まちづくりルールを市民の手に
小平市内のあちこちで、大規模・小規模の宅地開発が盛んになっています。突然、計画を知らされた周りの住民と建設業者との間でトラブルが起こることも少なくありません。街の環境が変わってしまうこともあります。こうした問題を解決するために何が必要なのでしょうか。
変わる街の姿
「隣の雑木林がなくなって家が50軒建つんだって」「あの工場跡地に高層マンションができるらしいよ」。最近小平市ではこんな話題にこと欠きません。小平は、農地もまだたくさんあって、緑豊かな街です。また、ゆったりとした広い敷地を持った企業の研修所や福利厚生施設などが市内に点在しています。ところが、年々畑や雑木林が宅地化されて減っていき、企業の土地も戸建てやマンションに姿を変えているのです。街の環境を壊すような開発はやめてもらいたいものですが、住民がその計画を知ったときには、事業者によって多少対応がちがうものの、ほとんど変更不可能である場合が多いというのが実情です。
まちづくりルールの必要性
市民が望む街をつくっていくために何が必要なのでしょうか。2つの視点でこの問題を考えてみたいと思います。
まず、開発や建築事業者に対する規制的手法についてです。開発計画を早く知り対応していくことや、市としての規制を設けることで、住環境の悪化を防ごうというものです。これについては、市報などでご覧になった方も多いと思いますが、小平市でもようやく条例づくりや都市計画決定に向けて検討しています。今、市が検討しているのは、建物の高さの最高限度、敷地面積の最低度、開発時の公園・緑地割合の基準、大規模開発の事前周知の4つについてです。これまでは「開発・建築指導要綱」で事業者にお願いするという形で「指導」するしかなかったのですが、条例などによって強制力を持つことになります。
もうひとつの視点が住民合意です。「市民が望む街」とはどんなものかを考えると、その合意点を見つけるのは、たいへん難しいことです。けれども、あるエリアで、例えば建物の高さや建ぺい率・容積率などを制限することも、住民が合意すれば可能です。このような合意のための手法を定め、市がそのための支援をするようになれば、バラバラに個人が描いていた「望む街」のイメージが、議論を重ねることによってひとつのものにまとまっていくのではないでしょうか。それが「地区計画」や「建築協定」というものになっていれば、とんでもない開発を防ぐことができます。住民が発意して自分たちの利害を調整してルールをつくっていくのは難しいことですが、それが「まちづくり」の視点で今いちばん求められているのです。
まちづくり条例を市民の手で
最近こうした「まちづくり条例」があちらこちらの自治体でつくられています。小平だけでなく、多くの自治体で同じ悩みを抱えていることの証しでもあります。
現在検討中の規制的手法は、すぐにでも適用しなければならないので、急いでつくる必要があります。しかし、住民合意の手法については、おおぜいの市民が参加して議論することが必要です。先日成立した国分寺市まちづくり条例は、3年かけて市民や職員が議論を重ねてできたものです。この議論の積み重ねが、今度は条例を使って実際にルールづくりをするときに生かされていきます。
条例は道具です。使いやすい道具をつくり、それを使っていくのは市民であり行政です。そのために、まずは自分が住んでいる隣にどんな建物が建つ可能性があるか、用途地域を調べることから始めてみませんか。 |