生活者ネットニュース こだいら  No.68
緑豊かな住宅地をつくろう!

 私たちの住む小平市内では、企業などが所有している大きな土地がたくさんあります。最近、あちらこちらで宅地化され、近隣とのトラブルが起こることも少なくありません。小平市ではようやく、開発に関する条例ができ、4月から、大規模開発の事前周知や最低敷地面積などの規制がかかります。
  今回、市内にある広大な土地、旧日本長期信用銀行のグラウンド跡地について、なんとか市民の声をまちづくりに生かしていこうと、連続学習会を開催しました。

民都機構が所有する広大な土地
  
  西東京市との市境にある、旧日本長期信用銀行のグラウンド跡地は、4万3800平方メートルという広い土地です。旧長銀が経営破綻した頃、(財)民間都市開発推進機構(国土交通省の外郭団体、以下民都機構)に1998年3月に売却されました。民都機構の目的は、「良好な市街地の形成と都市機能の維持及び増進を図り、もって地域社会の健全な発展に寄与すること」となっています。民都機構が土地を買い、その資金を使って10年の間に開発をします。そして、10年後には利子を付けてもとの持ち主が買い戻すという仕組みになっています。2008年には長銀を引き継いだ新生銀行が買い戻すということです。
  ところが、2003年に苗村洋子が市議会の一般質問で民都機構への働きかけを求めましたが、それ以降も空き地の状態が継続しています。民都機構は、いわば公的な団体であり、目的に照らしても、環境悪化を招くような開発をしないように、働きかけが可能だと思います。これがこの土地を選んだ理由です。
  他人の土地を勝手に描くという行為ですが、多くの支持を得、経営できるプランなら、実現にもつながります。

連続学習会で自分たちの暮らすまちを描く

 昨年の11月から12月にかけて「緑豊かな住宅地をつくろう」という連続学習会を開催しました。
  1回目は、緑のカーテンの提唱者で、緑を効果的に配したコーポラティブハウスをつくっている甲斐徹郎さんを講師に迎えて、環境共生の住まい方を学びました。太陽の熱や光、風、自然の恵みを住まいに取り込んで、自然の力で室内を快適にする住まい方、そんな環境を家のまわりにつくるために、人とのつながりを使うという方法です。
  2回目は、グラウンド跡地をみて歩くフィールドワークと用途地域などを調べました。グラウンドの周囲にはイチョウなどの大きな木があり、中には、憩いの場となりそうな林もあります。周辺は、閑静な住宅街で、用途地域によると、ほとんどの場所が10mまでの高さの建物しか建てられません。土地の高低差やアクセス道路など、内外周辺の状況を知ることができました。
  3回目のワークショップでは、市民農園が欲しい、並木のある道路や流水のある公園など、さまざまな意見が出されました。まだまとまったプランにはなっていませんが、自分たちの暮らすまちを描いていく第一歩になりました。
  期限の2008年はすぐ目の前です。緑豊かな小平市の魅力を失わないために、市民がまちを描き、それを働きかけていくことが必要です。いっしょにつくり上げてみませんか。

苗村洋子一般質問

警察と学校の相互連絡制度について

 小平市教育委員会は、東京都教育委員会からの求めに応じ、「児童・生徒の健全育成に関する警察と学校との相互連絡制度」について、個人情報保護審議会に諮問したうえで、警察との間で協定を締結しようとしています(質問後の12月17日締結しました)。これによって子どもたちの個人情報が学校と警察との間でやりとりされるようになります。
当然のことながら、個人情報保護の観点や子どもの人権という観点から、この協定は非常に問題が多いと思います。警察の子どもに対する対応が人権に配慮されていない例をよく聞きます。また、個人情報の目的外利用でしかも外部提供ということになります。「児童・生徒にかかる非行・問題行動及びこれらによる被害について、学校が保護者、地域、その他諸機関との連携のみでは解決を図ることができない問題行動について、警察に目的外外部提供をすることにより、問題解決を図るため」というのが諮問に示された個人情報の目的外利用の目的ですが、これまでも個別案件については「個人の生命、身体又は財産の安全を守るため緊急かつやむをえないと認められるとき」警察と連絡を取り合ってきました。それをなぜわざわざ新たな協定を結んで包括的に連絡体制をつくろうとするのか、理解できません。
  小平市で少年犯罪が増えているのでしょうか。非行少年(犯罪行為をするおそれのある子どもも含む)の数は増える傾向にはありません。犯罪は増えていないのに、補導される子どもの数が2002年に跳ね上がっています。これは、警察が子どもに対する取締りをこの年から強化したことを示しているのです。このような状況で、子どもがよりよく育つようサポートする役割の学校と子どもを取り締まる警察との間で子どもの個人情報を連絡し合うことは、教師と子どもとの信頼関係も損ないかねません。答弁では「捜査協力ではない」と言っていましたが、警察に流れた情報は消しようがありません。
  社会全体が寛容さを失い、とりわけ子どもを許容することができなくなっていると感じます。確かにショッキングな事件はありますし、防犯も必要でしょう。子どもたちの安全は重要な視点です。でもそれが、学校と警察の結びつきを強めることではないと思います。私たちの社会が窮屈で息苦しいものにならないように、警鐘を鳴らし続けることが必要です。
  「指定管理者制度について」は、選定委員会に外部委員を入れること、個別条例のほかに一般条例をつくるべきであると提案しました。
  「介護保険の今後の展開について」では、介護予防と小規模・多機能型サービスの今後の展開と課題について質問しました。

