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身近にある放射線
中地直樹氏実践の追試



進士かおり(JHS三重アイリス)

原子力の平和利用として、放射線は原子力発電をはじめ、医療、工業、農業とさまざまな分野で利用されている。今や私たちの生活に欠かせない存在になっている。しかしその利用についてあまり知られていない。
原子力発電以外にも用いられている身近な放射線について授業する。


2枚の写真を提示する。

発問1 これはあるものの影響で体に損傷を受けた写真です。
     あるものとは何だと思いますか。予想してノートに書いてご覧なさい。

 放射線による皮膚の損傷である。
 写真は原子力百科事典(http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/)より
 ベラルーシ共和国のネスヴィシュで起きた放射線被ばく事故の写真をプロジェクターで提示。
(http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/pict/09/09030212/08.gif)

説明1 放射線は大量に浴びると体に悪い影響を与えます。体に悪影響が現れるのは200mSV以上。一度に浴びると死んでしまうのは7000mSVです。

発問2 どこにいると放射線を浴びると思いますか。思いつくことを1つ予想してノートに書いてご覧なさい。

・原子力発電所
・病院
・自然界

説明2 実は放射線は私たちの身のまわりのどこにでもあります。食べ物から、地面から、壁からも、空からも出ています。空気中にもあります。
私たちは1年間に2.4mSVの放射線を自然に受けています。

発問3 また、私たちの身のまわりには人工の放射線も存在しています。放射線を利用している場合もあるのです。その1つが原子力発電所です。それ以外にどんな利用をしていると思いますか。図を見て○で囲んでご覧なさい。

 病気の診断、ガン治療、レントゲン撮影、医療器具の滅菌、装飾品の着色、植物の品種改良、ジャガイモの発芽防止、ウッドプラスチック、三味線の弦、発砲ポリエチレンシート、ガットの強化、化学繊維の改良
非破壊検査、考古学への利用、空港の荷物検査 の図を提示する。(中地氏の論文より引用)
これらはすべて放射線が利用されている。

またこれ以外にも害虫の駆除、宇宙衛星の電池にも放射線が使われていることを知らせる。

説明3 放射線は原子力発電所以外にも、たくさんのところで使われ、私の生活になくてはならないものになっているのです。

発問4 では例えば一回のレントゲン撮影ではどれくらいの放射線を浴びると思いますか。予想してノートに書いてご覧なさい。単位はmSVです。

答えは0.05mSV(胸部レントゲン撮影)

発問5 原子力発電所から浴びる放射線は一年間にどれくらいまでと決められていると思いますか。レントゲン撮影と比べて考えます。

レントゲン撮影より、多い、同じくらい、少ない で挙手させる。

答えは0.05mSV。ただし実際の線量は0.001mSVに抑えられている。

説明4 大量に浴びると危険な放射線ですが、その影響を防ぐ方法があります。
放射線はコンクリートや鉛で遮ることができます。
放射線は距離を置けば弱くなります。
放射線は浴びる時間が少なくなれば影響は小さくなります。


説明5 みんながドライブに行く自動車も、事故を起こすと人が死ぬときがあります。でもきちんと自動車を運転していると安全です。放射線もその性質を知り、正しく使うことで安全が守られるのです。



 《先行実践》中地直樹:『エネルギー問題をこう授業する』(明治図書,1998年),p68

 《参 考》新牧賢三郎:『エネルギー問題をこう授業する』(明治図書,1998年),p 62

      長野藤夫:『エネルギーの学習で子どもが変わった』(エネルギー教育全国協議会編,2002年),p 66        



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