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05年度 選手別評価


野手
1 福留 孝介  95点
   142試合  打率.328 515打数 169安打 28本塁打 103打点 13盗塁 出塁率.430  0失策
地に足のついた主軸として、十分な活躍。
ゲーム数の増加効果や、打順がウッズの後ろになったこともありましたけど、とにかく
初めて100打点を突破したことは一番評価したいポイントですわ。
打率、打点はほぼ満点。
相手チームに与える威圧感も抜群で、全日本のクリーンアップにも相応しい存在やと思います。
…でも個人的には、
本塁打は40本をノルマと思うてるだけに、これをクリアせん限り評価点100点をつけることはできんなぁ。
BS多村やS岩村より長距離打者としての評価が下では困るし、三冠王・H松中をも超えることもできると私ゃ固く信じとるんです。

日本一の打者。

走・攻・守の三要素がこれだけ高水準な選手はおらず、その意味では「日本一の野手」の称号は手にしてますが、いずれメジャーに巣立つであろう奴には、それまでにこの称号を是が非でも手に入れて欲しいんですわ。
現在の実力、素材、伸びしろを考慮すれば、それは絶対に可能なはずやから。


奴の外野守備については、すでに日本一やと確信しとります。
スローイング、打球勘、球際の強さ、すべてに一級品。
特にスローイングについては、私はイチローすら超越するものと確信しとります。
遠投ではイチローの方がやや上かも知れまへんが、奴の捕球からスローイングまでの速さは内野手上がりでなければできない芸当であり、低い弾道で放たれるレーザービームのスピードとそのコントロールは日本人離れしたものですわ。
04年はゴールデングラブを逃してしもうたけど、奴がレギュラーを張り続ける限り、セ・リーグのゴールデングラブは奴のものであり続けるのが当然。
多村、金城、赤星などセ・リーグにも名手は多士済々やけど、奴の存在感はそのくらい群を抜いたものやと思います。
これだけでもメジャー行きの資格十分やと言えますな。


さてメインテーマたる打撃。
首位打者の奪回をテーマに臨んだという05年シーズンは、ロングヒッターを目指した04年よりシュアでそこそこの結果を残したと思います。
技術的な変化は明白であり、
セオリー通り反動を作るための無駄なアクションを小さくしたことで、ミート能力が向上したというものですわ。

■05年
(A)
 (B) (C) (D) (E) (F)

■04年
(1)
 (2) (3) (4) (5) (6)

04年に打率が下がったのは、04年評価で指摘したように原因が明白。
飛距離を出そうとして左肩が下がり、バットが波打つようなアッパースイングになってしもうたこと。
それに比べて05年は、(B)の時点で(2)より両肩が水平でありバットが投手側に入り込んでいない、(C)は(3)と比べてグリップが身体に近いところにある、そして(D)のトップでは(4)が左肩が下がったおかげで右脇が完全に開いた状態であるのに対して、右ヒジはきちんと締められた状態で右半身のカベががっちりと作られている。
クルッと身体の軸で回転して、バットがレベルに出るようになったわけですな。
しかし普通に振れば、これくらい奴にとっては造作もないこと。
これが奴の能力の全てやないのが、私にとってはジレったいところなんやね。

06年、
奴は新打法に挑戦するとのこと。
それは構えたグリップを(A)の時点で(C)の位置に、要するにグリップを最初からトップの位置に置くことによって無駄なアクションを省き、さらに安定度の高い打撃を目指すというものですわ。
打撃の究極の理想は、トップで構えたバットをそのまま強くスイングするという無駄を極限まで廃したものであり、言うなればメジャーリーグのバリー・ボンズがそれに近い。
孝介はこれを目標とするというわけやね。
ただし難点もある。
トップに向かってグリップを動かすのは無駄なアクションではあるけれど、タイミングを合わせるためのものでもあり、タイミングの変化に対してタメを作れず上体が流れやすくなる。
また反動を使わないことで飛距離が落ちるという側面もあり、04年に陥った不振に再度ハマる可能性は捨て切れんのですわ。
しかし
奴は究極を目指すという、その意気や良し!ですな。

