Word By 藤井美保

「海のホタル」とニューことぶき日記

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9月14日 くじら企画 本格始動

大竹野さん、川田、藤井に続き、海老さんがいつものちょっと疲れた笑顔で入ってくる。「あっ一人増えてる」と言いながらこずえさん。
続いて「ちょっと会議で遅れまして。いつもならもっと早く来れるんですが。」とイシダトウショウさん。サラリーマン風のいでたちで入ってくる。でもサラリーマンと違うところはやっぱりキャピキャピしたピンクの携帯ストラップを首から下げているところが、高校教師である事を物語っている。
最後に真ちゃんが死んだ魚の目をして「よし、今日も張り切っていこうぜ」みたいなことを言って入ってきた。

6Pもある台本を一人づつ人間を変えて読んでゆく。最後に大竹野さんが「ちょっと遊ばして下さい。」といったので、皆机を少し移動させる。
川田が、「今日は絶対台本できてへんからすぐコトブキでビールやろ」と来る時言ってたので「え〜〜なんで〜〜」と不満そうに声を大にするが聞き入れてもらえず、役者を変えながら立ち稽古するという。
「あの、台本は持ってていいですから。」大竹野さんが言うと、「あたり前や」とこずえさんが突っ込む。稽古は一番真ちゃんが熱かったです。

大学フリークで、3つの大学を出て今も先生をしながら博士号を取りに東京まで月3回も通っているトウショウさんは、しきりに「むずしいなぁ」といいながらやってました。海老さんはいつものように不気味な感じで迫真の演技です。女優さんは皆上手でした。(あたしも入れて)

稽古が終わると一直線でコトブキへ。山本周五郎の話をしたり、昔大阪外大はスパイ養成学校だったので、戦後一番先に潰したかった大学だったという話や、そこのマドンナが 塚本さん※1の奥さんだったという話や、リストカッターの話や、いろんな薬の話やらで盛り上がりました。

帰りは、ここには書けない家庭の医学の話を大まじめに語りながら帰りました。
いやあ、面白そうなメンバーで良かった良かった。でも真ちゃんは最後まで台本のお葬式の事を心配していた。


PS.お芝居の題名は未定。今のところ登場人物三人、一斗缶ひとつ。
本日のことぶき代 1600円なり。
※1 塚本さん・・・
今回のお芝居の舞台監督さんです。それからマドンナはいまでも塚本さんの奥さんのはずです。
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9月14日 くじら企画 本格始動か?

その日川田は夜勤のため藤井一人で本町に行き、毛布などを買い、冬眠の準備などしているとあっと言う間に6:00になる。 慌ててパンとジュースを買い、梅田からバスに乗って稽古場につくと、おじさんに呼び止められる。「どこ行くの」「くじら企画ですいつもお世話になってます」とにっこりし、3Fへ行くと誰も居ない。

仕方が無いので窓を全部開けてパンとジュースを消化しても誰も来ない。仕方が無いので知っている歌をじゅんにうたっていく。だんだんうろおぼえのデタラメな歌を一時間も歌いつづける。7:30、誰も来ない。仕方ないのでホワイトボードにお姫さまの絵を書いたり消したりする。精も根もつきはてて、椅子を並べて寝る。

すると机の下からこずえさんの足が見えたのでほっとして起きる。続けてイシダさんとエビさんが入ってくる。大竹野さん台本のコピーに行ってるらしい。わーい、ふえたふえた。台本が増えたと喜んでパンチを借りて穴を開けていたら、台本がまた1Pからになっている。1,2,3,4,5,5.5。ひょっとして0.5枚減った?

皆で大竹野さんに聞くと「前の6枚はエチュードみたいなものだから」といったのでこずえさんが「最近言い訳もうまくなったな」といった。やっぱり台本は50枚超えないと信用できませんねとエビさんがいってたっけな。あっそれからイシダさんがキレイな女の人を連れてきて見学したいそうですと紹介してくれたのは演出家の女性、久保さん。長いピアスとどくろのTシャツがおしゃれだ。

練習が始まり、練習が終わってコトブキにゆく。エビさんが力なく笑って帰っていった。明日の仕事に対する責任感だろうか。今日はしんちゃんも川田さんもお休みなので少し寂しい。久保さんが来てくれてよかった。

えっと久保さんは森之宮に住んでいて、バレエやピアノや水泳やソロバン等色々習わされたけど、ロックに目覚めボーカルをやるも向いてないといわれてやめたらしい。でもシャンソンもバルバラや、ブ○○○等が好きなそーだ。きっと私より詳しいに違いない/フランス人やアメリカ人やルーマニア人の友達がいるので視野も広い。それぞれの国の人の恋愛感などを聞かせてもらって面白かった。

一方イシダさんはプライベートで大変な事があったそうなのだがここで書かないでくださいと言われたので、知りたい人はイシダさんに直接聞いて殴られてください。イシダさんは子供の頃から朝からどんぶりめしを二杯とトンカツ、納豆等で大きくなったので強そうです。

今博士号のレポートやらを書いていて忙しそうですが、もし博士号を取ったらやっぱりイシダ博士とお呼びするべきなのでしょうか。楽しみです。 もうすぐ熱海の美術館で英語でお能をやるそうです。お能と英語に興味のある方はぜひ見に行ってください。そこに川田さんか夜勤であるにもかかわらず、藤井を無事に帰してくださいと電話があったらしく。皆で帰る。


本日のことぶき代 1500円なり。
帰ったら30分後に電話をするからといわれ、大竹野さんから電話を貰う。「無事、帰りました。」と報告をする。久保さんも心配そうにちゃんと次で降りてねといわれ、イシダさんにもちゃんと次でおろしてね、といってくれたが、イシダさんは立ったまま寝ていた。ちゃんと寺田町で降りられたのだろうか。私でさえ心配した。川田さん、これから心配電話は立ってまま寝てしまうイシダさんにしてはどうでしょうか。

追伸 この間E氏がふらっとベコーに来てくださった。一人で呑みたいだろうに、先生が気を使ってカンパリソーダを貰って「一緒に話してあげなさい、一人で淋しいから」といったのでE氏の前に座って一杯おしゃべりをした。(ほとんど私が)一人でゆっくり呑みたかったE氏、ごめんなさい。
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9月28日 さようなら「ことぶき」こんにちは「海のほたる」

9/28日(水)PM4:05 川田と私はあせっていた。5時までに庄内に行かなければ稽古場予約が出来ない。こんなときにNHKの集金の人が来たりする。
川田は「NHKもなんであんなボーとしたかわいらしい人に集金させんねんやろ」「議論する気もなくなって払ってもうたわ」とぼやきながら駅に走る。私はイコカカードが足りないのでチャージしているとお金が入らない。 後ろの女の人に「チェッ」とか「ハァ」とか言われて怖いので、梅田でチャージする事にした。

梅田に着くと、足手まといになる私を捨てて川田が走った。走る前に「これがチャージのキカイやからな」「梅田の花屋に6時な」と言って、庄内に走っていった。
私はゆっくりイコカカードをチャージし、信号を渡ったらぐうぜん阪急百貨店があった。ぐうぜん、セールをしていた。ぐうぜんエレベーターに乗ったら、セール会場に来ていた。

真っ赤なきつねの毛皮のついた赤い皮のコートをぼんやりと見ていると、店員さんが着せてくれた。それでぐうぜん財布の中にあったペルソナカードで買ってしまった。買ってからふと考えた。これは一体何歳ぐらいの人が着るんやろ・・・。
6時に花屋に行くと隣の屋台でビールを持った川田が部屋を取り終わって一服をしていた。「何買うたん?」「何でもない」「ドレス?」「違う」「ドレスやろ?」「違う」
神様私はバカです。川田さん何も聞かないでください。

稽古場に行く途中、ぐうぜんコンビニでお茶を買ったばかりのエビさんにあった。さっそく川田さんはエビさんに言いつけた。「フジイさんはね、私が稽古場を取りにいっている30分の間に真っ赤な毛皮のついた赤いコートを買ったんですよ。経った30分の間に」
わたしはえびさんを味方につけようと反撃を試みた。「川田さんが30分も待たせるからこんなものを買ってしまったんです。これは私を待たせた川田さんの責任でもあると思いませんか。「私は川田さんに半分お金を出してもらうべきだと思うのですが、いかがなものでしょうか」
するとエビさんは少し微笑みながら「そうですかねェ、それはちょっとあんまりなんじゃないですか」と川田の味方をする。「その代わりワンシーズンに3回は着てもいい事にしますから」といってもエビさんは川田の味方のままだった。
稽古場に着くとこずえさんが来た。大竹野さんはコピーに行っているらしい。台本が増え、その上題名も決まったらしい。「海のホタル」。すごい進歩だ。

