2004年12月議会


苗村洋子 一般質問

警察と学校の相互連絡制度について

 小平市教育委員会は、東京都教育委員会からの求めに応じ、「児童・生徒の健全育成に関する警察と学校との相互連絡制度」について、個人情報保護審議会に諮問したうえで、警察との間で協定を締結しようとしています(質問後の12月17日締結しました)。これによって子どもたちの個人情報が学校と警察との間でやりとりされるようになります。
 当然のことながら、個人情報保護の観点や子どもの人権という観点から、この協定は非常に問題が多いと思います。警察の子どもに対する対応が人権に配慮されていない例をよく聞きます。また、個人情報の目的外利用でしかも外部提供ということになります。「児童・生徒にかかる非行・問題行動及びこれらによる被害について、学校が保護者、地域、その他諸機関との連携のみでは解決を図ることができない問題行動について、警察に目的外外部提供をすることにより、問題解決を図るため」というのが諮問に示された個人情報の目的外利用の目的ですが、これまでも個別案件については「個人の生命、身体又は財産の安全を守るため緊急かつやむをえないと認められるとき」警察と連絡を取り合ってきました。それをなぜわざわざ新たな協定を結んで包括的に連絡体制をつくろうとするのか、理解できません。
  小平市で少年犯罪が増えているのでしょうか。非行少年(犯罪行為をするおそれのある子どもも含む)の数は増える傾向にはありません。犯罪は増えていないのに、補導される子どもの数が2002年に跳ね上がっています。これは、警察が子どもに対する取締りをこの年から強化したことを示しているのです。このような状況で、子どもがよりよく育つようサポートする役割の学校と子どもを取り締まる警察との間で子どもの個人情報を連絡し合うことは、教師と子どもとの信頼関係も損ないかねません。答弁では「捜査協力ではない」と言っていましたが、警察に流れた情報は消しようがありません。
  社会全体が寛容さを失い、とりわけ子どもを許容することができなくなっていると感じます。確かにショッキングな事件はありますし、防犯も必要でしょう。子どもたちの安全は重要な視点です。でもそれが、学校と警察の結びつきを強めることではないと思います。私たちの社会が窮屈で息苦しいものにならないように、警鐘を鳴らし続けることが必要です。
 

  「指定管理者制度について」は、選定委員会に外部委員を入れること、個別条例のほかに一般条例をつくるべきであると提案しました。
  「介護保険の今後の展開について」では、介護予防と小規模・多機能型サービスの今後の展開と課題について質問しました。



岩本ひろ子 一般質問

子どもの健康と性教育について
 
 今十代の性感染症や人工妊娠中絶が急増しています。その背景のひとつに子どもたちが性に関する正しい知識を持っていないということがあります。子どもたちを取り巻く環境をながめてみると、性の商品化が進み、雑誌やインターネット、その他さまざまなメディアからの不正確で歪んだ性情報が垂れ流しにされているのが現状です。無知による感染症や望まない妊娠から子どもたちを守るためには、人権の尊重や男女平等といった視点に基づいた的確な性教育が必要です。そして興味本位のでたらめな情報を鵜呑みにせず、子どもたちに自分で判断し自分で考えて行動する力をつけさせることが大事ではないでしょうか。そのためには小学校低学年からの発達段階に応じた計画的なプログラムに添った性教育が必要であると主張しました。
  教育委員会では「発達段階に応じておこなっている」との答弁でしたが、例えば初経を例にとってみても、今だに6年生の移動教室に間に合うように、女子だけ集めて手当ての仕方を教えるというような学校もあるという状況なのです。行政の役割として子どもたちの健康をどう守っていくかについて具体的な答弁は引き出せませでした。
  性について、子どもたちと向き合って話すことにまだまだ抵抗があるというおとなが多いと思います。時期がくれば自然とわかるという風潮もまだまだ強くあります。しかし子どもを取り巻く状況が大きく変化している今、そんなのんびりしたことは言っていられません。子どもの健康を守るために相談機関の設置も含め、今後とも声をあげていきます。

災害時の情報伝達と災害弱者への対応について

  相次ぐ台風の襲来、新潟中越地震の発生により、災害時の情報伝達と高齢者や障がい者などの災害弱者への対応について質問しました。
  小平市の災害対策については2002年に修正された小平市地域防災計画に基づいて行われています。情報伝達については防災同報無線や広報車によって行われますが、実際に市民すべてに伝達するということは大きな課題となっています。今後は携帯メールに配信することなども検討されてはいるようですが、災害時の迅速かつ正確な情報提供は行政の責務です。今あるシステムを再点検し、更に様々な手段を考えていくことが必要です。災害弱者への対応については、人数把握もむずかしいというような状況です。見守りネットをどう機能させていくか、そのしくみについてもこれからというところです。行政がいう「自分の身は自分で守る」というのは当然のことではあります。しかし特に災害弱者といわれる方たちには、当事者の声を聴きながら、必要な情報を提供しサポートするしくみをつくっておくことが必要です。