この新打法挑戦については、実は私が「メジャーを目指すなら」と04年評価で指摘した方向性そのまんまなんですわ。
それはメジャーのムービングボールに対応するために、イチローも松井も通過した道なんやね。
(中村ノリはそれができなかった様子)
これを見る限り、FA権取得を目前にした奴がメジャー行きを視野に入れとることは、間違いないものと思います。
個人的には非常に残念なんやけど、その日がくるまでは奴の成長を見続けたいところですわ。
せめてそれまでは、ドラのために頼むで!
6 井端 弘和  100点
   146試合  打率.323 560打数 181安打 6本塁打 63打点 22盗塁 出塁率.405  5失策
文句なしに05年度MVP。
04年度評価でも野手MVPであり、二年連続の大活躍。
う〜ん、どうやらドラのチームリーダーは、着実に立浪から井端に移行しつつあるようですな。
守備、走塁、打撃の全てにおいて、奴のチーム内貢献度は絶大であり、それをベースとしたリーダーシップも発揮し始めとるようにも見えます。
今後も落合野球の体現者として、チームの看板となっていくのでしょうし、そういう存在は奴しかおらんでしょうな。

まず走塁面。
分かり易い指標で言うと盗塁になりますが、04年評価では成功率を上げることが課題やと指摘したんやけど、04年.677⇒05年.733と数字の向上は見られました。
荒木との1-2番ユニットとして、十分な盗塁成功率やと思います。
荒木−井端の走者1-2塁や1-3塁では、「何かやってこないかな」と楽しんで見ることができますな。

次に守備。
語る必要も不要なほど、チームへの貢献度は高いですな。
これも荒木との二遊間は、他チームとは一線を画する素晴らしいコンビやと思います。
俗に言う「強肩」とは言い切れんことを除けば、三遊間から二遊間にかけての横方向、そしてスピード豊かにボテボテのゴロにチャージする前方向、左翼前方まで半身でチェイスする後方向と、広大な守備範囲を誇っていることは言うまでもありまへん。
特に、強靭な下半身によって常に接地しているグラブにより球際でも確実に捕球できるところや、野手として一番難しい正面の打球への反応、崩れた体勢からのクイックスローなどは、見て楽しいプレーですな。
年間失策5は04年の4より増えましたが、4月に失策が続いたことを考慮すれば安定感は出色のものであり、
二年連続ゴールデングラブに相応しい実力の持ち主やと言えますわ。

(A)
 (B) (C) (D)

打撃面はさらに素晴らしい。
昔、西鉄ライオンズに強打の二番打者・豊田(現解説者)がいましたが、彼は「二番が一番楽しい。走者を送ってチャンスを広げるも良し、強打して自分でゲームを決めるも良し、何でもできる」と語っていました。
まさに奴にも同じことが言えますわ。
流して良し、引っ張って良し。
送って良し、強打して良し。
なおかつ荒木の盗塁も助け、二番打者としての役割をほぼ完全に果たしながら、残した打率が.323 (2ストライク後.277/得点圏.408)。
内角球を一塁側へファールして粘る技術は、恐らく球界随一やないかな。

もう、
完璧やね。

これだけ制約の大きい中で、よくぞここまで内容の伴った数字を残してくれたものと思います。
誰やねん、「二番打者はロングヒッターには勝てない」などと、素人丸出しの戯言をほざいた奴は!
一人の選手が、これだけマルチかつ完璧な仕事をしているケースは稀やというのに。

さて06年シーズンには、奴を三番に起用するプランがあるそうな。
確かに制約がなければ首位打者も獲るかも知れんし、あれだけの勝負強さがあれば三番には持ってこいやろね。
しかし俊足トップバッターを生かしつつ、きっちり繋ぎ役ができる選手は他におらんと思うんやけどなぁ。
比較的に淡白な選手が多い中、二番は変えずに三番には次善の選手を置く方がリスクは少ないのと違うやろか。

いずれにせよ奴の豊富な才能があればこその悩みやけど、06年は前期以上の活躍を期待したいものですな。
44 タイロン・ウッズ 85点
   137試合  打率.306 506打数 155安打 38本塁打 103打点 3盗塁 出塁率.392  9失策  
評価が難しい選手ですな。
打撃面の数字だけ見れば間違いなく期待通りなんやけど、その内容や守備面のマイナスを考慮すると、諸手を上げて「合格!」とは言えんところやね。
また一ゲームで評価するのは酷なんやけど、9/7ナゴヤドームでの久保田から食らった三球三振は、結果的に優勝争いを決定付けただけに個人的にはマイナス評価がついてしまいますわ。
   ★同じコースを三球続けて空振り、ボールに掠りもせず…
勿論、逆にゲーム展開を引っくり返すようなホームランをチームに何本かもたらしてくれた事は事実であり、これこそ奴を連れてきた理由でもあるけど、得点圏打率.254が示すように、犠飛やタイムリーで確実に1点が欲しい時に出なかった印象が強い。
特に6月までの不振は深刻で(守備面のマイナスが打撃に心理的に影響したという、評論家筋の評価がありましたが??)、その間は04年に対してプラス戦力になっていたとはお世辞にも言えないところやった。

