(C)Two-Way/中学校/全学年/総合/国際ボランティア/
進士かおり(TOSS中学/三重アイリス)
丸亀貴彦氏、大恵信彦氏の追試です。中学2年生、1学期最初の授業参観で行いました。
準備物
ミネラルウォーター 500ml×6 砂糖10g入りのスティックシュガー×12 食塩ひとつまみ(1.7g) 紙コップ人数分
指示1 各班にミネラルウォーターを配ります。それにスティックシュガーを2本とと塩をひとつまみ入れ、ふたをしてよくまぜなさい。
指示2 紙コップを配ります。飲みたい人は少しずつコップに入れて飲んでみなさい。
生徒は恐る恐る口にしてみる。
発問1 飲んだ感想を発表してください。数人を指名する。
甘い。おいしくない。不思議な味。
説明1 この飲み物はスポーツ飲料とほとんど成分は同じです。名前はORSといいます。
ORSと板書
説明2 この飲み物を必要とするのは、アジアやアフリカなど発展途上国の子どもたちです。今から配るプリントには2つの表が出ています。日本とアフリカの表です。
プリントを配り、次のように問うた。
発問2 A、Bどちらがアフリカでしょうか。プリントに自分の答えを書きなさい。時間は1分です。
ほとんどの生徒が書けたのを見計らって
発問3 班でひとつの意見とします。A、Bどちらがアフリカでしょうか。どうしてどう考えたのか理由を書きなさい。理由は5分です。
生徒は乳児死亡率の高さ、平均余命の短さなどを理由にBがアフリカであると判断していた。
指示3 班の考えを発表してください。理由も言います。
班の中で発表者を決め、意見を発表させる。
説明3 正解はBです。アフリカでは今でも子どもたちがばたばたと死んでいます。アフリカだけではありません。全世界あわせると毎年1400万人の5歳以上の子どもが亡くなっています。一日にすると4万人。大安町の人口の2倍以上の人数です。時間にすると、時計を見てください。1秒、2秒、3秒…12秒で1人死ぬ。12秒で1人が亡くなる計算です。
生徒は真剣な様子で聞いていた。
発問4 死ぬ原因のトップは何だと思いますか?
栄養失調、病気という声があがった。
説明4 死ぬ原因のトップは下痢です。下痢による脱水症状によって300万人の子どもたちが亡くなっています。今飲んでもらったORSは下痢の特効薬なのです。
発問5 このORS500mlは、日本円でいくらだと思いますか。
丸亀先生の実践では、5円、5000円、50000円から選ぶ形だったが、どれくらいの値段を考えるか予想させてみた。10円から1000円までの答えが出た。300円ぐらいという生徒が多かった。
正解は5円です。
生徒はみな「え〜?」という顔をしている。
発問6 こんなに安くORTが作れるのに、どうして子どもたちはばたばたと死んでいるのでしょうか。予想してプリントの空いているところに書きなさい。
・お金がない。・運ぶお金の問題。・子どもに飲む力がない。
説明5 正解は「水がない」です。飲める安全な水がないのです。日本では水道の蛇口かをひねればきれいな水がいくらでも手に入ります。しかし水道のない地域では川や池の水を利用しています。その川や池に下痢をおこすばい菌が多くすんでいるのです。だからORSを作ることができないのです。
指示4 このような子どもたちを私たちは何とかできなのでしょうか。子どもたちを救うための活動をしているユニセフという団体があります。画面を見てください。
日本ユニセフ協会のHPをプロジェクターで映す。
ORSを飲ませている場面、http://www.azumino.cnet.ne.jp/human/unicef2/index.html
ユニセフの活動内容を紹介する。http://www.unicef.or.jp/index.html
発問7 ユニセフ募金でどんなことができるかクイズにしてみました。( )に数字を入れてください。
ユニセフ募金でどんなことができるかクイズ
@肺炎にかかった子どもに対する5日分の抗生物質が買えます。
( )円
A失明やビタミンA不足を防ぐビタミンA補給剤1錠
( )円
B必要最低限の文房具(鉛筆、ノート、消しゴム)一式
答え(@27円 A3円 B204円)
列指名でテンポ良く答えさせた。
説明6 わずかな募金でも世界の子どもたちの役に立つのです。私たちでも世界の子どもたちのためになることができるのです。世界の子どもたちのために何かをすること、これを国際ボランティアといいます。
指示5 今日の授業の感想を書いてください。
早く書けた生徒の作文を紹介した。
・小学校のときユニセフは知っていた。たった1円でも2円でも大事にしやなと思ってたのに今まで忘れていた。けど今日で思い出した。もっとお金を大切にしなきゃと思った。そして、少しでも募金もしていこうと思えるようになった。もったいないことにお金を使うなら募金に回そうと思った。
・アフリカではたくさんの子が死んでいっているのは知っていたけど、自分たちの特に見向きもしないわずかなお金で薬が買えるとは知らなかった。今まで10円や100円ほど募金しても全然意味がないと思ったけどその10円、100円がたくさんの子を助けることができることを知った。
自家製のORTをつくり、生徒に飲ませてみる指示は大恵氏の追試である。
発問1からは丸亀氏の実践を追試した。
先行実践
丸亀貴彦氏 国際ボランティアの授業 http://fish.miracle.ne.jp/kame-m/ort.htm
大恵信昭氏 国際ボランティアの授業 命を救う「魔法の水」ORT http://www.niji.or.jp/home/ooen/sub5-ort(only-hatumon).htm
参考実践
白川太一氏、田村治男氏