2004年11月、国は八ッ場ダムの建設事業費を2110億円から2.2倍の4600億円に増額することを主な内容とする基本計画の変更を発表しました。これによって、八ッ場ダムの総事業費は地域振興事業などを含めて5850億円になり、起債の利息も含めると8800億円にのぼります。このうち東京都の負担は1270億円です。治水面からも利水面からも必要のないダム計画が進められようとしています。
八ッ場ダムは、利根川中下流部の洪水被害の軽減(治水)と、東京、埼玉、千葉、茨城、群馬への都市用水の供給(利水)を目的に50年も前に計画されました。群馬県長野原町の建設予定地は、利根川の支流、吾妻川(あがつまがわ)の中流部で、名勝「吾妻渓谷」の大半がダムによって沈められてしまいます。
このようなダムがほんとうに必要なのでしょうか。
首都圏の都市用水の需要はここ10年近く横ばいが続いています。これからは人口漸減とともに水需要も減っていきます。一方で水源開発が次々と行われたため、すでに水余りの時代に入っているのです。また、ダムの役割として渇水対策が言われますが、渇水時に川の流れを維持しているのは主に森林で、ダムの役割は大きくありません。
治水の面から見ても八ッ場ダムの必要性は希薄です。利根川の治水計画は非現実的な過大な洪水流量の設定によってつくられています。河川整備をきちんと進めれば大洪水への対応も可能です。
さらに、強酸性の水質であることや脆弱な地質で地滑りの危険性が高いといった点からもこのダム計画は見直すべきです。
ところが、国からの計画変更への意見照会に対して、東京都知事はいち早く12月議会に議案を提出し、生活者ネットワークは反対したものの、同意案は可決されてしまいました。
多摩地域では、全体で水道水の約3割が地下水です。小平市でも、私たちが飲んでいる水の18%は地下水です。八ッ場ダムが完成すると、この地下水を河川水に切り替える計画であると言われています。大切な地下水を涵養(かんよう)しながら飲み続けていきたいと思います。
本体工事はまだ始まっていません。『脱ダム』の声を小平からあげて、動きをつくっていきたいと活動をしています。
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