デザインの種類は
ハービィー・ゴールデン氏の著書でもお分かりの通り、数え切れないほどあります。極端な話し、作った人の数だけデザインがあると言ってもいいかもしれません。なんて、まとめてしまうとこのコーナーの意味が無くなってしまうので(笑)、大きな括りでのデザインをご説明します。
ザックリ2種類で、西グリーンランドタイプと東グリーンランドタイプです。ザックリすぎるか…(笑)。境界線は図のようになります。だいぶ偏っていますね。この理由については後でご説明します。では「デザインの何が違うのか?」。
西グリーンランドタイプはデッキのボリュームがあって、ロッカーもついています。一方で、
東グリーンランドタイプは全体的に厚みがなくフラットです。この違いは環境(海況)に因るところが大きいです。これが境界線における偏りのワケです。東グリーンランドの海は氷に覆われる時期が長く、そうするとなかなか大きな波は立ちにくくなります。一方で、西グリーンランドの海は風が吹き、時には大波が立つこともあるそうです。これがカヤックの形状に影響したのでしょう。波の中ではロッカーが活きます。ピタッと波に張りつき抗おうとしません。なおかつ、デッキのボリュームは大波を被っても海面への復帰を助けます。静かな海ではこういった要素は必要なく、であれば獲物からの視認性を低くするためにロープロファイルに仕立てた方が合理的です。つまり、共に海上でのハンティングの効率を考えた形状だと言ってもいいでしょう。余談ですが、「木を植えた男」で有名な
フレデリック・バック氏はグリーンランドに滞在してイヌイットの生活を観察したことがあるそうです。そのときに描いたのが
コレです。素敵ですよね。