東沢渓谷―木賊山―甲武信小屋

                               2002.7.27

                                    跡部正明

夏も真っ盛り、梅雨も晴れ、会社での暑気払いに急がしい合間をぬって兼ねてからの

懸案であった東沢渓谷にでかけました。沢登りは、最後は道が分からなくなるのは分か

っているので、単独行は良くないが、初級の沢で、ローブも必要ないはずでしたし、過

去に3回も下見しているので、経験も充分積んでいるいるはずということで、出かけま

した。下見が済んでいることで出発に余裕を持ちすぎam10頃から沢に入りましたが、

これがどうも良くなかったようで、夜中は大変寒い思いをしました。

7/27(土)晴:

東沢渓谷―木賊山(2480m)―甲武信小屋、小屋泊まりのつもりがビバーク。

行程12H

東沢渓谷渡渉口(12:30)−側路の終わり(11:30)―ビバーク開始(19:50)

   東沢渓谷へのチャレンジは今回で4回目、だんだんと到達距離が延びているいるの

   で、今回こそは今日中に小屋までたどり着くつもりで沢にはいる。毎年7月の梅雨

   明け頃になると水が恋しくなり、沢に入るようになった。天気の良い時に沢を遡行

   して素足に水の感覚を感じるのは何ともすがすがしい。過去には西沢渓谷の不動小

   屋跡から入ろうとしたが道が壊れており退散、次には東沢の吊り橋付近から入り側

   路の終わりまで行ったが時間が足りなくなって退散、前回は魚止メノ滝付近まで行

   ったが天気が良かったのに昼立がやってきて、急に増水し、腰ノ上まで水かさが増

   えたので恐ろしくなって退散、となかなか手ごわい。今回はビールを沢山、食料も

   沢山持って余裕でもって、楽しむつもりのチャレンジでした。

    東ノナメ       西ノナメ

  さて天気いいし、ナメの水は清らかで、渓谷も新緑が残っているしで気分爽快、西

   ノナメを過ぎた辺りで、pm1時に日向ぼっこをしながら暖まってしまったビール

   を飲んだが食欲はない、いつものことで山行にくると、登っている時には食べない

   習慣が身についているようだ。側を通り過ぎた2人組に「余裕ですね!!」と声を

   かけられる。沢音を聞きながら地図を見るとあと4:30はかかりそうであるが、

   まあなんとか小屋には着けるだろう。水温は25℃ぐらいか、気温は32℃、渡渉

   していても冷たくはなく心地良い。ズボン、パンツまで濡れているが着替えるほど

   ではないがシャツだけは着替えるが、その時に蜂にさされる。刺し終えた後の満足

   感からか、動きの緩慢で太った蜂をその場で捕まえて懇ろにに弔ってやるが、虫さ

   れはを持っていないので、ひたすら我慢するしかないようだ。

    魚トメノ滝 14:00     両門滝 15:00

   ここら辺にくると、自然の雄大さを直感する、高さは1450mとそれ程ではにが、

   先ほどのビールが少しはこたえたか、崖登りはきつく感じる。

   魚トメノ滝を過ぎた頃から、先ほどビールを飲んでいる時に声をかけられた2人の

   後を着いて行く。お2人は山岳会に入ってるベテランらしく、装備も充分、若さも

   充分、地図もしっかり見て沢の道無きところを見極めて登って行くのを、頼り甲斐

   ありとしてひたすらついて行く。両門ノ滝を過ぎた頃から道が分からなく、それか

   らはひたすら尾根を目指して、藪を掻き分け、潅木を踏みつけて、上に登るだけに

   なる。日は暮れて暗くなり、置いて行かれれば心細い。ひたすら、道が分かってい

   るらしい若い2人を追いかける。夕暮れになったせいか薮蚊が無数の様にわき出て

   きて顔と言わず、鼻と言わず、耳の穴と言わず五月蝿くまとわりつく、息が上がり、

   膝はゆうことを効かなくなるが、とにかく頑張ってついて行くしかない、離れれば、

   もう道は全然分からなくなっている。19:30ついに全く暗くなり、ビバークす

   ると告げられる、ビバークの準備はして行かなかったので、装備に心配はあるもの

   の体力の限界に達していたので、とりあえずホットして、置いて行かれず良かった

   と思う。ビバークの準備もさることながらとにかく息を整えた。小屋泊まりの予定

   だったので、心配すると遺憾かと思って携帯電話はするが、ここは電波が通じない

   ので諦める。

   幸い天気が良く星空で、夜露も降りなかったが、夜中は冷えた。都会の夜は蒸し暑

   いだろうに、冷えて、冷えて眠れない、本当に別世界の夜を過ごしました。翌朝は

   4:30に起床、5:00出発。ビバークした場所は木賊山山頂2480mの手前、高度

   差で50-0m程度下だったらしく、まもなく木賊山頂上にたどり着く。

   お2人によれば、沢登とはこんなもので、道なんかは充てにしないものだそうだ。

   でも、省みれば両門滝付近であったはずの道を外れている、その道だと木賊山には

   行かずに甲武信小屋の直下に出たはずである、またまた省みれば山岳会とは無理な

   登り方をするものだとも言える。

   

7/28(日)晴:

甲武信小屋(:15)―近丸新道入口(6:40)―西沢渓谷分岐戻り(8:50)―駐車場

戻り(9:20)

   小屋に着いて一休みして、小屋の宿泊者が出発したので、そろそろ下り始めようか

   としていたら、小屋主の「徳さん」が「アトベさんはいるかね」と探している。私

   ですと言うと、昨晩、自宅から「行っていませんか」電話があったらしい。小屋主

   は小屋には着いていないが沢に入ったのなら、どーせ、何処かでビバークだろう。

   翌朝に着くだろうから、探して電話させると言ったのだそうだ。早速、小屋の無線

   電話を借りて、自宅に電話する。妻は小屋の電話番号をインターネットで検索して、

   見つけたのだそうだ。お礼に電話代100円を払い、朝ではあったがビールを買っ

   て、ホットしたせいか美味しく戴きました。

   下山は山岳会のお2人は沢登り用の靴であったが、私は地下足袋を登山靴に履き

   替えていたので、楽に下ることが出来ました。

沢登りは、水に浸かって歩いているうちは気持ちの良いものですが、いつもながら最後

は道を失い、大変な思いをします。もう少し慣れれば要領がよくなるのでしょが、また

来年もこの時期になると沢が恋しくなるでしょう。

帰りには、例により温泉に寄りましたが、あちこちの擦り傷、蜂刺されに大変効果があ

ったようです。

                                  (完)