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09/2/11-13 北谷一軍キャンプ -4- (野手編:若手)

ようやくキャンプ視察編の最終回です。
モタモタして一気に書き上げられず、結局はキャンプ終了までかかってしまいました。
私が選手たちを見たのは、もう二週間も前のことであり、それから技術の上達や調子の変化もあったはず。
特に、覇気を感じないと指摘した読谷組の若手連中が、連日の練習試合で結果を出していることには、自らの見る目のなさとともに、大いなる喜びを感じてます。
読谷組と北谷組の若手が切磋琢磨して、高いレベルでのレギュラー争いを繰り広げてくれることが一番。
オープン戦が楽しみやね。


中村一
ABCD
                         EFG
入団した頃は、こんなヒョロっとした子がモノになるのかと感じたもんでした。
実際に二軍戦を見ても、外野飛球の落球にノーヒット、成績も上がらず、早々に整理対象になるかと思ってました。
それが今や一軍キャンプを完遂する存在なんやから、私の見る目も大したことありまへんわ(苦笑)。

奴の場合、長身を利した長打があるわけではないですが、ストレートのみの打撃投手、マシン相手だと、結構な精度でボールをジャストミートしてましたわ。
スイングがコンパクトで内側から振り出せるようになったため、タイミング変化にもそこそこ対応できると思います。
ただしレギュラーを獲るには、スピードかパワーといった売りが欲しいところなんやけど、さてどうなりますか。


藤井
【右】
ABC
                          DEF
【左】
123
                      456
恐らく、センターのポジション争いは、奴と野本の一騎打ちになってくると思います。
奴はスピードに勝るだけに、課題の打撃が伸びれば、この戦いを抜け出す可能性が高まるはずであり、そのための切り札がスイッチヒッターへの再挑戦でした。
そのトライが成功するのかどうか、私はそれを一番の注目点として見てきましたが、結果的には…どう総括すべきなんやろ?(苦笑)

守備の方は、以前の力いっぱい投げて、力いっぱいチャージしての、大暴投やポロリはかなり減って、キャッチング、スローイングの精度は高まってるように感じました。
まだ一流どころと比べると危なっかしいところがありますが、野本に遅れをとることはないのと違うかな。

したがって、やはり問題は打撃になります。
結論を先に言えば、再トライした左打ちはなかなか良い感じやけど、元々の右打ちは相変わらず振りが大きい。
慣れたら左一本にした方が、結果は出るような気がするわ。

上の写真で、振り出し段階のDと4を比べるとよく分かりますが、左打ちの4は上体から軸足のヒザまでが一本の軸になってますが、右打ちのDは軸足のヒザが内側に入りすぎて軸が折れてしまってます。
したがって、右打ちでは軸の回転でバットはスムーズには振れまへん。
しかもその軸足のヒザが早々に投手側を向いてしまうため、腰も早めに開いてしまいます。
それなのに頑張ってバットのヘッドの出を遅らせようとするため左ヒジが伸びてしまい、グリップが身体から離れて大振りになってしまうわけです。
この悪癖は入団当初から変わっておらず、このままでは右打ちでの結果は望み薄のような…。

一方で左打ちの基本形は悪くありまへん。
トーチュウでは右腕のフォローが悪いと指摘されており、またバットも寝過ぎのように感じますが、投手の生きたボールへの慣れとともに、成績は上がっていくような気がします。
右打ちがそこそこ打てるようになれば、レギュラー候補一番手なんやけどなぁ…。
今のところは、まだ決定打はないというのが私の感触ですわ。


小山
ABCDEF
打撃練習を見て、「おっ」と目を引かれた選手の一人です。

足と肩は折り紙つき。
そして打つ方も、フリー打撃を見る限りなかなか好感触。
一部の情報では素行に問題とか言われてますが、能力だけならトライアウトで入団してきた選手とは思えないピカピカの素材ですわ。

打撃で感心したのは、バットが実にスムーズに出ることです。
写真でのトップCから、バットを身体に巻きつけるように内側から出す。
非常に柔らかく無理のないスイングやね。
これを見る限り、打撃と足では戦力になれるのと違うかな。

問題は捕手として肝心なリードやね。
オープン戦初戦では結果は出せなかったけど、若手を引っ張って勝たせることができれば、絶好のアピールになるでしょうな。


野本
ABCD
                       EFG

練習終了後、陸上競技場で長蛇の列のファンにサイン    その後TV局からのインタビューを受ける
藤井と並ぶセンターのレギュラー候補。
アマのナンバーワン野手という看板を引っさげての入団やけど、その評判の真偽を確認するのも、今回の視察の目的でした。

守備面では、難しい球際の処理を問われるノックはありまへんでしたが、普通の打球を普通に処理することはできます。
肩の方は、シートノック当初で暴投が見られましたが、徐々に安定して、送球が低く強いものになっていきました。
藤井に劣らないとは言えまへんが、あれだけ投げられるなら合格でしょう。