イシダはかせがタオルを頭に巻き、赤い顔ですごく苦しそうに入ってきた。「風邪ですか?」と誰かがいうと、「いいえ、アレルギーです」「僕、全てのパッチテストに引っかかるんです。一番ひどい時は背の青い魚は食べられません」気の毒に、ずっと気分が悪そうだった。

そこへ上機嫌の大竹野さんが、原稿をもってビーチサンダルでやってきた。何回か読みあわせをして、じゃあ机を動かしましょうか、というとまた川田が「エー今日コトブキ最後やからのみに行きましょー」と言ったが無視されて練習は進んだ。

人を入れ替え、入れ替え台本を(まだ少しだが)読み、また動いている役者さんの周りをぐるぐる回りだすいつもの大竹野さんのイキイキした目になってきた。あんまりエビさんのリアクションが面白いので、川田さんは本気で突っ込み、最後には笑ってしまってセリフが言えなかったので今日は川田の完敗である。

真ちゃんが稽古に間に合わなかったので残念だった。心配する大竹野さんに「真ちゃん、やめたんとちゃいますか」と川田が追い討ちをかけていた。
コトブキ一号店が今日で閉店。ニューことぶき(100M先)に移るというので真ちゃんに連絡したら「原稿を取りに行きます」とまじめに答えたらしい。やっと真ちゃんに会えた。

先にきていたあうん堂さんとくじら企画、後で合流した流星倶楽部さんと合同の飲み会になる。ことぶきが満席になってお姉さんも嬉しそうである。私達はそれぞれのお芝居の成功とことぶきの繁栄を祈って乾杯した。

私達は色々芝居に関係ある話や無い話をしていた。川田は大竹野さんと病気や薬の話。
私と真ちゃんは駐車場で拾った亀のはなし。真ちゃんは会社の駐車場で黒い亀をひらった。みどりがめが成人すると黒くなるらしい。拾った亀はただだったけど、水槽とかで一万円ぐらいしたらしい。実は真ちゃんは前にも亀を飼っていてその亀が死んだ時悲しくて悲しくて水槽も全部捨ててしまったらしい。そしたらエビさんが学生の時自分の芝居で亀にペンキで大きく5番と書いて芝居に出したらすぐに弱って死んだ話をして真ちゃんを慰めた。

真ちゃんに亀の名前を聞くと「玄武」と言ったのでイシダはかせとこずえさんたちとすざくとかびゃっことかの話になって「方角はどっちでしょうね」と言ったらイシダはかせが「北だと思いますよ」といった。川田はなぜか話題についてゆけず機嫌が悪かった。

あんまり楽しかったので途中でことぶきのお姉さんと写真を撮ったりしながら時間を忘れていたらみんな「電車」とか言い出してバタバタと帰っていった。私ははっとりさんたちがまだいたので「私も帰らない」といったが、川田に引っ張り出された。


本日のことぶき代 (死ぬほど呑んだり思い切ってウナギを注文したりしたのにお姉さんの思いやりで)1000円なり。

PS.真ちゃんがこのごろ勝手に練習を休むのは早くおうちに帰って「げんぶ」君と遊ぶためなのではとふじいは妙に納得した。
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10月5日 くじら企画 ニューことぶきへ

10月5日)PM7:30 稽古場の1階でジュースを買っているこずえさんに会う。稽古場にはこずえさんと川田と藤井。「あっ間違って流星の台本持ってきてもうた」というこずえさん。川田は禁止されているはずのタバコを窓を開けて携帯灰皿で吸っている。
川田 「あっあれ大竹野さんちゃうか」「なあこずえさん大竹野さんて今日もリュック背負ってた?」
こずえ「うん」
川田 「今な、作業服でリュックの男の人が稽古場の前を通り過ぎてん」
藤井 「な、その人安全靴やった?」
川田 「わからん」
こずえ「たぶんサイゼリアで台本書いてあっちのコンビニでコピーしに行ったんとちゃう」

しばらくしてコピーをたくさん持った作業服にリュックの大竹野さんが現れた。台本は17Pまで進んでいた。でもその中に途中で流産になった5Pが復活しているのを発見した。真ちゃんから稽古に行けないメールがこずえさんに入る。でも多分、Newことぶきにはきてくれるだろう。 女性ばっかりでは読み合わせも出来ないのでエモノが来るのを待つ。しばらくしてエビが網にかかった。海老さんは私達三人相手に三回も読まされる。最初小寿枝さんが「面白いとこ少ないやんこの台本」と言ったが、海老さんと読み終わった後、「面白かったやん」と川田が言った。「海老さんの大阪弁はいいですね」と大竹野さんが褒めた。そこへイシダはかせが来たので川田さんと一回読み合わせて稽古を終える。さあ、「Newことぶき」だ。

歩いても歩いてもちょっと遠い。蜃気楼かな、と思ったけどことぶきはそこにあった。しかも2階は座敷だ。そういえばハルオ君が昨日、「ことぶきは危険なんですよ。二階に座敷があって、なんか一人暮らしを始めたばかりの友達のアパートって感じで。寝てしまいそうになるんです」と言ってたっけ。

早速真っ暗な二階へ上がらせてもらう。「稽古が詰まってきたらここに住みたいなあ」と思いながら降りてきた。「稽古場に使えそうですね」というと、お姉さんが「稽古場でも何でも使ってや」と言ってくれた。広いので荷物も置きやすい。メニューはあんまり変わっていないが、大盛りにしてくれた。

そこへ真ちゃんが来てくれた。「全部役者が揃ったから配役を発表してくださいよ」と川田が言うと「まだ真ちゃんが一回も読んでないから読んでからな」と言った。小寿枝さんと私は顔を見合わせた。「また最後まで役決まらんの私らちゃうか」と言う不安をこずえさんは口にした。真ちゃんは「玄武君元気?」というと相好をくずした。「それがさあ、今日はまだ会ってないんだ。帰ったら奥さんがさあ「きょう玄武君がね」とか言うんだよ」といってデレデレしている。

「ねえ亀って今日報告するような特別な事やったりするの?」「ううん。でもさあ ―― (10分間以前飼っていたすっぽんの話)こっちで何かしている時に、勝手に水槽のなかでチャポンて音がするんだよ」一同「ふうん」イシダはかせも負けじと携帯で猫自慢を。そしてそれぞれ猫の写真を見せ合う。「ヘビもかわいい顔してるんだよなあ」と真ちゃん。「口角が上がっててさあ」「それって目と目も離れてるんだよね」と藤井。「こんな感じ」と川田の顔を差し出す。誰も怖いので相槌を打たない。

川田はヘビ年だかヘビは大の苦手なのだ。いつぞや王子動物園でものすごく大きなヘビを首に巻いた飼育係の人が「縁起がいいよ」と言いながら脱皮したばっかりのヘビの皮を配ってくれていた時、「わーい」と言いながらヘビを触らせてもらって皮を貰っている私を三十メートルぐらい離れて気味悪そうに見ていたのは川田です。私はその皮をひらひらさせて川田が怖がるのを見て初めて「勝った」と思いました。

「ついでに真ちゃんの亀もお芝居に出しましょうよ。5番と書いて。」とつい悪乗りしてしまいましたが、真ちゃんが「安全な方法で」みたいなことを言っていると皆イキイキとして「ペンキですよ」「やっぱりペンキですよね」といったので真ちゃんが傷つきました。雰囲気を変えるために玄武君て男の子なの本当に」って聞くと真ちゃんが「黒くなるのが男で女だともっと何かキレイな藍色みたいになるんだよ」と胸を張ったので「じゃあ今度金属たわしで擦りましょうよ。そしたら女の子かもしれませんよ金属たわしで」と言ったけど真ちゃんは返事もしてくれませんでした。


本日のことぶき代 1400円なり。
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10月12日 玄武くん

今回はまだ影番の原稿が届かないので飯炊きの代筆である。この日真ちゃんが玄武くんの写真をほんとに持ってきた。しかもA4にひきのばして、ラミネート加工までしてあった。ここまで気合を入れられては載せないわけにいかない。
しかもこの日はイシダはかせまで、いただきものの柿をみんなにおすそ分けしてくださるべく、どっさり持ってきてくれていた。くじらたちは玄武くんをみながら柿をいただいた。

