『道具』


 ボッシュはその日、いっそ奇妙なくらい、機嫌がよかった。
 ふんふんと意味もない鼻歌を口ずさんでみたり、やけに気前良く食事を奢ってくれたり。
(不気味だ……)
 リュウはそんな相棒に、激しい不安と戸惑いを感じていた。
 この気持ちを、あえて一言で表現するならば。
(警戒レベル、Cに移行。……みたいな)
 リュウはボッシュの投げてよこした飴を口に含みながら、ぼんやりと考える。
 ――お菓子とか、甘いものとか。
 そんな高価なものは、上層区にしか存在しない。
 下層区には、最低限の栄養を摂取するためのものしかないのだ。
 けれど、ボッシュには上層区で暮らす家族がいるので。……それだけの、家柄の人間なので。
 時たま、こんな珍しいものを、リュウに分けてくれたりもする。(実に気まぐれな確率ではあったけれど)
 リュウは甘ったるい味が口の中に広がるのを感じながら、ボッシュが「お、来た来た」となにやら小包を持って戻ってきたのを眺める。
「……? 何か届いたの?」
 かち、と飴を噛み締めると、かけらが砕けて口の中に更に甘い味が広がる。
 それと同時に、リュウは奇妙な眠気を感じて、ぱちと瞬きをした。
(……あれ?)
 視界が、ぐるりと唐突に揺らいだ。
「なに。……もうおねむ?」
 ボッシュがからかうように言う声も、なんだかひどく遠い。
「……うん……なんだか……急に……眠く…」
 飴が砕けたところから、ジワジワと広がっていく甘味。
 リュウはとろとろと重くなってきた瞼を軽く押さえ、ボッシュを見上げた。
 彼はにやにやと愉しそうにリュウを見下ろしている。
 ……手に、先ほど届いたらしい小包を持って。
「……それ……なんなの…ボッシュ……?」
 たまらなく眠い。どうしようもなく眠い。ただひたすらに眠い。
 リュウは歪む視界の中、相棒を見上げる。
「……あとで」
 彼が答える声は、ひどく不明瞭で。……ああ、俺殆ど寝ちゃってるんだ、とリュウはぼんやり思った。
「……たっぷり……に、おしえ……やるよ」
 その、ひどく不明瞭な言葉を最後に、リュウの意識は暗転する。
(警戒レベル……Eに移行)
 今の気持ちを、あえて一言で表現するならば。

 そう、まさに、そんな感じだ。


*     *     *     *      *

「……ん…」
 なんだか、少し寒いなと思った。
 リュウは緩慢な瞬きをしながら、痛む腕と足に眉を寄せる。
「ああ。目ぇ覚めた?」
 静寂を貫く、ボッシュの声。
 リュウはとろとろとした視界の中、目の前の椅子に逆向きに腰掛けて、こちらを見ているボッシュを確認する。
「……? ボッシュ……?」
 何だろう、と思って身じろぎをしようとするが、そのとき初めてリュウは自身が拘束されているということに気づく。
 ……二人で借りた部屋の、ソファ。
 ボッシュお気に入りのそれに、リュウは腰かけていて。
 ……手首を後ろで一まとめにされているのだ。
「……なに…、これ……!?」
 リュウは戸惑って、腕を拘束する金属の鎖を眺める。
 じゃらりと手首から伸びたソレは、ソファにぐるぐると巻きつけられており、リュウがソファから離れられないようにしていた。
 そして、身体を見下ろして、リュウはハッと顔を羞恥と困惑に染める。
「ちょっ……ボッシュ……なんだよ……この格好……!」
 確かにこれでは寒いはずだ。
 リュウは、白いシャツを一枚だけ羽織らされているのみで(この少し大きなサイズから察するに、どうやらボッシュのものらしい)下着一つ身に着けてはいなかったのだ。
 挙句に、ボタン一つ留められていない。
「わっ…!」
 リュウは慌てて身を捩って、ソファの上で横座りになる。こうすれば、少なくとも性器だけは隠せるからだ。
