――ニット情報――
Knitting GEMI 手編み通信講座より
「ゲージ」って?
作品を編む前に、作り目は何目?袖ぐりはどうやって減らすの?という問題にぶつかります。
その時にゲージを編みます。
編みたい模様を15センチ四方に編んで、編地の裏からスチームアイロンを浮かしてかけます。
中心の10センチに何目、何段あるか計ります。それを“ゲージ”といいます。
どんなものを編むときにも必要です。面倒と思わないで必ず編みましょう。
このゲージをもとに作りたいサイズに仕上がるように、部分ごとに目数、段数を計算して出します。
そうしないと大きくなったり、小さくなったりでがっかりです。
「割出し」って?
2−1−3 など減目、増目の方法が書いてありますね。
ゲージからそれぞれの箇所のサイズに目数、段数を当てはめることをいいます。とても大事です。
同じ糸で編んでも、編む人が違うとゲージも違ってきます。それでいいのです。
大切なことは編地がきつくないか、ゆるくないかということです。
自分で編んだゲージから割出しができればどんなデザインも好みの糸、希望サイズで編めます。
アイロンがけ
よく街でとても素敵な手編みのものを着ている方を見受けますが、アイロンがきちんとかかって
いないことが多く、とても残念で、もったいない気持ちになります。
まず、それぞれのパーツができたら、実物大の製図の上に編地の裏を上にしてピン打ちします。
ゲージの時と同じようにスチームアイロンをかけます。
完成したらとじ、はぎをした所を整えるために仕上げのアイロンをかけます。
ニットのお手入れ
そろそろ春物が気になりますね。冬の間お世話になったニットのお手入れはどうしていますか?
クリーニング屋さんでしょうか。 ちょっと待って下さい。 かなり信用のあるクリーニング屋さんでも
「あの手編みの風合いのあるニットのままで帰って来ることがない。」ということにお気づきですか。
ぜひ、手洗いをしましょう。
ニット専用の洗剤で洗います。 水でOK。 静電気防止剤、柔軟剤が含まれています。
<HOW TO...>
1 セーターなど洗うものを裏返しにしてたたみます。
2 洗剤を溶かし、10分間つけて置きます。
3 2回のすすぎ。多少泡が残っていてもかまいません。
4 軽く手で押し、そのままバスタオルに包みます。洗濯機に入れ、20秒脱水。
5 ネットなどに広げ、陰干しにします。
竿にかける時は2本竿を並べ、バスタオルの上からかけましょう。
ふっくらとした編み上がった時そのままの風合いになります。
★仕上げがきちんとしている場合は、アイロンがけはほとんどいりませんが、
気になるようでしたら、セーターの裏からアイロンを浮かせて(ココがポイント!です。)
スチームをあてましょう。
★洗剤は、オールマイティーのものではなく、ニット専用のものがいいでしょう。
ドライクリーニング用ですが、ニットから毛布、カーテン、普段着、ランジェリーまで
幅広く使えます。
手に入らない場合は、こちらでお買い求めできます。ご連絡ください。(送料は、ご負担下さい。)
――テクニック情報――
単純な編地を豪華に見せたいとき
単純な編地のときは、素材のおもしろさをテーマにすると成功します。
糸に懲りたい場合の編地は、比較的無表情に近いものを選ぶことです。といっても、まったくプレーンな長編などだけでは、
やはりアウトウエアなどには物足りないので、長編主体の簡単な模様編を選ぶと無難です。
良い例:ブークレ、カールヤーン、リングヤーン、引きそろえなどを使うと、編地の複雑なニュアンスが生かせます。
好ましくない例:極細1本取りで編んだもの。浅薄な感じのする編地です。糸が単純、編み方が単純なため、受ける感じが無
表情になります。技術の欠陥も目立ちやすくなります。模様にポイントを置いた編地を選ぶことです。
写真だけで模様の感じを判断するのは危険
模様編の本に掲載されていr写真は、10cm足らずの小部分の範囲です。しかも大抵は実物より縮小されています。
ですからこの写真の上だけで模様の大きさ、感じなどを判断するのは危険です。
実際に作品にする場合は面積も大きくなりますし、また使用する素材、糸の太さなども異なる場合が多いため、見本とかなり
