■第8回 篭ノ登山

1997年6月7日 (土)
参加者19名
[コース] 川越(6:05)=高峰高原(9:15〜9:30)−水ノ登(10:25〜10:35)−東籠ノ登1等△(11:30〜12:20〜13:25)−西籠ノ登(12:45〜13:00)−池ノ平駐車場(14:00〜14:05〜14:50)−池ノ平湿原=高峰高原ホテル(15:10〜16:00)−小諸のソバ屋(アルコ―ル効果、時間記録できず)=川越(20:30)


山行記 

顧問 松崎 中正 記

篭ノ登山 山頂昨年の山の本の出版がきっかけで、大勢の川高山岳部OBと知り合った。
50歳台の人たちが中心となって年に一回か二回の懇親山行をやっているという。なつかしい人たちにしばらくぶりで会えると、早速その仲間入りというわけだ。

ところがである、「おっはー」、マイクロに乗り込むと、ほとんどがオールドOBばかりで、拍子抜けした。私と「同じ釜の飯を食った」連中はひとりもいないじゃないか。思うに、彼らはいま職場の中堅、働き盛りで、山登りみたいなものにうつつ抜かしている場合じゃないんだろう。だからもし、彼らがゴルフや麻雀なんかにうつつ抜かしているとしたら、許しがたい。そんな暇があるんなら、山に来いってんだ。OOBサマならまあ仕方ないが。

ところで、そんなことどうでもいいけど、一行の中に一人だけ女の子がいた。はて、川高山岳部にはメッチェンはいなかったはずだが。女性、それもこんな美人とくれば、私に文句なんぞあるはずないので、なるべく鼻の下が長くならないようにしてた。後で分かったんだが、今日の仲間の一番若いOBが二、三日前に結婚したばかりで、奥さんを家に置いてくるのが心配なんで山に連れてきちゃったんだそうな。私のように山の神様から離れたくって山にきてるのとはエライ違いだ。けど歴史は繰り返す。いまに見ておれ。どう見ても一心同体といえるこのカップルの年齢は、ちょうどOOBのとおんなじくらいになるんだから、あまりヤカないことにしとこう。

梅雨に入ったので、雨具の厄介になると覚悟していたのに、上天気だ。美女が山に入ると天気が荒れるといわれたのはつい昨日までのことだ。それとも、老いたれどなお山を恋うOBの心意気を天がよしみ給うたか。とにかく私が社内一番のロートルだし、顧問のはしくれだったということもあってか、岩堀社長はじめ皆さんがいろいろ気配りして下さるのには恐縮してしまう。

高峰高原は新緑の真っ最中。温泉への下り口で下車して、まずは記念撮影。トシは写らないから、みんなすましたものだ。バスは私たちの下山口の池ノ平駐車場に回しておく。水ノ登への尾根は砂礫、岩、潅木と、変化に富んだ登り。先頭を行く幹事の幸すしこと長島さんは、このコースを綿密に下見してあるらしい。カラマツの初々しい緑の針、シャクナゲの紅のほころび、遥かな北アルプスの山並み、カッコウの澄んだ声がそよ吹く風に乗ってくる。足元のイワカガミ、ツガザクラに交じる白い花はウメハタザオか。

水ノ登から篭ノ登への稜線の、北側は風衡の樹木、南側は断崖で、いかにも高山の様相だ。ザレた斜面にカモシカ君を発見して一同歓声を上げる。私はこのいわゆる七千沢コースをトネ君とスキーでたどった若かった頃を思い出して、腰の抜けた今、独りなつかしんでいた。

樹木を抜けると、東篭ノ登のゴロタ石の頂上に出た。息切れしてきたところなので、ホッとした。川高山岳部は、OBになると足が速くなるのは一体どうした訳か。さんざん悩んだあげく、そりゃすなわち巨大なキスリングじゃないからだとの結論に達した。

元気な者だけで西篭ノ登に行ってくるという。私も、決して元気じゃないが、行かにゃなるまい。両峰の鞍部は、カンコウラン、ミネズオウ、クロマメノキの緑のカーペットが敷かれたロックガーデン。こんな別天地がほんの一足の所にあるとは。行ってよかった。

東篭ノ登から池ノ平へは、カラマツの林の中の急降下。一面のマイヅルソウに交じって、シロバナノエンレイソウが花盛りだった。がやがや登ってくるおばちゃんたちの中に、この花みたいに楚々とした小野さんの親戚が一人ぐらいいないもんかとキョロキョロしていたら、道に張り出した木の根っこにけつまずいた。

駐車場から往復した池ノ平湿原は、ササ原に変わりつつあって期待外れのくたびれもうけ。レンゲツツジのつぼみはまだ堅かった。

このまま素直に帰ることは川高山岳部OB会の良心が断じて許さぬ。高峰高原ホテルの湯上がりは、佐久平野の眺めのつまみでビールがすきっ腹にしみた。小諸の町に下って、今度はソバ屋に上がり込んで、窓いっぱいに展開する浅間連山のつまみでまたビール。今日失ったエネルギーを取り返してお釣りがきた。OBが山にくると足が速くなるもう一つの重大な理由は、一刻も早く温泉でキリン君に会いたいからだと気が付いたジャン。

参加者:年順、えへん。=あれっ、天国に近い順なんだ。

松崎、川口、八木、可児、奥村、岩堀、川上、藤野、神田、岩崎、木村、千野、金井、長島、染谷、古島、澤田、加島、黒沢、中川


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