生活者ネットニュース こだいら              2004年10月20日

学校給食からびん牛乳が消える

 来年度から学校給食の牛乳容器をびんから紙パックに変えるという方針が東京都教育委員会から出されました。森永乳業多摩工場が、改修工事に伴い学校給食から完全撤退するためです。他メーカーでも紙パックに変える動きがあり、都内18の自治体でびん牛乳の存続が危ぶまれています。

どうしてびん牛乳?
  びんにこだわらなくても、一般ごみとして焼却するのではなく資源として再利用するのだから、紙パックに変わっても問題はないと考える方も多いでしょう。確かに資源のリサイクルはごみ減量のための手段として大変有効なもので、これをすすめることは大切なことです。
  しかし、循環型社会の実現のためにはリサイクルよりさらに一歩すすめてリユースを優先させるしくみが必要です。びんは洗って何度でも繰り返し使用できることから、紙パックをリサイクルするよりも環境への負荷が小さいのです。一升びんやビールびんなどのリユースびんがどんどん姿を消している現状の中で、さらに給食のびん牛乳までが姿を消してしまうのは、環境面で大きく後退すると言わざるをえません。

緊急集会の開催
  この情報を広く知らせるとともに、その問題点をアピールし解決策を探る目的で、8月29日に緊急集会を開催しました。主催は森永乳業多摩工場から牛乳の供給を受けている6自治体、小金井・国分寺・小平・国立・東村山・東大和の「6市リユースびんネットワーク」。これまでの経過や各自治体それぞれの対応、出席者の意見交換がおこなわれました。そして最後に緊急アピール文が読み上げられ、学校給食の牛乳にこれからもリユースびんを使用するよう、関係機関にはたらきかけていくことを参加者全員で確認し合いました。

びん牛乳の存続を求めよう
  今回の問題の背景には、学校給食用にびん牛乳を供給することが業者にとって価格的に大変厳しいという事情があるようです。そもそも学校給食は、学校衛生基準が厳しくクレーム対応に追われる、長期の休みがあるため供給期間が年間の約半分しかない、また一般に流通している180tのびん牛乳では補助金対象にならないため200tの学校給食用のラインが必要であるなど、さまざまな制約があり、手間のかかる事業だそうです。にもかかわらず価格は協定価格で安く抑えられているため採算がとれないというのが実情で、学校給食から撤退したがっている業者は多いといいます。
 
今回の問題を契機に給食全体の問題を考えてみると、牛乳アレルギーなど牛乳が飲めない子どもたちが増えている現状の中で、これまでのように牛乳にたよってきた栄養基準そのものにも疑問がわいてきます。今後180tの牛乳を学校給食用に供給できるよう国の補助金について見直しを求めていくことも必要でしょうし、大きなびんで各自のコップに注ぎ分けて飲むという方法も考えていってもいいかもしれません。価格についても業者がびんでの供給を継続できるよう適正価格について検討することも必要だと思います。
  先日ペットボトルビールの販売を予定していたビール会社が、環境団体からの反対で発売を見合わせるという報道がありました。
  私たちも最後まであきらめずに、国、東京都、業者へのはたらきかけをおこない、紙パックへの切り変えをストップさせたいと考えています。 環境の視点からリユースびんがこれ以上姿を消さないよう、回収率100%でリユースびんの優等生である給食のびん牛乳の存続を強く求めていきましょう。


