教えられなければ、わからないような

 

 

早春賦

 

カチャン、ガチャ、ジャラッ、ガチャン

規則正しいようで、まったくの不協和音が支配する部屋

「ひ、ぃぁ…んぁぁ…ツ、ナァ…っ」

「ん。気持ちいい?山本」

じゅぷ、ずぷ、ぐぷん、カチャ、じゅぶ

競うように生み出されているのは肉と肉がこすれる音
熱く硬い楔は深く埋め込まれ、性感帯を嬲る
すっかりできあがった体は、悦楽を拒絶する言葉を発しながら
逆にどこまでも貪欲に熱をとりこもうと揺れ乱れる
ゆるゆると腰をすすめるたびに、それでは足りないのだと訴えるように
蜜壷の中で角度がかわるように、その微肉の手ごたえに膨らみ大きく傘を張るカリ首を
こすりつけるように、腰を振るのは、俺なのか、君なのか

「ん、ぁ…いい、きもち、い…はぁん…すご、ぃぃっ…おくぅ、ぐちゃって、な、る…」

そんな風にすっかり飼いならされた快感に翻弄されながら
うとうととまるで眠りに落ちるかのように、悦楽に没頭したい誘惑に耐えて
それでも山本は目を閉じず、俺をみる

「ツナァ…つ、な…きもち、い…?…おれ、ぁんんっ、あ、はぁ…ひぐぅっ、あ…」

俺をみて、そういって少しだけ不安そうに尋ねてくるから
どうしたって愛しくなって、俺は片手で掴んでいる金の鎖を手放して君を抱きしたい衝動にかられる

「うん、だいじょうぶ。ちゃんと気持ちいいよ…山本の中」

「…よか、ぁ…んぁ!」

笑んだ瞳が俺を捉えて、瞬間、ズクンと下腹部に熱がたまったのがわかる

「や、おっき…ツナの…ふとぃ…んん、くるっし…はぁん」

「うん。ごめん。でも、今のは山本のせいだよ」

容赦ない言葉を浴び去れば、背中がビクリとはねた
反論はさせないし、させるつもりもなかったから、俺もとまりかけていた動きを再開させる
しっかり鍛え上げられた山本の体がガクガクいうほど、壊れそうなほど突き上げて
さっきの言葉のとおり、自分の肉棒のいいところへ山本の腸壁をこすりつける

「あぅっ、んぁ…ひぁぁっ!はげ、しぃ…ん、んふぅ…」

ジャラ、カチャン、じゅぷ、じゅぶん、チャラッ、ずぷぷっ

肉の音と金属の音、無機質と有機質、熱と冷たさ
そんなものがないまぜになって、まるで一つの命のように
人体実験のビーカーの中みたいになっている、部屋の中

「やまもと…」
「あ、あ、あ、…あぁっん、あぅ…はぁ…あぐぅ…んん、つなっ、ツナァ!」

山本も腰をふって、俺の肉棒が奥まで届くよう、グリグリと体内で音をたてながら
尻をふり、戦慄わせ、痙攣するように入穴を震わせて、肌と肌をぶつけあわせてくる

「ん…っ」

ぴゅ、るっ、…どぶどぶっどぷ

「ひぁぁぁっ!あ、ちゅ…あ、あぁっ!あぅ、ひぐぅっ!!」

射精。
14才の未発達な体には正直辛いだろう量の精液を注ぎ込む。
気遣いとは裏腹に一滴だってこぼすのを許すものかという意思表示をこめて。
開放し萎えたソレを抜きもせず、むしろ尿道に残る残滓さえ送り込むように腰をゆすった

「あ、ん…はぁん…っんん、あつぃ…あつ…んん、ツナの…重…っはぁ…はっ…」

俺の精液を体内で受けて、感じた山本は、二度、三度と軽い絶頂を繰り返す
弛緩した体は、ペニスはもとより、荒く呼吸する胸も、腹も、その白い太もものひくつきですら
精液をはなち、微肉で感じ取る喜びを俺に伝えてきた

「ふふ、山本の中があんまりにも気持ちいいから、ちょっと出しすぎちゃった」

にっこりと笑顔でそう告げ、ぼんやりとした視線を宙に投げる山本にくちづけを一つおとす

「ん、んふ…んぁ」

ちゅ、ちゅ、かるく唇をあて、誘うように開いた場所から喉のおくに届くほど舌を伸ばせば
ピクピクと体がはね、細い腕が俺を抱きしめてきた

そのとき




「で、もういいかい?」




「っ!」
「…みてわかりませんか?雲雀さん」

コツコツコツ
部屋に規則正しいローファーの音

「どっちでもいいんだよ、そんなこと。嫌がらせなんだから」

足音は少し離れたローテーブルのところでいったん止まると、パサッと紙を置く音

ジャリッ

少し音を立てて、強めに手元の鎖を握り締める

「ひば、り…」
「いい格好だね、山本武。僕も混ぜなよ」
「え?」
「群れるのは嫌いなんじゃありませんでしたっけ?」

コツ、ン…

「嫌いだよ。けど僕は群れさせろといっているんじゃない。
 ちょっとその子を使わせろっていってるのさ」

「そんなこと俺が許すとでも?」

「べつに許してもらわなくてもいいよ、ただ」
「っ!!」

ザンッ!ガッチャン!!

