子供の情景：トロイメライ
ピアノの聖人：クララ・ハスキル
婚約者クララの父親の反対による別れを強いられた期間中、シューマンには音楽だけが唯一の交信手段となった。クララのシューマンが時々子供に見えるとの表現が参考となって作曲されました。
しかし、シューマンは「音楽が最初でタイトルは後に出来たので、曲想・対比の方がより重要です」と弁明はしております。
ピアノ演奏 クララ・ハスキル
録音：1955年5月
ヨアヒム・カイザーは著書の中で「クララ・ハスキルは、1960年に逝去する迄、ピアノの聖人であった。」と述べ、晩年彼女を包んでいるオーラが比類の無いであったと記述している。
クララはルーマニアのユダヤ人の娘として1895年ブカレストに生まれ、幼時より将来の栄光が嘱望されていた。
しかし、少女時より病魔に冒され、生死の境を彷徨する人生でもあった。
そんな状況の中でも、カザルス、エネスコ、イザーイ、グルミョーとの室内楽演奏を続けることとなり国際的な経歴と栄光を手にすることが出来た。
1942年には脳腫瘍を患い、ドイツ支配でのユダヤ人ではヨーロッパ内での治療困難があったが、支配の及びにくい南仏マルセーユにて九死に一生を得ることが出来た。その後は、特に第２次世界大戦後は、著名な指揮者（若きカラヤンもその一人）との共演で数多くのカリスマ的な名演奏が残された。これは音楽愛好家にとってはせめてもの慰めであった。
1960年12月7日ブリュッセルで死去することとなった。急に脆弱さが襲って来たのだろうとの推測を残して・・