1 福留 孝介 75点
92試合 打率277 350打数 97安打 23本塁打 81打点
8盗塁 出塁率.367 1失策 |
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(A) (B) (C) (D) (E) (F)
「四番の看板」が打撃を狂わせたと言うべきなんやろね。 右への長打の意識が強過ぎたために、03年まで持ち合わせていた対応力を失ってしまいましたな。
例えば、差し込まれ気味に左へ強打したケースはあっても、外角へのスライダーに上体を崩されながらも上手く合わせて左へ軽打した場面は、殆ど見た記憶がありまへん。
好機で凡飛・凡ゴロに終わるケースが目立ったため、周囲がチームの看板たる4番に寄せる期待に対しては、お世辞にも十分に応えられたとは言えないシーズンとなってしまいましたな。
五輪期間の不在はやむを得んとしても、キャンプ中のケガで調整不十分でシーズン・インし、シーズン後半には左手指への死球で骨折⇒終盤を全休と、踏んだり蹴ったりやったという印象すらありますわ、
4番という新たな職場に就くに当たって、長打偏重へのバッティング・スタイルの変更で対応しようとしたわけやけど、結果的には長打は大して増えず(本塁打率:03年0.064⇒04年0.066)三振だけは大幅に増える(被三振率:03年0.223⇒04年0.266)ことになり、打率も大幅に低下してしもた。
無走者、走者一塁で一発を狙うのはええとしても、決定機では確率を重視したスタイルで打っていくのも一つの考え方やなかったかな。 これは明らかに技術的な欠陥によるものやけど、奴は最後までスタイルの方向性を変えようとはしまへんでした。 結果は「失敗」やったと断じられても仕方ありまへんが、私はこれを肯定的に捉えたいと思います。 この失敗の原因を直視し、もう一段階段を上るための糧としてくれることを信じてますんで。
……因みにスタイルを変えないという長打への拘りを見せるなら、送りバントなんかすんな、と。 勝てばええと言うものとは違うで……。
もう少し細かく奴の打撃内容を見ていくと、次のようなことが分かります。 得点圏打率.261は決して高い数字やないけど、31安打で52打点はかなり高効率なポイントゲッターぶりを示してますな。
本塁打は多いとは言えまへんが、ツーベース中心のロングヒットが出ていること、1・2番コンビに助けられて犠飛、内野ゴロでの打点が多いことが理由として挙げられると思います。 一方では、特に阪神戦の成績が悪く、打率.228しか打ってまへん。 井川や吉野、ウィリアムスといった左腕に対して、分が悪いことが原因でしょうな。 左腕そのものを苦手にしているわけやないけど、G岡島なども含め、奴は以前から大きく変化するボールを投げる左腕に弱い傾向があると思いますわ。 奴は「来た球に対応する」タイプなんやろか?