岩本博子一般質問

子どもの健康と性教育について
  今十代の性感染症や人工妊娠中絶が急増しています。その背景のひとつに子どもたちが性に関する正しい知識を持っていないということがあります。子どもたちを取り巻く環境をながめてみると、性の商品化が進み、雑誌やインターネット、その他さまざまなメディアからの不正確で歪んだ性情報が垂れ流しにされているのが現状です。無知による感染症や望まない妊娠から子どもたちを守るためには、人権の尊重や男女平等といった視点に基づいた的確な性教育が必要です。そして興味本位のでたらめな情報を鵜呑みにせず、子どもたちに自分で判断し自分で考えて行動する力をつけさせることが大事ではないでしょうか。そのためには小学校低学年からの発達段階に応じた計画的なプログラムに添った性教育が必要であると主張しました。
  教育委員会では「発達段階に応じておこなっている」との答弁でしたが、例えば初経を例にとってみても、今だに6年生の移動教室に間に合うように、女子だけ集めて手当ての仕方を教えるというような学校もあるという状況なのです。行政の役割として子どもたちの健康をどう守っていくかについて具体的な答弁は引き出せませでした。
  性について、子どもたちと向き合って話すことにまだまだ抵抗があるというおとなが多いと思います。時期がくれば自然とわかるという風潮もまだまだ強くあります。しかし子どもを取り巻く状況が大きく変化している今、そんなのんびりしたことは言っていられません。子どもの健康を守るために相談機関の設置も含め、今後とも声をあげていきます。

災害時の情報伝達と災害弱者への対応について
  相次ぐ台風の襲来、新潟中越地震の発生により、災害時の情報伝達と高齢者や障がい者などの災害弱者への対応について質問しました。
  小平市の災害対策については2002年に修正された小平市地域防災計画に基づいて行われています。情報伝達については防災同報無線や広報車によって行われますが、実際に市民すべてに伝達するということは大きな課題となっています。今後は携帯メールに配信することなども検討されてはいるようですが、災害時の迅速かつ正確な情報提供は行政の責務です。今あるシステムを再点検し、更に様々な手段を考えていくことが必要です。災害弱者への対応については、人数把握もむずかしいというような状況です。見守りネットをどう機能させていくか、そのしくみについてもこれからというところです。行政がいう「自分の身は自分で守る」というのは当然のことではあります。しかし特に災害弱者といわれる方たちには、当事者の声を聴きながら、必要な情報を提供しサポートするしくみをつくっておくことが必要です。

−12月議会から−

東部市民センターの建て替え

  花小金井駅北口で現在工事が進められている都市基盤整備事業にあわせて、東部市民センターが場所を移して建て替えられます。この建て替えについては、これまでさまざまな議論がされてきました。まだ使えるから建て替える必要はないとか、逆に、せっかく建て替えるのにこれまでと同じ機能だけというのは納得できないなどです。現在の東部市民センターは入り口などの使いにくさや防災面の問題も指摘されていて、駅前整備にあわせて建て替えるのは理解できるところです。
  12月議会で建設工事の契約案件が出され、いよいよ建設が動きだします。どこの計画でも言えることですが、周辺住民や施設利用者など、多くの市民の意見を聞き、それに応えていく努力が必要です。今後も注目していきたいと思います。

学校給食の牛乳はびんのままで!
  前回の「生活者ネットニュースこだいら」で取り上げた学校給食のびん牛乳の問題は、これまでとは別の業者で、紙パックではなくびん牛乳で供給できることになりました。これは私たちが強く求めてきたことであり、一連の活動の成果だと言えます。
  学校給食のびん牛乳の問題をきっかけに、牛乳びんのリユースを通して環境について学んでもらい、子どもたち自身で考える機会をつくろうと、親子で考える環境の会ペップがペープサート劇『びんちゃんと紙パックちゃん』を行いました。せりふや音楽に子どもたちが主体的に参加し、クイズもあって楽しみながら、環境について考えました。

