみではなく、喜びの涙に違いないと思いました。きっと魂を揺さぶるような熱い涙だったのでしょう。」(暖流)
「涙を拭う優しい肌ざわりの手袋。うれし涙であって欲しいです。」(優美)
北へ行く厚い手袋買い足して 静歩 「雪国へ行く時必ず、厚手のもの用意していました。」(霧子) 
「北はスキーじゃなくて楽しい北の旅を想像します。夢も手袋も膨らんでいいですね!」(初凪) 
手袋がおしゃべりしてる幼なの手 初凪 「可愛いですね、仕草が目にうかびます」(ゆき)
手袋を編む母の背の丸さかな いくこ 「昔、歌声喫茶などでよく歌われた『母さんの歌』のイメージ。「いつしか、小さく丸くなった母の背中。そんな母への思いと、いたわりを感じます。」(ししうど)
「ひ孫の手袋でしょうか? デイサービスのお土産でしょうか?」(葱坊主)
指先のなき手袋や化粧爪  晶子 「そのまま、お手をどうぞ」(可不可人)
手袋を外しかしわで神妙に 西寿 「寒くとも手袋のままでは神様に失礼です」(おさむ)
「やはり手袋のままでは、願いがつうじないか!?」(小自良)  
頬にある母のぬくもり毛手袋 狂平 「私も作りたかったことをこのようにお上手にまとめられたので感心しました。思い出がいまも残っていると感じていいでしょうか?『頬にある』のフレーズが良いですね。」(あきこ)
革ジャンに黒の手袋ジャズを聴く 春雪 「なりきるには、まず形からですよね。わかる〜です。」(ちあき)
手袋を忘れて判る暖かさ 零風 「首筋と手首を暖めていれば風邪は引きませんね。忘れて友人の手袋を一つ借り 互いに残った手はコートのポケットに。」(かれん)
手袋や今年も仲良く隠れん坊 だいご 「冬の季節到来ともなると、『あの手袋、何処に仕舞ったかな?』と必ず探します。手袋にからかわれているようです。」(春雪)
遠き日の母の作りし手套(てとう)かな あきこ 「お元気だったころのお母様が作られた毛糸の編み物。懐かしいぬくもりを感じますね〜〜」(摩耶)
巨星墜つシルクロードの冬の月 春雪 「平山画伯のご冥福を祈るばかり」(おさむ) 
「平山郁夫氏のことでしょうね。氏の作品はもちろん、平和への願いと、その実践にも打たれます。コジラさんの住む滋賀の、佐川美術館にも展示があるとか。訪ねたいな、巨星を悼みつつ。」(ししうど)
「凍るような月の砂漠を連想させる雄大な景色ですね」(かれん)
「レクイエムとポエムが相俟って、美しくも悲しいところに惹かれました。」(初凪)
「わが広島の誇り一番に目に留まりました。」(葱坊主)
大根買ふをとこ米寿の気骨見せ 晶子 「ちょうど『男おひとりさま道』=上野千鶴子著、を読んでいるところです。その道を、いま歩んでいる男性かな。どっこい生きてるぜ、というところでしょうかね。『大根抜くをとこ喜寿(傘寿)?の・・・・』とすれば、コジラ翁。(^.^)」(ししうど)
「この気骨が侘びしいね!」(小自良)
「句の潔さ、老いを知らぬ反骨精神とふろふき大根のまったり感を連想すると、その絡み合いがいいですね。」(初凪)
「最近、男性の買い物姿をスーパーで見かけます。こんな風に俳句にすると『カッコいいー』ですね。」
   (ちあき)
十年は生きぬと願ひ日記買ふ 春雪 「私は『五年日記』の可不可人です」(可不可人)
「その気持ちよくわかります、同じです」(七海)
「一年、一年と年を重ねるのは生易しいものではないですものね〜生きるのは喜びでもあり、苦しみでもありますから・・・十年は生きたい!と願われるのは充実した毎日を過ごしておられるからでしょうか。十年日記が最後まで埋め尽くされますように!」(摩耶)