あれだけタイミングをズラしてくるボールに対しては、打撃技術に頼るだけやなく、配球を読んで対応せんと簡単には打てまへん。 この辺、もう少し研究する余地があるのと違うやろか。
技術的には上の写真で奴の04年度を、ある程度解説できると思います。 ポイントは長打を狙うために、@テークバックを大きくとり、その反動を利用してAフォロースルーまで大きくスイングする。 しかしこのために、(C)ではバットのヘッドが投手側に入り過ぎ、また右肩が下がって左肩が上がってしまいました。
ヘッドの入り過ぎは振り出しの際にヘッドが下がることになり、右肩下がりと左肩上がりも振り出しの際に、(D)のように逆に右肩上がり左肩下がりとなってヘッドを下げることになります。 やはり結果的に奴のスイングはヘッドが下がり、アッパースイングになってしまったほか、振り出しで右肩が上がって脇が開くことから右肩のカベが崩れて身体が開くことになってしまいましたわ。 外角に流れる変化球にからっきし弱かったのは、このためやと断言できます。 当然、奴もこのことは認識してるはずだけに、05年に際してどのような打撃に方向性を定めてくるか、注目したいところですわ。
で、私としては長打を狙うなら大振りして飛距離を伸ばすのではなく、ボールにスピンをかける方向で対応して欲しいと考えてます。
これまでの奴は、ボールの中心をバットの芯で打ち抜くスイングをしてますが、このスイングでは角度が出ないため、ライナーの場合はフェンスで弾かれてしまいます。
ボールのほんの少し下を叩くことでボールに上向きのスピンをかけ、打球の弾道に角度を出すことが出来るわけやけど、これなら折角バットの芯でボールを捉えてもフェンスに阻まれることも減るでしょうし、当たり損ねたフライでも奴のパワーでオーバーフェンスすることが出来ると思います。
これは非常に難しいテクニックやと思いますが、元ミスタータイガースの掛布氏が4番・田淵のトレード退団でアベレージ打者からスラッガーへの転換を迫られた際に、これによって見事に変身に成功しました。 奴にも参考になると思うんやけどな。
さて奴はメジャーを意識し始めてるようやけど、今のままなら絶対にメジャーには通用せんやろね。
飛距離だけは国産砲ナンバーワンやと思いますけど、松井秀のメジャーでのアジャスト法であった「反動を使わないスイング」を会得しない限り、ムービングボールに苦しめられるのは必至やと思います。 もっとパワーをつけて最低限のボディ・アクションで強いスイングを出来るようにならんと、メジャーを口にするのは早過ぎますわ。 まぁ、それでもあの足と守備なら、十分以上にメジャーで適応するでしょうが…。
で、05年。 何やかんや言うても、日本人スラッガーとしては奴がナンバーワンやと思います。
岩村、多村、小久保と日本人40ホーマーの打者が出現しましたが、「飛ぶボール」、狭い器で稼いだ本数にどんだけ意味があるのか、と。 飛距離でスラッガーの価値の全ては決まらんけど、不可欠な一要素であることは間違いありまへん。
そういう意味でも、かつ首位打者を取れるテクニックも備えとるだけに、(先の記述と相反しますが)スラッガーとして成功できる可能性を最も秘めた日本人スラッガーやと確信しとるだけに、海の向こうでも活躍できる存在になれるよう精進して欲しいと思いますわ。 (ホンマはドラで引退して欲しいんやけどね) 頑張れ! |
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4 アレックス O 85点
138試合
打率294 520打数 153安打 21本塁打 89打点
3盗塁 出塁率.369 3失策 |
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(A) (B) (C)
04年度はついにゴールデングラブを獲得。 イチロー以上と言われた強肩は健在、さらにセンター後方への打球勘も良く、長いストライドを生かして守備範囲も広い
ポカもありましたが開幕戦でのファインプレー等、勲章に相応しい実力を発揮して、12球団1のセンターラインの一角として守備面では十分な役割を果たしてくれたと思いますわ。
一方で打撃面では、全体的に昨季と印象は変わりまへんでした。
