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スタジアムやグラウンドにおいて、私が直接現地で選手達のプレーを見た感想を記します。
グラウンドはスーパープレーの宝庫でっせ。
11/8/27 ○ vs 横浜ベイスターズ 3-0


今年は前半戦では個人的にテンションが上がらんかったこともあって、この日がやっと今季最初(そしてたぶん最後)の生観戦になりました。
浜スタと言えば派手な打撃戦が恒例で、前半で4〜5点差がついてもひっくり返る可能性のあるゲームが多く、最後までハラハラドキドキが必至なグラウンドなんやけど、この日に限ってはエース・吉見が危なげなく横浜打線を完封してくれましたんで、久々にゆったりと選手の観察に時間を費やすことができましたわ。

7月中旬から8月中旬までの1ヶ月以上もの間、1得点するのに汲々とするような異常な貧打の状態が続いてきましたが、ようやく各選手の状態が復調傾向になると同時に故障者の復帰もあって、少なくとも他チームと互角に戦えるようになってきましたな。
一時は今年は5位に落ちるしかないと確信するほど酷かったのに、首位・ヤクルトの失速もあって僅かやけど優勝の目も出てきたような気がします(しかし逆転には見かけのゲーム差 + 1.0ゲームが必要)。
たとえラッキーであっても、優勝が見えてきたならそれに向かって邁進してほしい。
たくさん傷ついたチームが癒されるには、それしかないと思いますわ。

頑張れ!

さて選手別のテクニカルチェックやけど、何と言うても今回の注目は森野と和田やね。
やっぱり連続写真やとはっきりその欠陥が浮き出てますんで、そのへんのところをしっかり指摘してみたいと思いますわ。
吉見

    
ヒジの故障でひところの球速は失われて140km前後しかありまへんが、ボールのキレと制球力、そしてゲームを俯瞰することのできる頭脳によって、最多勝を獲得した頃のような安定した投球を見せてくれてますな。
手術の影響で開幕には間に合わず、また復帰当初は100球に球数を制限しながらの登板が続いてましたが、中盤からエースとしてフル回転を続けて勝てないチームを勝利に導いており、今年も非常に心強い存在ですわ。

この日も実に安定した投球で、ピンチらしいピンチは一回きりやなかったかな。
投手関係者が指摘する技術的なポイントとして、上の連続写真の4枚目で腰が折れ過ぎないことが挙げられてますが、この程度なら理想的やないかな。
お尻が落ちずに背筋が伸びてますんで、軸足の力を十分活かしてバランス良く体重移動ができてます。
ボールの高低はともかく、内・外角の両サイドへの制球はほとんど違えない奴の制球力は、こうした技術的な背景があるわけやね。

これからチームは最後のラストスパートに入っていきますが、その中心になるのは奴の右腕やと思います。
残りのゲームでは、相手エースとぶつかることがこれまで以上に増えるでしょうが、一つも落とすことなく勝ち続けてくれることを期待してますわ。
頼むで!

大島

                   
二年目の今季も開幕からレギュラーとして起用されたものの、打率一割台に低迷してしまったため二軍降格となり、その後しばらくして再昇格を果たしましたが、故障で姿を消すなど散々な状態が続いてきました。
ところが8月の再昇格後はチームを牽引するようなバットコントロールを見せ、居並ぶライバルたちを押しのけて、しっかりとセンターのポジションを確保してしまいましたな。
まだ改善の余地はありますが、奴の抱えてきた課題は克服しつつあると思います。
これから奴の一級品のミートセンスやオプションの多い打撃、そこそこ使える足によって、打線がますます活性化することを祈ってます。

奴の打撃のポイントは、連続写真の6〜7枚目で右ひざがまったく割れてないことやね。
右側のカベが崩れず身体の開きが抑えられているため、タイミングを外したり、外角に流れていくようなボールに対しても、しっかり対応して左方向へ打ち返すことができてます。
一方でこの身体の開きのなさが、内角に食い込むボールを捌くためには逆効果となっていたため、左投手よりむしろ右投手の内角へのスライダー、ストレートへの対応に難があり、こうした弱点を突かれて開幕頃は打撃を崩していたわけやね。
こうした攻めに対応するためには、右半身の開きを抑えつつ、体の軸回転でグリップを早めに投手側に運ぶ必要があるんやけど、最近はそういうスイングができるようになってきたように感じます。
能力的には三割打てるものがあると思ってますんで、奴が.270〜.280程度打って1・2番に定着できるなら、走攻守ともにチームに大きなプラスになるはず。
今後の奴のバットには期待大ですな。

森野

                     
【10年3月】
【今回】
7月の月間MVPを獲得して、ようやく不振脱却かと期待させた奴やけど、8月に入るとまたサッパリになってしまいましたな。
二割に遠く及ばない得点圏打率も考慮すると、主軸としては完全に失格の働きしかできてないのが、今季の奴と言わざるを得まへん。
周囲の期待値としては打率.300、本塁打20、打点90くらいはあったと思うんやけど、この大不振の理由はいったいどこにあるんやろね。
投手側から見たら軸ブレが感じられてたんやけど、三塁側からの連続写真ならこのへんが明確になるはずなんやけど。

