■ひだまりコート
敷地は日暮里駅から東に徒歩5分程のところにある。駅の西側は谷中、南東は根岸地区で、共に神社仏閣などの史跡が多く点在する下町風情の残る街である。駅から西側に伸びる日暮里繊維街は布や革、ボタンなどの手芸用品の小売店が連なり、日本全国から訪れる買い物客で賑わいがある。
本計画はT型の敷地にコンパクトな14戸の賃貸住宅を設けている。
タイプは3タイプあり、西側にAタイプ、東側にBタイプ、北側にCタイプ2室を設けた。Aタイプは専有面積が33m2の最も大きい住戸で、正方形のフリースペースとカーテンによって独立するベッドスペースを持つ。夫婦で住むことも可能である。Bタイプは南側にバルコニーがある唯一道路に面さないタイプである。25、5m2とコンパクトではあるものの、南側に面した正方形のフリースペースと小さなベッドスペースを持ち、静かで使いやすいタイプとなっている。北側の道路に面するCタイプは25、6m2である。間口が2、9m弱で南北に長く、コートに面するフリースペースと小上がりのベッドスペースまで南北に10mの奥行がある。その奥行を生かしてコートに面する側をパブリックゾーン、奥をプライベートゾーンとするSOHO的な使用も可能である。
この計画はワンルーム的な住戸の集合住宅であるが、効率のみを優先した住戸配置では無く、年月が経っても都市のストックとして個性と魅力が持続できる集合住宅を目指した。そのためT型敷地の中心にシンボルツリーのあるコート(中庭)を設け、そこを回遊しながら各住戸にアプローチする配置とした。階数を4階に抑えた上で楽しく階段を登りながらアプローチできる。
コートを中心に住戸を配置することで、住人同士が顔を合わせたり、あいさつを交わしたり、緩やかな繋がりができることを期待した。
所在地 :東京都荒川区東日暮里
敷地面積:249.30m2
建築面積:130.87m2
延床面積:408.32m2
主要構造:鉄筋コンクリート造
規模  :地上4階
施工  :スターツCAM
写真  :上田宏 
10