守備面の評価は言わずもがなでしょうな。
フィールドプレイヤーとしての動きの悪さは勿論のこと、内野陣からの送球がワンバウンドになると、それが
イージーバウンドであってもことごとく後逸するのを見ると、さすがに閉口しましたわ。
04年のファーストがゴールデングラブの渡辺であったことが、その落差をさらに大きいものに見せたように思います。
ただし奴も守備面のマイナスは痛感しとったようで、周囲の助言に耳を貸し、ノックを多めに受けて、シーズン後半のグラブ捌きは若干向上したような気がします。
こういう姿勢については評価したいところやね。

打つ方の存在感は大したものですわ。
孝介が目の前で敬遠されるシーンなんて、奴がクリーンアップに定着してから初めて見たくらいやから。
(個人的には、孝介の方がステディで破壊力もそれほど劣らんと思うんやけどね)
それなりに奴が勝負所で打てんのは、結局は捌けんコースがあるからでしょうな。
討ち取られるのが目立つのは、外角に外れていく変化球に手を出すケース。
しかし実際のところ奴は外角が得意ゾーンであり、本来は見切りも悪うない。
得意ゾーン付近に苦手ゾーンありという格言通りのところもあるでしょうが、
一番悩まされたのは最も苦手な内角高目を見せ球にされる、或いはそのコースを決め球に使われることやったと思います。
内角高めに意識が集中すると、どうしても外角への対応は疎かになる。
孝介あたりは内角をきぞしく攻められても左へ持っていく技術があるので、2ストライク後もあまり極端な打率の低下はありまへんが、奴の場合は2ストライク後の打率が極端に落ちます。
意識しても捌き切れないコースがあると、いろんなコースに穴ができてしまう典型的な例ですな。

(A)
 (B) (C) (D)

奴のフォームは、外国人の強味を生かした優秀なものですわ。
完全にトスバッティングの延長のようで、殆ど下半身を使わず、ボールに対してバットを最短距離でぶつけるものであり、これなら軸ブレせずに確実なミートが可能になります。
無駄に力を入れていないにもかかわらず、人間離れしたパワーが爆発的な飛距離を生むスイングやね。
これはテークバックで殆ど力が入っておらず、バットをぶつけるように出すスイングなんやけど、
軸を回さないために、身体に近い内角高めに対しては十分な力を出せず、どうしても振り遅れてしまうんですわ。
ええフォームでありながら、どうにもならない欠陥を抱えているとも言えるわけですな。
来季は何か対策を考えてくるやろか?
軸を回すようにしないと、対策は難しいと思うんやが…。


奴に対しては入団の経緯が少々気に入らなかったため、なかなか中心選手としては認められなかったんやけど、高給取りになって天狗になるかと思いきや、かなりチームに対する忠誠心の高い選手やというところは見せてくれたと思います。
それでようやくシーズン中盤には、頼れる?四番として認知することができました。
来季は37歳になりますけど、06年は40本塁打・120打点をノルマに頑張って欲しいですな。
3 立浪 和義  55点
   138試合  打率.253 501打数 127安打 9本塁打 56打点 2盗塁 出塁率.345  12失策 
正直言うて、今季で引退やと思うてました。
それだけに、今季はたとえ優勝できんとしても、奴にこのシーズンを与えるくらい構わんと、そのくらい強く意識しとったんですが。
裏を返せば今季の奴はチームの役に立つと言うより、寧ろ足を引っ張る存在やったわけですな。
チームリーダー、ミスタードラゴンズが不振になると、チームもおかしゅうなる典型的なシーズンになってしまいましたわ。
結局来季も現役続行と決まったわけやけど、さすがに来季まで奴に与えるわけにはいきまへん。
監督もサードのレギュラー剥奪を示唆しただけに、来季は奴にとって正に選手生命を賭けるシーズンになりそうです。

03年のフォームと今季の(B)を比較すると、今季の方がテークバックを大きく取っていることが分かりますな。
投手側の右肩と上げた右ヒザが、より深く捕手側に入り込んでますわ。
これは下半身の故障もあって、身体のキレが失われつつあるため、より反動をつけて回転しようとしているものと思います。
結局、パワーが失われたんですわ。
ケガもありますけど、要するに「衰え」なんやね。

■05年
(A)
 (B) (C) (D) (E)

■03年
 
スイングのための反動が大きくなると、軸はブレやすいし、内角には差し込まれやすくなる。
タイミングを合わせられる幅が狭くなるだけに、打率が落ちるのも当然やと思います。
だいぶ前の話やから、今がどうかは分からんのですが、奴はウェートトレーニングを一切してなかったようです。
身体が元気なうちはそれでええでしょうが、今はちゃんと鍛えてくれとるんやろか…?