 ボッシュはそれをニヤニヤと眺め「いい格好だな」と評した。
「……な、何考えてるんだよ……ボッシュ…! こんな格好…させて…! あっ…まさか、さっきの飴…!?」
「正解。…気づくの遅いよ、お前」
 ボッシュは相変わらず上機嫌で笑うと、椅子から立って、ソファに座った。そして、じろじろとリュウを注視する。
「やっ…!」
 不穏な気配を感じたリュウが、じり、と距離をとろうとするが、それを難なくつかまえ、リュウは哀れ、ソファの上に仰向けでころがされた。
 そのままぐいっと足を開かれ、羞恥に震える性器をじろじろと眺められる。
「やっ…やだっ…! 何……みてッ…!」
「ん? ああ。相変わらずちっちゃいなと思って」
「……ッ!! お、俺のは普通だよ!! ボッシュのが大きすぎるんだ!!」
 リュウが顔を真っ赤にさせて反論するのに、ボッシュはいかにも愉しそうに「へえ?」と肩をすくめた。
「……そりゃどうも。毎日いかにもオイシそうにくわえこんでるからさ。てっきり、まだ物足りないのかと思ってたんだけど」
「!!!!!」
 ボッシュの卑猥な言葉に、リュウの顔が更に真っ赤に染まる。
 にやにやしたまま、ボッシュは無造作に……彼の目前に晒された後孔の周辺をまさぐる。
「ひっ…! 」
 リュウはくすぐったさと「挿れられるかも」という恐怖に、びくっと身をすくませた。
「馬鹿。…いくらなんでも、少しは慣らしてやるって」
 ボッシュはそんなリュウに気まぐれな優しさを見せると、今度はリュウの性器に手を伸ばす。
「ヒッ…ぁ…」
 縮こまっているそれを優しく握りこまれて、リュウの身体がびくんと震えた。
「は…ぁ…、ァぁんッ…」
 そのまま、全体を巧みに擦り上げられ、リュウは切ない吐息をもらしながら身を捩らせる。
「ひっ…ぅく…ァ…ぁあんッ……」
「…お前さ、ココいじられるの、好きだよな……?」
 くり、と先端に爪を立てられ、リュウはそれだけで「ァアッ」と悲鳴じみた声をもらした。
 じろじろと性器を注視されながらの異常な愛撫に、リュウの身体は熱くなっていく。
 少しサディスティックな愛撫は、いつものことだ。慣れた身体は、快感のありかを求めて、ボッシュの掌に身を任せる。
 竿をたどり、睾丸をまさぐられ、先端をぐりぐりと強く押される。
 余った方の手で乳首に爪を立てられ、鎖骨に口付けられた。
「ァッ……アアッ…んん…ンッ…ふぁっ…! やだ…もう……イッちゃ……」
 全身にくまなく与えられる愛撫に、リュウの腰が大きく波打つ。
「イイよ。…出しちまいな」
 そんなリュウにボッシュは優しく笑うと、手の動きを早めた。
「んぁっ……あっ…ァア――ッ……!」
 ボッシュの許可と同時に、リュウの身体が大きく跳ねる。
 性器が震え、びゅくびゅくと精液が噴き出した。
「あ…ァア…アッ……」
 リュウはひくひくと身体を震わせ、快感の余韻に浸る。
 それを全く無視する無神経さで、ボッシュはリュウの性器に再び触った。
「や…やだぁ…まだ……だめだよ…」
 ひくん、と儚く身体を震わせ、リュウが涙目でボッシュを見上げる。
「いいから黙ってろよ。…いくらお前でも、慣らさないと、さすがにアレはきついだろうし」
「……アレ…?」
 リュウが吐き出した精液をかき集め、後孔に塗りこめる。
 くちゅくちゅと音を立ててかき回すボッシュの指に身体を震わせながら、リュウはボッシュのもらした不審なセリフに眉を寄せる。
「ァッあ…アレって……なに…?」
「あとのオタノシミ」
 ボッシュはそれを軽く受け流して、二本目の指を挿入した。
 柔らかくほぐれかけたそこは、案外すんなりと中指を受け入れる。
「ヒァ…あ…ふぅっ…!」