いただきものの、といえば、去年の夏公演の「サラサーテの盤」のなかで、「いただきもののもも」(頂きものの桃)と言うセリフがあって、ついつい、「いただきもものもも」と言ってしまって、その度に皆でなごんだ事を懐かしく思い出しました。

おそまつさまm(_ _)m


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10月12日(水) くじらとかめとねこ

PM7:45 稽古場に着くと机の上に下敷き位の大きさのかめの写真がたくさん広がっていた。途中で雁さんが来てくれた。そして春生くんも。
一生懸命大竹野さんが新しい台本を並べているのに皆かめの写真に見入っている。茶色いのや黒いの、青っぽいの、正面からの、上からの、少し水から出ているものなどなど、でも真ちゃんによると全部げんぶ君らしい。皆半強制的に、もとい、真ちゃんの愛情の深さに感銘を受けて、一枚づつ貰って帰った。きっと二枚欲しいといったらもう一枚作ってくれそうな勢いだった。

役者さんたちが揃ったので24Pまで出来た台本を変わりばんこに読んだ。そしておもむろに大竹野さんから配役の発表があった。それをバラすと面白くないので少しヒントを書きます。ことぶきのいきしなの会話から。
藤井「大竹野さん、私の役はどんな役ですか?」
大竹野「パーの役です」
藤井(ふうん。パーの役か。パーの役は初めてなのでものすごく不安であるが、挑戦してみる価値はあると思う。パーの役か 照れるなぁもぉ)
小寿枝さん「私、○○君には事故で死んで欲しいねん。そしたら保険金倍になんねん」 皆「へっ、へェ〜」
以上。

以下はことぶきにて、
小寿枝さんが熱心に師匠と連絡を取っている。なにか業務連絡かと思ったら、小寿枝さんか師匠かどちらかがどちらかを埒して連れて行って戻ってきた。小寿枝さんに「何してたん」と聞くと「師匠のネコ、ミケさんのお墓参り」と言っていた。そして皆のネコじまん、かめじまん、全くもって生き物好きの人達である。

私はアラバマソングの意味がわかんなかったのでその隙にイシダはかせに訳してもらった。ちょっと得した。イシダはかせは歩く英語辞典である。自動翻訳機である。そして生徒さんから柿まで貰う人気者です。皆おのおの二つづつ柿貰って帰りました。


BS.ベコートピックス あたしは木金の夜にはたいがいシャンソニエジルベールベコーで歌を聞かせて貰っているが、この間阪神タイガースの六甲おろしを 作曲した人K氏が来て、2mの距離で六甲おろしの英語版を聞くことが出来た。最初、お客さまのご婦人方が「良かったね3ステージで帰らなくって」「得したわ、良かった」というのを、後でヒロコさんに聞いた情報である。来週は先輩と池ちゃんが来て下さるらしい。うれしい、ありがと。
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10月19日 こうして夜が更けてゆく

今日川田が残業なので一人で稽古場に行く。イコカカードは無くなるし、ラガールカードを買うのに10分ぐらいかかるし、私はお年よりになったらいったいどうなってしまうのだろう。稽古場に着く前にコンビニで野菜ジュースとカプリコを買った。それでも何とか本能的に稽古場に着いた。

稽古場にいくと大竹野さんが一人執筆中だった。私は邪魔になってはいけないと思い、野菜ジュースを飲んでじっとしていた。大竹野さんがサイゼリヤで執筆していたらいっぱい歌を歌ったりお姫様の絵を書いたりできるけど、大竹野さんの気が散ってはいけないと思いと我慢した。

我慢する事1hあまり、皆が来た。「大竹野さんはいまコピーに行きました。」というと、皆嬉しそうだったので「多分、1、2枚は書けたと思います。」というと、エビさんが「1、2枚ではおっつかないでしょう」と言った。

結局1.5枚増えて38pぐらいになった。私はやっと出来たチラシだけど、一文足さないといけないかも知れない、と思った。「本芝居は作者の都合で断りもなく変更する場合があります」と、こう書いてあればもっと気楽に書けるのではないだろうか。

でもせっかく全員出てきた※1ので、何とかこのまま逃げ切って欲しい。真ちゃんがなぜか私の顔を見て、2・3回意味なく笑って読み合わせが始まった。何回か読み合わせをして稽古をしてことぶきに行った。

エビさんは皆を裏切って帰った。人間失格である。(私はこの前理由なく休んだが、それはそれ、これはこれである)
おばちゃんが、二階へ、二階へと勧めてくれたが、少人数なので下で飲むことにした。イシダはかせは明日から北海道らしい。なぜかというと、修学旅行の下見なんだだそうだ。もうすぐ修学旅行なので、(旅行中は)生徒が悪い事をしないように時々見回りに出かけるそうである。もちろん男子生徒は男性教師、女子生徒は女性教師がつく。
前に酒臭いまま指導した先生がいて問題になったそうであるが、皆が「じゃあ生徒も巻き込んで一緒に飲めばいいじゃないですか」といったらイシダはかせはにっこりしながら「ハハハ そうしたら私クビですね」といった。

真ちゃんがまたかめの話を始めた。カメの血を吸う蛭の話である。カメ仲間のインターネットで調べると、ピンセットで取るのがいいと書いてあったので、2つ3つ取ると、カメにすごく嫌われて、顔も手も足も出してくれなくなったらしい。それで薬を買ってきて薄めて使ったら直ったそうだ。カメもこうらを脱いで掻くわけにはいかないのでかわいそうで不便な生き物である。靴の上から足を掻く事をくかっかそうよう※2というがカメの場合は甲下そうようかなぁと、ふと思ったりした。

それからなぜか皆の初恋の話になったりしながら、夜は更けていった。
「よし今度は皆に海の思い出を語ってもらおう」
「海のカメ」「海のくま」「海のナース」「海のはかせ」「海のエビ」「海の炊き出し」「海の・・・」な色々面白そうな話がでてきそうだ。そうこうしているうちに春生君が来て、すごい勢いでご飯を二杯食べた。


本日のことぶき代 1000円なり。

P.S. 川田さんがフジイは危ないとくじら企画の中に浸透させたおかげで私は皆のお荷物になっている。帰れるかどうか心配なので、京橋で電車を一緒に帰った頃、自宅へ連絡が入る。私はずーと前から大人だ ―― 。

P.S.2 ベコートピックス 木曜日にベコーにちかよ先輩がきてくださった。芝居の話をしていると、なんと「海のホタル」のチラシをあの「ジルベールべコー」に置いてくれるというのだ。そして出口先生は、自分のNHKホールのリサイタルと被っている日、12月10日も入っているにも関わらず、「私のチラシの上に置きなさい」とまで仰ってくださった。チケットも20枚預かってくださった。本物の師匠である。一生ついていこうと思った。
※1 全員出てきた・・・  登場する役者全員の配役が決まったということ
※2 かっかそうよう・・・ 「隔靴掻痒」か?
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10月22日 くじら企画自習の時間

今日、稽古場につくと大竹野さんが執筆をしていた。それからこずえさん以外が全員(あっイシダはかせは北海道からまだ帰る途中)来たので、さぁ稽古か?と思ったが、自分は下でもう少し書いてくるので「皆で自習をしていてください」といって出て行った。
川田「さあことぶき行こか」
エビさん「えー」
真ちゃん「でもどうやって」
藤井「一人づつ知らん顔して出たら?」
川田「私らは大丈夫やけどあんたは絶対見つかる」
藤井「何で、マチコ巻きにして行くやん」といってマフラーで顔を覆う。
川田「怪しすぎるねん」
真ちゃん「じゃあ僕がバイクでビール買うてくるわ」
藤井「お金出すわ」
真ちゃん「ええってええって」

そこへ栗ちゃんが入ってくる。そういえばさっき栗ちゃんの車とそっくりな車が来たなぁと思ってたところだった。
皆「なぁ栗ちゃん、これから宴会すんねんけど。あっ、車か、飲まれへんなぁ」
栗ちゃん「そうやねん今仕事ごっつい忙しいし、勝手に飲みに行ったら嫁はん怒りよるし、さっき電話してビール買うといていうたから、料理作って待っとんねん」
川田「私らも栗ちゃんとこ行こか」
皆「そうやな、ご飯おいしいし」

