駆血帯を腕に巻いたまま点滴しとる!(点滴が入らんがな!)。
駆血帯(上図の黒いゴム製の紐。血を止めるためにある。
駆血帯を巻くと、動脈から血は流れるが、静脈は流れが止まり、血が溜まる。採血はこれを利用している。)
ひじに点滴を入れとる!(動かすと漏れるやん!)。
等と即ツッコミしたいところだが、我慢して欲しい。ここに映っている患者(Aと仮称)は話の筋により寝たきりで数年間の長期入院をしていると考えられる。 ここで、ある疑問が浮かび上がる。
なぜAはIVH(鎖骨下の中心静脈栄養)を行っていないのか?
ということである。
では、まず、なぜIVHを行っていないことが考えられるのか。
維持輸液量を考察する。動画をみると、点滴のスピードは0.8秒1滴である事がわかる。
この量は、大人用点滴セット(20滴=1ミリリットル)とすると、
1日当たり5400ミリリットル(5400=3.75(1分当たりミリリットル)×60×24)
で過多になり妥当ではないのだが、
小児用点滴セット(60滴=1ミリリットル)とすると、
1日当たり1800ミリリットル(1800=1.25(1分当たりミリリットル)×60×24))
となり妥当である。
ここで、点滴が24時間なのは、寝たきりで、数時間で点滴を外す必要がない為である。
上記より、点滴のスピードからして小児用の点滴であり、1日2L弱の点滴は普通で、IVHを使うことは無い。
また、マーゲンチューブ(鼻からの栄養供給)によるとしても1日2L弱はおかしい。
これに対するツッコミとしては、IVHからマーゲンチューブの移行期である可能性が指摘されるが、それでも2L弱は多い。
そして、その疑問に対する回答は次のように考えることが出来る。
点滴は通常、前腕に入れられるが、長期間の場合はIVH(鎖骨下の中心静脈栄養)を使うのが一般的である。
だが、何らかの事情でうまくIVHが取れない場合にあり、一時的にひじへの点滴をしていると考えられるのである。
Aの場合は、長期入院による度重なる刺入により血管がつぶれているので、血管の太いひじに入れざるを得ないのであろう。
なんと奥深いことか・・・。
でも駆血帯・・・
更に、針を刺している部分はちゃんとみえるようにしておかないといけない(刺入部の汚染や点滴が漏れが把握できるように)が、 この場合はしていない。
これじゃあまるで採血やん・・・
うーむ。これは明らかに医療ミスでは?
看護婦さん〜!
外をぼーっと見ていずに早くなおさんとあかんよ〜!とりあえず駆血帯。
もし点滴が止まって管が詰まったりしたら大変!
この看護婦さん、いい看護婦さんになってね。
TV次回の、医療ミスの現状と考察、及び、その後の看護婦さんの成長が気になるところである。