無駄なアクションは極力廃するのが打撃の鉄則であり、それで強くスイングできるフィジカルがなければ、奴の

復活はないのと違うやろか。

そして、私が奴の前途を悲観する最大の理由は、その
守備力の絶望的な低下ですわ。
サードからファーストへ送球するための肩、そして捕球のために身体をボールに寄せるためのフットワーク。
全ての点で、プロの水準を大きく下回ってます。
神宮で見た奴は、大きく弾んだサード後方への打球を反り返って捕球した後、そのまま腹筋で頑張って送球することができず、ワンステップしてからの送球。
しかもこれがワンバウンドのとんでもない送球になってしもうた。
あの華麗な守備は一体どこへ行ったのかと、暗澹たる気分になったものです。

肩の衰えは酷いもので、ステップスローしても悪送球するわけやから、正直言うて高校生並みか、それ以下やね。
悪いことにファーストが渡辺からウッズに変わったため、奴の悪投をフォローしてくれる存在がいなくなり、奴の衰えが一層際立つことになってしまいましたわ。
とにかく助走をつけても、サードからファーストまでノーバウンド送球できんようでは、ポジションはないと考えるべきやないか。

またフットワークについても、下半身の故障の影響かも知れまへんが、瞬発力がないため横方向の守備範囲が狭い。
さらに腰高のためにグラブが下まで降りず、追いついているのにグラブの下をボールが通るケースもしばしば。
打撃にも衰えは色濃く見えますけど、守備での衰えはもっと深刻ですわ。
これだけフィジカルが衰えとる選手が、ホンマに現役を続けられるもんやろか…。


これだけあからさまに衰えを見せられると、打率.250以上をキープできたのは奇跡とも言えるかも知りまへん。
それこそ「さすがミスタードラゴンズ」とは思うんですが…。
しかしクリーンアップを打ちながら、3ゲーム当たりで1打点しかないようでは困るし、あの守備力ではグラウンドに出すわけにはいかんわ。
この状態で現役を続けて、あれだけの選手がベンチに座り続けるようなことになると、チームの雰囲気がおかしゅうならんか心配です。
(まぁ、奴の影響力がいくら絶大やと言うても、そろそろチームリーダーは井端に移行しつつありますけどね)

奴の復活には、とにかく肉体を鍛え直すこと。
私ゃいつまでも奴のプレーを見てみたい。
ウッズと同い年の36歳、まだまだ年齢的には引退は早いと思うんやけどね。
死に物狂いでレギュラーを再び奪回するところから、来季のスタートを切って欲しいところですわ。

頑張れ!
9 井上 一樹  70点
   107試合  打率.302 245打数 74安打 10本塁打 38打点 3盗塁 出塁率.335  1失策  
一シーズン、いや一ヶ月でもフォームがコロコロと変わり、好調が長続きしない。
上半身がブレて、ストレートに詰まり、変化球に泳ぐ。
見るからに「無様」、それが奴の特徴でした。
しかし今季はこれまでの悪癖を打ち払い、安定した打撃を続ける、新しい奴を見せてくれたと思いますわ。

【05年5月】
(A)
 (B) (C) (D)

【02年】
 


今季の奴の打撃の特徴は、軸になる左足の真上に腰を置き、殆ど体重移動なしで軸足回転するというもの。
上の写真なら、02年と今年の(C)を比較すると分かり易いですな。
02年では思い切り右足を踏み込んで、大きな体重移動によって強く振ろうとしてますが、身体が「人」の字に見えるほど腰が投手側に移動しており、ちょっとタイミングを外されたら簡単に右ヒザが割れて泳いでしまうはずですわ。
一方で今年は、(C)でスイングを開始しても重心は軸足側に残っており、(D)でのフォロースルー(実はこの写真はホームランスイング)まで一貫して腰は軸足の上に位置してますな。
また(B)でトップを作って(C)で始動するまで、力みが全く見えないのもええですな。
内角の速いボールには詰まるでしょうが、空振りしたり、ポップフライになるのではなく、ハーフライナーになるような詰まり方になると思いますわ。
そしてその他のコースへは、無駄なくバットが出るはず。
内角を突かれた時に、ムキになって強く振ろうとすると、元の木阿弥になっていくもの悪癖が顔を出すところやったけど、今季は腰の故障で調子を崩した以外は何とかええ状態を維持できたように思います。