 じりじりと嬲られるような愛撫に、リュウはふるふると首を振った。
 いっそ貫くなら、いつものように一気に貫いてほしいとすら思う。
 しかし、今夜のボッシュは嫌になるほど慎重に、執拗なほど、リュウの中を慣らし続けた。
「ァ…ァアッ……あ…はぁん……ッ…」
 リュウは息も絶え絶えになりながら、その愛撫に耐え続ける。
「……ね…ボッシュ……もう…いいでしょ……? 早く……して…よ…ぉ…」
 その緩慢な愛撫に耐えかねて、リュウが思わずねだるような声をあげた。
 ボッシュはそれをいかにも愉しそうに眺め「…ま、そろそろいいかな」と低く呟く。
 リュウは安堵の吐息を吐いて、ボッシュを乞うように、そっと足を開いた。
 そんなリュウを眺めてボッシュはにやりと口角をつり上げると。
 ――サイドテーブルに置かれた包みに、手を伸ばした。
「……?」
 リュウがその動きを不思議そうに見やり……包みから出てきたものを、胡乱な眼差しで見た。
「……ボッ…シュ……?」
 汗がたらり、と首筋を流れ落ちていく。
 まさかまさかまさか。
「……あの……あの……ボッシュ……それ……」
「ん? ああ。ディルドウだけど」
「……あの……」
「ああ? お前、知らないの?」
 ボッシュは鮮やかに笑って、その性器の形を模したものを指で示した。
「今日はコイツを食べさせてやろうと思って。……美味そうだろ?」
「ッ……!!!!!!」
 リュウは愕然と……明らかにぶっとくて長くて、恐ろしいディルドウを見た。
(そりゃあ……念入りに慣らすわけだ……よ……!)
 呆然とした思考の何処かで、誰かがそんなことを呟いている。
「や、やだっ…!!」
 リュウは開きかけていた足を思い切り閉じて、ソファの上で、全力で後ずさった。
「やだよ!! ぜったいやだ!! そんなの絶対はいんない!!」
 既に涙目になっている。
「余裕。…お前、淫乱だから絶対に入るって」
「ッ…! そんなことないよ! 俺……俺、普通だもん!!」
 反論しながら逃げようとするリュウの足首をつかまえて、ボッシュは勢い良く彼を引き倒した。
 そして、じたばたと抵抗するリュウの足を開き、濡れそぼった後孔をあらわにする。
「ひぁあッ!」
 そこに無造作に指をつきたてれば、濡れ切ったそこは、深々とボッシュの指を受け入れる。
「すげえ、柔らかい」
 にやりと口元を歪めて、ボッシュは呟く。
「やだァ……ッ…そんなの……いれないで…よぅッ…!」
 そんな訴えも無視し、ボッシュはリュウの尻を割り開き、後孔に新品のディルドウを押し当てる。
「息、吐け」
 その命令にリュウは反射的に従う。
 大きく息を吐き出して、身体から力を抜こうとする。
「……上出来」
 ボッシュはそれにくつりと笑って。
 ……深々と、ディルドウを突き立てた。
「ァ……あ、ァアア――ッ……!!」
 リュウの身体を軋ませるようにして、ディルドウが侵入してくる。
「ヒッ…や、や、だぁッ……!! いた…いよぅ…ッ!」
 リュウは身体を震わせて、無機物が侵入してくる感触に耐える。
 けれど、冷たい無機物に震える一方で、リュウの身体は柔軟にディルドゥを受け入れた。
「ハァッ……ん、ん、……んんっ…ふ……ッ」
 リュウは屈辱と恥辱に震えながら、ディルドウを飲み込んでいく。
「……根元まで入りそうだな」
 ボッシュが小さく呟いた、そのセリフに、リュウはびくりと身体を震わせる。
「んっ…んんッ…ぁ…アッ!」
 ぐちゅり、と音を立てて、とうとうディルドウは根元までリュウの中に納まった。
 下腹部から覗くディルドウの先っぽとコードに、身もだえしそうなほどの羞恥を感じる。
「ァッ……ァアッ…あッ…ハァッ…や…やだぁっ」
 リュウはびくびくと後孔を痙攣させながら無機物をくわえこみ、身体を震わせる。
