『停電』
「…わ」
突然失われた視界に、太一は小さく声をあげた。
黒。
目前を満たすそれに、彼は目を激しく瞬かせ、奪われた視界を得ようとする。
「…ブレーカーが、落ちたんですね」
よいしょ、と立ち上がる気配。
それをとらえるように手を伸ばし、太一は柔らかい人の体温を握り締めて小さく笑んだ。
「太一さん…?」
やんわりと握られた手首に戸惑いをおぼえたのか。
声がいくばくかの躊躇いを含む。
「雷のせいだな、きっと。…ひどい雨だったし」
そんな躊躇いなど構わず、太一は言った。
じわじわりと戻ってくる視界な中、けれど未だその表情は見えない。
「…あの。ブレーカーが落ちたんなら、直しにいかないといけませんよね」
「そうだな」
「…え、と」
だからその手を離して。
その言葉がどうしても出てこなくて、光子郎は口をつぐむ。
――不意に、外で雷鳴が響いた。
さながらそれは、原始の生き物の咆哮。
カーテンを透かして浮かぶ雷の形を背に、太一が舌で唇をなぞる。その光景がはっきりと見えて。
捕えられた手首を手探りで掴み返して。その肩を握り締めて。
かぐろく映る、焦げた瞳を見つめて、口付けた。
外でまた、雷鳴が響いた。
9月5日に携帯にて。
滅茶苦茶短くてすみません…。むしろこれは太一×光子郎なのかどうか。
あるいは誘い受けか? いずれにしても、甚だ不明。
作成当時傍にいたけーたんに、強制的に捧げた覚えが。