栗ちゃん後ずさって「じゃあ急いでるんでまたな」といって逃げていった。
真ちゃん出て行って、妊娠して戻ってくる。お腹からビール6本とチューハイ2本、そしてカシューナッツが衣を着たおつまみを出す。真ちゃんはいいよいいよと言ったが、皆で200円づつ出す。

飲みながら、稽古したり、演技について話し合ったりする。真ちゃんが、川田さんと逆で読みたいと言ったので、男と女と役を入れ替えて読んだのだが、皆何故なのか気になる。真ちゃんが理由を語ってくれないので私が理由を考える。
@自分の性的アイデンティティー A川田さんにいたぶられてみたかった Bただ自分の劣情を満たすため 真ちゃんは@でもAでもBでもないという。エビさんが突っ込むと
真ちゃん「うーん、たとえば相手がやりやすい読み方ってどんなかなとか考えるだろ」
川田「ええ、ええ、どうせ私は絡みにくい女優ですよ」
エビさん「えっそんなことないですよ」エビさんはどんな舞台でも相手を観察する余裕がある。ここから皆でしばし演技論。
川田「代役やるときって、相手の役者さんのやりやすさを考えるやん」
藤井「えーそうやったん」
皆「えーじゃあ何と思ってたん」
藤井「えっだって穴が開けへんようにとか」
皆「それもあるけど」
川田「今まで何も考えへんかったん」
藤井「じゃあ、本役の人の真似したらええねんな」
皆「ちょっと違うと思うけど」
とその時ケータイの音。私の音と同じだが大竹野さんのポケットから鳴っている。名前を見るとイシダはかせなので、取ってもいいと思い電話に出る。「えーとイシダです。今伊丹に着きました。今からそちらに向かいます」それからしばらくしてまた電話。「エーとイシダです。庄内に着いたんですけど、ここで待っていてもいいですか」
藤井「はい、ではことぶきで待機していてください。」きっと荷物が重いのと、稽古時間が少ないので嫌になっちゃったのだろう。

大竹野さんが部屋に入ってきてびっくりする。「さっき真ちゃんが腹膨らませて帰ってきたのはこういう事だったんやな」と言いながら差し出されたビールを開ける。そして今書いた原稿を一回だけ読み合わせてことぶきへ行く。下にこずえさんがいたので私の飲みかけのチューハイをあげる。高校なら退学処分である。

ことぶきではイシダはかせの北海道みやげ話とアイヌ語辞典とねずみのパイの作り方の本(英語なので私は読めない)イシダはかせは飛行機に乗っている間もいろんな本を買って読みきってしまう。根っからの本好きである。それから様々な差別や社会問題の話になる。こんな真面目なくじら企画だっけ。

私はイシダはかせに「アリスミラーを読んだことがありますか」と聞いたら、初めて「「魂の殺人者」ですか。読みました。」という答えをもらってとても感動し、イシダはかせに親近感を持った。
藤井「アリスミラーは黙殺されたけど、とても大切なことを語っていますよね。私あれで目からうろこが落ちたんです。」

分厚くて読みにくい本だけど、今リニューアルされて心理学の本のコーナーに並んでいるのでぜひ読んでみてください。それと、同じ作者の「才能のある子のドラマ」も良かったです。色んな犯罪の一面が透けて見える一面もあります。

川田さんがイシダはかせにいじわるをして「トウショウさん、六花亭のチョコレートとかお土産はないんですか」「マルセイのバターサンドとか」と言ったので、イシダはかせが大きな荷物の中から「生徒にと思ったんですが」といって鞄からチョコらしきものを出しかけたので、川田もいじめすぎた事に気づき、「ウソです、ウソウソ」と言っていました。みやげ話が一番のおみやげです。それから春生君が来て、白ご飯とラッキョウ等を食べました。

本日のことぶき代 (ごめんなさい酔っ払っていたので覚えていません)なり。

P.S.次の日すごい二日酔いでもうちょっとで上別府君のお芝居を見逃すところでした。もうしばらくお酒はチューハイ2杯までとします。
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10月24日 真ちゃん何で休んでん

今日稽古場に着くと誰もいなかった。ので、歌の練習をしているとエビさんが入ってきた。止めようとするとどうぞ続けてくださいというので続けてたら小寿枝さんが来た。今日は大竹野さんは遅いらしい。「真ちゃんはとても来れない」らしい。

仕方が無いので出来たてほやほやの台本を読む。ちょうど良い事にエビさんと川田さんと私のシーンだった。皆慣れない役で戸惑って3回繰り返し、川田さんと小寿枝さんのシーンをやった。

イシダはかせが電話で、「庄内の駅で待っていていいですか」というのでことぶきで待つ事にしたらしい。「あれ絶対時間はかってことぶきにだけ来てんで」と皆口々に悪態をついた。私は真ちゃんに話があったのに「なんで真ちゃん休んでん」と怒っていた。

真ちゃんに話と言うのは他でもないカメの話である。今日ぼんやりテレビをみていたら、真ちゃんの「玄武君」と同じ形と色をした15歳のイシガメ「モグちゃん」というのが出てきて、飼い主のおばちゃんとずっと話をしているのだそうだ。カメと話ができるのだ。おまけにそのカメはおばちゃんについて散歩をする。おばちゃんが止まると止まり、UターンするとUターンする。賢いカメなのだ。どうだ、真ちゃん、参ったか。真ちゃんはピンセットでヒルを取って以来「玄武君」に嫌われているらしいが、こんなにコミュニケーションのとれたカップルも居るのだ、という話をしたかったのに。

ことぶきにいく途中、エビさんに鳥人予備校のオヤジギャグの話をしたら、エビさんは他のオヤジにオヤジギャグをかまされるとへぇっとか、そうですか、とか言ってたんまにハハハと笑うらしい。決してオヤジを甘やかしたりしないらしいのだ。

ことぶきにつくと、イシダはかせが当然のように座っていて、皆に「ここは稽古場ではありませんから」と言われていた。私は「ことぶきのお姉さんの事が好きやったら好きって言いや」というと、お姉さんが「うれしいわぁ」と言った。

今日もイシダはかせがアマゾンで買った、英語のお能のハムレットの本を持っていたので読もうとしたが、最初の3文字しか読めなかったのであきらめた。イシダはかせの師匠のシテ姿の写真だけは見たけど別にフェンシングみたいな剣も持っていなかった。それから話は江戸時代の飢饉や庶民の生活についてまじめな話になり。

途中で「オレははくさい」「オレはサラサーテ」「ええ、人数足らんやん」「あたしはお弁当盗むやつ」「私ら出てきいひんやん」※1と、台本が出来なかったら議論になったので、大竹野さんが「今回は絶対書けますから」と言ったので打ち切りとなった。

川田によるとエビさんは余裕で舞台上で目で合図をし、「川田さんもう少し前に来ないとサス※2に入らないですよ」と目で語るらしい。それがわかる川田も川田だが・・・。
今日は春生君がかけつけ二杯飯をしてくれなかったので淋しかった。


今日のことぶき代 1100円なり。

P.S. 今日(水)に風ちゃんの芝居を見に行った。きれいなセットでヅカメイクの風ちゃんが頑張っていた。プロみたいだった。※3明日はちかよ先輩が稽古を見にきてくれるので皆頑張ろう。
※1 「オレはくさい(白菜)・・・
これまで上演したくじらの芝居です。はくさい→「彼方のソナタ」 サラサーテ→「サラサーテの盤」お弁当盗む→「黄昏ワルツ」・・・ですね(^_^);


※2 サス・・・
芝居用語かな。暗い中、特定の役者だけが目に入るようにあてられる照明。


※3 きれいなセットで・・・
セット→舞台セット。それと、風ちゃんは芝居だけで(時々パチンコボーナスもあるけど)生活してるので本当にプロだよ。(^_^);
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10月27日 サワヤカになりたい

今日稽古場に着くとすずさんと雁さんがいらしてた。いつ見ても涼しげなすずさんとさわやかな雁さんである。稽古を見てもらうと「ナンカ暗いな」「どろどろしてんな」と云われた。中年男女の愛憎とかお金とか、あまりさわやかな材料ではないが、何とか皆で体操のお兄さんとかお歌のお姉さんとか「冬のソナタ」くらいにはサワヤカにしてゆきたい。

