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進士かおり(TOSSt中学/三重アイリス)
稲田徹也氏の実践「幸福に生きるためのライフスキル学習」(インターネットランド2170015)の追試。
デール・カーネギーの思想をわかりやすく紹介したサイトで、小学6年生〜中学3年生が対象になっている。中学2年生に行った実践。
中学2年生の10月、職業体験学習や進路説明会を後に控える時期に行った。
1.中学生に生き方を伝える
「心が耕されていない。」
目の前の生徒たちを見て感じることだった。
私は副担任のため、道徳の時間を持つ機会が少ない。
しかし中学2年生も後半、職業体験や進路説明会も控えている。
機会があれば「生き方」を示す授業をしたいと思っていた。
インターネットランドから「生き方」でキーワード検索を行い、資料を探した。
そして、今の中学2年生のクラスに伝えたいという実践を見つけた。
私自身、D・カーネギーの著書を購入し、何度も読み返していた。学んだことも多かった。それを生徒にもぜひ、伝えたいと思った。
資料、ワークシートをダウンロードして授業に備えた。
ほどなく、授業をする機会に恵まれた。
担任が休みを取ることになり、その日に道徳ができることになったのだ。
さっそく、資料を印刷して教室に向かった。
2. 「魔法の言葉」を読み上げる
教室に入ると、「先生、今日の道徳は何をするの?」と質問された。
「今日は一冊の本を紹介します。」
と言ってD・カーネギー著『道は開ける』(創元社)を提示する。
「この本は先生が悩んだり、つらくなったときに読み返す本です。みなさんにも一部を紹介します。」そう話しをしてから、プリントを配布した。
指示1.先生が「魔法の言葉」を読みます。目を閉じて聞きましょう。
B5版にびっしりの文章であったが生徒は静かに聞いていた。目を閉じているので生徒の意識が外に向かず、落ち着いた雰囲気の中で読み進めることができた。
指示2.大事だと思ったところを書き出しなさい。
ワークシートに書き出させ、列指名で答えさせた。
生徒から出た意見は
・あなたの人生はあなた自身がつくります。
・あなたの態度があなたの人生を決めるのです。
・あなたが変化するとまわりも変化します。
私が要点とした箇所とほぼ一致していた。
指示3.先生が要点を言います。聴き取ってワークシートに記入しなさい。
次の要点を読み上げた。
あなたの人生は、あなた自身がつくります。あなたの態度があなたの人生を決めるのです。健全な態度を身につけましょう。それがすばらしい未来を生きるための第一歩なのです。
カリカリと書き写す音だけが教室に響いた。
指示4. 次のページにある「魔法の言葉」を読み、大事だと思うところに線を引きなさい。
長文のため、時間はかかっていたが生徒たちは定規を取り出し、線を引き始めた。
その後、机を班の形にしてどこに線を引いたか回し読みをさせる。
そして以下の部分を全員で読んだ。
健全な態度を身につけよう
健全な態度とは
すべての人を大切にする心がまえ
必ずできるという心がまえ
幸福に生きるという心がまえである
指示5.今日の授業の感想を書きなさい。
約30分の授業であった。
生徒の感想を紹介する。
・このごろ自分の性格のことで悩んでいたから、この「魔法の言葉」をいつも頭に入れて、少しでも私と一緒にいると楽しいって思ってくれる人が増えるといいな。
・「自分の行動を他の人に合わせて行動する。」と文が書いてあって、「あ…確かにそうやなあ。」と思った。私が「この子いやだな。」と思っていやな顔をすると相手もそうなるし、私が(例えば)Aさんにいい態度をとるとその人もそうなる。そのまま返ってくる。すくなくとも悪い態度はとりたくないなあと思った。
三. 授業を終えて
中学生にも十分追試可能な実践であった。
最初に本を紹介したのが、修正点である。
やはり「モノ」があると、生徒の視線が集まる。突然の道徳の授業でも、教師がいいと思っている本を紹介するという形ですっと開始できた。
長い文章を読み聞かせるのに、集中力が途切れないか心配したが、文章に引き込まれ私語はほとんどなかった。
「今日の道徳は何をするの?」と聞いてきた生徒たちは、このような授業にとまどっていたようである。
しかし、「魔法の言葉」を読んでそれぞれ心のどこかに引っかかる部分があったことが感想から読み取れた。
普段、私に対して反発している女子も「けっこう勉強になりました。」と一言感想を書いてくれた。
道徳授業での小さな一歩である。
《先行実践》稲田徹也氏:「幸福に生きるためのライフスキル学習」(インターネットランド2170015)