右ヒザの送りが出来ないため下半身が使えず、強く振ろうとすると上半身頼りのスイングになってしまうため、タイミングの変化に対して脆い傾向がありますな。 コンパクトに振ろうとした場合は右肩のカベが崩れないため、センター中心に向かって割と上手くミート出来ます。 6番に置けるなら奴も強振することを減らすかも知れまへんが、ドラの打線ではそれが許されまへんし…。 んー。
しかし孝介が五輪期間で抜けた間については、奴の活躍は見事でしたわ。 立浪が調子を落としていただけに、奴の決定力がどれほどチームに役立ったことか。 8/1のS戦最終回、絶体絶命の場面で五十嵐から同点打! あれには痺れました。
あの頃の打撃では身体の反動を殆ど使わずバットだけをポンと出しとったように思いますが、あれこそ外国人特有の打撃であり、投手側から見れば一番たまらないものですわ。 ああいう打撃を安定して続けることが出来れば、問題はないと思うんやけどね。
さて05年シーズン。 奴に関して気掛かりなのは、ウッズの加入ですわ。 ウッズはメジャー経験のない選手やけど、年俸ではアレックスを上回ることになってしもうた。
本来日本なんかで野球していなければ、天皇と平民くらい身分が違っていたはずの関係だけに、バリバリのメジャーやったアレックスのモチベーションに問題が出なければええけどね。 ま、プロフェッショナルやから大丈夫とは思いますけど。 |
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3 立浪 和義 90点
134試合
打率.308 523打数 161安打 5本塁打 70打点
5盗塁 出塁率.364 8失策 |
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(A) (B) (C)
押しも押されぬミスタードラゴンズ。 ホンマにここ数年は、今のドラゴンズは立浪のチームやというのを実感しとります。
長打はないものの、特に得点圏打率.372が示すようにゲームの流れを変えることのできる打撃や、メンバーに目を配り叱咤する姿には、私ゃ頼れるチームリーダーとして全幅の信頼を置いております。
既に35才と、現役生活のゴールも見えつつありますが、2219安打を2500以上になるよう今後とも元気に頑張ってもらいたいと願いますわ。
今季については、前半のペースが続けば評価点は100点がついてもおかしくなかったけど、8月以降は大幅にペースダウンしてしもうた。
前半については得点圏打率.500前後をキープする神懸り的な打撃を発揮し、特に5〜6月については打率.400以上をマークするなど、今ひとつ安定感を欠く主砲の孝介を十分カバーして打線の牽引役となっとりましたが、後半は完全に失速。
7月までの打率が.352、8月以降は一割以上も下がって.247。
昨季も同じように後半の息切れがあっただけに、年齢からくるガス欠現象かと心配になるんですが、本人談によると「今季は何かを掴んだと思っていたが、内角をしつこく攻められて、それを強引に打ちに行こうとしたら掴んだものを無くしてしまった」ということらしいですわ。
打撃の繊細さを端的に示したコメントやと思いますが、この言葉にウソがなければ来季以降も奴には期待出来ると思うんやけど。 来季はペナントレース勝負所の終盤で、奴らしいところを発揮して欲しいですな。
奴について感心するのは、ええ場面できっちり仕事をするところやね。 得点圏に走者を置いて156打数58安打に1本塁打62打点。 得点圏打率の高さもあるけど、それでも安打数以上の打点を稼いどるところに、奴の真骨頂があると思いますわ。 ヒットが出なくても、犠飛、内野ゴロでスコアする。 一番やってはいけない無意味な凡飛や三振が少ないことが、奴の勝負強さの源ですな。
課題としてはチーム別に成績のバラ付きがあり、特に上位2チームに対して打っとらんところやろね。 対G.240(打点14)、対S.264で打点5。 ポイントゲッターが打てなかったことが、両チームへの負け越しという結果に繋がったと言えますな。
強いボールを投げる投手が両チームに揃ってますが、どうしても詰まる印象がありますんで、古田らとの読み合いに勝って欲しいですわ。
フォーム的には、右手と左手を指一本分離して握るグリップを除けば、小さな身体で体重移動を上手に使う教科書的なフォームやと思います。 あれだけ大きく身体を動かしても、決して軸ブレせずに打てるところは見事ですな。
上の写真で(B)での軸足への重心の乗せ、(C)での右足の内側への絞りによって身体の真ん中でミート出来とるところ、非常に綺麗ですわ。 大きなケガや筋力・反射能力の衰えがなければ、まだまだやれると思うんやけどね。
