平成22年07月 選句結果

                     
得点 兼題 「夏休」 作者 戴いた人
3 絵日記は海ではじまる夏休み 桜貝 弓子 静歩 七海
3 お使いを頼む子が居る夏休 零風 ちあき 小自良 優美
3 秘めごとの一つ二つや夏休み 七海 和泉 だいご 暖流
3 眩しくて遠き昭和の夏休み だいご 西寿 狂平 春雪
2 縁側をす飛っとぶ猫や夏休み ゆき 可不可人 かれん
2 夏休いつまで残るや詔(みことのり) しおみ おさむ 初凪
2 孫来る日花丸付けて夏休み 優美 すすむ いくこ
2 やんちゃの歯レミファが抜けて夏休み 初凪 晶子 まさき
1 雨あがり突如ギラリと夏休み ちあき 桜貝
1 ゲーム好き子の肌白き夏休み 晶子
1 球ひとつ転がつてゐる夏休み 暖流 ゆき
1 夏休み待ち焦がれたる子らの顔 西寿 零風
1 夏休み男料理の見せどころ 春雪 あきこ
1 夏休み子らのハブラシ背比べ まさき しおみ
得点 雑詠 作者 戴いた人
8 句碑守はただ一本(ひともと)の夏椿 あきこ 晶子 弓子 すすむ 桜貝 まさき
かれん 和泉 初凪
3 風はしり青田に映る白き雲 ちあき 西寿 狂平 いくこ
3 推敲の出来ぬ俳句や蝸牛 春雪 ちあき 静歩 和泉
3 病む父の言葉少なに夕端居 まさき 晶子 静歩 だいご
2 揚羽来る黒きは祖父と子の決めて 晶子 ゆき 七海
2 岩清水喉潤しつ峯仰ぐ 優美 春雪
2 美しき玻璃の器や夏料理 いくこ ちあき 零風
2 老ふたり素足のままの浜歩き 桜貝 ゆき 優美
2 キャンプの火消えて無辺の闇夜かな 桜貝 あきこ 暖流
2 手術待つ気の重たさや梅雨曇 静歩 しおみ 零風
2 深緑の闇分けいれば祠かな 七海 西寿 だいご
2 その後は阿吽のせかい蛍の夜 だいご 初凪 優美
2 滝壺に現世一気に落ちにけり だいご おさむ 可不可人
2 梅雨深し猫背の並ぶ立呑み屋 暖流 弓子 小自良
2 夏木立自転車二台立てかけて 暖流 あきこ 桜貝
2 風鈴が闇に微かな風を呼ぶ 零風 可不可人 かれん
2 湯上がりのうなじ見ている夏座敷 初凪 狂平 暖流
2 分水嶺越えれば匂う栗の花 春雪 しおみ
1 思いっきり蹴るさむらいよ草いきれ 初凪 おさむ
1 鯉跳ねるたびに青葉の薫りけり あきこ まさき
1 蝉しぐれふとせせらぎに間をとられ 狂平 すすむ
1 丹念に雑草引きし梅雨晴れ間 西寿 いくこ
1 のびやかに妻恋ふ唄や閑古鳴く 晶子 七海
1 祭り笛よかれ漢の小指反る ゆき 小自良
1 真っ直ぐは寂しすぎね青葉道 優美 春雪
私の選んだ一句
お使いを頼む子が居る夏休 零風 「普段は 学校への行きが早く、帰りがの遅いので、孫の姿を見ませんが きっと夏休みには、にぎやかな声を聞けるでしょう。小さな用事をたのめるっていいですね。」(ちあき)
「何となく優しい気になる夏休み」(小自良)
「無理してでも頼みたくなる親心・婆心ですね」(優美)
秘めごとの一つ二つや夏休み 七海 「意味深?」(和泉)
「中学生や高校生にもなると、親には話せない夏休みの計画や出来事があるのでしょう。早熟な性を懐かしく思い出させる、感性豊かな俳句です」(暖流)
眩しくて遠き昭和の夏休み だいご 「あの日 八月十五日、夏休みもなく総ての生徒は炎天下の大阪陸軍幼年学校の校庭に整列、微動だにせず玉音放送を聞き暫し呆然、溢れる涙をぬぐいもやらず立ち尽くしていた光景が思い出され、またぞろ涙を誘われる一句でした。」(狂平)
縁側をす飛っとぶ猫や夏休み ゆき 「躍動する生命の季節が眩しい」(可不可人)
「そうだそうだ こんな事あったっけと頬が緩みました。半世紀あまりも昔の緑陰から洩れる夏休みのにおいです」(かれん)
夏休いつまで残るや詔(みことのり)  しおみ 「あの八月十五日の事は 忘れられない。」(おさむ)
「夏休みと言うと子や孫の事を思い浮かべますが忘れられない夏休みの思い出を句にされて・・・”詔”の一字に凝縮された作者の胸の内が・・・」(初凪)
孫来る日花丸付けて夏休み 優美 「さあ 今年は何日から来るかなあ。」(すすむ)
「私もカレンダーに孫の夏休みを記して待ったこと思い出させて頂きました。其の心情判ります。」(いくこ)
やんちゃの歯レミファが抜けて夏休み 初凪 「面白いですね。ドは抜けてから生えてきたのでしょう音符にしたことが、とても楽しいです。」(晶子)
ゲーム好き子の肌白き夏休み 晶子 「昔は夏休み後に「クロンボ大会」があって日焼けを競ったのを想起しながら 句を拝読しました。現代っ子の一面をみごとに捉えていらっしゃるなと感心しながら・・・」(薫)