初冬の赤き花のみ求めけり ちあき 「寒い時期は赤の彩が暖かく思いますね赤の花を机に置いてますわ」(ゆき)
母が読む親指姫や流行風邪 桜貝 「学級閉鎖か休校か 平日に母の傍で嬉しい」(おさむ)
「風邪で伏す子に、静かに童話を読んでやる母親。何でもない日常のワンシーンを平明に描写して母と子の濃やかな愛情を感じさせます。」(暖流)
妻病んで前籠に積む落葉かな 暖流 「伴侶さんの優しさ 愛情を感じます。」(かれん)
「日頃奥さまの愛用車が、置き去りになっている。これも侘びしいね!」(小自良)
床の間の虎も眠りて冬座敷 優美 「掛け軸に描かれている虎でしょうか?冬の張り詰めた空気と静寂さが伝わってきて素晴らしい句だと思います。また、句の中に奥行きが感じられます。」(まさき) 
残照をしばしとらえて冬菫 だいご 「気候の不順から帰り花も、早咲きもあるようです。紫が冬の残り陽をうけて生き生きとしているところが可愛いですね。」(晶子)
暖炉燃え見しらぬ人の里なまり ゆき 「民宿でしょうか。何処のお国訛りかと想像するのも楽しいですね。勇気を持って『どちらからお出でですか〜』と。これも旅の思い出。」(優美)
「酸ヶ湯温泉宿に泊まった時、フランス語のような地元の人々の訛に驚きました。そして、熱燗で歓談したなつかしい一齣を思い出しました。」(春雪)
旅すれば木曽路艶やか柿すだれ 零風 「木曽路の思い出は、おおいです。今住む集落近くにも有名な柿すだれの村があります」(霧子)
ちちははの国へ懸けたる冬の虹 あきこ 「この『ちちははの国』とは郷里のことではなく、父母のおわす天上の国のことなのでしょう。天国へ懸かるような清らかな冬虹に、作者の心が亡き父母と繋がった瞬間。美しい句です。」(暖流)
「虹の橋をわたって、会いにいきたい、特に母に・・・」(七海)
慎ましく片付きし部屋柿二つ 七海 「写真に撮りたい」(可不可人)
無人駅ひいらぎの花こつこつと  まさき 「ひいらぎの花、がいいですね。小さくとも無くてはならないそんな大事を『こつこつ』と言ったのでしょうか。駅を護っているのかもしれません。」(晶子)
「無人の駅に小さな白いひいらぎの花が目立つことなく咲いている風景が目に浮かびました。」(摩耶)
山小屋に靴のひも解く雪催 ししうど 「気温も下がり雪が降りそうな気配。登山者には天候が一番気になることでしょう。明日は晴れると良いですね。」(優美)
「木曽駒の山小屋を思い出しています。靴紐を解く時の喜びは、それまでの苦労を吹き飛ばしてくれます。」(春雪)
柚子風呂に涙のような種を追ふ 初凪 「これも’ロマンチック!半透明でぬるぬる ・だけど良く気付いたね〜。」(瓢七)
脚長き犬のコートや雪おんな 晶子 「犬のことなのでしょうが、雪女の語が印象強く選びました。」(しおみ)
京の夜焦がす炎や鞍馬寺 零風 「冬の厳しさ、いっそう思い出す炎ですした」(霧子)
そぞろ寒胸のボタンの掛け違い 初凪 「ボタンの掛け違い と言う言葉気持ちの通じない時に使うでしょそうすると ’そぞろ 位なら(#^.^#)ロマンチックだよ。」(瓢七)
熱ある日薬包並べて師走かな もも 「寒暖の差が有りすぎて私も風邪気味で参ってます、明日、通院の予定ですのお互い、恙なく師走を乗り切りましょうね」(ゆき)
母黄泉へ年賀も書けぬ日々過ごし 霧子 「ことしも数通 喪中のはがきを受け取りました。年末に、忙しくてもあれやこれや迷いながら、賀状を書くのは楽しみですが、年末年始がうら寂しいですね。それも大切な母様を送られて、なおのことでしょう 気持ち伝わります。」(ちあき)