「もう…やだよ…ッ……抜いてぇ……これ…ッ…」
 足を震わせてそうボッシュに懇願するが、ボッシュはからかうように笑ったまま「美味そうにくわえこんでるじゃん」と言うばかりで、抜こうとしない。
 それどころか。
「ああ。これがスイッチだな」
「ッ…!?」
 ディルドウから伸びたコードの先。…切り替え式のスイッチになっているそれを、ボッシュはあっさりと「ON」にしてしまった。
 ヴヴヴ……と信じられないような振動音が――のリュウの中から、響く。
「ァアッ!! や、や、やッ…!! だ……めッ……ヒッ…ひっ…ぃ…ァアッ…も…ッ…!」
 内部からの振動に、リュウは絶叫をあげて身悶えた。
 先ほど達したはずの性器が、また痛々しく立ち上がって涙を零す。
「ヒッ……ひァッ……だ……め……だめェッ……おれ……おれ…ァアアッ…!」
 がくがくと体中を震わせ、リュウは性器からまた精液を吐き出した。
 けれど、命令を与えられたままのディルドウは、依然としてリュウの中をかき回し続ける。
「ヒッ、あ…、あ、……ああぅんっ…!」
 リュウはがくがくと身体を震わせながら、涙をほろほろと零す。口は既に半開きで、涎がたらりとこぼれた。
 その涎を舐めとるように口付けして、ボッシュはリュウの狂乱ぶりを観察する。
「……キモチイイ?」
 囁くように問えば、リュウはふるふると顔を振って「こわ…い……よぅ…」と小さく呻いた。
「ヒッ……あ……ァアッ…!」
「怖い、ねぇ?」
 感じすぎて怖いのか、それともこんな無体な仕打ちを強いるボッシュが怖いのか。
「……どっちでもいいけど」
 ボッシュは乾いた唇を軽く舐めると、びくびく震えるリュウの性器に手を伸ばした。
「あのさ…。実はもう一個、取り寄せたものがあんだけど」
「……ッ…ぅくッ……ァ…ん…?」
 小刻みにリズムを変えて振動するディルドウに耐えながら、リュウはボッシュを見上げた。
 ボッシュはその眼差しを、獲物を眺める残酷な狩人の目で見下ろし、低く笑う。
「もっと気持ちよく、してやるよ」
 そして囁きながら、リュウのペニスに謎の道具を巻きつけた。
 布製かどうかすらよくわからないソレは、リュウの性器をすっぽりと覆い、ひどく卑猥に映った。
「……ァッ……ふ……んっん…なに……ァッ……コレェッ……?」
 リュウが潤んだ目で問う。
 ボッシュは、愉しそうに――情欲に満ちた目を、リュウに向ける。
「プレゼント。……受け取って、くれるだろ?」
 そして、その謎の道具の。……スイッチを入れる。
「ひッ……!!」
 その途端、ぶるりと震えだしたその道具は。
 リュウの性器を蹂躙するかのごとく、激しく震え始めた。
「や、や、ァア―ッ!!!! や、ヤッ……ンアアァッ……!!」
 リュウはじゃらじゃらと鎖を鳴らして、悲鳴を上げながらのたうつ。
 それを愉しげに見下ろして、ボッシュは椅子に座りなおした。
「ヤッ……ァアッ……アッ……ンァアッ……ああーッ……ンッ…!!」
 ぐちゅっ、と音を立てて、またリュウの性器から精液が迸る。
 けれど、リュウの中では依然としてディルドウが震え続け……リュウを包む道具も、いやらしい蠕動を繰り返して、リュウから精液を搾り取ろうとしていた。
「も……もぅ…ダメェッ! ハァ…ッアッ……アアンッ…だ、やだぁッ…やぁあーッ……!」
 ソファの上でのたうちまわるリュウ。
 普段はいっそ地味といっていいくらいのストイックさで、周囲に埋没するリュウだが、こと色事となると、開発したボッシュ自身、信じられないような色香を放つことがあった。
 狂いそうな声をあげ、むせび泣き、悦楽に溺れる。
 そんな相棒の姿を眺めながら、ボッシュはゆったりと正面の椅子に腰掛ける。
