『メディカルルーム』
包帯、軟膏。脱脂綿にピンセット。
(ホントは小さなハサミがあったら更に便利だけれど、各人最低でもナイフ程度は持っているわけだし)
傷セットの中身は、小さな箱のくせに割と豊富。
(でも。一瞬で手当てをして、また戦闘に立たなくてはならないのだから、それも当然かな?)
軟膏に含まれている成分は、概ね不明。
…止血、及び鎮痛剤の効果は間違いない。
もしかしたら、興奮剤も入っているのかも。
(だから、大抵の場合は傷セットで足りるんだけど)
「ほら、とっとと服脱げよ」
「……え。腕まくりするだけじゃ…だめなの?」
「却下。いいから脱げって」
「…え、でも…なんで…? だって怪我したの、肘のトコだけなんだけど…」
「……。ぐだぐだうるさいね、おまえ」
ボッシュは不穏に笑って、後ずさるリュウを固い寝台に引き倒した。
「…わ、わ、わわっ!」
それでも足りない場合。
もしくは資金が足りなくて、購入すら出来ない場合。
そんなときは、さあ最後の手段。
とっととメディカルルームへ行こう。
医務用品は豊富だし、それなりの設備も揃ってる。
(ただし、医師は殆ど不在。…どんな医師なんだか、おれも見たことないし)
リュウは切らしてしまった傷セットのことを思い、後悔の溜め息をつく。
ああ、あそこでうまにくなんて買わなければ、傷セットを無事購入出来たのに。
メディカルルームに来る必要もなかった筈なのに。
…いつでも傲慢全開の相棒に、手当てをしてもらうこともなかった筈なのに。
「…ねえ、…なんでおれの上にのっかるの…?」
「手当てするからに決まってるだろ」
「…だからさ…肘…だけなんだけど…」
「おまえ、俺の治療方法にケチつけるってわけ」
「そういうわけじゃ…ないんだけど…」
「じゃあ、問題ないじゃん」
エリートはにっこり笑う。
「いいから、大人しくしてろよ」
――そして、世界は大きく暗転。
リュウは溜め息と痛む体を抱えて、資金の的確な配分を決意するのだ。
メディカルルームは、最後の手段。
どうぞ傷セットの購入は、的確に、かつお早めに。
2003/04/29(Tue) 23:47 裏掲示板にて
樹羽さんにネタをいただいて書いた阿呆話。こっそり進呈。ギャグ、好きなんですが。