八ッ場ダムをストップさせよう!   ――東京の会の会員募集――

 八ッ場ダムをストップさせるための運動は、住民監査請求が6都県で次々と却下・棄却されたのを受けて、住民訴訟へと駒を進めました。東京では、2100人もの請求人が監査を求めましたが、10月25日付けで却下。予想されていたこととはいえ、意見陳述の機会も与えられず、内容に踏み込むこともない「門前払い」の結果には、形骸的な監査委員制度への不信感が増すばかりです。
  却下の知らせを受けて、八ッ場ダムをストップさせる東京の会では、11月22日、東京地方裁判所に提訴しました。原告数は44人です。他県でも茨城、埼玉を皮切りに、11月中に6都県すべてで提訴しています。提訴がそろった12月5日(日)、渋谷フォーラムエイトで住民訴訟スタート集会を開催しました。会場には280人が詰めかけ、治水、利水、脆弱な地盤の危険性といった八ッ場ダムの問題点とともに、裁判に向かう熱い思いを共有しました。
  第1回裁判は2月16日(水)午前10時から東京地方裁判所606法廷で行われます。原告の意見陳述もありますので、傍聴に来てください。また、2月27日(日)午後1時30分からは調布駅南口にある「たづくり」で学習会を開きます。こちらにもぜひお出かけください。
  「遠くのダムより地元の地下水」。水循環や地下水保全の水政策を実現させるためにも、八ッ場ダムをストップさせる東京の会の会員(年会費1口1000円)になって、訴訟をサポートしてください。

     お問合せは、
     小平・生活者ネットワークまたは、八ッ場ダムをストップさせる東京の会 
                               深澤洋子まで    Tel&Fax 042(341)7524 
  

岩本ひろ子のどきどきコラム

学力低下問題と総合学習の行方

 子どもたちの学力低下が騒がれています。中山文科相はこの学力低下問題で国語、数学(算数)、理科、社会の4教科の授業時間を増やすために、総合学習の削減を含めた教育課程の見直しの意向を示しました。そもそも総合的学習の時間というのは、「自ら学び、考え行動する力をつける」ということを目的に、体験学習など学校ごとの工夫により、多様な教育内容で教科横断的な学習として、2002年度から本格的に実施されたもので、目に見える形での点数を上げることが目的ではなかったはずです。
  本格実施からわずか3年でもう見直し?確かに現場の先生方からは教科書もないし、何をしたらいいかわからないという戸惑いの声も聞きましたし、保護者の側からすると、内容がわかりにくいというところがありました。しかし体験型学習の導入ということで、これまでの教科中心の授業から大きく変わるものとして期待もされたのです。それが学力低下問題と結びついて、「体験ばかりで何が身についているかわからない」などの批判を受けて、再び教科中心の授業にひきもどすというのは、あまりに早急な方向転換で納得できません。まだまだ課題も多く全面的に評価できるものではありませんが、子どもたちにとって真に「生きる力を育む教育」がされたかどうか、子どもたちの学ぶ意欲を引き出す授業の工夫がなされたかどうか、まずは十分点検した上で結論を出すべきです。
  手探りで始めた総合学習も、学校現場での工夫を重ねながら、少しづつ定着したところです。NPOの協力で環境学習への取り組みを行うなど多様な試みも始まっています。国は学力の低下を憂い、学力向上策に躍起になっているようですが先生や子ども、保護者からの意見も聴かず、この3年間の十分な総括もせずに国からのトップダウンで始めたりやめたりするのだけは絶対にやめていただきたい。

支援費制度の後退は許せない

                                      NPO法人だれもがともに小平ネットワーク  藤内 昌信

 2年前に障がい者の支援費制度がはじまった。様々な問題点をかかえてのスタートだったが、夢を与えてくれたのも確かだ。「これで地域でずっと暮らしていけるかもしれない」と。ホームヘルプやガイドヘルプを使い始めた障がい当事者や家族は、こんな支援があれば地域でなんとか暮らしていけるのではと実感を強めてきた。
  ところが、それまで抑えられてきたニーズが表出しただけなのに、「財源不足」の大合唱。介護保険との統合をにらんだグランドデザイン案も出され、介助を受けての自立生活もノーマルだということが後退させられようとしている。
  ともにネットはこの間、どんなに重い障がいをもっていても暮らせる地域づくりに努力してきたが、本人たちと一緒にその具体的なとりくみを一つ一つ積み重ねていきたい。それが一番の早道のように思う。
  ※NPO法人だれもがともに小平ネットワーク (ともにネット)
   どんなに重い障がいがあっても、地域で自分らしくいきいきと暮らせる「まちづくり」をめざし、タイムケアや余暇支援・宿泊支援・たまり場等、障がいのある方とその家族を対象にサービスを提供しています。
                               電話 042(308)3732


■編集後記: こんな時代だからこそ、流れに身を任せるのではなく、流れそのものに目を凝らし、きちんと判断する市民の目が必要です。 選挙の年、新しい風を一緒につくりましょう。(Y)

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