打撃の方は、高くかざしたグリップを、一直線にボールに向かって振り下ろすスイング。
ヘッドスピードは速く、刀を振るような鋭さを感じますわ。
右方向にはもちろん、左中間にも伸びる強い打球を打てます。
ただし内角を捌くのが、少々窮屈のように見えたこともあり、立浪が熱心に指導してました。

パンチ力では外野の若手ではトップクラスでしょうな。
一方で、足と守備を取れば藤井。
この争いに、出遅れた平田や、打撃では恐らくピカイチの堂上剛が絡んでくることになると思いますが、開幕スタメン争いは最後まで楽しめそうです。


澤井
【右】
ABCDEF
新人時代を考えると、随分成長したもんやと思います。
岩崎達と二遊間のサブの座を争い、攻守に成長を感じさせてたんですが、残念ながら私の視察終了直後に不運な故障で読谷行きになったとのこと。
練習を見ていても、両者の間に火花が散るような感覚があったので、キャンプ中の争いが楽しみやったけどなぁ…。

打つ方では、右打席も左打席も鋭い当たりを飛ばし、守備面でも機敏な動きを見せてくれてましたので、サブとしては期待できたはず。
まぁ、遅れを取り戻す時間はまだありますし、何とか追いついて欲しいもんですわ。


西川
ABCD
              EFGH
上記の澤井の故障で、読谷から繰り上げられました。
昨季はキャンプ、オープン戦の好調を認められて、開幕一軍をゲットしましたが、十分な活躍ができたとは言えまへんでした。
今季は脱皮して、階段を一つ上がることができるやろか?

奴の構えを見ると、昨季は寝かせていたバットを立ててますな。
テークバックでグリップが引っかかるようになって、バットを出しにくいと感じたのかも知れまへん。
今季は立てたバットを、テークバックで捕手側に倒すことで、スムーズに出そうとしているようですわ。
これは諸刃の剣の側面もあり、テークバックでしっかり「タメ」が作れなくなる場合もあるため、上体が突っ込みやすくなるかも知れまへん。
その辺を気をつけて欲しいもんです。

奴のグリップの使い方には特徴があり、先に投手側にグリップを持って行き、テコのように手首を支点にバットを回す感覚です。
バットのしなりが効いた鋭い打球を飛ばしており、飛躍を期待したいですな。


中川
ABCDEF
若手連中の中で、打撃練習を見て最も印象的だったのが奴です。
最初は「和田を模して構えを変えた」とかいうフォームをチェックしよう程度で、あんまり注目もしてなかったんやけど、何度かスイングを見てると違和感を感じたんですわ。
何が違うのかとしばらく目を凝らし、奴の練習が終わった後は、他の選手の練習も見ながら何となく考えましたが、結論は出まへんでした。

別途、読谷に行って直接のライバルとなる中村公や英智の打撃を見て、ようやく気が付きました。
ミートポイントが他の選手とは随分違う。
他の選手は基本通りに身体の前方でボールを叩いてましたが、奴は身体に近いところでミートしてます。
横から見てると、身体の横(一塁側)で弾き返すようにも見えるんですわ。
ミート寸前の写真Eの段階で、まだヘッドが残っている選手は珍しい。
これなら、いろんなタイミング、いろんなコース、いろんな球種にバットが出るはずです。

初めての一軍キャンプ帯同のため、疲労はかなりあったようで、最後は読谷に行ったのかな?
まぁ、奴は故障上がりなので、まずは二軍のレギュラーを獲って結果を残し、そこから一軍に這い上がって欲しいもんです。
幸い、長時間の特打でも安定したスイングを保てる体力もあるようで、その目標はそれほど達成の難しいものではないと思われますんで、今季の奴が楽しみです。

頑張れ!


前田
ABCDEF
ウィンターリーグへの派遣で精神的に一皮剥けたようで、キャンプ前の「頼れるのは自分だけ」というコメントは頼もしいですな。
ドラの捕手事情は、主戦の谷繁はフル出場が望めず、二番手捕手の最有力候補であった田中は故障で構想外となり、小田、小山、そして奴の三人による二番手争いが激化しています。
このチャンスは奴にとって千載一遇のものであり、絶対に掴み取らないといけまへん。

経験の小田、走って打てる小山と、ライバルたちには長所がありますが、奴は何が売りなんやろ?
ガタイの頑丈さは思いつきますが、やはりリードも打撃もアピールしないと、なかなか起用してもらえないのと違うやろか。
そういう意味では、開きがひどかった打撃は修正されつつあり、成長が見えます。
あとは大事なリード面で、ええところを見せて欲しいもんです。


岩崎達
ABCDE
首脳陣にはまだモノ足らんところがあるようですが、守備も打撃もオフの間に大幅な成長を見せ、ライバルの澤井の脱落と主戦・井端の離脱もあって、今や開幕スタメンも狙える立場にあります。
澤井に代わって、谷が強力なライバルとして登場するとともに、サブ本命のデラロサとの決着もつける必要がありますが、さてあと一ヶ月で関係がどう変わっていくやろか?