来季も奴の役割は非常に大きいと思いますんで、頑張って欲しいところですな。 妙な脇目をせんように、フルシーズン安定した働きを期待します。 |
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0 高橋 光信 40点
35試合 打率.296 27打数 8安打 3本塁打 9打点
0盗塁 出塁率.457 0失策 |
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(5月二軍戦にて)
シーズン前から落合野球で最も注目された「右の四番」候補ナンバーワンとして騒がれながら、キャンプ中の故障で離脱。 その後チョロチョロと一軍に顔を出すものの、「四番候補」が泣くような精彩を欠くバッティングで降格してしまう。
個人的に今季ダメなら来季はないと思うてた中でオールスターを過ぎても一向にお呼びがかからず、シーズンの2/3まで全く戦力になれなかったところで「もう終わった」と思うてたら、ようやく8月になって一軍定着を果たしよった。
まぁ、その時にはファーストは守備力を優先した起用になっていたため、当初期待されたレギュラーやなく代打屋としての昇格やったけど。
しかし昇格以降はなかなかの活躍でしたわ。
出色はやっぱり、井上の代打として右投手の中村から押し出し四球を選んだG戦と、敗戦寸前の9回表に井川から同点スリーランしたT戦でしょうな。
ミートポイントが身体に近いところにあるためボールを長く見られる長所があり、このため変化球に崩されて空振りするとか打たされることが少なく、カウントを有利にして甘いボールを叩くことが出来ますな。
G上原の外角ストライク⇒ボールゾーンへ変化するカットボールを、ピクッと反応しながら見送ったシーンがあったんやけど、これは球種としては予想しとっただけに普通は手が出るはずであり、この辺に奴の真骨頂を見たように思いますわ。
「打ちにいく」のではなく「来た球を打つ」姿勢のため、崩されることが少なく、相手にとっては嫌なタイプの打者に該当するやろね。
特に変化球の捌きは上手く、先に述べた井川からのスリーランでも、やはり崩されることなく腰の入ったスイングを見せてくれましたな。
課題はストレートへの対応やないかな。
丁度上の写真に表れてますが、奴の場合は軸足に重心を残すのはええけど、逆に軸足に重心が残り過ぎて体重移動が少なくなり、結果としてバットの振り出しが遅れ気味になっとるように感じます。 もう少し重心の移動を考えて、鋭くスイング出来るようになって欲しいね。
また先述の「待ちの姿勢」が薄れた終盤は、浅いカウントから難しいボールを打ちに行って凡退するケースもあり、この辺が日本シリーズ.181という結果になってしもうたようにも思います。 代打屋は通常積極的でええけど、奴の場合はマイペース。 マイペースの中で、好球必打を意識して打席に立って欲しいですわ。
年齢的に上積みは難しいかも知れんけど、ようやく自分の居場所を見つけただけに、1シーズン安定した働きの出来る代打屋として頑張って欲しい。 久しぶりに「代打の切り札」として定着してもらいたいね。 |
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6 井端 弘和 95点
138試合 打率.302 562打数 170安打 6本塁打 57打点
21盗塁 出塁率.362 4失策 |
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野手陣における私的MVP。 よくぞリーダーとして、最後までチームを引っ張ってくれたと思います。
昨季は途中から心がキレたかのように全く精彩を欠き、私ゃ優勝争いにさえ絡めなかったチームのA級戦犯と指弾したんやけど、今季は最後の最後まで魂の篭ったプレーを見せてくれましたわ。 これまでドラのリーダーと言えば立浪のワントップやったけど、ようやく新世代のリーダーが誕生したと胸を張って言えます。 いやホンマに、今季は頭の下がる働きでした。
まず守備面では、昨季に続いて安定感のあるところを見せてくれましたな。 例えば各チームのレギュラー遊撃手のエラー数を比較すると、次のようになります。
井端 4(138) 宮本 3 (90) 二岡 7 (91) 藤本
12(111) シーツ19(134) 石井 10(131) ( )内は試合数