「ヘンになっちゃぁ……ッ……おかしく……なっ……ちゃう……ッ……おれ……おれ…ァ…またァッ……!」
 びくびくんと身体を震わせ、リュウがまた達した。
 真紅のソファが白濁した液で染まり、汚れていく。
(このまま何分か放っておいたら、ホントに狂っちまうかな)
 ボッシュは残酷に時計を眺め、ほくそえむ。
 彼だけの、愛らしくも淫乱な相棒。
 彼を滅茶苦茶に。……壊してやりたくなる欲求が、唐突に訪れるときがある。
 リュウが身体を震わせる。悦楽に身を震わせて、精液を吐き出す。
「ァッ…ハァッ……あ…はッ…んんぅッ…!」
 止まらぬ喘ぎを抱えて、いやらしく身体を跳ねさせるリュウに、ボッシュは次はどうしてやろうかという愉しい想像をめぐらせた。
 無機物を飲み込んで、悦楽に浸る相棒。それをからかって、苛めてやるのもいい。
(お前ホントに気持ちよさそうだったよ。ホントに淫乱だな、とか)
 くく、とボッシュは楽しそうに笑った。
(そんなによかった? お気に入り? とか……)
 そこで、……彼はふと不愉快そうに眉を寄せる。
(……)
 そして、ベッドの上で狂乱したように悶えているリュウを眺める。
(そんなに。……いいのかよ?)
 その胸に唐突にこみあげてきたのは。……理不尽な怒りだった。
 ボッシュは喘ぐリュウを押さえつけ「力抜け」とだけ言うと、一気にディルドウを抜き取った。
「ぁあッ…ん…?」
 身体から出て行く太いものを求めてか、リュウの後孔が物足りなげにひくつく。
「……淫乱」
 ボッシュはそれを不愉快そうに見つめ、低く呟き。
 傷ついたように自分を、……悦楽に潤んだ目で見上げるリュウの性器から、震え続ける道具を外した。
「……ボッ…シュ……?」
 不思議そうに呟かれる声音に答えず、ボッシュはそのまま、リュウを貫いた。
「ンァッ……!! ァアッ…ひ…ッ…!」
 そのまま奥まで打ち付けられ、リュウは切なく悲鳴をあげる。
「んぁ…あ…あつッ…い……ッよぅッ……!」
 後ろ手に縛られた両手で、この男の背中に縋りつきたいと切に願いながら、リュウは慣れた律動に身を任した。
「はぁっ、ァアッ、あッ……!」
「くっ…ッ…くっ…」
 熱く、潤んだリュウの中を突き上げながら、ボッシュは「俺の方がいいだろうが」と聞こうとした。しかし、それが あまりにも子どもっぽい事柄のように思えたので、憮然と口を噤む。
「ンッ…ん…ん…ふっ…」
 リュウはうっとりとボッシュに身体を摺り寄せ、甘い声をあげた。強制的に昇り詰めさせられる感覚とは違い、快感を分け合うような心地が、快かったのだ。
「アッ……ァア…ん…ぁあーッ……!」
「……くっ…」
 やがてリュウは、何度目か分からぬ精を吐き出し。
 ボッシュはびくびくと、リュウの中に精液を叩きつける。
「……ひ…ヒッ……ぁ…うぅんッ…」
 過ぎた荒淫のせいか、リュウはそのまま荒く息をついて、目を閉じてしまった。
「……。…おい。……おい、リュウ?」
 ボッシュは貫いたまま軽くリュウを揺さぶったが、リュウはぐったりとボッシュにもたれたまま、完全に気を失ってしまったようだ。
「……」
 もっと苛めてやろうと思ったのに、とボッシュは眉を寄せたが、まあ今日のところは許してやるか、と彼はそのままリュウの手首にくくりつけた鎖を外した。
「……今度一週間くらい有給とって、他の道具も試してみっかな」
 そしてぼそりと。
 知らぬが仏の相棒が眠る傍らで、不穏な呟きをもらし……一人ほくそえむのであった。

END.










致してばかりですみません。
大好きな某男色作家が書いてたネタを、まんまパクってます。ありえねえ。
他にどんな道具を試すのかは知りません。

モドル