守備での身のこなしは速く、プレイの精度もかなりのレベルまで向上してきました。
この点ではライバルたちに劣ることはないと思われます。

一方で、注目すべきは打撃ですわ。
この大きくない身体で、強い打球をガンガン飛ばしてました。
昨季18打数1安打の貧打な選手に、一体何があったんやろか。
そのヒントは写真にあります。

写真Dで明らかに上体が突っ込んでますが、これを見て私は「これでよく打てるもんや」と思いました。
その理由は、プレー経験のある方ならご存知の通り、セオリーから外れた打ち方だからです。
こりゃ一時期の好調で、そのうち打てんようになるのでは?と、私は沖縄から帰ってきてもしばらくはそう考えてたんですが、後日見たトーチュウで素人の浅はかさは打ち砕かれました。
元々、ボールに差し込まれ気味であった奴の打撃を見て、立浪が「最初から突っ込んで打ってみろ」と指示したらしく、このアドバイスが大当たりしたのが奴のパンチの効いた打撃の正体とのこと。
こういう逸話には、素人の追いつけないプロの妙味を感じざるを得まへんな。
さすがミスター・ドラゴンズ。

キャンプ終盤には、奴も監督から直々にノックを受けるようになったらしく、主力メンバーとして認められつつあるようです。
このまま開幕まで突っ走れ!


良太
ABCD
                         EFG

川相コーチからマンツーマンで中継プレーの指導     立浪、一枝氏から指導を受ける
レギュラー獲りのチャンスなんやけどなぁ。
とにかく守備面が、全体的に危なっかしいのが致命的ですわ。
フットワークが堅い、グラブ捌きが堅い、そして判断ミスもある。
ブランコが鈍い動きながら、処理すべき打球を堅実に捌いていたのとは対照的であり、監督がブランコの方が上やと言うのも分からんでもないです。
個人的な贔屓選手だけに、兄貴のように一歩づつでも上手くなって欲しいんやけどな。

問題の打撃の方は、いろいろ試してますな。
ヒッチしたり止めたり、そしてまたヒッチしたりと、ベストなフォームを探して試行錯誤してるのがよく分かりますわ。
要はタイミングのとり方なんでしょうが、最終的にヒッチするフォームを固定したようで、差し込まれるリスクよりも、上体が突っ込むリスクへの対応を重視したようです。
これが定着して、オープン戦で結果を残せるようになれば嬉しいんやけどね…。

また練習では、打球の捉え方にも奴のトライが伺えました。
ティー打撃で、パチンとボールを叩くのではなく、ボールの下を叩いてネットに打ち上げる練習をしていたと思うと、フリー打撃では従来のライナーを打つのではなく、軽く振ってフワっと打球を打ち上げてはスタンドインという作業を繰り返してました。
どうやら本格的に長距離打者の道を進むつもりなんやろか。
とは言え、11日はええ感じでポンポンと打球をスタンドまで運んでたんやけど、翌日は特打に特守というフルメニューの疲労のためか、振りも鈍くなってました。
腰なんかも相当張っていたようで、かなり体力的に厳しそうやったな。
こうしたフライ打ちの方向性のまま、残りのキャンプを過ごしたのかどうか分かりまへんが、奴が脱皮しようともがいているのは分かりました。
首脳陣の期待も大きいようで、奴の周りには立浪や川相コーチが必ず傍にいて、熱く指導してました。
メニューにも休みがなく(他の若手も同じでしょうが)、シートノック⇒ティー打撃⇒フリー打撃⇒鳥篭でバント練習⇒若手のみのノック⇒室内打撃⇒終了と、練習は息つくヒマもありまへん。
こうした試行錯誤や練習量が、今季のどこかで実を結ぶことを切に願います。

それにしても奴は、地元出身でもないのに人気ありますなぁ。
最後の奴の練習終了を待つファンは多数、台湾から来たという「背番号25」を着たギャルもいて、奴もそれぞれに丁寧に対応してました。

頑張れよ、良太。
今季は一軍にずっとしがみついておけば、絶対にチャンスはあるはずや。
シーズンを楽しみにしてまっせ!

18時過ぎ、たった一人居残りで終了運動。この後、サイン待ちの長蛇の列に対応することに。


ようやく、これで沖縄視察の報告は終了です。
もう既にオープン戦が開幕しているというのに、「今更」という突込みをいただきそうですが、とりあえず完走したということでご容赦ください(苦笑)。

最後に、今回の報告ではあまり触れまへんでしたが、今季のキーポイントになる選手は、意外と小池やないかと思ってます。
外野も内野も、一定水準以上の守備力を持ち、そこそこの打力がある。
ユーティリティ的に起用するには絶好の選手であり、ゲーム後半には重要な役割を担うことになるかも知れまへんな。
奴にも注目です。