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昇降口を土足で上がらせない



進士かおり(TOSS中学/三重アイリス)

昇降口を土足で上がりこむ生徒への一言。

4月当初、昇降口は砂だらけだった。
昇降口の入り口から距離のある下駄箱まで土足で上がっている生徒が多数いたからだ。
今年は「昇降口を土足で上がらせない」と決めて毎朝、昇降口を掃除することにした。

1.1学期の一言

朝、始業のチャイムが鳴ると、担任は教室へ、副担任の私は昇降口に向かう。
昇降口の掃除を始めると、遅れてきた生徒があわててやってくる。
靴を脱ごうともせずに下駄箱に向かう生徒にむかって一言。

「おはよう。はい、脱いでね。」

 とほうきを片手に明るく声をかける。
 これで「あっ」と気が付いて脱ぎ始める生徒も多いが、、無視して通り過ぎていく生徒もいる。

 1学期、4月に学年に加わったばかりの私と生徒の間には信頼関係が築けていない。
 無理に詰め寄らずに、声をかけることで良しとした。

「常識が分かる人になってね。」

 と声をかけることもあった。

2.2学期以降の一言

 2学期以降、「昇降口には先生がいて、掃除をしている。」ことは生徒もわかっている。
 それでも土足で上がりこむ生徒には

「はい、掃除して。」

と笑顔でほうきを手渡し掃除をさせることにした。

あくまで笑顔で、にっこりと。

掃除が終われば「はい、ごくろうさま。」と言ってねぎらう。

以前は土足で歩いていた生徒が私に向かって
「ちゃんと脱いでるよ、いい子でしょ。」と得意げに話しかけてくる。
「いい子だね。成長したねえ。」とほめる。
生徒はとてもうれしそうである。

3学期、私の顔を見れば、急いでいても土足で昇降口に上がりこむ生徒はいなくなった。



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