平成22年10月 選句結果

                     
得点 兼題 「秋日」 作者 戴いた人
4 秋の日の地蔵の顔も茜色 狂平 いくこ だいご 零風 西寿
3 テープ切る胸に秋日の眩しけり 初凪 あきこ 暖流 桜貝
2 秋日落つ子犬の足の早きこと ゆき 弓子 小自良
2 秋の日をあびてふらりと寅次郎 七海 まさき 優美
2 妻の留守勝手気ままな秋日向 春雪 ゆき 初凪
2 八十路秋収めし年貢かろきかな しおみ かれん 七海
1 秋の日の川流れ行く果てもなし 晶子 すすむ
1 秋の日や旧交あたためくみし酒 西寿 ちあき
1 秋日和ふと肩力抜けて居り いくこ あつこ
1 秋の日の花嫁プーさん抱いてをり まさき しおみ
1 秋の日や癌と漢字で書いてみる 暖流 晶子
1 イクメンの誕生祝い秋日影 零風 おさむ
1 後ろから肩を叩かる秋日和 だいご 狂平
1 白壁に細き我が影秋日濃し 桜貝 春雪
1 山彦のひとつ返らず秋日濃し あきこ 和泉
得点 雑詠 作者 戴いた人
6 鍬を振る続きは明日秋の暮れ 優美 ゆき まさき 春雪 狂平 初凪
零風
5 芋がらの無造作におく垣根かな まさき しおみ 弓子 おさむ 晶子 すすむ
5 俳句論破れてたたむ秋扇 春雪 弓子 小自良 いくこ 和泉 優美
4 あかあかと青空つかむ曼珠沙華 初凪 まさき 狂平 だいご かれん
4 金木犀声なき家の声となり 七海 すすむ 和泉 かれん 桜貝
3 栗の実の二つとのらず幼なの手 初凪 小自良 西寿 暖流
3 友送る畔に一輪彼岸花 西寿 すすむ 初凪 七海
3 どんぐりを拾へばみんな遠き日に あきこ ゆき 晶子 桜貝
2 足首を海にひたせば鰯雲 七海 しおみ ちあき
2 毒きのこ色鮮やかに君誘ふ 春雪 おさむ 優美
2 ひっそりと来ぬ人を待つ里の墓 狂平 西寿 七海
2 日溜りや二人掛かりの障子貼り だいご いくこ 零風
2 水の面を鏡にしてか赤とんぼ いくこ ちあき あつこ
1 秋の夜に梵燈ゆれる妙心寺 零風 だいご
1 秋の野に風のレールや送電線 暖流 あつこ
1 無花果を分けしあいさつ里日和り ゆき あきこ
1 潮騒に身をゆだねたる星月夜 桜貝 あきこ
1 一庭の静寂払ひしばったんこ あきこ 春雪
1 目を伏せし伎芸天女や秋の暮 桜貝 暖流
私の選んだ一句
秋の日の地蔵の顔も茜色 狂平 「釣瓶落としの茜色に染まったお地蔵様一瞬でしたでしょうね。」(いくこ)
テープ切る胸に秋日の眩しけり 初凪 「運動会かな?秋日の降りそそぐ中、ゴールインする選手が眩しく輝いて。躍動感にあふれる光景が生き生きと描写されています♪」(暖流)
秋日落つ子犬の足の早きこと ゆき 「 もったいぶってない、余分な感傷もない、しかるに情景は限りなく愛らしい」(弓子)
「情景が良く出ていますね」(小自良)
秋の日をあびてふらりと寅次郎 七海 「寅さんの様にカバン一つで気楽な旅をしたくなりす。女寅次郎目指していますが足元にも及びません。秋は旅行に最適ですね。どうぞ良い旅を!」(優美)
妻の留守勝手気ままな秋日向  春雪 「穏やかな空気が流れてまいりますでも、ご不自由でしょ? 直ぐにいつもの生活が流れます。」(ゆき)
「日向に一番似合った句かもしれません奥さんとの絆が強いからこそ生まれた句 だと思います。」(初凪)
八十路秋収めし年貢かろきかな しおみ 「名句が多かったので選ばせていただくのに 心痛みましたが連れ合いが『百歳まで生きるの大変なんやで・・・・偉いとおもう』と言ってたのが耳に残っています。せめて80歳まであやかりたいです 八十路の秋 心静かにお過ごしくださいませ」(かれん)
「かろき年貢がいいですね、そうありたい。」(七海)
秋の日の川流れ行く果てもなし 晶子 「解釈に間違いがあるかもしれませんが、夏の喧騒や活気が過ぎ去って淡々と流れゆく秋の川の表情が頭に浮かびます。」(すすむ)
秋の日や旧交あたためくみし酒 西寿 「しみじみと 古い友人とお酒酌み交わし。ボツボツと 話すって秋の日が似合ってますね。」(ちあき) 
秋の日の花嫁プーさん抱いてをり まさき 「文金高島田だったら とても愉快。」(しおみ)
秋の日や癌と漢字で書いてみる 暖流 「いかにも年齢、環境など静かな秋にも関心事は病気の事など。 あまり気にしない距離を置いている、心境なのでしょうね」(晶子)
イクメンの誕生祝い秋日影 零風 「パパ 育児休暇中での誕生日 よろこびの二重奏」(おさむ)
