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第6日 あっというまに昆明へ

6.1. バター茶に四苦八苦

 朝少しゆっくり起きる。あいにく今日も曇りで、とうとう玉龍雪山を望むことはできなかった。
 洋風のレストランで朝食とする。杷杷と、ここまで来たので思い切ってチベットのバター茶を頼んでみるが、これは失敗。やはり非常にこってりした、お茶というより濃厚なスープというべきもので、シナモンなど香料も強く、なかなか飲み干すのに苦労するシロモノであった。杷杷もここの店のものは油が強く、あまりおいしくない。
 チェックアウトして宿を出たところで、買い物にでかけていた木さんとばったり。彼女は、妻に好感をもっていたようで、別れるのが寂しそうだった。

 李家大院の領収書

6.2. さびしい麗江空港

 旧市街を通って一昨日着いたバスターミナルのあたりをめざす。名残惜しい三眼井を通り、もう一つひとまわり大きな三眼井の前を通る。こちらも朝から洗濯に精を出す人でにぎわっていた。本当に麗江は水の町である。
 表通りに出たところでタクシーを拾う。相場を勘違いしていてかなり強硬な交渉をしたため、運転手のおばさんはしぶい顔をしていたが、結局空港まで40元で乗せてくれた。これはあとで調べると相場以下で、高速料金が10元かかっていたから悪いことをした。
 名残惜しい麗江を去り、一昨日大理から来た道を戻るかっこうで空港へ向かう。一面のとうもろこし畑の中を走る間、何度も後ろを振り返った。

 麗江空港は実は麗江県ではなく、峠をひとつこえた鶴慶県にある。麗江市街から約30分で到着。 谷間が押し迫る狭い平地に作られた小さな飛行場である。空港ターミナルもささやかで、チェックインカウンターが二つ。搭乗口が3つ。小さな売店があって、その前のロビーでお茶は飲めるが食べ物を出す店はない。待合室に行っても同じくらい。早めに来たので時間をもてあました。
 しかし、観光シーズンとあってか便数も乗客も多い。昆明はもちろん上海や広州といった都市部と結ぶ路線だけでなく、西双版納行きなどのローカル線もある。
 中国南方航空のCA3488便B737はほぼ定刻に離陸。ほぼ満席で、よくチケットがとれたものである。離陸直後に目の前の山塊をさけて急旋回して上昇する。かなりたいへんな飛行場で、天気が悪ければひやひやだろう。幸い今日は多少雲はあるもののお天気で、揺れも少ない。上空にあがってもところどころ地上が見えるが、赤土の大地が広がって人家はほとんどない。上昇が終わって巨大な積乱雲のすぐ脇をびくびくしながら通り抜けると、もう飛行機は下降に入る。数日前から10時間以上かけてやってきた道を、わずか30分強のフライト。もちろん、そのぶん運賃は420元とざっと4倍である。着陸前、3百m程度の低空を5分以上えんえんと飛んでいるのが少々怖かった。

 3488便搭乗券

6.3. 怪しい昆湖飯店

 空港から電話で予約してホテル「昆湖飯店」へ向かう。昆明のメインストリート北京路に面しており、古いホテルだがいちおう星もあり、ガイドブックにも出ており、フロントには英語の説明書きもあって信頼できると思ったが、そうでもなかった。建物が複雑で階段が途中で行きどまったりするうえ、売春婦が堂々と部屋を構えて営業している。食堂は暗くて営業しているのかどうかわからない。そのうえ、部屋に入ってすぐ「鍵の修理だ」といってやってくる。作業をずっと見ていてあまりおかしなことはしていないように見えたが、それにしても部屋に入ってから鍵の修理とは? と不安になる。宿代は正確に覚えていないが、90元くらいだったのではないか。

6.4. インターネットカフェと「鉄板焼」

 ホテルにいても気分がよくないので街へ出る。まずは明日河口へ向かうバスのチケットを入手すべく昆明駅近くの南窯バスターミナルへ。歩いてもすぐだ。ここではさして行列もなく、コンピューター発券なのですぐにチケットを買うことができた。鉄道の乗車券を買うための苦労とは雲泥の差だ。
 気をよくしたが、とにかく暑いので近くのホテルのロビーでお茶。高いうえ味もいまいちだがコーヒーがあるだけましか。それから昆明のメインストリートをぶらぶらする。ウィンドウショッピングだけでもけっこう楽しい。おしゃれなブティックもある。インターネットカフェ(というか、ビルの空室にPCが並んでいるだけだが)でメールチェックもできる。ベトナム国鉄から問い合わせの返事が来ていて、ラオカイからの鉄道は運行しているとのこと。これで河口行きが最終決定である。
 ただやはりちょっと歩くと一服したくなる。もう一度街角の立派な喫茶店に入る。ここは日本のたとえば東京のルノアールなどに似た、ゆったりした喫茶店でおちつくことができる。コーヒーもまずまず。
 それから薬屋により、露店通りの屋台で果物を買い、スーパーをぶらつきしていると徐々に日が暮れてきた。薬屋はなぜかある通りに集中していて競争が激しいようで、ドラッグストア風の店も多数あった。このへんは日本と変わらないが、他方で屋台で果物を買うときには、ぶどう一房といった売り方はふつうしないようで一苦労だった。まさに日本の数十年分が圧縮されている感じである。また、露店通りにあるスーパーは生活感がたっぷりで楽しかった。

 とっぷり暮れたのでさて、夕食をどうしようかとうろうろしていると、「鉄板焼」屋を発見。日本の鉄板焼風でもあるので、おもしろがって入ってみる。けっこう繁盛していて、隣の席では学生風の男女が「合コン」をやっているし、おしゃれなカップルも来ている。どうやら流行店らしい。店員は日本のファミレス同様携帯端末で注文を処理している。店頭で鉄板をじゅうじゅういわせて香ばしいにおいを振りまき、客を引き寄せている。
 メニューには「日式炒飯」まであるがおそれをなして、焼肉定食に野菜の鉄板焼を注文。定食はごはん、スープ付きでまさに定食。鉄板焼は、日本のファミレスでハンバーグなどがのってくる木の台のうえに横長の熱した鉄板がのったやつに、焼いた野菜がどっさりのってくるという代物。味はまずくはないし、日本風なので食べやすいが、一品数十元というとんでもない値段からすると質は?である。しかしどうやら日本風食事ははやっているようだ。

 ホテルに帰り、鍵の一件を気にしてドアにいろいろ細工をして寝る。月がきれいだった。
 

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