『エロ系』…お題No.11:淫乱 中篠


『 H -holic- 』


抗いの声が小さくなった。抵抗の力も弱くなった。そして俺が導かなくても宛てがえば自然に足を開いて、突っ込めば腰の位置を自分で整える。
・・・ナル程、コレが”慣れる”ってコトなんだ。
今までこんなに長く、同じ人間相手にセックスをし続けたコトはなかった。来るもの拒まず、去るもの追わずがモットー。ソレにオトコはともかく、オンナでは相手が処女だったコトもなかったし。でもコイツは違う。コレは俺が全てをイチから教えて開かせた、俺の手と舌しか知らない肌と、俺のカタチと動きしか知らないアナを持った身体。
「・・・気持ち良いか?」
返事は甘ったるい喘ぎと、ゆるゆる振られる黒髪。聞かなくても判るんだがな、この様子を見れば。でもこうやって言ってやった方がコイツは感じるらしいから、俺はイチイチわざわざ、コト細かに説明して解説してやる。濡れてるとか勃ってるとか、溶けてるとか零れてるとか。そうするとそのヒトコト一言に過剰に反応し、色白な肌を薄く赤くして、普段なら絶対に出さない様な切ない声で、悲鳴みたいな息を紡ぎ出す。正直、コイツにこんな一面があったなんて思いもしなかった。だってそうだろう、誰がどう見たって、どちらかと言ったら、そういうコトに対しての興味は薄い方。事実、雑誌のグラビアアイドルとかのポーズがちょっと挑発的(勿論、水着で)だったりしただけでも、嫌な顔をして目を背ける程。でもそんな潔癖性気味でストイックな筈のコイツは今、俺に身体を貪られている。そう、ソレこそグラビアアイドルなんかよりも、もっとずっと艶冶な顔とポーズで俺を受け入れて、啼いてる。いやらしい抜き差しの音をアソコから立てて、見てるこっちが痛くなるくらいに張り詰めたトコからは透明な雫をはらはら垂らして。もう手を付く力すら残ってナイのか、両肩をシーツに付いてホントに腰だけを上げた体勢で俺に揺さぶられてる。藍色がかった黒い瞳は完全に焦点を無くしてる、唇は言葉を忘れたみたいに、詰まった短い息ばかりを吐き出し続けてる。すらっとしたキレイな身体はまるで人形みたいに固まってて、俺と繋がってるトコだけが異様なまでにリアルで生々しい色合いと質感と音を立ててる。
「もう、イきそうなのか?」
キツくなって来た締め付けで、先がそんなに長くナイコトを感じ取る。だが、
「まだ早いぞ、もう少し我慢しろ」
言いながらあっさりと引き抜いて身体を返し、正面を向かせて膝を立てて、腰を落とさせる。でも両膝は付けさせないで開かせてるから、ナニもかもが丸見え。履き出しの窓から入る、冬の夕日。その柔らかい光に、俺とコイツ両方の液で濡れまくってるアチコチが、てらてらしてる。バカ、ナニをしているっ。ナニって、先にイかれると困るからな、少しばかり休憩だ。
「っ」
中途半端で放り出された身体は、気の毒な程にびくびくと揺れてる。その痙攣みたいな動きが面白くて、暫くソレをじいっと眺めてると、脇にだらっと落ちてた手が前に伸びて来て、自分で続きをしようとする。でもソレはぱっと払って、ならばと閉じようとした膝頭にも手を挟んで阻止。
「・・・な、かじまっ!」
そして、信じられないくらいにカワイイ抗議の声を漏らした唇にはバードキス。ソレは触って欲しいだろうトコには絶対に触れない様に注意した、ごくごく弱く優しいキス。その舌先に感じた、微かな味。そしてさり気なく下肢へと伸ばしていた指先にも、とろりと重い涙の感触。そんな頬の雫は舌でダイレクトに、下の方は指先で掬い取ってからぺろりと舐める。その味に柄にも無く、胸が疼く、ズキズキする。悪いクスリみたいに意識がぼおっとなって、喉が渇いて身体のあちこちが際限なく騒いで喚いて。俺が唯一、フィクサーに徹しても良いと思ったアイツと同じくらいに崇高な、いやソレ以上に大切な存在。呆れるくらい
