生活者ネットニュース こだいら No.64       2004/2/20発行
市民の力を生かそう
「小平元気村おがわ東」開設


 
旧小川東小学校が1月29日「小平元気村おがわ東」としてリニューアルオープンしました。この2階では、『子ども家庭支援センター』『男女共同参画センター』『青少年センター』そして『市民活動支援センター準備室』の4つが活動を始めています。市民活動がここを拠点に広がっていくことが期待されます。

とりあえず4つのセンターができた
 
小川東小学校は、2001年4月に小平第六小学校に統合され、子どもたちは六小に通うようになりました。この旧小川東小学校の施設をどのように使っていくか、活用計画が2001年から02年にかけて検討されました。
その間、これまでに比べると、小平市としては数段進んだ市民参加の場が提供されています。地域懇談会や検討懇談会に加えて、市として初めてワークショップという手法も取り入れ、さらにパブリック・コメントも募集するなど、情報提供と広く一般からの意見の募集がすすめられ、市民どうしの議論へと場をつくる姿勢は見えてきました。
しかし、残念ながら、市が最初に示した素案とでき上がった計画とではほとんど違いがなく、市民の議論の成果が見えにくい形になってしまいました。
 その後、『子ども家庭支援センター』『男女共同参画センター』『青少年センター』『市民活動支援センター』という4つのセンターに入れる機能や運営方法についてそれぞれの部署で検討がされ、同時に施設リニューアルに向けた内装工事も始まりました。なかでも市民活動支援センターは、市民活動をしている団体が集まって検討を重ね、市民自身による運営をめざしています。

利用する側に立った 開業時間を
 
オープンした「元気村おがわ東」は複合施設です。1階は福祉施設で、シルバー人材センターや作業所などが入り、3階は教育施設として教育相談室やあゆみ教室が4月から開設することになっています。そして2階に4つのセンターが集まっています。このなかで、例えば子ども家庭支援センターは年末年始と日曜・月曜・祝日が休みで開業時間は午前10時〜午後6時となっており、休日利用や仕事を終えてからの利用は難しいと思われます。
 また、市民活動支援センターはまだ準備室なので一緒にすることはできませんが、センターによって休業日や開業時間が違っていて、混乱が危惧されるところです。子ども家庭支援センター以外は、まだ場所がとりあえずできたという状況で、具体的な活動はこれからつくっていくことになりそうです。

つくっていくのは これから 
 4つのセンター、さらには元気村全体の運営や調整をどのように行っていくのか、この施設の存在と大勢の人が集える場であることを、市民とりわけ青少年センターを利用する子どもたちにどう知らせていくのかなど、課題はたくさんあります。それぞれのセンターで市民活動が展開されるのですから、市民が主体となってコーディネートしていくことが大切です。その意味からも、市民活動支援センターの市民運営に寄せる期待は大きくなります。市民の力を発揮し生かしていく場にすることが求められています。そのためにも、市は市民が活動しやすくなるように条件整備をすすめることが必要です。
 「元気村おがわ東」の活動が広がることによって、小平の市民活動はさらに大きく広がっていきます。せっかくできた場を市民がつくり上げていくために、まずは、みんなで注目し、参加していきましょう。