来季は選手会長になるそうですな。
今季掴んだものを生かして、さらなる飛躍を期待したいところやね。
4 アレックス・オチョワ 70点
   137試合  打率.269 524打数 141安打 18本塁打 78打点 1盗塁 出塁率.345  3失策  
正直言うて、今季で解雇したいところなんやけどね。
同じパターンで簡単に討ち取られるのは、3億円選手としてはあるまじきザマやと思います。
今季は殆ど全ての成績が昨季を下回り、さらに終盤には二軍落ちも経験しましたが、再昇格後も大して改善されん打撃やった。
開幕戦でサヨナラ満塁ホームランを打った際には、こんなシーズンになるとは夢にも思わんかったのにね…。

その開幕戦では、絶好調のBS三浦が内外角を厳しく攻めてくるボールをことごとくカットし、最後の甘いボールを一発で仕留めて見せた打撃には、今季の好成績を期待させるのに十分やった。
強引さが影を潜め、交流戦が始まるあたりまでは、奴は主軸のウッズ、孝介の不調を埋める活躍を見せてくれましたわ。
それが夏場には、何でもかんでも引っ張りにかかって凡打の山を築くようになってしまうんやから、打撃は難しいですなぁ。

(今季OP戦時点)
(A)
 (B)
(04年)
(1)
 (2)
昨季の打撃なんて、(1)では頭から突っ込んで行っとるし、
(2)では強振しようとして、左肩・左腰のカベは崩れているほ
か、下半身に力が入って左足のツマ先と右足全部が浮い
てしまっとる。
これに比べて、今季の春頃は(B)で見られるように、軸足の

回転や左半身のカベも、昨季より明らかに向上が見られま
す。
春先の好調は決して偶然ではなかったことが分かる写真

やけど、これがガタガタになるとはね…。

終盤に見た奴は、落ちるボールをことごとく空振りする始末。
私が生観戦したゲームでは、BS門倉・川村のフォークに殆ど手を出して3三振。
荒木が低目を捨てる割り切りを見せて四球を選んだのに対し、奴には
何の工夫もなかったのが腹立たしかったわ。
よくもあれだけ同じ攻めに引っ掛かれるもんやで。
あの打撃が直らんのであれば、周囲の士気を考えても、他の選手を使う方がよっぽど有益やと思いまっせ。

守備でも集中力を切らす場面が散見されたし、来季が非常に心配ですわ。
奴には年俸に見合うプレーを、強く要望したいと思います。

投手
49 ルイス・マルチネス  75点
   18試合  8勝4敗 防御率3.38  投球回109-1/3 被安打109 与四死球32 奪三振88 自責点41
憲伸に続き、中田と並んで先発陣で二番手の勝ち星を稼いでくれましたが、OP戦の頃にはこれほど活躍してくれるとは、殆ど思うてまへんでした(中田の方はシーズン半分なら、かなり勝つと期待してましたが)。
シーズン序盤に組まれたローテーションから、落合、朝倉、山井、中田らが不安定なまま一部は脱落していき、先発投手が2人も3人も足らない状況に陥ったシーズン中盤に、彗星の如く登場してくれました。

OP戦の頃はとにかく140kmに届かないお辞儀するストレートが殆どで、決め球のチェンジアップも生きない状態。
練習嫌いというキャンプ時の報道もあって、コイツは期待できんと思うてたんですが、いきなりの快投には正直驚かされました。
まずストレートが速くなり、バラついていた制球も安定。
その2m近い身長から繰り出される、回転の少なそうなストレートは角度十分であり、これにストンと落ちてくるチェンジアップが加わる。
さらに一番大きいのは、この配球を生かすことのできる低目への制球が、見かけによらず正確なこと。
沈み気味のストレートは角度があり高低差が非常に大きくなるほか、チェンジアップもその球質から低目への制球が生命線となるだけに、奴がこれをきちんと操ることができることは大きいですな。

(A)
 (B) (C) (D) (E)

課題はスタミナ面やろか。
上の写真を見る限り、奴も外国人特有の上半身ピッチングなんやけど、特に(D)で軸足の左ヒザが捕手側に折れているくらい、体重移動が使えてまへん。
腕の振りがヒジの伸びたアーム気味で、これでそこそこ制球が悪うないというのが分からんところやけど、この投げ方やと腕にばかり頼ることになり、楽には投げられんように思います。
やはり、それなりに体重移動を使い、楽に投げられるようにした方が、スタミナ的には有利やと思うんやけどな。
05年はリリーバーが火の車の時期に、大量リードでも完投できなかったことがあり、この辺は改善の余地ありやと思います。