ことぶきにいく途中は雁さんと喋った。「私はこないだ、パソコンをわざと落として壊したのですが、これには深い訳があって、川田さんをいくら呼んでも寝ていて使い方が判らなくなって、落として潰して困らせようとしたのです。」雁さんは、「パソコンを落としたらアカンでしょう」といった。「だってこないだからずーと、「使えるようにしてくれ」といってるのに、「ちっとも使えるやんか」といって相手にしてくれないのです。」

「雁さんは怒ったりしたことあるの?」
雁さん「そりゃオレやって声ぐらい荒げることはあるわな」
藤井 「ヘェー雁さんはアララゲ派なんですね」「物とか投げたりするんですか」
雁さん「まぁ相手がな、でも安いもんとか投げても大丈夫なもんとかあれ、えらんどんのかな」「でも最近はそれもないなあ・・・でも芝居とか見に行って、相手が、あの役者は良かったというと、その理由が分かってても、オレはそうは思えへんなというと議論になって長引くので、だんだん小さい声になって、いってでもオレはいいと思えへんな」と危険回避するそうだ大人だなぁ。でも、1日から1.5日位口をきかないこともあるそうだ。

ことぶきに行くとさっそく雁さんは精密なスケッチを取り出して、大竹野さんとなにやら話をしていた。もちろんすずさんとも打ち合わせをしていた。私はチューハイ2杯のおきてを守って無事に帰った。


本日のことぶき代 1000円やったかな
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10月29日 バイオリンさんと再会

今日はイシダはかせがお休みなので、主に、先に流星倶楽部の打ち上げ※1にゆく小寿枝さんと、川田さんのシーンをやってから、後の人たちの場面の稽古をしていた。ものすごくサワヤカな怖い芝居になっていた。

エビさんとのシーンでなぜか突如川田がふきだして笑いが止まらない。皆がいぶかしがると、
川田「すみません、すみません、だってエビさんが、こんなに近くで喋っているのに目を合わさないんですよ。※2」 エビさんがシャイなのか、川田さんが怖いのかは読者の判断にお任せする。私も悪乗りして、芝居中にいきなりエビさんの手を握ってみたりしたら、やっぱりものすごく緊張されたみたいなので、私が怖かったのか、エビさんがシャイなのか、それも皆さんの判断にお任せする。

小寿枝さんがことぶきに行って、私たちもそーそーに引き上げて、ことぶきに行くことにした。初めて真ちゃんの自動車に乗せてもらった。「僕は運転には向いてないんだよねェ」という真ちゃん、「大竹野さん、シートベルト、シートベルト」という真面目なエビさん。私は真ちゃんに質問した。「真ちゃん、もし隣にものすごくかわいい娘が乗ってきて、「あたし帰りたくない。今夜ずっと真ちゃんの車でドライブしていたい」って言ったらどうする?」ってきいたら「うーん、自分の家に連れて帰ってここで寝といて」というらしい。立派な真ちゃんである。

ことぶきで2階で打ち上げしているので、下で一杯だけ飲んで帰ろうっていってた私と川田だったが、なんと懐かしいあの バイオリンさん※3がいた。 早速ビールをおごってくれた。「サヨナフ」のとき、3次会でめちゃめちゃけんかしたのに、懐の深い人だ。私は出口先生のポスターを指差し「あの方は私たちの先生やねん」と言ったら「出口美保子先生、僕も知ってますよ。お話したこともあります。あの方のシャンソンはもうシャンソンを超えてます。」といってたのでやっぱりバイオリンさんから見てもすごいんだと感心した。

それから大阪の音楽事業について嘆いたり、ジルベールベコーにお誘いしたりしたら、今度自分の名刺を作ったら行きますといってくださったので、ベコーの電話番号をお渡しした。なんとバイオリンさんは天王寺高校でもよく演奏会をしているそうである。

そうこうしていると春生君とヨン様が降りてきたのでどうしたのかなと思ってたら、春生君がいきなりバイオリンさんに「僕バイオリンがやりたいんで習わしてください」というのでびっくりした。バイオリンさんは、この若者に、「バイオリンは最低50万円以上の物を用意すること」それ以下だと耳が悪くなるらしい。それと「先生の授業は、お金はそんなに取らないけど厳しい」らしい。でもバイオリンは自分の知ってる店で、50万円ぐらいの物をすごく安く、たとえば20万くらいで、一緒についていってお店の人に話してあげるよといってたので、いい人だと思った。

それからチューハイ2杯のおきてを破った私はバイオリンさんのボトルを2杯ぐらいタダ飲みして、最後にちょっとだけ遊ぼうと思い、お行儀が悪かったけど、割り箸で焼酎のコップを叩いて「バイオリンさんこれは何の音?」って聞いたら、「ドのシャープ」と教えてくれた。かわいそうに絶対音感なんかあったらうるさくって仕方が無いだろうに・・・。でも面白いのでまたやろう。

そうして川田と私はバイオリンさんと再会の握手をして別れた。そしたら大竹野さんも帰ると言って、3人で駅まで歩いた。その途中、川田がある重大なことを大竹野さんに喋ってしまい、大竹野さんが私の前から1KMくらい引いてゆくのが分かった。そら、そのくらい引くやろという内容だった。庄内駅で「僕は小寿枝さんを待ってますから」という大竹野さんにバイバイをして川田と私は帰った。「気にすんなよ」と川田が私の肩を叩いた。


本日のことぶき代 1000円也
※1 流星倶楽部の打ち上げ・・・
先月後藤が客演させていただきました。打上の飲み会が、この日ことぶきの2階でありました。


※2 を合わさないんですよ・・・
昔から芝居中エビさんと目をあわすのは至難の業です。


※3バイオリンさん・・・
サヨナフ日記に詳しいのですが、大阪センチュリー交響楽団の第一バイオリンの方がことぶきの飲み友達だという・・・


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11月5日 いろいろな人達と会う

今日は、シャンソン教室に見学に行ってから稽古場に向かった。梅田に出店しているビール屋台が無くなってぼーぜんとする川田。仕方なく電車のホームで缶ビールを飲む川田。
フジイ「なあ阪急電車の中でビール飲むのって恥ずかしないん?」
川田 「別にどこでも恥ずかしないよ」
あっという間に庄内、ファミマに寄るも今日もお目当ての猫のフィギュア入りのお菓子が無く、悲しい。

7:00に稽古場に着くと、ほとんどの人が来ていた。68Pぐらいまで台本も出来ている。他人のシーンは笑いっ放しなのに、自分のところはナカナカセリフを覚えることが出来ない。ひょっとしたら私ってバカ?

皆私の10倍ぐらいのセリフをどんどん覚えていってるのに。このままではキケンだと思っていたら、やっぱり帰りしな、いやことぶきへの行きしな大竹野さんに「フジイさん、作文はやめて早くセリフを入れてください」と言われた。

エビさんに「どうやってセリフを覚えるの」と聞いたら「まあ読んだりですかね」と当たり前過ぎる返事だった。イシダはかせは台本と英語のお能のセリフを同時に覚えている。ここまでいくともうついてゆけない。
今日は雁さんとすずさんが見に来てくれたが、雁さんは車なので帰っていった。でもいい人だ。

ことぶきに行くと師匠が居て、なぜかゆうちゃんと※1呑んでいた。もうすっかり出来上がってゆで上がっていた。すずさんと大竹野さんは打ち合わせ、小寿枝さんは師匠の方へ。

中川さん※2が「こんなお店は初めてです。憧れてたんですこういうお店。」と言われたので、「とうとう落ちるところまで落ちて可哀想にまだまだ若くて利発なお嬢さんなのに」と川田と私は涙を禁じえなかった。まだお芝居をしていないだけ少しだけ救いがあるのだが・・・。

それからエビさんが男の人の痴漢にお尻をつねられた話や、イシダはかせが男性画家に襲われそうになった話とかバカ話とかして帰った。


本日のことぶき代 1300円なり。

P.S. 今日暑かったので真ちゃんが白い半そでシャツにブルージーン姿で「ジェームスディーン」と言った。小寿枝さんが「お腹出てんな」と言った。しばらく無口だったのであたしが「「反抗無き理由」ですか」と言うとイシダ博士が突然笑い出し、何度も英語で言って、「全然意味無いっすね」と言った。
あたしが「反抗も理由もないんだ」というと、真ちゃんが「大人しい人だったんだ」と言った。小寿枝さんが「昔は星の王子様みたいだったのに」と言ったら真ちゃんが「4分の3」とポツリと言った。