感じが違うことが起こります。常に写真は普通タイプの糸で、小部分の範囲が写されているということを頭に置いてください。
1模様の単位が小さい模様:写真の上でははっきり模様の形もわかりますが、これで面積の大きいツーピース、ワンピース、
コートなどを編んだと仮定すると、模様の形は消されてしまい、地模様風に感じる程度です。
模様の美しさで着る作品にしたい場合は、もっと1模様の単位が大きいものを選びます。
1模様の単位が大きい模様:写真の範囲では完全に1模様が写しだされている程度です。大きい模様だからといって敬遠する
かも知れませんが、これをワンピースなどに使うと大きな模様がはっきり浮き出し、大柄なタイプの方などには大変効果的です。
このように、模様はいつも作品に結びつけて考え、選び出す習慣をつけてください。
むずかしい模様が必ずしも美しいとはいえません
少々腕に自信がつくとむずかしいものに挑戦してきたくなるものです。
手の込んだむずかしいものが良い作品だという錯覚に落ち込んでしまう時期です。しかし、必ずしもそうではありません。
簡単で、非常に短時間にお編み上げられる模様の中にも、大変効果的なものは数多くあります。
例:かぎ針編の長編とネット編の組み合わせ
スピーディーに編め、透かしと長編のコントラストも美しく、長編をかっちり編めばダレも防げます。
細い糸で編めばあまり透けなくなり、幅広い範囲に使えます。
引きそろえ
引きそろえとは、言葉の糸を何本か合わせることです。何本か合わせて編む目的には、糸を太くしたり、また何色か合わ
せてきれいな色を作り出すなどいろいろあります。
1口に言えば、自分だけの特殊な糸を作り出す、ということになります。
つまり既製の糸では味わえない糸の質感、色彩、または太さの糸を、自由に作り出せるという魅力があるのです。
しかし、ただむやみに糸を合わせるだけでは、効果的な引きそろえは出来ません。
自分だけの素材を、自分の手で上手に作り出すために、一緒に考えましょう。
C 変わり素材の使い過ぎを防ぐための引きそろえ
変わり糸は質感がいいから、何とも言えない味があるからといって、むやみにそればかりたくさん使うのはよくありません。
かえって堅い感じになって風合いを損ねたり、重くなったりすることもあります。
そんな意味からも変わり糸はほどほどの分量に押さえ、それとよく似た色の普通タイプの糸を替わりに使います。
―まとめ― 以上、引きそろえをするために必要な4つの基本的な考え方を述べてみました。引きそろえをする場合には、
一体何が目的で糸を組み合わせるのか、それをまずはっきり決め、その目的に合わせるための組み合わせを
考えてください。
B 変わり素材を生かすための引きそろえ
変わり素材の使い方は大変むずかしいものです。
変わり糸で模様編をする場合は、普通タイプの糸を混ぜると素材の表情が柔らかくなり、模様が生きてくるのです。
例えは、ブークレ、ネップヤーン、ツイードなどの糸を1本で編むよりは、普通タイプの糸を混ぜたほうが模様が生きてきます。
A 配色をテーマにする引きそろえ
既製の糸の色では物足りない場合、好みの色を何色か合わせて編み、色のミックスにより全然イメージの変わったものを
作り出すことが出来ます。
3色以上の色を合わせると、まとまらない傾向が多くなります。
無計画にただ多くの色を合わせたのでは、視覚が分散して、ちぐはぐなものになりやすいのです。
そんなときは必ず無彩色の糸を1本加えてみることです。
白、グレー、黒など、色の感情を補なう色を1本加えると、見違えるほど効果的な引きそろえになります。
赤、黄、エメラルドグリーンの3原色に黒を1本加えると、けばけばしい感じも押えられ、大変落ちついた雰囲気のものになり
ます。
ジャンボ編用の太い糸を作り出すときは、特にこの配色について注意しなければなりません。
編み目が比較的単調になるジャンボ編では、どうしても引きそろえの色の美しさで見せる作品になるからです。
フランスのジャンボ編の作品には、必ず白の糸が入っていますが、なるほどとうなずける組み合わせでしょう。
@ 糸を太くするための引きそろえ
極太2本どりの場合:
比較的糸のよりが強く、しかも太い糸ですから、2本の糸がなじまず、編目のでこぼこや目と目の空間が目立ち、