去年と比べてみたら、やっぱりその差は明らかでした。
去年はスイング中の身体の軸が直立しているのに対して、今年はこれが捕手側に倒れてます。
意識的なのか無意識なのか、腰を投手側に突きだして、そのリードにより反動を使って強くスイングしようとしてる意図が覗えますわ。
このため軸が傾いてグリップが下がり、脇が甘くなって、下から煽るようなスイングになってしまったわけですな。
さらにミートの精度が落ちているためか、下半身の回転にリードされることなく、早めに上半身が開いて手打ちになってる傾向も見られます。
これではポップフライが増えたり、簡単に変化球に体勢を崩されたりするのも頷けると言うもんやね。
これは低反発球へ対応しようとしたのか、それとも身体のキレが悪いのか分かりまへんが、強くスイングしようとする意識が自らの打撃を崩したと考えて間違いないと思います。

最近の奴には上から軽く叩く意識も見られ、アッパースイングの修正を必死に図ってるみたいやけど、腰の位置を動かさないでスイングできるようにならんとホンマに復調することはないやろね。
これを修正するのは、結構難しいと思うけど。
正直なところ、今季は厳しいままシーズンを終えそうな気がします。

これからシーズンも大詰めだけに、どっかで意地を見せてもらいたいんやけど…。
頑張ってや。

和田
【10年7月】
【今回】
ブランコが前半で離脱し、森野が大不振に陥り、そして前年度MVPの奴まで底なし沼にはまってしまいましたが、そりゃクリーンアップ三人がまともに機能せんようでは得点力は半減ですわ。
個人的には他の選手が不振になっても、奴がそうなるとは考えもしなかったんやけどね。
奴の不振の原因については、スタンスの変更やら視力の減退なんかが言われてますが、実際のところどうなんやろ。
打撃フォームが著しく崩れてることだけは確かなんやけど、その理由は今ひとつ判然としまへんなぁ…。

奴の打撃で違和感を感じてたのは、バットの「先端」に当たるようなファールがやたら目についたことかな。
これまでならガチンと弾き返してたコースやのに、今年は空振りしたりバットの先でファールしたりという場面が非常に目立ちますわ。
その原因は連続写真を見ると明らかで、とにかくバットのヘッドが早くなってるのが分かります。
去年と今年の写真を並べてみれば、ほぼ同じタイミングでトップを作ってますが、そこからのバットの動きがまったく異なっているのが理解できますな。

今年はトップから2コマでボールをミートしてますが、去年は同じコマでまだバットはそこまで到達してまへん。
そもそも奴の打撃の強みは、下半身が回転を始めてもバットが長い間トップの位置に留まるため、バットの始動を遅らせて極限まで身体に近いポイントまでボールを呼び込み、ボールを見極めて叩くことができるところにあります。
内角だろうが外角だろうが、どこからともなくバットがスッと出てきて打ち返してしまう技術の核は、正にこの他選手がマネできないスイングにあったわけです。

ところが今年は、下半身が始動するとバットもすぐ追従して、あっさりとヘッドが早めに出て行ってしまう。
ちょっとしたボールやタイミングの変化にさえ、まったく対応できなくなってるのはそのためですわ。
このミートポイントが人一倍身体に近いという打撃では、ボールが飛ばせないという焦りがこの狂いを生じさせたんやろか??
このように打撃のメカニズムが根底から崩れてしまっているため、奴が自ら語ってるように、ちょっとした修正では間に合わず、新たな打撃を一から作り上げてる途中なのが現状でしょうな。
これは難事業だけに、今季中に奴が去年の輝きを取り戻せるとは到底思えまへん。
ひと冬越えて、それで新たな打法を編み出すことができるのかどうか、それくらいに思ってた方が見てる側はしんどくなりそうな気がしますわ。

とにかく今は、奴のキャリアがこのまま終わらんことを祈るのみです。
頑張りや。

中田亮
ミートセンス、バットコントロールの巧みさでは、若手の中で大島と並んで筆頭クラスでしょうな。
とにかく身体が開かんので、崩されて打たされることがほとんどありまへん。
どのコースにも最短距離でバットが出て、自分のミートポイントで打つことができる打者やと思います。

連続写真を見ても、スイングを始動する段階の事前動作がほとんどなく、両脇の締まった非常にコンパクトなスイングなのが分かります。
これだけ身体の反動を使わずに、よくぞあれだけ鋭いスイングができるもんやと感心しますわ。
ただしこのスイングは諸刃の剣の部分があり、身体の回転で打つというより、右半身で強固なカベを作ってバットをボールにぶつける、言わば右肩を支点にテコの原理で打ち返すという感じなんやけど、これだと外角を打つにはええけど内角には対応できんのよね(このへん大島と同じ)。
内角を打つには、どうしても軸回転でグリップを早めに投手側に運ぶ必要があるんやけど、それができないためにどうしても差し込まれる。
現状のところ内角が致命的に打てないため、奴はなかなか一軍に定着することができんわけです。
下半身は回転させるけど、上半身は右肩のカベを崩さない、好調時の和田のような打撃スタイルを導入できれば、レギュラー確保も夢やないと思うんやけどな。