話題を変えようと、「真ちゃんって足のサイズいくつ?って聞いたら「26.5」と言ったので「大きいねー雑種だね※3まだ大きくなるよ」と言ったら真ちゃんが低い声で「ありがとう」と言った。
※1 師匠と・・・
以前にも出てきた宮内師匠。ゆうちゃんは流星倶楽部の若手、中川祐一君。
師匠のお部屋、
帰ってきた蛸壺はこちらから

※2 中川さん・・・
演団劇箱の制作、中川章子さん。今回はくじら企画にお付き合いくださる。心強い事だ。


※3 雑種・・・
ごめんなさい、私にも意味不明です。・・はて・・?
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11月7日(月) まくりきるかも

台本は75Pの真ん中まで出来ていた。どうやらこのまま、まくりきりそうである。これからセリフを入れて(私だけ)衣装の相談をして、忙しくなりそーな気配なので、チラシとチケットだけ配ってシャンソン教室のお茶の飲み会などは非人間的に失礼をして帰ってきてしまった。この上皆、昼仕事をこなしているなんて信じられない。ごめんねシャンソン教室の方々。

新しい台本が出来てたので今日は遊んでていいのかしらと思ったら、私のシーンもやり直したので、まだセリフを覚えていないのがバレてつらかった。皆私の10倍くらいのセリフを入れてきているというのに・・・。

話題を変えよう。さて、子供の頃「おゆうぎ」が出来なかったエビさんであるが、ナント今回も「おゆうぎ」が見られるかも知れません。エビさんは長ゼリフを覚えるよりずっとイヤそーでした。真ちゃんはお休みです。小寿枝さんは、稽古場代を集めていました。川田さんは「私って冷め切った夫婦の役が一番いいわー」「経験値高いもんねー私ら」といってイシダはかせの笑いを取っていました。

ことぶきに行くと(エビさんはお家へ)
「ああ、本当に明日の事を考えてると当然、今帰るほうが正しいんだろうなー」とイシダはかせがそういう意味のことを言って、皆反省しながら、ビールを飲んで忘れました。
イシダ「明日までに後2冊本を読まないとあかんのになぁ」
皆  「ええー」
イシダ「前説は、ちょっとノーベル賞作家の話で5分ぐらい稼げるんですが後がねェ」
どうやら熱海の美術館でやるお能の事や、東京でやる研究発表の話らしい。ついてゆけない私は「ほんなら飲んどる場合ちゃうやん」と思い、口にも出しながら、ご飯をパクパク食べた。


本日のことぶき代 1000円也(ビール1本分はお姉さんのおごり)

P.S. 帰りの電車で、誰がホビットで誰がドワーフで誰がエルフで誰がガンダルフであるかという話で盛り上がった。誰がどれかは皆さんの想像にお任せする。

P.S.2 今日、誰がどれだけ貧乏だったかという自慢大会をやった。町会費※1の払えなかった小寿枝さんは近所の人にビスケットやかぼちゃや牛乳を恵んでもらった。イシダはかせは30歳のとき冬に半ズボンだったのでコロッケ屋のおばちゃんに「コロッケ一個」というと二つ入れてもらった。「じゃあお金を払います。」といっても「いいからいいから」と受け取って貰えなかったらしい
※1 町会費・・・  銀行行くのが面倒でぐずぐずしてたら財布の中が20円になっちゃって、200円の町会費がすぐに払えなかった事があった。コンビニ銀行なんかある時代じゃなかったし。そしたら、その日の夕方までに牛乳とかぼちゃが届けられ・・・数日後にはビスケットが。ご近所の情報網と人情に驚き、かつ、社会人としては財布の中身が20円ってのはまずいんだなって勉強になりましたわ。
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11月9日(水) 月に吠える

今日稽古場に行ったら、真ちゃんが行ったり来たりしながらセリフを暗誦していた。エビさんもひたすら台本を読んでいた。私は家でちょっと稽古したのでいい気になっていた。川田は電車で台本を読んでいた。

私が「なあ子供殺すって女の人にとっては自殺やんなぁ、でも男の人にとっては他殺やねんなぁ」と言い始めて皆が相手をしてくれた頃小寿枝さんがやってきて皆でそういう話になった時、間悪く大竹野さんが入ってきて、机を片付け、稽古になった。

まだ皆のセリフが完全と言うところまで行ってないかったので、大竹野さんがついに吠えた。皆、特に私と真ちゃんはドキドキして上手くゆかなかった。ごめんなさい。皆をそそのかしたのは私です。

真ちゃんは何も言わず、ことぶきにも行かず、バイクで帰りました。きっと家で練習するのだと思います。

エビさんと川田さんは太っ腹です。「今まで役者が何とかしていたからいけないんですよね」「そうそう何とかしなければいいんです」などと恐ろしい事を言っていました。

大竹野さんごめんなさい。皆本当は人一倍まじめな役者さん達なのです。私が腐ったみかんでした。怒らないでください。頑張ります。

ことぶきにイシダはかせが来たので、思わず「真ちゃんが殴られて、川田さんがはな血を出して、イシダはどこだと大竹野さんが怒った」といいましたがそれは嘘です。学会での発表と英語のお能、頑張ってきてください。


本日のことぶき代 1000円也

P.S. 翌日のベコーで、お客さんが「息子も芝居をやっているので息子と見に行きます。」とチラシと当日精算券を持って帰ってくれた人がいるというので「どこの劇団の人ですか?」と聞くとそこのチラシをくれて、キレーなチラシだなぁと思って見ていると「リリパットアーミー」のチラシだった。ベコーの人とお客さん有難う。でも息子さんってどの役者さんだろう?
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11月14日(月) 再び幻武くん

今日、稽古場に着いたら8:00だった。台本の1P〜10Pまではお葬式だったが、もう大体94Pまで出来ているのでお葬式はなさそうです。

大竹野さんとエビさんと小寿枝さんとあたしが居たので、エビさんと川田さんが読みあわせを3回ぐらいして、飽きたので「煙草休憩にしましょうか」と言った時真ちゃんが来たので、あたしと真ちゃんの新しいシーンの練習をした。

あたしは真面目にやっているのに真ちゃんが不真面目なのでちっとも進まないので大竹野さんに叱られた。すると真ちゃんはあたしの方を見ないで芝居するという技を編み出し、その場を凌いだ。後でまとめ笑いをした後、「核弾頭」といわれた。そのうちにイシダはかせとか全員が揃ったのでP70〜出来たとこまでを練習して終わった。

イシダはかせはすっかりご満悦でことぶきまで歩きながら昨日熱川の博物館で演った英語能「ハムレット」の謡いを続けていて面白かった。能の謡いなのに英語なので少し不気味で何を言っているのか判らないので面白い。きっと怪しい人と思われていると思う。

ことぶきに着くとおばちゃんが焼きうどんやおでんなどを勝手にサービスしてくれてラッキーだった。大竹野さんがトイレに立っている間に台本の話になった。川田さんが玄武くん、くじら日記にデビューしてたねというと真ちゃんがにっこりした。「玄武くんもお芝居に出したいよね」という話になり、玄武くんと他のカメを並べてレースのシーンを作るのはどうだろうという事になった。

「残りのカメはどうするの」という事になると、エビさんが「僕がカメやります」と手を挙げ、勇士が皆、名乗りをあげた。イシダはかせは着ぐるみを着てやるという。あと塚本さんも黒子でやってくれそうだなぁと話していると、真ちゃんがだんだん大人しくなっていった。となると玄武くんも当日パンフに載せなければならない。出身は真ちゃん家か駐車場かナントカもめたが、真ちゃんは何も言わなかった。

小寿枝さんが日本酒を飲み始めたのでエビさんやイシダはかせもお猪口を求めて飲んだ。あたしもガラスのコップで飲んだ。イシダはかせはちょっと危ない。「明日 ― 明日、早く学校へ行かなければ」といいながら、今日もチューハイを飲んでから稽古にきたらしい。なぜかと聞くと「お金の細かいのが無くて、水だけ買うのは悪いので」といった。「ならどうしてチューハイを飲んで、水を残してるのか」とつっこまれてた。

「イシダはかせはね、アル中なんですよ。私なんかビール飲んで来てもチューハイは飲んでません」と川田が言うと、「それは目くそ鼻くそを笑うというんですよ。」と小寿枝さんに言われたが、ひょっとすると全員がアル中かも(あたし以外)


