西武101系(試作冷房車) 実物資料

■西武101系(試作冷房車)について
 西武秩父線開業と旧型車両の置き換え用として1969(昭和44)年より製造の始まった101系(初期型)のうち、1972
(昭和47)年製の171〜181F(クハ1171〜1182・モハ171〜182)は、西武通勤車初の冷房車として製造された。
 パンタグラフを搭載しない車両にはCU16形集約分散式冷房装置(8500kcal/h)を1両あたり5台、パンタグラフ搭載車
にはCU72形集中式冷房装置(42000kcal/h)を1台搭載した。各車ともベンチレーターは省略され、補助送風機として扇
風機が設置された。また、MGが大容量化され、MG本体と付属機器が大きくなったため、M2車の床下機器配置が大幅
に変更された。
 一夏の試用で分散式冷房と集中式冷房を比較検討した結果、保守性に優れる集中式が正式採用となり、以後の新
製冷房車と冷房改造車には集中式冷房装置(+ベンチレーター)が使用されている。
 登場以来、大きな改造もなく、冷房装置もそのまま使用されていたが、1988(昭和63)年に175Fと177Fが集中式冷房
装置に取り替えられた。残り4編成は改造を受けることなく、4000系に機器を供出するために廃車され、同年に消滅し
てしまった。
 175Fと177Fについては当分安泰かと思われたが、1994(平成6)年に177Fが早くも廃車されてしまった。175Fはしぶと
く生き残り、長らく池袋線系統で活躍、そして新宿線系統で最後の活躍をしたのち、2004(平成16)年12月に廃車解体
された。


クハ1181(Tc1・ブレーキ制御装置側)        1988.6.17 所沢
飯能・西武新宿方の先頭車。
屋根上にCU16形集約分散式冷房装置を5台搭載し、ベンチレーターは省略。
このグループから連結面にあった貫通扉がなくなった(隣のM1に付くようになった)。
連結面妻板には、向かって右側に屋上昇降ステップが付く。
1986(昭和61)年頃に乗務員扉をバランサー付窓のものに交換している。


モハ181(M1・ブレーキ制御装置側)         1988.6.17 所沢
1位側(飯能・西武新宿方)より見る。
パンタ付のM1車のみ、CU72形集中式冷房装置を1台搭載し、ベンチレーターは省略。
2位側空気作用管の屋上での取りまわし形状に2種類ある(詳細次項)。
1位側妻板にはこのグループから貫通扉が付くようになった。
ステップは1位側は向かって左側のみ、2位側は両側に付く。
クーラー脇ランボードは、1984(昭和59)年頃にFRP製のものに改造された(モハ179・181を確認)。


モハ171(M1・ブレーキ制御装置側)         1987.10.10 所沢
2位側より見る。こちらのクーラー脇ランボードは原形。


モハ182(M2・ブレーキ制御装置側)         1988.8.27 清瀬
1位側より見る。クハ同様、集約分散式冷房装置を5台搭載。
屋上昇降ステップは1位側妻板には両側、2位側妻板には向かって右側に付く。
写真反対サイドには150kVAMGを搭載、非常に甲高い、独特の音を出すMGだった
(5000系や401系のMGの音ををさらに大きくした感じ)。


モハ172(M2・ブレーキ制御装置側)         1987.10.10 所沢
モハ172・174は、1986(昭和61)年頃にMGに代わりSIV(静止形インバーター)を試用。
このサイドでは、1位寄りCPの横にある補助電源関連機器が換装された。


クハ1182(Tc2・ブレーキ制御装置側)        1988.8.27 清瀬
池袋・本川越方先頭車。集約分散式冷房装置を5台搭載。


Tc1・Tc2・M2の車内
 集約分散式冷房装置のため、天井冷房ダ
クトが浅い。吹き出し口は長方形で、ダクト
の両肩が斜めに切り上げられ、その部分に
照明器具が取り付けられている。
 補助送風機として扇風機を設置。

M1の車内
 集中式冷房装置のため、天井冷房ダクト
が深い。吹き出し口はほぼ正方形で、ダクト
の形状は直方体。ダクト両脇に台座を設け
て照明器具を設置。
 補助送風機は扇風機で、天井だけ見ると
国電103系のような雰囲気。

■冷房装置標準化改造車
 前述の通り、175Fと177Fについては冷房装置が集中式に統一され、標準化された。同時に角型ベンチレーターの新
設や車内の更新(化粧板の張替えと座席袖仕切りの2000系タイプ化)も行われた。足回りについては、ブレーキ制御装
置をカバー付の新タイプのものに交換した程度だったが、MGは1992(平成4)年頃に標準品に交換された。
177Fは早々に廃車されてしまったが、175Fは黄色一色になって未だ現役。


クハ1177(Tc1・主制御器側)         1988.8.27 西武球場前
冷房装置をCU72C形に交換。新設されたベンチレーターが角型となり異彩を放つ。
車内は2000系タイプに更新され、ドアエンジンも交換された。側面の戸閉表示灯は縦長のものに交換された。


モハ177(M1・主制御器側)          1988.8.27 西武球場前
1位側より見る。ぱっと見、ベンチレーターを取り付けただけの改造しか受けていないように見えるが、
実は屋上配管はほぼ全面的に引き直されている。その他の改造点はTc1に準じる。


モハ178(M2・主制御器側)          1988.8.27 西武球場前
1位側より見る。改造内容はTc1に準じるが、改造竣工当初は、MGは従来のものをそのまま装備していたため、
音ですぐ冷房試作車と判断できた。後の工場入場で普通型のMGに交換され、静かになった。


クハ1178(Tc2・主制御器側)         1988.8.27 西武球場前
「向き」に起因する差異以外はTc1に準じる。
101系初期型にも角型ベンチレーターは結構似合っている。


クハ1175(Tc1・ブレーキ制御装置側)       2000.4.1 西所沢
1998(平成10)年7月に黄色一色になった。
標準化改造時にブレーキ制御装置を新タイプのものに交換(中扉下に吊られている機器)。


モハ175(M1・ブレーキ制御装置側)        2000.4.1 西所沢
1位側より見る。標準化改造時に1位側妻板向かって右側にステップを増設(向かい側のTc1にも増設)。


モハ176(M2・ブレーキ制御装置側)        2000.4.1 西所沢
屋根上は大きく変わったが、床下はブレーキ制御装置以外はほぼ原形のまま。


クハ1176(Tc2・ブレーキ制御装置側)       2000.4.1 西所沢
標準化改造時に連結器胴受けを新型(受けが湾曲したタイプ)に全車交換されている。

■屋上機器・配管

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