06年は一層の飛躍を期待したいですな。
たった8勝で日本野球を舐めんように、努力してもらいたいところです。
12 岡本 真也  65点
   57試合  10勝3敗1S 防御率3.14  投球回63 被安打60 与四死球32 奪三振65 自責点17
昨季、岩瀬に繋ぐセットアッパーとして、大車輪の活躍を見せた右腕。
チームに不可欠な存在となった今季は、さらなる飛躍を期待されたのですが、やっぱり「二年目のジンクス」にはまったと言うか、必ずしも期待に応えたというシーズンにはなりまへんでした。
シーズン当初からストレートは走らない、コントロールも良くないという二重苦に陥り、首脳陣が昨季の岩瀬のように登板する中での復調を試みてようやく上向きの手応えを得た夏場に、それまでの登板過多が祟ってパンクしてしもうた。
しかし結局これも、最後まで調子を上げ切れなかった、本人の問題やと思うてます。

★05年
(A)
 (B) (C) (D) (E) (F) (G)

★04年
 
昨季と上の(C)を比較して目立つのは、今季の方が左肩が上がって右肩が下がっている、つまりそっくり返り
気味で投げているということやね。
(04年は写真が傾いているようにも見えますが、左肩への顎の乗り方を見ても、今季より両肩の線は平行やと思

いますわ)
このため(F)のリリースの際に、左足がつっかえ棒のようになって腰が引ける結果になっとります。
元々奴のフォームは立ち投げの傾向がありましたけど、今季はこの傾向が悪化したわけで、こうなるとボールに

体重が乗らないどころか、リリースが早くなるためボールは上ずり、低めにはええボールは行きまへん。
今季の奴はフォークをグラウンドに叩きつけるケースが目立ちましたが、それも当然という気がしますわ。

06年は、今季終盤に調子を崩した岩瀬に不安が感じられることを考えると、セットアッパーの重要度はさらに上がってくると思われます。
しかし高橋聡や鈴木といった今季ブレーク組は、2シーズン続けての実績がないことや、今季の疲労からの回復が読めないため、実績のある奴の働きがカギになるかも知れまへんな。
是非、タフネス・岡本の復活に期待したいと思います。
頑張れ!
23 鈴木 義広  75点
   47試合  5勝3敗 防御率3.56  投球回68-1/3 被安打62 与四死球31 奪三振46 自責点27
今から思えば、ホンマに04年ドラフトは大成功でしたな。
多くの指名選手が一軍登録された上に、特に中田と石井、そして鈴木は、チームにとって不可欠な存在になってくれました。
中盤からシーズン終了にかけての奴の貢献は、先発、リリーフのポジションを問わず、きつい連投にも耐え抜くという、新人としては出色のものやったと思います(後に故障が判明してしもうたけど…)。

シーズン序盤のデビュー当初は、クニャクニャと個性的なフォームと、べらぼうに速いストレートに存在感を示しながらも、私の奴へのイメージはハートの弱さが垣間見えたところから「チキン」というものでした。
(中田初勝利の4月の阪神戦、9回に救援した奴の顔面がいかに蒼白やったことか:苦笑)
結局、GWあたりで二軍落ちとなり、5月の一ヶ月をウェスタンでの調整に費やすことになりましたな。

その後、リリーバーの崩壊に苦しんでいた交流戦中に一軍復帰となりましたが、それ以降の奴の活躍は見事でした。
ローテーションに穴が開いた時には先発に回り、また岡本リタイヤでリリーバーが火の車となってからは、重要なセットアップの役割を果たしてくれたと思いますわ。
余裕が出たためか制球の不安定さが影を潜め、特に8月以降はフィジカルが厳しくなる中で、安定した投球を続けてくれました。
9月には阪神のJFKにも負けんような登板間隔で投げまくり、それでも歯を食いしばって投げ抜いたのは、賞賛に値すると言うべきやろね。

(A)
 (B) (C) (D) (E) 
                 (F)
 (G) (H) (I)