本日のことぶき代 1200円 お酒を飲まなかったえらい真ちゃんは500円

P.S. ことぶきをでると川田さんが真ちゃんのバイクに跨っていたずらをしてこけそーになっていたので真ちゃんがマジで怒っていた。私たちは真ちゃんと川田さんを置いて駅のほうへ歩いた。
「今度真ちゃんのバイクをさぁ、きれいに養生※1した上にそっと寝かせてさあ下にカメとかおいといとらどーたろー」と言ったら皆にかわいそーだよと言われたがそうそう、それで「真ちゃんのバイク酔っ払いにけられたみたいよ」とかいってさぁと言う人もいた。「じゃぁさぁ、忘年会の時鍋にしてさあ、最後に鍋のそこから甲羅が出てくるという演出はどうだろう」いうと、賛否両論だった。真ちゃん、ごめんなさい。帰りの電車の中では、男の人はトイレを汚して困るという話になり、座って用を足せば良いのにと女子が言うと、大竹野さんも、声を大にしてオシッコぐらい立ってやらせて下さい、自分達で後で掃除しますから、やってますから、と言っていた。そのあと、イシダはかせから爆弾発言があったがここには書けません。

P.S.2 玄武くんはさておき、エライ先輩である舞台監督、塚本氏がチラシに乗ってないので、セクシーなポーズを取ってもらってくじら日誌に出演いただくのはどうでしょうか?
※1 ええと、本体を汚さないように保護する目的でシートを被せたり、テーピングをしたりする事かな。
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11月19日(土) 本番が近づく

やっと台本も98Pくらいまででき、役者も安心・・・(エビさんと川田さんは心配そ〜。だって大変なんだもん)しっかり者はやっぱりソンである。私なんて数字とか苦手で順番とかメチャメチャで結局自分用のアンチョコ※1を作り、自分のセリフに集中しています。だからお芝居の全体像をつかんでいないというか。また間違えないようにそで※2に長くスタンバイしていろいろな人の邪魔になりそうです。一緒に出る人どうか気をつけてください。

イシダはかせはあんまりセリフを覚えなくても、誰もいじめません。男の人にも女の人にも好かれる人というのがたまに居るのですね。しかも学校では学級日誌に「先生、今日は(も)お酒くさいです」と書かれる人気者です。
真ちゃんはいつもお芝居を真剣に考えています。本当にお芝居が好きなんだと思います。(くじらだけだと思うけど)
小寿枝さんは色んな事をしながら大竹野さんのお尻を叩きながら、衣装や小道具、炊き出し、DM、全部の事がらに神経を使いつつ頑張っています。

大竹野さんは本番が近くなってくると眼がらんらんとして、ちょっと何かやってる感じです。川田さんは、真ちゃんに「私に触るんなら微妙なところを触らないで思い切ってやったらええのに」と男みたいな事を言います。19日(土)も今日こそは帰ろうと思ったのにと言いながらことぶきへ行きました。

ことぶきでの会話は忘れてしまいました。きっとあほなことを喋っただけだったのでしょう。ああちょっと思い出した。明日は衣装をそれぞれ持ってくる話をしたと思います。


本日のことぶき代 1200円?也

P.S.あほ犬ゆうくん(チワワ)VS でぶ猫チョビ(雑種)

昨日、川田の両親が台湾へ行くというのですぐに吠え、噛み付く、おまけに何度行っても餌をあげても人の顔を覚えないあほ犬のゆうくんを預かった。ウチのでぶ猫との関係性を観察していたら、うちの猫もかなりイジワルだという事が判った。

最初ゲージに入って吠えたりうなったりしていたゆうくんだったが、チョビが近づき、ゆうくんが出られない事が判ると急にゆうくんを入れてきた散歩用のバッグのにおいを嗅ぎ、次にその上で丸くなってごろごろした。ゆうくんは最初はウーといってたけれど、次第に目をそらしてうずくまった。うちの猫は追い討ちをかけるようにゆうくんのバックに入ってご満悦だった。
※1 なんとなく、辞書で調べてみたら、「安直」からきてるらしい。ふうん。

※2 舞台の脇など、出入りするところに吊ってある幕をそで幕といいます。ここではそのそで幕の裏付近の場所を言ってます。出番直前の役者は、たいていここでスタンバイしてるようです。
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11月20日(日) もうすぐ終わるでしょう

今日ついに台本は100Pを越えていた。エビさんが「もうすぐ終わるでしょう、もう無理です。飽き性ですから」といい、川田が相槌を打っていた。そして最後はわれわれに全部任せるんですよね、と笑いながら目が真剣だった。

稽古に行くのが遅くなったので、稽古はすでにかなりやったみたいだった。雁さんや大西さんも姿を見せていた。武ちゃんも来てくださった。すずさんはことぶきに来るらしい。中川さんと劇箱のニューフェースさんも手伝って、DM作業をして下さっていた。ごめんなさい。ありがとう。

稽古ばっかしやって衣装あわせはないのかなと思っていたら急に最後の20分で衣装を合わせた。大竹野さんは他の人の衣装は結構真剣に見てるのに、一番神経を使った私の衣装は、「基本的に藤井さんは何でもOKです」とごまめ宣言をされた。あたしもいつかヒロインをやりたい(ウソ、だってセリフ100倍あるもん)

なんと言ってもエビさんはうさんくさかった。でもどうしてイシダはかせはとんでもない衣装をたくさん持っているのだろう。私も自分の衣装が全部自前で揃ってしまうのが少し悲しい。

ことぶきに行くと久々の大人数10人なので、二階のお座敷を占領した。お姉さんが「そこにあるお菓子食べてな」と言ったのでよく見るとどっかの打上で食べてたお菓子だなぁ、一つ一つ袋に入ってる。おかきが湿るのって、何ヶ月くらいかかるんだろう。そこでニューフェースちゃんが湿りおかきをチンして食べる事を教えてくれた。

「あー明日朝、校長と面談なのに。早く帰らなければー」といいながらお湯割を注文しつづけるイシダはかせ。
「あーあした早出なのにー11時に帰ろうと思ったのにー」といいながらビールを離さない川田。


本日のことぶき代 1200円也

とりあえず3人でちょっとだけ、気持ち、早く出た。もうタクシーで帰ろうかといって最初は梅田までのはずだったのに、玉造まで乗ってしまった。時々この手は使えそうだ。タクシーの中では皆べろべろになのにインドのカースト制が崩れつつある話で盛り上がった。

玉造から寺田町はもうすぐなのに、なぜか電車に乗る石田はかせだった。また大阪駅で起こされたら、元も子もないではないか.
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11月26日(土) お客様は林さんです

今日稽古場に行くと日本経済新聞社の林さん※1がたくさんの荷物とおみやげのお菓子を持って取材に来てくださった。一人づつの写真を撮るといわれて川田と小寿枝さんは、どうしようこんなきちゃない格好なのにと心配し、あたしは一度外したネックレスをつけた。林さんはいつもどおりにニコニコしながら写真を撮りながら最後まで練習を見てくださった。

ことぶきで取材が始まった。最初は大竹野さんと林さんがずっと喋っていて、次に川田と私が「お芝居とシャンソンについて」イシダはかせが「お芝居と能について」話した。林さんはウーロン茶一杯飲んだだけなのにたくさんお金を払おうとされたので皆で止めた。イシダはかせは小さい声で「ごちそう様」と言っていたのに・・・

帰りしも話が盛り上がり家の近いあたしと川田とイシダはかせと林氏はタクシーで帰る事になった。タクシーの中でも話が盛り上がり続けたのでちょっと降りたくなかったが、玉造に着いたので仕方なく降りた。


本日のことぶき代 1100円也 

P.S.1 林氏が私のくだらない日記のホームページを束にしてまとめて持ち歩いておられたので恥ずかしかったです。
この前、「台本の10Pまでがお葬式になりました」と書いたので、林氏は最初のシーンはお葬式だと思って、「いつお葬式のシーンがあるのかな」と思っておられた様ですが、お葬式というのは台本がボツになるという意味で私が勝手に作った言葉です。ご迷惑をおかけしました。

P.S.2 今日思い切ってイシダはかせの研究している「サミュエルベケット」って誰?って聞いてみたら博士と林氏にステレオで「ノーベル文学者です」※2といわれまたバカを露呈してしまった。

※1 林さん・・・
10日土曜日の夜の終演後のトークに、林さんが来てくださいます。ニコニコ顔が見られます。10日の夜来場予定のお客様、ご期待ください。

※2 ノーベル文学賞受賞者??   またまた調べてみた。
サミュエル・ベケット
(Samuel Beckett, 1906年4月13日 - 1989年12月22日)は、アイルランド出身のフランスの劇作家、小説家、詩人。不条理演劇を代表する作家の一人。また、ウジェーヌ・イヨネスコと同様に、20世紀フランスを代表する劇作家としても知られている。1969年にはノーベル文学賞を受賞している。  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』・・・
ということらしい。あまり知らなくても普通だよね・・・?

