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■ 黙さんの部屋
ミステリー作家の折原一氏から、
「今度の日曜日、石田黙画伯の絵を 見に来ませんか。黙さんの奥さんも、 ご友人もご一緒に」との招きに応じ て、埼玉県の折原氏のマンションに 出かけた。7月17日のことでした。

▲左から折原一氏、石田正子未亡人、 中島けいきょう氏。撮影は義郎。

折原コレクションの石田黙作品43点 が、豪華なマンションの玄関、廊下、 広い居間に所狭しと並んでいた。
1970年代初め、画商の注文で描いた いわゆる「売り絵」かと想像してい たが、当時の仲間に見せたことのな い「裸女」をモチーフにした作品群 も画商・鑑賞者に媚びるところがな い。死後に憂いを残さない、という 心構えを感じた。又、100号も4号も 同じ態度で描き込んでいるのは画家 の誠実さと矜持を感じた。●折原一HP!

■梅を干す
梅雨明けを待って、塩漬けの梅を天日 に干す。
▲朝、葦の簾(すだれ)を拡げた上に、 塩漬けにしておいた梅を干す。市内に 住む従姉妹の庭に生っている、消毒薬 をまったく掛けていない梅だ。虫食い も混じっているので漬ける前に厳選し た。塩の量はいつからか、梅の重さ の13%にしている。
梅雨明けに三日三晩、天日と夜露に晒 せとの言い伝えにしたがっているが、 ただ干しておくだけでは片側だけに陽 が当たるので、この3日間、昼食後に 裏返す作業をした。初日には、日に焼 けて赤くなった梅の反対側は、まだ青 っぽいものも幾つかあったりした。


暑中お見舞いに代えて

黒 ゴ キ ブ リ (2005.7.31)

黒ゴキブリが一匹、家に飛び込んで来た。わたしと目が合うと サッと逃げようとしたが、背中を軽く押さえて捕まえた。以前 なら頭を胴体から引っこ抜いて窓からポイするところだが、最 近は滅多に見かけなくなったせいか、旧友に会ったように懐か しい。黒光りした羽や、人家や台所の隙間に入り込むのに都合 のよい平らな体は機能的にも美しい。ちょうど飲んでいた芋焼 酎の息を黒ゴキ君に吹っかけ、窓から放り出すと闇夜に羽ばた いて去った。

いつの頃からか、我が家に「茶羽ゴキブリ」が棲みつき、黒ゴ キブリの姿が消えた。南方系の茶羽族はヒマワリの種くらいの 小さな体で、子連れで餌探しに出てくるらしく、粘着性の捕獲 器には米粒ぐらいの小さなものも入っている。体が小さい分、 あたま数が多い。前出の捕獲器を一度に5箱、要所に配置して 幾日かすると1箱に20匹も30匹も入っているが、100匹ぐらい減 っても、何もなかったように毎晩台所に繰り出してくる。

「ゴキブリ」は夏の季語だと聞いたが、たしかに私の住んでい る横浜でも、冬にゴキブリの姿を見ることは以前はなかった。 しかし何年か前から、わが家では真冬でも台所の暗闇を走り回 っている。家庭や事業所の冷暖房設備の普及によって室内の夏 冬の温度差が小さくなり、地球の温暖化によってゴキブリに適 した環境が整い、人の飽食が習慣化してエサ事情も良好とくれ ばゴキブリ人口が増えるのは当然だ。

しかし人間もゴキブリに勝手気ままに台所を荒らさせているわ けでは無論ない。捕獲器、殺虫剤は多くのメーカーが造ってい るし、食べたら死ぬホウ酸団子も売っている。しかし人類より 先に地球上に誕生し、生き残ってきた強者を退治するのは中々 難しい。やはり毒ガス作戦しかないか、とひと月ほど前に煙の 出るゴキブリ用殺虫剤を買ってきた。近所の保育園でも、休日 の前日これを使ったという。

しかし説明書を読んでみると、わが家の台所でこれを焚くのは 容易でないことが分かった。先の保育園では、子どもの布団や 衣類は前日に家に持ち帰らせ、殺虫剤を焚いた後は保育士たち が大掃除並みの清掃作業をしたいう。わが家で実施するとなる と、食器や厨房器具は後で全部洗わなければならないし、冷蔵 庫は殺虫ガスが浸入しないように目張りが必要らしい。目張り しても少しも入らないとは保障できないから、食材は外に出し たほうがよさそうだ。茶箪笥も米櫃も電話機もパソコンも他の 部屋へ移さないと…。しかし隣室との間の襖の隙間はガムテー プを張ったぐらいでは完璧ではないし、などと考えて中々実施 できないでいる。

仕方なく同じ屋根の下に共存しているが、近ごろ敵は図々しく なって昼間なのにウロチョロすることがある。思わず指でつま んで流し台に叩きつけるが、すばやく物陰に逃げ込んでしまっ た奴には、スプレーで殺虫剤を掛けてやりたくなる。しかし、 これも火には危険で人間にも毒だとなると、咄嗟の場合には 使えない。困ったものだ。

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