ちなみに守備の方やけど、動きは悪くないものの、あらゆる状況で判断の悪さが目につきますわ。
とくに投内連携やカットプレーなんかは、もっと練習し、二軍のゲームで経験を積んで、大幅に改善していく必要があるやろね。

平田

                
【08年5月】
オープン戦序盤の段階で、私ゃ今季の奴の飛躍を確信したんやけど、現在の活躍はほぼ当初の期待通りと言ってええやろね。
打率は従来の数字から少し良くなった程度やけど、打席数が格段に増加してること、そして今年は低反発球やストライクゾーン拡大の影響で打率は大幅に低下傾向にあることを考えれば、今の数字は出色のものと評価できると思います(昨年なら)。
何より局面を打開できる力強さは、将来の中軸打者として期待を膨らませてくれますわ。
いったい何が変わったのか、08年当時の連続写真と比べてみると明らかになります。

08年では、4枚目でのスイングの始動で右肩から突っ込んでおり、身体が開き気味になってバットの出が悪くなってるのが分かります(今年の写真では6枚目と比べると分かりやすい)。
本来、@左足をステップ⇒Aトップを維持してボールとの間を測る⇒Bスイングという流れになるんやけど、バットが動き出すとともに重心が動いてしまっていたため、Aで間を取ることができないスイングになっていたわけやね(上述の和田の症状とほぼ同様)。
このために差し込まれやすい打撃となっていたため、打てるのは外角と緩い変化球に限られてたということです。

それに対して、今年は軸足たる右足の上に身体が残り、軸足を回転軸として身体を回すことができるようになりました。私が春の段階で着目したのは、先述のAの間がきちんと作れるようになっていたからであり、実際にこの効果としてボールの見極めが良くなり、コースやタイミングを問わずバットを出せるようになってます。
四死球の数が飛躍的に伸びたのも、そのためと言えますわ。

最後に、残った課題として指摘しておきたいのは、日によってスイング軌道が変わるということかな。
意図的に変えてるなら何も言う必要はないんやけど、ダウンスイングになったりアッパー気味になったりするように見えます。
打てるコースも高めやったり、低めやったりするので、このへんは安定させるべきやないかと思ってます。

守備の方は、打球勘は悪くないものの球際でミスするケースが見られたような気がします。
スローイングはとくに強肩というわけやないけど、モーションが小さく正確な送球をしますな。
両翼なら十分な守備力やないかと思いますわ。

堂上直

                                 
【10年6月】

                           
昨年、レギュラーへの足掛かりを築き、そして今年の飛躍を大いに期待されてた選手やけど、どうにもその期待通りの成績は残せまへんな。
とくに一説にはオーバーウェイトが原因と言われてますが、シーズン当初で出遅れたのは残念やった。
井端が今季も故障し、二遊間が手薄になってようやく一軍に戻ってきましたが、打率は二割そこそことなかなか調子は上がってきまへん。
入団時の期待値もあるし、早く読売の坂本に負けんような選手になってもらいたいんやけどね。

奴の打撃の欠陥は、入団時からドアスイングやと指摘されてきました。
去年の写真を見ても、4〜5枚目あたりで両脇の締まりが悪く、バットのヘッドの出が早くなってるのが分かりますわ。
それで今年も谷澤氏あたりが「彼の課題はドアスイングで…」なんて力説してたんやけど、実際のところ今年の奴の打撃ははどんなもんなんやろね。
今年の写真を見ると、5枚目あたりでヘッドを遅らせる意識がかなり感じられます。
実際に、以前であればバットの芯でボールを捉えても、途中から失速気味になっていた打球が、今年は糸を引くようなライナーになるなどヘッドの効いたスイングができつつあると思いますわ。
まだ完璧とは言わんけど、改善が見られるところは嬉しいね。

問題は右ヒジは締まってきたものの、左ヒジの絞りが甘いことやろか。
今年の写真の4枚目あたりを見ても、左肩が上がって脇が開いてることが分かりますな。
ドアスイングの矯正はやや進んだものの、左脇が開くことでヘッドが下がってアッパー気味のスイングになってるのよね。
これは構えた時のグリップとヒジの位置が高過ぎるからであり、もっとこれらを下げて両脇を締めて構えるべきやないかと思うんやけどね。
全体的に力みも見えるし、楽に構えて楽に振ることで改善できるのと違うかな。
地元出身のプリンスだけに、早くブレークした姿を見せてもらいたいですわ。

実はこの日は、ローテーションの順番から伊藤準規の登板に期待してたゲームなんやけど、雨天中止のためにエースのスライド登板となりました(苦笑)。
おかげで勝利が見られたんで、そういう意味では文句ないんやけどね。
もう一つ言えば、久しぶりに浅尾が見たかったなぁ。
う〜ん、残念(笑)。