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11月27日(日) 月にかみつく

今日、谷町のおしゃれなギャラリーの奥で稽古だった。川田は稽古を始める前にこの先の演出プランについて話し合ってください、と大竹野さんに言った。真ちゃんが来るのを待って、話し合うというか。一方的に私が大竹野さんにさんざんかみついてしまった。もちろん川田も吠えた。

「納得がいくまで稽古なんかできません。」「いや稽古する。」と押し問答になった。タケちゃんが「あのーですね、このまま演技論を戦わせても進展は無いと思うんですね。それで一度やって見て、何度もこれで練習してみてですね、そうしたらやっぱりこれでいいじゃないかとか、違うんじゃないかという答えが出てくるのでは無いでしょうか。と社会人らしく冷静に言ってくださったので稽古を始めた。

そのまま稽古をして、舞台監督の塚本さんにチラシに名前も載っていないのにすみませんといって賢い人同士で舞台の打ち合わせをして塚本さんは帰られた。心の劇団員タケちゃんは夜にもう一度来ますと言って一度仕事に戻られた。

小寿枝さんと大竹野さんとエビさんと川田さんとあたしは電車組だったので皆で電車に乗った。重苦しい雰囲気※1の中、話したり、夕ご飯を食べたりして庄内の稽古場へ移動した。

そのまま稽古して、通しをして、スタッフの方々もほぼ全員見に来てくださった。それから仕事場に戻らなければいけない真ちゃんにバイバイしてことぶきへ行った。奥のテーブルはスタッフ会議、手前のテーブルはなごみ系のイシダはかせを中心に、バカな、かしこ話をして終わった。

最終的にタケちゃんが、「今日見せてもらってですね、悪くなかったと僕は思います。台本見たときは吐きそうだったけど、嫌な話だったけど、そんな感じはしなかったですね。」と言ってくれた。


本日のことぶき代 1300円也 

帰りの電車を逃すまいと走る。エビさんとあたしと川田、「今日もイシダはかせは来なかったですね。」と言っていたら、一人缶チューハイを持って半ズボンで変なブーツ(編み上げで、膝まであるコンバースの靴。後ろにチャックがついている。)、リュックにピンクのストラップの赤いケータイ(お酒のストラップ付き)の見るからに怪しい男が、階段を駆け上がってくる。イシダはかせであった。もちろん車内でチューハイを飲む。

四人で仲良く帰った。JR駅で川田とあたしとはかせがトイレに行った。戻るとなぜかはかせが二本目の缶チューハイを持っている。あたしたちはその早業に驚くとともに、「はかせ、病気持ってない?」と確認してからチューハイの味見をした。どうやって帰って、どうやって難しい論文を書くのだろう。肝臓二つあるんちゃうか、と密かに思った。



次の日になって、大竹野さんが、「これは僕たちの祈りだ」と言っていたのを思い出して、自分なりに祈ってみた。そしたら私の錆びたパンドラの箱が開いた。中には台本の中のえげつない人たちが居た。ああ、この芝居を通して、自分のえげつない、さもしい、あさましい、いじきたない、もう言葉では言い尽くせない、ひどい思いが渦巻いているのを見た。すぐに閉めたかったけど、頑張って凝視した。

私が大竹野さんにぶつけたひどい言葉の数々は自分の心の投影かもしれない。実は私の無意識のおごった心、嫉妬の心から出たものなのか?それとも大竹野さんの後ろに本当に怒りをぶつけたい相手、たとえば自分の父親とかを見ていたのか?
タケちゃんが「役者一人一人、ものすごく苦しんで作った作品なのだから」と言っていたのを思い出した。

私も一緒に祈りたい。冷たい墓石に手向ける花のように憐れみの心ではなく、同苦したい。あなたと一緒に怒り、それでも信じ続けたあなたのように。もう二度とあなたを悲しませない為に、私の中にも誰の中にも、あなたを含めたすべての登場人物が居ると。

私はキリスト教徒ではないが、マザーテレサという人が「愛の反対は無関心」だと言っているのを何かで読んだ。だから見に来てくださる方、お一人お一人が、どうぞ舞台にまで降りてこられて、それぞれのパンドラの箱を開けて見つめてくださる事を祈ります。
もう二度と人柱を立てない為に。

※1 重苦しい・・・
え、そうだっけ?なんか電車の中ですごく面白いものを(内緒)見つけて、皆で笑い転げてなかったっけ・・?あれってそれまでの重苦しさの反動だったんだろうか?

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11月28日(月) 「イケイケ」と「どんづる」

稽古場に着くとエビさんが外で煙草を吸っていた。それまで大きな声で歌いながら歩いていた私はちょっと恥ずかしかった。部屋に入ると大竹野さんがごろんと横になっていた。「おはようございます」というと、起きて「おはようございます」と言った。真ちゃんが来れないとの事だった。少し経って、イシダはかせがいつもの格好で現れた。もちろんお酒のワンカップ持参である。

「今日はトウショウさんの特訓日にしましょう」と大竹野さんが言って、イシダはかせDayになった。なぜなら早くセリフを入れて貰って、お芝居をもっと短くする必要に迫られたからである。川田と小寿枝さんはイシダはかせが来る前に番長会議で、
川田 「トウショウさんはあんなに間を取る人じゃないねん。」
小寿枝「そうや、あれ絶対思い出してる間や」
川田 「私だんだんトウショウさんの思い出してる時の表情、わかってきたわ」
等など言っていたので、本人に問いただすと、
イシダはかせ「えっ、いや、あれはですね、目でこう視線の演技をですね」
とか言うので早速特訓が始まった。

自分は今日は暇で良かったって思ってたら苦手な立ち居振る舞いの練習をさせられた。私は演技というものが判っていないのでどうも相手の役者さんに自分の仕事を全部ぶつけていたらしい。

終わってことぶきで衣装・小道具の点検をしていった。小寿枝さん、すべて任せてごめんなさい。
それからバカ話になった。川田と昇さんの顔が似ていると言う話であたしが、「でものぼりさんは目と目の間がイケイケになってないで」と言うと小寿枝さんが、「イケイケ」って何と聞いたのであたしがイケイケというのはつまりバリアフリーの様なものだと言う事を説明したら、川田の機嫌が悪くなり横に居たエビさんが「川田さんがイケイケやったら僕なんかどんづるですやん」と言った。

今度はあたしが驚いた。「「どんづる」って何?」というとエビさんが説明してくれたが、土着の大阪弁でイケイケのひどいやつのことだそうである。しばしばイケイケとどんづるについて論議した後、まず相手の何処を見るかという話になった。イシダはかせは「まず顔ですね。それから足かな」
川田  「このヘンタイ」
エビさん「僕も顔ですね」
あたし 「その次は」
エビさん「・・・・・・」
川田  「人には言えないところですか」
小寿枝さん「だまってたらムッツリって書かれますよ」
エビさん「・・・・・・」
あたし 「じゃあ大竹野さんは?」
大竹野さん「そりゃあ前にものすごい大きなおけつがあったらただおおきなおけつやなぁと思うけど」
     「やっぱり顔でしょ。それから全身のバランス」
誰か  「やっぱり映画の人やからかなぁ」
あたし 「じゃあ音響のP氏は?」
P氏  「僕は顔ですね。」
あたし 「次は?」
P氏  「くちびる」
川田  「このヘンタイ」
あたし 「どんなくちびるやったらええの?」
P氏  「それはまあ その まあええですやん」
結論。皆ヘンタイである。


本日のことぶき代 1100円也 

庄内駅までのコンビニに約3名、駆け込んでそれぞれの酒を買う。P氏は「何か買うてきましょか」「何か買うてきましょか」と川田に気を使う。結局庄内駅のホームで日本酒を持っている大竹野さんと小寿枝さん、焼酎を持っているイシダはかせ、電車の中で回し飲みをする。怪しくも迷惑な某劇団の真の姿がそこにあった。

その朝自転車に轢かれてボロボロだった川田と明日8:30までに学校に行かねばならないはかせと日記係のあたしは梅田からタクシーで帰ってしまった。

続く