あまりきれいな編地とは言えません。
中細を5本どり、極細を10本どりにしたもの:
編み目の表情がだんだん柔らか味を増し、編み地がしっとりと落ち着いて来ます。
モヘアの糸を加える:
1本モヘアの糸を加えることによって毛足が糸のからみを良くし、全体がなじんできます。
段染め糸
段染め糸を使用するとき、あらかじめ知っておいて欲しいことは、1色に染められた糸の長さと編目の関係です。
等間隔に染め分けられた糸を使用して、編み目の高さの異なる編地を編めば、当然色の変わり方に変化が出るため、
編地全体の表情が大きく変わってくるということです。
表メリヤス編、裏メリヤス編、細編、中長編、長編...と編み目の高さが次第に高くなるにつれ、色の変わり方も変化していき、
それが一定のリズムで繰り返していきましす。
プレーンな模様が効果的で、凝った模様にすると、色の変化で模様が消されてしまいます。
編地について
編地にはスポーティーなもの、ドレッシーなもの、柔らかいもの、堅い感じのもの、激しいもの、やさしいもの、男性的なもの、
女性的なもの、平面的なもの、立体的なもの・・・・・・と、数え上げていけば限りがありません。
編み目の組み合わせによって、無限の編地ができ、それぞれに全部表情があるのです。
編地の表情を敏感にとらえることが、最も効果的な扱いをする近道といえましょう。
ドレッシーなワンピースを作ろうと思っても、編地の表情を見分ける感覚がないと、どの模様がドレッシーで、どれがスポー
ティーかわからず、とんでもない模様を選び出してしまう結果にもなるのです。
普段、模様の本を見て、模様の性質を見分ける練習をしてみることも、大切な勉強の一つといえます。
また編地の性格を知ることも大切です。
例えば透かしの多いものはダレが生じやすく、引き上げ模様は丈がつまって横に広がりやすい、また同じ方向ばかりの操作が
続くものは編地が流れやすい、など、その模様によって無難なもの、欠点の出やすいものなどいろいろあるのです。
欠点の出やすい模様は、小部分には使えますが、ワンピースやツーピースなど大物を作るときには、やはり一考を要する編地
ですから、安定感のある編地を探すことが大切です。
素材について
B 素材に重点を置く場合
同じ模様編でも、使う糸によって表情が非常に変わります。
例えば、極細のものは繊細でドレッシーな作品を作っても良いイメージですが、並太のものは荒けずりで、スポーティーな
印象を受けます。
これを、ブークレやツイードなどの変わり糸、リボンヤーン、何色かの引きそろえなどにすれば、限りなくいろいろな表情を出す
ことが出来るわけです。
「この形をこの編地で」と、すでに決めてあっても、糸(材質と色)をいろいろ変えてみることが、編物ではどれほど大切なこと
であるか、十分理解していただきたいと思います。
A 編地に重点を置く場合
編物らしいワンピースやツーピースといえば、編み目の美しさ―模様効果を強調することになります。
この場合は模様がもっともはっきり表現されるような糸、つまり普通タイプの糸が効果的です。
模様編で変わった糸を使うと、はっきり模様が現れませんから、それだけ手をかけた効果がないというわけです。
しかし変わり糸を上手に使いこなすと、普通タイプでは得られない、こくのある質感の編地を作り出すことができます。
模様編をテーマにした作品のシルエットは、まずプレーンなものに落ち着きます。
模様はできるだけくずしたくないので増減目は避けたいし、縁編もあまり目立たせずに、ぱっと見た瞬間、まず模様編と色の
美しさが目にしみるような作品にしてみてはいかがでしょう。
模様を中心に考えますと、編み目の変化で起きるダレが常につきまといます。
着丈の決め方には特に注意が肝要です。
@ シルエットに重点を置く場合
シルエットを作品のポイントにしたいときの編地は、絶対にダレや縮みを起こさないような、安定した編地を選ぶことです。
編地にあまり変化を求めては無理です。
これに使う糸は、変化に富んだツイード調のものなどが効果的です。
普通タイプの糸を使いたいときは、比較的細かい、目のつんだもので、かっちりした地模様を選ぶと効果的です。
リボンヤーンって?