他者の中では宮本はさすがやけど、その他の連中に対しては圧倒してますな。
ちなみに昨季も後半の欠場はあったものの、それを割り引いても他を圧倒するエラーの少なさを示しており、シーズン毎でも奴の守備力が安定していることを証明しとります。
守備範囲が狭ければエラーも少なくなりますけど、奴の場合は三遊間から二遊間にかけて広大な守備範囲を誇っており、非常に多くのアウトを安定して稼いぐことについては突出した存在になりつつあると思いますわ。
後方への飛球処理、前方ボテボテゴロに対する判断・処理、横の守備範囲、併殺プレー、捕球から送球までのスピードなど非常に高度。
地肩が強いわけではないため、三遊間の深い場所からノーバウンド送球でアウトを稼ぐようなプレーは出来まへんが、それ以外の要素については内野でのリーダーシップも含めて非の打ち所がないのと違うやろか。
今後数年のゴールデングラブは、二遊間については荒木−井端コンビで独占することになると思いますわ。
打撃でも持ち前の粘り強さを存分に見せ、初めて打率.300のカベを超えることが出ましたな。
基本は右中間狙い、状況によっては思い切り引っ張るなど、フィールドのどこへも打ち返すことが出来、また高低・内外角のどのコースにも対応出来るバッターやと思います。 2ストライク後でも打率.260をキープするなど、「簡単にアウトにならない」ところを存分に見せてくれてますわ。 自分で打って良し、繋いで良し、出塁率も高いオールラウンダーぶりは、ドラにとって不可欠な存在ですな。
走塁面でも盗塁数が自己最多、スライディング技術もある。 その中で少ない奴の課題としては、盗塁成功率を上げるということやろか。 成功21、失敗10で成功率.677。 悪くはないけど、決定力のある数字やないですな。 .750〜.800程度の率があれば、安心して盗塁のサインを出せますわ。
まぁ、奴の場合は荒木のように勝負どころで盗塁を狙う選手やなく、エンドラン狙いのランナーと考えれば今のままでも問題ないわけやけど。
来季、チームは日本一を目指します。 その中心として、奴には頑張って貰いたいものですな。 |
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2 荒木 雅博 90点
138試合
打率.292 602打数 176安打 3本塁打 44打点
39盗塁 出塁率.322 6失策 |
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(A) (B) (C) (D)
走攻守、全てにわたってチームに不可欠な存在になりましたな。 01年の本格デビューの後、02年、03年と伸び悩みを続けとっただけに、今季のトップバッター定着は嬉しい限りでしたわ。 今季は走・攻・守のどの要素も大幅に成長を見せ、ついにチームに不可欠な戦力として認められるようになりました。
元々、身体的ポテンシャルには出色のものがあり、レギュラー定着が待たれていただけに、これでようやく今後数年のセカンドにメドを立てることか出来たわけですな。
走塁面では持ち前のスピードに加え、効果的な場面で盗塁を決める力がつきました。 例えば1回無死からトップバッターとして出塁、初球で盗塁、井端の内野ゴロで一死3塁、立浪犠牲フライで1点。
このように相手バッテリーの警戒感がピークの時に、それをかいくぐって2塁を奪うことが出来るようになったため、相手に与えるプレッシャーはさらに増し、今度はバッテリー側のバッターへの注意力が散漫になる。 チームに影響力のある、ホンマにええトップバッターになったと思います。
守備力では、以前から守備範囲の驚異的な広さが評価されていたものの、イップスによる送球難を抱えていました。
しかし今季は、春季キャンプでの猛ノックの成果(ドラのノックはスローイングまで完遂させる)か、送球難が完全に影を潜め、堅実さとアクロバティックな派手さを兼ね備えた「ゼニの取れる」内野手になったと思いますわ。 奴の凄さは「取れるはずのない打球」を掴み、無理な体勢からでも性格なスローイングが出来るところやね。
しかしあの守備範囲は身体的な瞬発力だけで出来るものやなく、守備位置を含めた打球の読み、一歩目の判断、これらがなければ実現しまへん。