山彦のひとつ返らず秋日濃し あきこ 「山彦は木霊、木魂に通じるのでしょうか。深い意味はわかりませんが 奥行きの深さを感じます。」(和泉)
鍬を振る続きは明日秋の暮れ 優美 「釣瓶落としの秋の夕暮れは早めに帰るのが宜しいようで〜」(ゆき)
「釣瓶落としの秋ゆえ”続きは明日”がいさぎよく響きおおらかな気持ちにさせられます」(初凪)
芋がらの無造作におく垣根かな まさき 「豆がらもそして割木などそこらでみかけたものです。」(しおみ)
「芋がら、とは何ぞや?里芋の茎やズイキを干したもので、味噌で煮しめて編んだ『芋がら縄は野戦食に。』加藤清正籠城の故事まで出て来てくるから物知らずは驚く。手間のかかるものだそうだが、それがさらりと垣根干しになっている風景がいい。<芋がらを吊りて荒壁年経たり>(古畦)」(弓子)
「ずいき 無造作に置いてあるが そうでないかも」(おさむ)
「こんな生活に憧れます。芋がらを美味しくたべるにはどうすれば良いのかしら?」(晶子)
俳句論破れてたたむ秋扇 春雪 「論議と秋扇に『破れ』がかかるのか、どこか侘しいけれど秋扇に内心の憤懣もたたまざるを得ない風情がユーモラス。<秋扇あたりさはりのなき話>(岩井愁子)と好一対」(弓子)
「如何なる論議だったのでしょう?」(小自良)
「俳句論楽しいでしょうね、そこから学ぶ事が沢山有るのですね。」(いくこ)
「秋扇をたたむ音が聞こえてきそうな…作者のくやしさが伝わってきました。」(和泉)
「たたまれた扇に悔しさが見えました。俳句の正論って何処までかな?」(優美) 
あかあかと青空つかむ曼珠沙華 初凪 「低い地点からの目線でしょうか? 花が空に向かって真っ直ぐにのび、開いた先の部分が手のひらを広げたように、そして、その姿が青空をつかむように見えたんでしょうね。良く観察されています。」(まさき)
「絵画的な色彩の美しさとともに 何にも負けない曼珠沙華の強さを訴えかけますね。仏花とか 摘んではいけないと忌み嫌われるそんな花の自己主張と大らかさをかんじて素敵な句です」(かれん) 
金木犀声なき家の声となり 七海 「金木犀が香ってくると あぁ 今年も秋がやってきたなぁと思います。この家の主人はもうこの香りを楽しむことができないのでしょうか。」(和泉)
「目を通すなり この句だと決めました。今年も主なき我が家にも声なき声を香に託して咲いてくれました。香が伝える想い出と笑顔 嬉しいですね作者に御礼を申し上げます」(かれん)
栗の実の二つとのらず幼なの手 初凪 「ふくよかな手が見えますね。」(小自良)
「私事ですが、八月に初孫を授かりました。この愛らし過ぎる一句に、思わずその孫の姿がよぎりました。蛇足までに、孫は『一茶』と命名されました。」(暖流)
友送る畔に一輪彼岸花 西寿 「本当に彼岸になると咲くのですね」(七海)
「たった一輪が寂しさをものがたり、送る思いの深さを感じました。」(初凪)
どんぐりを拾へばみんな遠き日に あきこ 「もう団栗の季節、早いものですね上から降るどんぐりの 懐かしい事!あの時の友ももう居ない団栗も少なくなり、熊が出没いたします」(ゆき)
「ころころ転がるドングリを追えば、子供の日がそこにある、きっと皆そうでしょう。」(晶子)
足首を海にひたせば鰯雲 七海 「最近は突堤から飛び込む、在りし日の映画はこれで充分でした。」(しおみ)
「真っ青な空、それに鰯雲とくれば、もう申し分なく秋の空です・・・そんな空の下 磯に佇めば詩人になります」(ちあき)
毒きのこ色鮮やかに君誘ふ 春雪 「食用に売って 大騒動 美しいバラには棘がある」(おさむ)
「毒きのこには何とも云えない色香があります。誘われても決して口にしないで下さいね。」(優美)
ひっそりと来ぬ人を待つ里の墓 狂平 「実家の父母の墓も年ごとにこのとおりです。それが嫌で何をおいても彼岸にはお墓参りに行きますが、兄や姉も年老いてきました・・・」(七海)
日溜りや二人掛かりの障子貼り だいご 「今時未だ障子が有るのですね、北国は殆ど見かけなく成りました。」(いくこ)
水の面を鏡にしてか赤とんぼ いくこ 「ツイー〜と飛んでは、いっときホバリングして、自分を見つめているのでしょうか・・・」(ちあき)
目を伏せし伎芸天女や秋の暮 桜貝 「国内では秋篠寺の1体のみが現存する伎芸天像。静かに佇むそのお姿には深い孤独と慈愛が見てとれるようです。『目を伏せし』と詠んだ写生が、秋の夕暮の淋しさを実感させます。」(暖流)