他の素材と異なり、扁平で幅の広いものですから、扱い方もむずかしく、糸で見たときの美しさがなかなか編み地に表せない
ものです。
リボンの持つ、独特の風合いを最高に生かした、効果的な編み方を見てみましょう。
<留意点>
1.整然とした模様は適さない。
2.あまり凝った模様を選んでも効果がない。
3.張りがあり糸なので、ともすると固くなって風合いに欠けることがある。
4.玉編みやパプコーンなど、立体感のある編み目は効果的に表現できない。
5.リボンがねじれないで、率直に素材の良さが生かせる模様を選ばないと失敗する。
<効果的な使い方と編み方>
〇七宝編・・・効果的な編み方の代表的なものです。ショールなどに適しています。
〇松編・・・かぎ針編みの中では適した編み方です。
〇モヘアとの組み合わせ・・・軽くてふわっとした感触の素材同士、かなり良くとけ込んで効果的です。
〇極細毛糸との組み合わせ・・・3目1度の模様もうまく生かされ柔らかい表情になります。
モヘア糸って?
アンゴラ山羊の毛のことを言い、動物繊維の中で最も光沢が見事で、毛の太さ、柔らかさともに優れています。
最近はこの天然繊維の質感を化繊で代用したものが多く出ています。
化繊100%のもの、ウールをやや混紡してあるものなどですが、柔らかい質感には欠けますが、天然繊維より光沢もあり丈夫
です。
<適したゲージ>
ふわっとした糸の質感を生かしたいために、どうしても太い針でざっくり編みたくなります。
例えば、かぎ針編のネットの多い透かし模様の場合、着ているうちに伸びきってしまい、大きなダレを生じます。
モヘア1本だと、だんだんモヘアの毛糸が押しつぶされてしまい、薄い貧弱なものになってしまいます。
その場合には、プレーンな細い糸を1本加えてみるのも良い方法でしょう。
<模様の選び方>
モヘア1本ですと、あまり透きのない模様がいいでしょう。
極細を1本加えると、模様が効果的に表現され、伸びもなく質感や風合いも良くなります。
段染め糸とのからみもよく、引きそろえの効果が上がります。
また、モヘアには向かない模様としては、繊細な表情の編み目、ピコットも合いません。
糸の重なりの多い、地厚なものも効果的ではありません。
ネップヤーンって?
名前の通りネップの入った糸で、細いウールの芯糸に、ネップがからみ付いている素材です。
とても変化のある糸ですから、扱い方もむずかしく、素材の持ち味を生かした編地を選びましょう。
<模様のえらび方>
ネップヤーンは、透かし模様の場合、編目の状態がくずれてしまうため合いません。
ネップヤーンに極細を1本加えると、素材の感じがぐっと柔らかくなり、模様が生きてきます。
単純な模様でも、素材の複雑さが全体の表情を凝った質感、味のある模様にします。
ブークレ糸って?
「カールされた」とか「輪にされた」という意味のフランス語です。
ブークレは芯糸に2本の細い糸がからみ合ってできているので、この縮みを損ねない程度に使うのが、ブークレを編む上での
基本です。
<模様のえらび方>
ブークレは糸自信に飾りがあり、起伏があるため、複雑な模様を選ぶと失敗します。
編地はシンプルにし、糸の持つ独特な表情を素直に表現しましょう。
棒針編は、なわ編みよりもかのこ編みのように模様の単位をぐっと小さくしぼり、地模様風にすると失敗しません。
かぎ針編は、パイナップル模様よりも、長編みや方眼編との組み合わせ程度の幾何学風な模様にすると効果的です。
<使い方>
普通タイプの糸に比べて作品が重くなり、着くずれの原因になります。
ブークレに極細の糸を引きそろえて使ってみましょう。
――イベント情報――
2009年
そごう八王子店 手づくり作品フェア 9月16日(水)〜21日(月)
MOTEGI FUJIKO ニット展 〜糸の持ち味を生かして〜 オレンジギャラリー 池袋 2月5日(木)〜8日(日)
2008年
デザイン・フェスタへ出展 東京ビッグサイト 11月8日(土) 9日(日)
――メディア――
●ラジオ番組 「FM多摩」に生出演
2007年10月10日(水) 14:35
お教室の取材を兼ねて、生徒さんと共にインタビューにお答えしました。
●朝日TV 「クイズマンショー」
2007年10月 16:30
出張指導について問題提起しました。
●ラジオ番組 「J−WAVE(81.3MHZ) ビバ!アクセス」に生出演
2002年2月12日(火) 13:30
教室、通信講座、ショップの紹介です。
●BS朝日TV 「バラの舞踏会」 ――恋――
2002年1月11日(金) 22:00〜22:30 に出演
編み物への思い、基本的な編み方、作品、お教室の様子などを紹介しました。