2004年6月議会報告 


苗村洋子一般質問

公の施設と指定管理者制度

 昨年、地方自治法が改正され、指定管理者制度が導入されました。公の施設(前回65号のわいわいラムで述べましたが、おおむね市民が利用できる施設のこと)の管理業務は、これまで第三セクターや公共団体、公共的団体に委託先が限定されていました。その制約をはずして、民間企業も含めたさまざまな団体がその仕事を受けることができるようになりました。個人以外のあらゆる団体が対象となります。この制度を使う場合は、条例で定めること、指定には議会の議決が必要であることが条件になっています。

 この法律が施行されて、小平市ではさっそく子ども家庭支援センターが指定管理者の第1号となりました。また、2006年9月1日までに管理委託制度が廃止されるため、少なくとも現在管理委託をしている施設は、指定管理者制度にかえるか、直営にするか、選択しなければなりません。これを機会に、公の施設の管理のしかたやアウトソーシング(外部委託)のあり方、そしてその中で行政が果たす役割や責任といったものを捉えなおす必要があるのではないかという観点で質問しました。
 
  まだ決まっていない点が多く、提案したいくつかの点については、それも含めて検討するという答弁でした。例えば事業者選定の透明性を確保するための選定委員会の設置は視野に入れている、施設ごとの条例だけでなく一般条例も必要という提案についても、一般条例をつくるかどうかも検討しているといった具合です。

 この制度は、うまく使えば市民とのパートナーシップで市民ニーズに合った施設管理ができますが、一歩間違えると、コスト削減だけに目が行き民間に丸投げすることになったり、逆に柔軟性のない硬直化した運営になるかもしれません。そのため、両刃の剣とも言えるものです。将来の展望については、「なんでも民間の競争に投げ込んだとは思わない。施設の性格によって取り入れていくことになる」と、市は制度導入に慎重な姿勢を示しています。今後も制度の使い方を含めて注目していきたいと思います。

 「化学物質の子どもガイドライン」については、今年3月に出された殺虫剤樹木散布編と昨年の室内空気編を中心に、リスクコミュニケーション(健康に及ぼす影響などのリスクに関して、正確な情報を行政、関係者、住民などが共通認識を持ち、相互に意思疎通を図ること)の重要性を主張しました。



岩本ひろ子一般質問


子どもの権利保障の仕組みづくりはすすんだか

  1994年に子どもの権利条約が日本で批准されて今年でちょうど10年になります。今年の1月には、ジュネーブで行われた国連子ども権利委員会より、日本政府に2度目の勧告が出されました。学校現場での対応を含め、権利保障や子ども参加がどこまで進んだか、これまでに自治体がつくった子どもに関する計画に子どもの権利がどのように位置づけられているか、今年度中に策定が義務付けられている「次世代育成支援行動計画」の中でどのように盛り込まれていくか、などについて質問しました。

 
教育委員会からは、いじめや不登校の問題については、スクールカウンセラーの配置など教育相談体制の充実で対応している、子ども参加については子どもによる授業診断や学校評価の結果を指導の改善に活かす学校が増えているという答弁でした。また、権利侵害にあった子どもの救済機関として、第三者機関である子どもオンブスパーソンの必要性を主張したときには、学校公開などの場面で子どもたちと接する地域のおとながその役割を果たすというあきれた答弁が返ってきて、学校現場でいかに「子どもの権利」の視点がないかを知り愕然としました。さらに、子どもに関する計画策定においては、子どもの意見を取り入れようとする積極的な姿勢が見られませんでした。

  子どもを取り巻くさまざまな問題の解決のためには、子どもに対する規制や管理を厳しくしたり、愛国心や道徳心をおしつけるのではなく、子どもの権利条約の考え方を普及し、子どもを励まし、自分らしくいられる場づくりや、子どもの意見表明や参加のしくみをつくることこそが早急に求められています。直接子どもと接している自治体の責任は大きく、今後もあきらめずに市民や行政に働きかけていきます。

移動サービスの今後の展開について

  移動サービスについては3月議会でも質問しましたが、その後3月16日に国土交通省から、いわゆるNPOによる移動サービスのガイドラインが示されました。社会的に移動サービスの役割とニーズが認知されてきています。前回でのやりとりを踏まえて、今後の施策の展開について質問しました。

  ガイドラインに示されている運営協議会は、今後の移動サービスの行方を左右するものです。行政、NPO、民間バス、タクシー会社が同じテーブルにつき協議していく中で、小平市の移動サービスの充実を図っていくためには、是非とも設置すべきだと思います。また超高齢化社会を間近に控え、移動サービスのニーズが急激に高まることが予測されます。

  福祉分野での連携は当然のこと、将来的には、コミュニティバスや民間バスなどを含め、市全体のトータルな視点で交通計画を立てることが必要です。その中でドアツードアの移動サービスをどのように位置づけるかも含め、市全体の交通政策を検討すべきであると主張しました。