球ひとつ転がつてゐる夏休み 暖流 「情景が夏休みの倦怠感さえも浮かんでますわ。」(ゆき)
夏休み男料理の見せどころ 春雪 「いいですねぇ、料理を作る男性は魅力的です。夏と男料理、すかっと清々しさを感じます。この方は腕が鳴っているのですね。」(あきこ)
夏休み子らのハブラシ背比べ まさき 「今度来るお正月まで、カビをはやさないように。」(しおみ)
句碑守はただ一本(ひともと)の夏椿 あきこ 「桜守りは良く有りますが、句碑守りは余り聞いた事がありません。でも、其の傍に暮らして、句碑を日ごとに見守っている方のことだと思います。なにか淋しげな、しかし愛を感じる句です。」(晶子)
「建立された当初は華やかに整備されていただろうに年月が過ぎたいまはひっそりと一本の夏椿に見守られて。」(すすむ)
「讃岐の夫の実家を訪れたおり 鄙びた寺の庭にこんな情景を見ました。フラッシュのように脳裏に浮かびました。」(かれん)
「この句碑を関心を持って読む人もまれなのでしょうか。」(和泉)
「どんな句(うた)が彫られているんだろう?と想像が膨らみ秘めたる清楚な夏椿から、静かな詩情が漂っていてその場に立ってみたい!」(初凪)
推敲の出来ぬ俳句や蝸牛 春雪 「ワタクシは推敲が苦手で インスピレーションな俳句を投句してしまいます。がカタツムリのように ゆっくりでもしっかり推敲できれば いいですね。」(ちあき)
「帆掛け船の皆さんだれも覚えがあることでしょう。」(和泉)
病む父の言葉少なに夕端居 まさき 「私の父も弱くて無口でした。病の苦しさは妻にのみ。この季節は父母を思い慕ってしまう季節です。」(晶子)
揚羽来る黒きは祖父と子の決めて 晶子 「良い会話ですね、素敵な親子、しつけの良さを感じます。」(ゆき)
岩清水喉潤しつ峯仰ぐ 優美 「清らかな光景に 緑のそよ風まで感じられひきつけられました。」(薫)
美しき玻璃の器や夏料理 いくこ 「色はもちろん瑠璃の言葉の響きも好き、群青いろというより ラピスラズリの深いいろきっと ”おそうめん”でも盛られてると、涼やかでしょうね。」(ちあき)
老ふたり素足のままの浜歩き 桜貝 「黙ってても素敵なお二人、良い年齢を重ねてらしゃいます。」(ゆき)
「こんな二人になりたいと夢を見ていたが無惨にも砕けました。旅先での散歩でしょうか。仲の良さが伝わります。」(優美)
キャンプの火消えて無辺の闇夜かな  桜貝 「無辺の闇夜、に大自然に抱かれたキャンプの醍醐味が伝わってきます。」(あきこ)
「大自然に包まれたキャンプ場の深い闇のみを詠んでいながら、静寂や、微かに浮かび上がる山々の姿や、子供たちの感動が確かに伝わってきます。」(暖流)
手術待つ気の重たさや梅雨曇 静歩 「経験済み.。なげやり、あなた任せで料理に興味深々も。」(しおみ)
その後は阿吽のせかい蛍の夜 だいご 「心を合わせると生まれる呼吸!を蛍にことよせて蛍が阿吽の呼吸(光)で飛び交う世界は幻想的です。」(初凪)
「せかい・・・世界としなかったのは訳があるのでしょうか。私にも覚えのある若かりし日の思い出。」(優美) 
滝壺に現世一気に落ちにけり だいご 「落ちたのは現世への 己のわだかまりか。」(おさむ) 
「何を今更逡巡することなどあろうか」(可不可人) 
梅雨深し猫背の並ぶ立呑み屋 暖流 「何となく日本酒が飲みたくなりました。」(小自良)
夏木立自転車二台立てかけて 暖流 「明るい句で好きです。休日でしょうか、緑陰で憩うさわやかさ二台も良いですね。」(あきこ)
風鈴が闇に微かな風を呼ぶ 零風 「軒先に吊るした古い風鈴に我を想う」(可不可人)
「いま 夕顔の巻に凝っているので つい源氏と夕顔の逢引を想像しました」(かれん)
湯上がりのうなじ見ている夏座敷 初凪 「忌まわしい八月の思い出とは対照的に平和な日本を象徴する美しい句に心が洗われました。」(狂平)
「まるで竹久夢二の描く女性のように、清楚さとエロチシズムが相俟っていて魅かれます。『夏座敷』という揺るがない季語が、情景を見事に具象化しています。」(暖流)
分水嶺越えれば匂う栗の花 春雪 「季節感にもいろいろあるが、蛍と好一対。」(しおみ)
「なにか甘い香りが・・ 人生の分水嶺を感じながら、いや人間っていつまでも甘い香りを求めて分水嶺に立ってるのかしら・・・」(薫)
思いっきり蹴るさむらいよ草いきれ 初凪 「侍Japanの快挙は暗い世相を一時忘れさせた。」(おさむ)
鯉跳ねるたびに青葉の薫りけり あきこ 「静寂を破る鯉が跳ねさま、そして再び静けさが戻ってくる。静、動、時の流れをこの句から感じました。」(まさき)
祭り笛よかれ漢の小指反る ゆき 「粋だね!良い音が聞こえます。」(小自良)