「第二回木の建築フォラム研究集会/太子町」に参加

○ 今回、加藤畳店・加藤明が大阪府にある聖徳太子で有名な地でフォラムが行われると言うので参加しました。

「第二回木の建築フォラム研究集会/太子町」 「地域で修復のプロを育てるしくみ」

2005/2/12(Sat) 主催 太子町・NPO木の建築フォラム・文化遺産を未来につなぐ森つくりの為の有識者会議

          後援 林野庁・文化庁・大阪府教育委員会

 

開催趣旨 

昨年の景観3法の制定、平成8年の登録文化財制度の導入等によって、地域の歴史的建築物を残し、

それをまちづくりに活かしていこうという動きがますます盛んになってきています。

歴史的建築物の修復にあたっては、設計管理・施工にあたる技術者・技能者が、歴史的な価値を

損なわない工事を心がける必要があるのは言うまでもありません。

また、このためには、一定の経験と知識が必要となります。

一方、地域の歴史的建築物を多数のこしていくためには、保存修複のコストを、国宝・重要文化財の

修理工事のような、一般の民間人や市町村が対応しにくいようなものから、比較的小規模な予算の範囲に

おさめることが必要になります。そのためには、単なる修復の経験・知識だけでなく、工事にあたっての機転も

きかせなくてはなりません。これらの状況に対応できる修復のプロといえる技術者・技能者が各地に存在して

初めて、歴史的建造物を生かしたまちづくりが実現していくと言えます。

本研究集会で取り上げる、大阪府太子町の登録文化財旧山本家住宅における修復は、地域における修復の

技術者・技能者の育成・確保に対する取り組みが成果をあげた例です。そこでは、どのような取り組みが功を

奏したのでしょうか。また、どのような工夫がなされたのでしょうか。そうしたことにスポットをあてながら、全国で

歴史的建造物の修復に取り組む人々や地元の人たちとともに、今後の地域における修復の技術者・技能者の

育成や確保の望ましい方法について意見交換をおこない、歴史的建造物を生かしたまちづくりが活性化することを

期待して、第二回木の建築フォラム研究集会/太子町「地域で修復のプロを育てるしくみ」を開催します。

 

太子町   NPO木の建築フォラム   文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議

 

○ このような、趣旨で集会が開催されました。

 

あいさつ

 

    太子町長 吉村久平氏

   太子町長 吉村久平氏   

 

    法隆寺管長 大野玄妙氏

文化財を未来へつなぐ森づくりの為の有識者会議代表・法隆寺管長 大野玄妙

 

   宮崎県木材利用センター所長 有馬孝氏

NPO木の建築フォラム代表理事・宮崎県木材利用センター所長 有馬孝禮

 

○ 挨拶も終わり、いよいよパネラーの先生・施工した工務店の方たちの話しになりました。

 

司会 御船達雄氏 

西澤先生・林氏

坂上工務店代表・主任

(財)和歌山県文化財センター技師

 

パネラー

 

 石井智子 (石井智子美建設計事務所)

 林 義久 (大阪府教育委員会事務局文化財保護課主査)

 西澤英和 (京都大学建築学部講師)

 坂上啓二 (坂上工務店代表)

 曽野一夫 (坂上工務店工務主任)

 

 

 

              

御船氏・石井先生

 

 

 

 

 

 

○ 設計の石井智子先生から話が始まり、一番大変だったところは

  

  司会者・御船氏が聞く。

  

  石井先生・修復工事の時は、建物の強度・質などに気を使いますが、予算を考える事の方がもっと気を使います。

  予算が限られているので、何時も戦いですね。新築の時も同じです。とコメントされていました。

  限られた中でも、質の良い建物を建てていきたいと話されていました。

 

   第二に建物の壁に左官工事で漆喰を塗り仕上げているのですが、外部は漆喰にふ糊を混ぜ仕上げ、

  内部には糊は入れず仕上げました。

  

○ 大阪府の指定・登録文化財建造物の保存と活用

    

  林義久氏の話し

  

△「文化財保護法」によると、文化財は大きく有形、無形、民俗、記念物、伝統的建造物群の五つにわかれます。

   今回取り上げられた建築は、有形文化財に含まれる建造物と伝統的建造物群(町並等)の建造物で、その大半が木造建築です。

   今回修復した建物は、人が使うと言う目的の太建物で宮大工の棟梁を中心に多くの職人たちによるプロジェクトで完成したもので、

  建築完成後は、その建築を舞台として繰り広げられた、様々な人間の営みや思い出が建築に染み付き今に伝えられている

   文化遺産といえます。

 

