高血圧の治療は大きく分けると、「生活習慣の改善」と「薬物療法」になるでしょう。


生活習慣の改善

塩分の制限 血圧に最も直接影響するのは塩分の摂取です。簡単に述べますと、塩分を摂取するとその分だけ水と塩分の両者が多く体内に保持されるようになります。これはもちろんすべての人についてではなく、体質的にそのような傾向にあるひと(「塩分感受性」といいます)や加齢とともに腎臓の働きが低下してくる場合にその傾向があります。塩分を控えれば循環血液量のバランスが相対的に改善して血圧は下がる傾向になります。
一日の塩分摂取量10g以下というのがひとつの目安でしょう。
漬物を減らす、ラーメンの汁を飲まない、外食を減らす、などを実践するだけでずいぶん違うと思います。
「素材の味を楽しむ」と考えてみてはいかがでしょうか。
肥満の改善 肥満もさまざまな影響を及ぼし、結果的に血圧が高くなりやすいといわれています。肥満がの人が減量すれば血圧は下がることが期待できます。
運動 激しい運動の直後は血圧が上がります。しかし、軽い運動を継続して行うと血圧の低下が期待されます。直接その理由を説明する根拠はまだありませんが。
アルコールの制限 適度なアルコールであれば血圧を上げる心配はありません。実際的にはアルコールとともに「おつまみ」を摂ることの方が血圧に影響があると思います。おつまみは塩分を多く含むものが多いからです。血圧だけに関していえば、ただ盲目的に「お酒はだめ」と決めつめる理由はないと思いますが・・・・。
ストレスの解消 ストレスといってもやはりいろいろな影響が体に出てきます。例えばストレス時に分泌されるホルモンは血圧を上げる方向に働きます。ストレスを解消することは高血圧の治療に十分に有益である言えます。


薬物療法

 現在は様々なタイプの降圧剤があります。自分が内服しているのはどのタイプか知っておいたほうがいいと思います。

Ca2+(カルシウム)拮抗剤 血管を直接拡張させるくすりです。血管は平滑筋という筋肉で覆われています。平滑筋が収縮すると血管も収縮して内径が狭くなり血圧が上がります。Ca拮抗薬は平滑筋細胞が収縮するきっかけとなる細胞へのCaの流入をブロックしてくれるのです。
降圧効果が高く、他の薬に比べてホルモンや自律神経への影響が少ないことから治療する側にとっては大変に使いやすく、現在日本では最も多く使われている薬です。
アンギオテンシン変換酵素阻害剤
(ACE-I)
腎臓から分泌される「レニン」およびその後に合成される「アンギオテンシン」は様々な働きをしながら血圧を上げます。さらにこれらの物質は心筋を肥大させたり、腎硬化を促進させたりと他にも様々な作用を有するのです。この薬(ACE-I)はアンギオテンシンの合成を阻害して血圧を下げる働きをもっています。咳などの副作用が出るときがあります。
アンギオテンシン受容体阻害剤
(ARB)
アンギオテンシンが実際に働くには細胞の受容体に結合しなければいけません。この薬(ARB)はこの受容体への結合をブロックして、アンギオテンシンの働きを抑えるのです。咳の副作用が無いこと、血圧を下げるタイプのアンギオテンシンの受容体はブロックしないことなど、ACE-Iにない作用もあり、今、最も注目されている新しい薬です。薬価が他の薬より高めです。
β(ベータ)遮断薬 交感神経のβ受容体を遮断することで血圧を下げます。心臓の働きを抑えるとともに血管も拡張させます。薬によっては心拍数を抑える働きをもつものもあります。昔からある薬ですが、最近では心臓を「休ませてくれる」作用が見直されてきています。喘息や肺気腫のある人は使用に注意が必要です。
利尿剤 尿を増やして、水分と塩分を排泄するのを助けてくれる薬です。より病態に即しているため理にかなった降圧剤ですが、電解質のバランスが崩れることや尿が近くなるのが気になることがあるので使用頻度はそれほど多くないようです。薬価が安いのでコスト重視のアメリカでは使用が奨励されています。
α(アルファ)遮断薬 交感神経のアルファ受容体を遮断することで血圧を下げます。立ちくらみの副作用に注意が必要です。
その他 「中枢性降圧剤」などがかつてよく使われましたが、最近では上記の薬にとって変わられてきています。昔から使い続けていて現在は血圧が落ち着いており、高血圧に伴う合併症もなければそのまま内服を続けていいと思われます。