奴はご存知の通りサイドハンドなんやけど、上の写真を見る限り
腕はかなり上から振られてますな。
特徴的なのは、普通オーバーハンドなら左足を踏み出しながら右肩が下がり気味になる(D)で、右肩を上げているところやね。
(G)で右肩が非常に高いところにあり、これが強いボールを投げられる理由やと思いますが、右肩をいったん下げるとサイドハンドでは右ひじを上げにくくなるため、このように対処しているものと思います。
下手をすると(E)の段階で上体が突っ込み気味になるフォームやけど、左腕でしっかりとカベを作って、身体の開きを上手く抑えてるのと違うやろか。

さて来季、重要な戦力となった奴やけど、今季終盤での故障がきちんと癒えるのかが心配ですな。
ここは秋季キャンプを休めたことで楽になれると信じたいところやけど、まだルーキーだけに気になります。
来季の飛躍を大いに期待してまっせ!
11 川上 憲伸  80点
   25試合  11勝8敗 防御率3.74  投球回180-1/3 被安打189 与四死球32 奪三振138 自責点75
山あり谷あり、起伏に富んだ奴の長い今シーズンは、途中から深い渓谷に沈み込んだまま終わってしまいました。
阪神との優勝争いが激化した8月以降、7月の月間MVP投手とは思えないような変調をきたし、直接対決はおろか下位チームにも全く勝てず。
後半戦に入ってブレークした中田が、神懸り的な投球を見せただけに、その後に投げる奴の体たらくが余計に目立ちましたな。
しかし
思うに任せない自らの投球に一番苛立ったのは、責任感が人一倍強い奴自身やったはずですわ。

…今回はこうして一敗地に塗れた奴の05年を、「05年度評価」の一作目として振り返りたいと思います。



4月開幕戦を完封でスタートした後、トラブルでローテーションを一回飛ばしたものの、交流戦までは「エース」として最低限の仕事は果たしていたと思います。
ストレートの威力は明らかに昨季に及びまへんが、相変わらずの正確な制球と、昨季日本シリーズから配球に加えたシュートが威力を発揮し、これを補ってくれました。
そして交流戦、最初の躓きがありましたな。
「パの打者は、自分に対する恐れがない」
奴のカットボールやシュートに怯えることなく、どんどんバットを振ってくる。
セの打者を相手に投げる時は相手が憲伸に対して過剰な警戒心を抱くため、最初から自分のリズムで投げられるのに、パの打者に対しては自分の土俵に引き込んで投げることができまへんでしたな。
結局、ロッテ相手にあわやパーフェクトの快投を見せたことはありましたが、交流戦では勝ち星の上積みが殆どできず、チームの失速の一因になってしまいました。

今季の憲伸の変調に気付いたのは、この頃でした。
昨季の奴は、ウィニングショットのカットボールで左打者を攻めるため、右打者よりも左打者との相性が良かったんやけど、今季は対左打者の被打率が三割を超えてしまいました。
おかしいと思うてチェックしてたら、あるゲームでは全くカットボールを使わんかったり、違うゲームで投げても「曲がらないスライダー」程度のボールを投げたりで、昨季までの切れ味鋭いカットボールは全く見られまへんでした。
シュートを投げ出して右打者は抑えとるんやけど、左に強打者を揃えるセ・リーグではカットボールなしではかなりキツイ。
(結果的にもその後、阪神・金本にボコボコにされたわけやが)
当時の私としては今後の優勝争いを考えると、カットボールの復調はチームの浮沈を握るものとすら思えるものでしたわ…。

そしてオールスターに出場、ここも一つの転機になりました。
SB・松中と対戦して討ち取ったわけやけど、この時使ったカットボールはそこそこの威力を示しました。
これで後半戦はノッていける…と思うたら、7月の月間MVPという結果を見せてくれましたな。
確か7月の防御率は1.00未満やったと思いますが、この投球を見て、その先の変調を誰が予想したやろか?
私ゃこの時点では、今季も憲伸がチームを優勝に導くものと確信してたんやけどね…。


★5/20 vs千葉ロッテ (恐らく今季一番の投球)
(A)
 (B) (C) (D) (E) (F)

  (G)
 (H) (I) (J) (K) (L)

★9/28 vs横浜 (今季最後の登板、目の前で大炎上)
(1)
 (2) (3) (4)
                      (5)
 (6) (7) (8)

後半戦の失速は、この連続写真を比べて見ると原因が分かり易いと思います。
9/21付の「戯言」で、立てた私の仮説は次のようなものでした。

 @左腕の引きが甘い
 A右肩が前へ回って行かないため、下半身で回そうとして開き気味になる
 B右肩が回らないことで、テークバックが深くなり過ぎ、ボールを持つ右手が頭から離れてしまう
 C右ヒジが下がり気味になり、右腕の振りが横振りに、またリリースも早めになる
 D制球が定まらず、抜け球や叩きつけるボールが増える

