学校給食からびん牛乳が消える
来年度から学校給食の牛乳容器をびんから紙パックに変えるという方針が東京都教育委員会から出されました。森永乳業多摩工場が、改修工事に伴い学校給食から完全撤退するためです。他メーカーでも紙パックに変える動きがあり、都内18の自治体でびん牛乳の存続が危ぶまれています。
どうしてびん牛乳?
びんにこだわらなくても、一般ごみとして焼却するのではなく資源として再利用するのだから、紙パックに変わっても問題はないと考える方も多いでしょう。確かに資源のリサイクルはごみ減量のための手段として大変有効なもので、これをすすめることは大切なことです。
しかし、循環型社会の実現のためにはリサイクルよりさらに一歩すすめてリユースを優先させるしくみが必要です。びんは洗って何度でも繰り返し使用できることから、紙パックをリサイクルするよりも環境への負荷が小さいのです。一升びんやビールびんなどのリユースびんがどんどん姿を消している現状の中で、さらに給食のびん牛乳までが姿を消してしまうのは、環境面で大きく後退すると言わざるをえません。
緊急集会の開催
この情報を広く知らせるとともに、その問題点をアピールし解決策を探る目的で、8月29日に緊急集会を開催しました。主催は森永乳業多摩工場から牛乳の供給を受けている6自治体、小金井・国分寺・小平・国立・東村山・東大和の「6市リユースびんネットワーク」。これまでの経過や各自治体それぞれの対応、出席者の意見交換がおこなわれました。そして最後に緊急アピール文が読み上げられ、学校給食の牛乳にこれからもリユースびんを使用するよう、関係機関にはたらきかけていくことを参加者全員で確認し合いました。
びん牛乳の存続を求めよう
今回の問題の背景には、学校給食用にびん牛乳を供給することが業者にとって価格的に大変厳しいという事情があるようです。そもそも学校給食は、学校衛生基準が厳しくクレーム対応に追われる、長期の休みがあるため供給期間が年間の約半分しかない、また一般に流通している180tのびん牛乳では補助金対象にならないため200tの学校給食用のラインが必要であるなど、さまざまな制約があり、手間のかかる事業だそうです。にもかかわらず価格は協定価格で安く抑えられているため採算がとれないというのが実情で、学校給食から撤退したがっている業者は多いといいます。
今回の問題を契機に給食全体の問題を考えてみると、牛乳アレルギーなど牛乳が飲めない子どもたちが増えている現状の中で、これまでのように牛乳にたよってきた栄養基準そのものにも疑問がわいてきます。今後180tの牛乳を学校給食用に供給できるよう国の補助金について見直しを求めていくことも必要でしょうし、大きなびんで各自のコップに注ぎ分けて飲むという方法も考えていってもいいかもしれません。価格についても業者がびんでの供給を継続できるよう適正価格について検討することも必要だと思います。
先日ペットボトルビールの販売を予定していたビール会社が、環境団体からの反対で発売を見合わせるという報道がありました。
私たちも最後まであきらめずに、国、東京都、業者へのはたらきかけをおこない、紙パックへの切り変えをストップさせたいと考えています。 環境の視点からリユースびんがこれ以上姿を消さないよう、回収率100%でリユースびんの優等生である給食のびん牛乳の存続を強く求めていきましょう。
|