子どもも一緒に まちづくりに参加 
           〜岐阜県多治見市視察報告

 
 1月の後半に、訪問した多治見市では、子どもの権利条例制定に関わる話を伺いました。
 多治見市では、1999年より毎年継続的に子ども会議を開催するなど、子どもの意見表明や市民参加を重視したさまざまな取組みを行ってきています。そして子どもをひとりの人間として大切にし、その権利を保障する考えを明確にするため、2003年9月に多治見市子どもの権利に関する条例が制定され今年の1月に施行されました。
 条例には、子どもをおとなと共に多治見の将来を考えていく仲間として位置づけ、まちづくりに参加する権利も謳っています。議論になっている他市との合併問題に関しては、子ども会議等の場で、職員も驚くような鋭い意見が出されたそうです。私たちが視察で訪れた数日後に実施予定になっていた合併に関する住民意向調査は、18歳以上に投票権があります。
 「子どもに権利を教える事で、子どもたちに責任を持たせることができる。甘やかす事と子どもに権利を与えることは違う」ときっぱり断言された課長、「大変だったが、一諸に関わってきた子どもたちは、確実に成長している。こ の仕事に関わることができて幸せ」と話していた女性職員に感動を覚えました。
 子どもスタッフとして関わってきた高校生の中のひとりは、卒業後、これまでの活動を生かしてNPOを立ち上げたいと話していると聞きました。多治見市の子どもの権利条例への取組みの中で、確かに子どもたちは成長しているようです。
 視察を終え、あらためて子どもの権利を保障するしくみづくりの必要性を実感し、今後ともさまざまな角度から働きかけていきたいと考えています。                                               岩本ひろ子

岩本ひろ子のコラム

都市の夜は明るすぎる?
 
「光害」ということばをご存知でしょうか?「ひかりがい」と読むのですが、夜間の屋外照明によって人間や動植物の活動に悪影響を及ぼす状況のことをいいます。この光害から美しい星空を守ることを目的に、美星天文台のある岡山県の美星町では光害防止条例が制定されており、国立天文台のある三鷹市では光害防止指導指針がつくられています。こうした光害を防止する取組みは他の自治体でも少しずつ広がっており、照明器具等の基準を定めたり、照明時間の制限などが行われています。
 過剰な照明は星を見えにくくするだけではなく、資源エネルギーの浪費を伴い地球を取り巻く環境にも影響を与えます。また、動植物の生態系にも悪影響を与えることが指摘されています。強い光が動物の行動、植物の開花や紅葉、結実を狂わせる要因となっているともいわれているのです。稲やほうれんそうへの影響についてはよくいわれるところです。
 都市の夜は明るすぎないでしょうか。24時間営業のコンビニの明かりは、一晩中こうこうと灯り、いたるところにある自動販売機は夜ともなると大きな照明器具と化し、無駄なエネルギーを放出しています。商業施設のイルミネーションは年々バージョンアップしています。
 防犯の視点から夜の安全を守るための対策は重要であることは言うまでもありませんが、同時に環境や生態系への配慮も必要です。むやみやたら明るく照らすのではなく、例えば街路灯は足元だけ照らし光が漏れないよう傘をつければ、エネルギー効率も向上します。その地域その場所に適切な照明かという視点にたち、改めて不適切な照明を減らして効率的にするような工夫が必要です。
星座の美しい季節です。星空を取り戻すためにも、必要最低限の照明を心がけたいものです。


子育て広場「きらら」が できること                   野村 貴子
 
子どもを産んで初めて経験した「孤独」
 なぜ、いとおしい我が子との生活が「孤独」と感じるのだろう…、そんな疑問と、様々な活動の中の一つである子育て情報誌「おさんぽ」の作成を通して出会った母親たちの声から始めたのが子育て広場「きらら」でした。
 「きらら」は、基本的には申し込みも時間の制約もなく、来たいときに来たいと思う人がふらっと来てふらっと帰れる、そんな自由に遊びに来られる場所を子育て中の親とその子どもたちを対象に提供しています。現在、5つの「きらら」を様々な場所で開催しており、昨年7月より一時預かりの事業も開始しました。
 「子育て支援」という言葉が社会的にも認められてきて、「きらら」の活動を応援して下さる人との出会いがたくさんありました。そして、子どもたちの笑顔はたくさんのことを私に教えてくれます。
 「孤独」を感じて泣いていたあの頃の私は、今「きらら」に集まるたくさんの笑顔に囲まれて一緒に笑っています。「きらら」にできること、それは与えるものではなく、一緒に歩いて行けること。
 今私は、心からそう感じています。