に甘やかして大事にしてやっても良いと想いながらも、こうやって気が狂う程に泣かせて堕として、ボロボロにして壊してしまいたいとも思わせる、存在。ソレがコイツ、篠宮紘司と言う存在。
「バカだな、泣くコトはナイだろう」
涙が伝い続けてる頬に、もう一回キス。お前があんまりにも良い声を出すから、ちょっとイジメてみただけだ。もう止める、そして。
「・・・イかせてやるよ」
真正面から覆い被さって、焦れて熟れきってるアナに突き立てる。途端に感じる、噛み切られるんじゃナイかと思う程の圧迫感。そしてコイツの長い足が腕が
俺の身体に絡み付いて、なだらかな胸が腰が擦り付けられる。
「ナカでイくぞ」
そう、絡み付く壁を振り切るみたいに動いて、先を目指す。返った長い嬌声は、YESと解釈。まあ『嫌だ』と言っても、聞くつもりは無いが。やがて挟まれてすり潰されてたアイツがくっと先に吐き出し、ソレを感じた俺もすぐに後を追う。極め付けみたい締め付けに、全部搾り取られるみたいな気分。アイツのしなやかな身体が二、三度大きくしなり、深い息と共にシーツに落ちる。そして俺の身体も、押し寄せて来る何とも言えない怠さの波に押し潰される様にして、崩れる。夕闇が満ち始めた部屋には、荒い息だけが漂い始める。そんな。
”もっと・・・”
そんな気怠い空気の中、中で俺を受け止めて、そして外には自分が放った液が残ってる薄い腰に頬擦りしながら、らしくないコトを小さく囁く俺。もっともっと満たしたい、ソレこそ髪の一房から爪先までを、俺の色で塗り潰したい。外も中も、頭も心も。コムスメみたいに愚かな希望だが、イツでも幾らでも、この身体が壊れて溢れて零れ出してしまうくらいに、俺の全てを注ぎ込みたい。そんなコトをぼおっと考えていた時、腹の上に乗った俺の髪を、アイツの指がすうっと梳いた。その感触に、意識がするりと持って行かれそうになる。その事実に、我ながら驚く。こんなコト、あり得ない。俺が誰かの傍ら、いや腹の上で
眠りに誘(いざな)われるだなんて。呆れる、コレは相当にヒドい中毒だ。
「・・・ナニがおかしい」
堪え切れずに、ついに音を伴って漏れた苦笑。その声に、俺の下の身体から、怪訝な声。だから、
「悪いクスリだと思っただけだ」
そう、謎掛けみたいな切り返し。クスリ?ああ、俺にこんな気持ちを抱かせるだなんて、本当に悪いクスリだ、お前と言うオトコは。待て、俺にはナニが何だか、さっぱり判らないのだが。
「良いさ、判らなくて」
訝る声は、さらりと無視。そして。
「起きたらキレイにしてやる、だから少し寝かせろ」
言い残し、目を閉じる。頭の上から聞こえたのは、呆れた様な匂いを伴う、短い吐息。でも俺を退かそうとはせずに、再び指は髪を梳き出し、空いていたもう 一方の腕も、俺の背を包み込む。その感触に、更にらしくないコトを考え出す、俺。



そう、コイツに溺れるならば、悪くは無い。溺れて沈んで死んだとしても、良い夢だったと笑えるだろう、と。







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すっぽかしたなかじーのBDのお詫び&篠BDと言うコトで、ナンとかヤってみました(笑)
でも全然ヌルいですよね、すみません。お題もイマイチ、消化しきれてないカンジですし。
もっとこう、あんあん言わせたかったのに。海より深く反省してます、ダメだなあ。
そんなこんなで、おめでとうなかじー。そして篠も、おめでとうv
今年も一年、色々と宜しくお願いします。