後は…、特に今でも十分やけど、歴史に残る名手になるためには、もう少し捕球からスローイングまでがスムーズになって欲しい気がします。 ほんの少し、少しだけ、ギクシャク感が残っとるかなと。 でも今後数年間は、奴がセカンドのゴールデングラブを独占するやろ。 それくらいのレベルにはあると、誇らしく思うてます。
課題は打撃ですな。 勿論、昨季までと比較して、格段の成長があったのは事実ですわ。
以前から奴は1番打者として自由に打たせるべきやと指摘してきましたが、今季はフォロースルーが大きくなり、ゴロを意識して手首でコネることも少なくなった。 レギュラーを張るだけの打力は身に付けたと思います。 …しかし1番打者として出塁率.322は物足りまへん。 上の写真では(C)の形に悪癖が出てますが、腰が引けて身体が「く」の字に折れてますな。 多分、二番で小さいスイングをしとった名残りやと思うんですが、これなら強い打球は打てまへん。 腰からボールにぶつける感じでないと身体の軸が伸びまへんし、軸が直立しないと下半身の回転力がバットに伝わりまへん。 この辺は、是非修正して欲しいところなんやけどね。 また2ストライク後の打率.171というのも、出塁率を上げる上で大きなマイナスですな。
ファーストストライクから打っていくため四球が少ないというのはスタイルの問題やからええけど、追い詰められたら少しは粘って欲しいわ。 近くに井端という手本もおるから、カットして逃げる技術を磨いて欲しいですな。
もう一段、階段を上れば、T赤星を超えることも可能やと思いますわ。 頼むで! |
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9 井上 一樹 60点
113試合
打率.275 283打数 78安打 11本塁打 30打点
0盗塁 出塁率.354 1失策 |
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(7月) (8月)
今季も好不調のはっきりしたシーズンでしたなぁ。
開幕当初には、最後まで選手が固定できなかった左翼のレギュラーをゲットし、4月の打率は.373と赤ゴジラ・嶋の向こうを張る「青ゴジラ」と呼ばれたものなんやが(苦笑)、5月に.240、6月にはなんと.139と急降下。 7月にはやや持ち直したものの、最終的にはいつもの成績に落ち着きました。
上の写真は今季の7月とそれに続く8月のものなんやが、若干タイミングがズレてるものの、決定的に重心の置き方が異なっとるのが分かりますな。
7月は大きく右足を上げ、腰を投手側に突き出すようにして、何とか重心を軸足に残そうと努力してますが、8月では腰の据わり方を見ても一目瞭然、軸ブレを抑えようとして大きなアクションを避けとるようですわ。 いろいろトライするのは悪うないけど、たった一月でこれだけフォームが変えるっちゅーのは、少なくとも好ましいことやないわなぁ。
開幕直後の好調は、8月頃のようにムダなアクションがなく、スッと真っ直ぐ立った状態から軸ブレせずに回転できたためでした。
奴の代名詞として「落ちるボールにクルクル回る」っちゅーのがありますが、元々奴は外角の変化球を左翼線に持っていくテクニックがある打者ですわ。
こうした長所が全開になり、かつ外角高めストレートも逆らわず左翼席へ叩き込む(甲子園)など、広範なコースのボールに対応し、広範なコースへ打球を運べるようになっとりました。 これが続けば大した成績を残してたはずなんやけど、案の定、一ヶ月足らずで失速してしもうたね。
しかしマークがキツくなり、身体の近いところにストレートを集められるようになると、ど〜〜〜〜〜しても詰まるのを嫌がって始動を早めたがる。 身体に近いところでミートすることがあの好調の理由やったのに、この傾向が出始めると全てが台無しですわ。 いつものように上体で変化球を追いかけるようになり、ストレートに詰まり、変化球に泳がされる。
2ストライクを取られると打率が.172に急降下するのも、理詰めで相手バッテリーが攻めてきた場合、最後のウイニングショットに至るまでで仕留められない限り、相手のシナリオ通りにしか打たせて貰えない、それだけの打力しかないことを如実に示しとるように感じます。
それでも日本シリーズを見て分かるように、ノッた時の奴の力は捨て難い。 「詰まっても構わない」、「ファールで逃げる」ことを前提にしたら、好調ももう少し持続すると思うんやけどな。
来季はレギュラー奪回に頑張ってや! |
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