(G) (4) 左が5/20(G)、右が9/28(4)です。
明らかに(G)の方が、
グラブの位置が高いところにありますな。
ここで上げたグラブは、この後身体に巻き込んでいくわけですが、グラブは高い
位置から引き降ろすほど、ボールを持つ右腕が高く上がります。
つまり(4)では、この後右腕があまり上がらないということになるんやね。
(H) (6) 上述の原因のために、(6)では右ひじの位置が低くなっとります。
さらに左腕を強く引いていないため、上体の回転が不足してテークバックが深く
なり過ぎ、右肩が開いた状態になっとりますな。
(胸のマークが、(H)の方が右肩側が上がっている)
これではボールはシュート回転するし、リリースも早くなって制球が定まりまへん。
ボールが低めにコントロールされず、抜け球や叩きつけるボールが増えたのは、
正にこれが原因やと言えます。

如実にフォームの狂いが表れており、ボールの威力も、制球力も奪われることになってしまいました。
しかしこれには明らかに原因がありますわ。
これは奴の持病である右肩のルーズショルダーが、再発したと見るのが妥当やと考えます。
フォームの狂いの元凶たる左腕のグラブの使い方やけど、思い切ってグラブを巻き込めないのは、左腕で上体を回転させて右腕を引っ張るのが怖いからですわ
思い切って左腕を使えないから上体の回転が不足し、これが深過ぎるテークバックの元となる。
さらにグラブの位置が低いために右腕を引っ張り上げることもできず、右ひじが下がって腕が横振りになってしまう。
これは球威・制球に影響するどころか、
痛みを庇って逆に故障しやすいフォームになるという悪循環に陥ってます。
本人にとっては投げれば投げるほど、どんどん不調の泥沼に落ちていく感覚があったのと違うやろか。
ちょっと調整して復調できるような、そんな状態やなかったんや…。

確かに今季のドラは、憲伸の好不調がチーム成績へ如実に反映しましたな。
奴が勝っていた交流戦まで、そして月間MVPを獲得した7月のチームは勝ち続け、奴が勝てなかった交流戦、そして8月以降はチームの勢いがピタッと止まってしまいました。
だからこそ奴がエースなのであり、これを考えれば奴がV逸の第一戦犯に指定されても仕方ないんやろうね。
しかし明らかに調子を崩した投手を起用し続けなイカンほど、夏場のドラ投手陣は窮乏に瀕していました。
憲伸という男は、交代すべき時は自ら降板するけど、
代わりがおらんとなったらトコトン自らの責務を全うしようとする奴です。
03年シーズン序盤、明らかに右肩に以上を抱えながら、開幕からローテーションが崩壊していたチームでローテーションを守り続け、結局そのために完全にパンクしてGW以降のシーズンを完全に棒に振ったのは、記憶に新しいところですな。
今年も8月に入った頃のチームは03年と同じく、故障者続出のため先発・リリーフともに人を欠く状態に陥り、かつ先発が早期KOを繰り返したため、リリーフへの負荷が相当に大きくなっていました。
このような状況下ではいかに不調であっても、エースという立場にある奴としては、長いイニングを投げつつローテーションを守り続けるしかなかったんですわ。
奴はチームのために、自分がいかに貢献できるかを常に考える奴なんやね。
本当に問題やったのは、奴の投球内容ではなく、故障を疑われる奴に最後まで頼らざるを得なかった、チームの層の薄さやなかったのか。

それにしても完全に結果論になりますけど、8月に奴の不調が明らかになった時点で一度登録を抹消し、休養・調整によって9月の最終決戦に賭けたらどうなったやろ…?



一般的な奴への評価としては、後半戦の無様な投球から「戦犯」とか「落第点」というものになるのかな。
しかしチームで勝ち頭の11勝、そして殆ど最後までローテーションを守り続け、180イニング以上を投げ切ったことを考慮すれば、私は
少なくとも及第点には達していると考えます。
チームの役には立ったはずや…!

そして来季。
中田、中里と、新エース候補の超新星も現れただけに、憲伸も負けられまへん。
そして今季の悔しい思いは、必ずや来季で晴らしてくれるものと確信しております。
そのためにはひたすら休養すること。
キャンプに食い込んででも休み続け、右肩を復活させてもらいたい。
フィジカルさえ万全なら、04年シーズン以上の成績さえ十分に可能なはずなんやから。

頑張れ、憲伸!
来季は頼むで !!