ガスタービンエンジニアリングの事例



ガスタービン発電プラントとして複合サイクルより蒸気噴射GTが優れている。
・蒸気サイクルの最高温度がガスタービンと同等で極めて効率が高い
・蒸気噴射により窒素酸化物の生成が抑制され、脱硝装置が軽減できる
・大気温度による出力特性が殆ど無く、夏場の出力低下対策が不要


圧縮機途中での水噴射による中間冷却、燃焼器・タービン各部での蒸気噴射によって出力倍増、効率50%改善が可能となる。適用機種は産業重構造型ガスタービンよりも航空機転用型が望ましく、現在の航転型ガスタービンは複数軸を保持しているので本体改造が比較的に容易であり、実用的な開発計画が展開出来る。

現在の主力機種であるLM6000を対象にすると
・出力は41MWから108MWに増大
・効率は42%から56%に改善



将来機種であるGE90に適用すれば
・出力は59MWから169MWに増大
・効率は43%から63%に改善

参考文献: ASME98-GT-117, ASME98-GT-118, ASME99-GT-327, NEDO P-9608




従来無駄に捨てられていた冷熱利用についても閉サイクルガスタービンは最適である。
・サイクル最高温度を排気ガスに依存することで燃焼加熱を省略出来る
・炭酸ガス、窒素酸化物の生成が皆無で、環境負荷を伴わない
・理想サイクルであるエリクソンサイクルを適用し、効率改善が図れる


作動流体はヘリウムが最適であるが、充填・漏洩を考慮すると通常入手に問題の無い空気で実用上差し支えない。LNG貯蔵温度110Kから見て入口温度157Kと設定、最高温度を排気ガスを利用した550Kと設定すると37%熱効率が実現出来る。これは現在主流である複合サイクルのボトミング蒸気ランキンサイクルに比べ極めて高効率である。

現在のLNG火力1,000MW級発電所に適用すると
・出力は16MW確保
・効率は37%達成


ガスタービン排気ガス(773K)の一部を直接高熱源とすると熱効率50%が達成され
・現在の複合サイクル熱効率に匹敵
・出力は26MW確保

参考文献: AIChE99 Spring Meeting 115c, 118e, ASME00-GT-166





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