△「登録文化財制度」は近代を中心とした歴史的建造物の保護を目的としていますが、50年を経過し、@国土の歴史的景観に寄与しているもの

 A造詣の規範となっているもの、B再現することが容易でないもの。とした三つの要件のどれかに該当すれば登録が可能となります。

 高度経済成長期以降は、ややもすれば利便性や経済性のみを追及した、使い捨て的な新しい建築(物)に人気が集まりがちでしたが、個々の

 構成部材が木太い伝統的木造建築などは、自然の材料を使用して環境にも優しく、職人の手仕事により丁寧に造られており、その土地に

 密着して長い年月を経過して伝えられていることから単なる"物"とは考えられず、建物にある精神性が付加されていると言えます。

 良い物を使うほどに味が出るということと、日常の維持管理や構造補強を適切に行えば災害にも強く、傷めば手直しが効き、長い目で

 みれば経済的であるということも理解されるのではないでしょうか。

 

△登録文化財建造物の活用 平成13年11月の国の文化審議会における報告「文化財の保存。活用の新たな展開  -文化遺産を

 未来へ生かすために - 」の中で文化財に対しては国民がこれまで以上に親しみをもち、多くの人たちの参加によって次代に引き継いでいくべき

 との趣旨が報告されており、これを実現する一つの大きなポイントは文化財の活用と言えます。

 

△登録文化財建造物の活用は大きく分けて三つに分かれます。

 一つは、今まで通りの機能や用途を維持しながら建物を使い続けること、二つ目は、外観を見せることのほか、必要な範囲で建物内部の

 魅力的な部分を紹介するための公開、三つ目は、歴史的な意匠を活かしながらこれまでとは異なる新しい機能や用途を付け加えて

 再生活用することです。

 

▽今後の課題

 文化財を保存活用して、次世代に伝えるのは行政を含めた住民総てであるが、今後はとりわけ、所有者、地域住民の役割は多大であり、

 幸いにも、登録文化財に対する税制支援については、建物の固定資産税の二分の一以内の軽減に加え、今年から土地建物の相続税に

 対する3割減免が追加されることになった。文化財の保護が、これまでのような行政指導ではなく、全員の参加で守り育てる機運が

 盛り上がっていけばありがたいと考える。

 

○池田貴則さん(太子町教育委員会生涯学習課)

 

  太子町としては、今後住民を中心に色々な人々に開放し使って欲しい意向で考えています。

 主家の使用はイベントや体験を中心に考え、離れの使用は、会合などの貸室使用に考えています。

 体験学習など子供を中心とした活動、地域が活性化するような活動基点になればと考えています。

 

◎登録文化財「大道旧山本家住宅」

 

 構造規模     主家   木造平屋建

             離れ    木造平屋建

            蔵      木造2階建

 面積        建築面積    235.8u

            延床面積    222.8u

               主家    135.4u

                                離れ     52.2u

               蔵      35.2u

 

 

 

 ○「第二回木の建築フォラム研究会/太子町」に参加して思ったこと。

  初めて参加して、「登録文化財」と言う言葉さえ恥ずかしいのですが知りませんでした。

  知っているのは、国宝・重要文化財・指定文化財でした。文化財にも色々なケースがあり身近なものから大きな建造物など

  本当に色々です。フォラムに参加して、身近な古民家がこんなにも重要性が高いのを初めて知りました。

  建物の一部として畳の部門を任され工事していますが、これからは建物がどのようにして造られたのか、

  こんな風に使われたて来たのか

  そんな気持ちを持って、仕事をするよう努力し、考えるだけでも面白いのではないかと思います。

  フォラムに参加して一番勉強になったのは、大学の先生、設計士の先生、教育委員会の方、林野庁の人などたくさんの人たちと

  お知り合いになり、いろいろなことを教えてもらい、色々話を聞いていただきました。

  本当に勉強になりました。一泊二日と言う短い時間でしたが、皆さんと温泉にも入り、お酒も酌み交わし良い話を聞かせてもらい。

  あっという間の時間でした。今後もこのような勉強会があれば、ぜひ参加したいと考えています。

 

  最後まで、読んでいただき、誠に有難うございました。

   皆様のご多幸をお祈り申し上げています。

 

 

 

    戻る