八ッ場ダムはいらない
   -
新宿でストップ・ザ・八ッ場ダム集会-
 
  9月12日(日)、八ッ場ダムをストップさせるために、「住民監査請求報告大集会」が新宿の住友ホールで開催されました。
 群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京の1都5県で一斉に9月10日提出した住民監査請求の報告・アピールの集会です。監査請求人は東京で2100人をかぞえ、1都5県全体では5400人という、目標をはるかに上回る人数になっています。集会では、八ッ場ダムの問題点や各都県の報告、熊本県川辺川ダム利水裁判の勝訴について報告がありました。また、田中康夫信州(長野県)知事の「脱ダム社会への道」と題した講演では、ダムなどの公共事業ではお金が地域にまわらず東京の大企業にばかり行くこと、国と自治体との関係で補助金のおかしなしくみなどを指摘し、自律的な地域経済のあり方を地方政府の側から提唱し、実態をつくっていく具体例が示されました。
  集会に集まった人は400人を超え、八ッ場ダムに対する関心の高まりを感じます。主催した「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」は、各都県でつくったストップさせる会の集合体です。さらにおおぜいの参加を得て、無駄なダム八ッ場の建設をストップさせようと決意を新たにした集会でした。
  その後、10月に入って、住民監査請求「却下」という門前払いともいえる残念な結果が県によっては出始めていますが、住民訴訟を視野に入れて活動を進めています。
  12月5日には、八ッ場ダムストップの2回目の集会を予定しています。今後の動きにご注目ください。


苗村洋子のわいわいコラム

16年ぶりの緊急質問…ならず

  9月議会最終日の前日、国立精神・神経センター武蔵病院の井戸水から基準値を上回るヒ素が検出されたというニュースが飛び込んできました。多摩地域では、地下水を市民の大切な水道水源として利用しています。小平市議会では今後も飲み続けていきたいと、9月議会初日に全会一致で、地下水を水道水源として安定的に飲み続けることを求める意見書を東京都に提出したばかりです。地下水に対する不安の広がりが懸念されるため、私は本会議で緊急質問をすることにし、その日のうちに通告文を議会事務局に預け、各会派にも知らせて、当日に臨みました。
  小平市議会では、1988年以来緊急質問が行われていません。今回ちょうど会期中の最終本会議前日に報道されたことが、まわりに影響を与えかねないことであり、きちんとした対処と説明が必要であるという認識で、緊急質問を考えたのです。
  ところが、当日、本会議前の折衝では、非公開の場での説明で終わらせたいと考える人たちがいて、緊急質問を認めようとしてくれません。質問するためには、議会で過半数の同意が必要なのです。私には、議会を混乱させるつもりも、市の担当者や理事者を困らせるつもりもありません。地下水に対する不安が広がるのを防ぎたいという、たぶん議員にも担当者にも共通する問題意識から発しているのですが、残念ながら、会派間の話し合いの中で緊急質問は実現しませんでした。しかし、本会議中に報告と質疑をすることで決着し、私以外の人も質問できたので、そういう意味では課題は残しつつも結果オーライとなりました。
  その中で、周辺井戸や水道水源井戸からは検出されていないこと、敷地内の他の井戸からも検出されていないし、これまでの土地利用から考えて、原因は自然由来の可能性が高いと病院では判断していることなどが示されました。さらに議会から厚生労働省と病院宛てに原因の解明と市民への説明、適切な対応を求める意見書を提出することにもなりました。
  議会という枠組みを使いながら何を実現していくのかを考えると同時に、議会そのものを活性化させ、開かれたものにしていく努力も欠かせないと痛感した一件でした。





わらべうたでコミュニケーション                    相京  香代子

 数年前小平市にも「子育て知恵袋」という制度ができた。子育て中の親たちの悩みに、地域にいる子育ての先輩達の知恵を役立てたいとできた制度と理解しているが、今どのくらいの利用があるのだろうか。
  私は保育園や子育て支援センターでわらべうた遊びや子守唄を紹介する仕事をしているが、その中で悩んだり相談することを苦手と感じる人に出会うことがある。情報はインターネットや雑誌から得て、できるだけ同年代でない人とは関わりたくないと考えている人が少なからずいるようだ。それ自体はそんなに困ったことではないと思う。
  問題は言葉のコミュニケーション能力が育たないライフスタイルだ。スーパーやコンビニで買い物をする時、品物を手に取ってから支払いが終わるまで、私達はほとんど黙ってすませている。
  昔の人が幼い子を遊ばせるとき歌ったわらべうたは、大人が子の成長を励ます唄だと思う。私が伝えたいのは唄そのものではない。幼い子が虫や花を見たり、ニコッと笑う表情をよく見て、小さな声をよく聞いてほしいということだ。私が歌い始め、一人の赤ちゃんが右に左に体をゆする時、笑顔の輪が少しずつ広がる。ことばに頼らないコミュニケーションが成立することも知ってほしいと思う。