「ぐ、ぅぁっ!!」

さすがの超直感も働かなかったのか
呼吸と呼吸の合間に雲雀のトンファーは下から上へと勢いよく振り上げられ
それは話すまいと握り締めていた鎖を、派手な音をたてて引いた
自然、その先に首輪で繋がれていた山本の体も吊られることとなって

「やまもとっ!…っ、雲雀さん!!」
「〜かはっ、ひ…っ…っ」

「さ、選びなよ沢田。その手を離すか、それとも僕にこの子を使わせるか」

手を離せば、そのまま雪崩れるようにもっていかれるのは目に見えている
元よりそう圧倒的な実力の差がある二人ではないのだ
雲雀を相手にするにはいくつかの戦略と準備がいる
戦略とは細かい戦術をまとめ、よりあげて作るもの
そうして、目の前のこの男は、小手先だけの戦術でどうこうできる人物ではない
なら、用意された選択肢は、ひとつ

「…わかりました。だから、まずは山本を放して下さい」

一呼吸分の沈黙、そのあと

チャラ、リ

「はっはぁ…っんんっぁ…はぁっ…」
「物分りのいいご主人様をもてて君は幸せだね」
「…山本、ごめん。大丈夫?」
「…はっ、はっ、あ……つ、つなぁ…」

首に手を当て、肩でいきを吸い込む
その瞳が揺れているのは、たぶん、酸欠のせいだけじゃない
だから、自分は

「ごめんね。そういうわけだから、雲雀さんの相手もよろしく」

にっこりと笑顔を作って、彼の絶望を決定的にしてあげることくらいしかできなかった。



じゅぷ、ちゃぷ、ちゅく

金属の音はすっかりなりを潜め
そのかわりに増えた水音が部屋を支配する
雲雀さんの開かれた脚の間に顔をうずめ、いわれるがままに奉仕をする、山本
軽く手を沿え亀頭を唇で何度も往復しては刺激をあたえ、丁寧に口を動かす

「ワオ、随分といい具合に躾られてるね」
「別にアンタのためじゃない」

その上では、毒の混じったセリフが遠慮なく飛び交う

ちゅぷちゃぷ、くちゅん、ぺろっ

「…」

っちゅ、ちゅぅ…じゅぷ、じゅ…ちゃぷん

「…フン、もういいよ」
「っ」

必死で舐める姿は可愛いのだけれど、どことなく時間をのばしているようにも感じられたのだろう
雲雀さんは山本の髪をつかみ、上を向かせた
その表情が痛みに歪んで、ゾクッと背筋をなにかがかけおりていく

「ひ、ひばり…ほんと、に?」

そんなことを思っていたら、かなり戸惑った山本の声がした
その(ある意味、とても山本らしい)全うな言い分に

「…いまさらでしょ?」

毒気を抜かれたのか、雲雀さんも呆れた声で答える
その言葉に、動揺が気配となるほど大きくなって

「で、でも…」

戸惑う声はこんど、振り返り、こちらへと向けられる
すがるような視線に覚えるのは、愛しさと嗜虐心
けれどこの状況で、愛しさを育てることはでき無いから

「大丈夫だよ、山本。俺は気にしないから」
「つな…」

愛しさはすてて、もうひとつの、ソレを、育てよう
10年一緒にすごした君がゆっくりと俺の中に植えつけてきた
自滅のための狂気

「あぁ、じゃぁ…こうしようか」
「え、ぁ…んんっ」

俺はにっこりと笑顔をつくり、手近なところにあった紐をひとつ手に取る
それを手早く、山本のかわいいペニスへと結んだ

「つ、つな…っ?」
「これでよし。いくらいっても出せないから、気兼ねなく、イクといいよ」
「え、ぁ…で、でも…え?」
「いかなきゃ浮気じゃないでしょ?」

それ以上の意見は聞かないという意思表示をこめて、俺は山本の腰に口付けを落とした
ひゃっとかわいい声がして、体がひとつはねる

「14才の山本武はまだ君の恋人じゃないけどね」
「結果的に俺の恋人になるんです。そう違いはありませんよ」
「…まぁいいけどね。ほら、はやくしてよ」
「?う、うん…」

俺たちの会話の意図も意味も解せず
ただ、いかなかえれば浮気ではないという俺の言葉だけを鵜呑みに
山本は胡乱にうなづくと、しがみつくように雲雀さんの上半身に手を置き
さっきまで俺を喜んで加えていた尻穴を、せっせと磨いた肉棒へあてがう

「…ん…ぁ…」
「…」

ハ、と短く雲雀さんの息が乱れた
そのときの、愛しさがにじむような表情を、山本は見ただろうか?

「ふぁ…ん、…きつ…あ、はいんな、い…っんん」

ぐちゅ、ちゃぷ、じゅぷん
俺の精液をだらだら流すそこは、そのすべりが逆効果となって
何度かくちゃくちゃと亀頭をするだけにとどまる

「んん…や、だめぇ…はいん、な…ん、ツナぁっ」
「うん?」

そこで、まさか自分の名前がでるとは思っていなかった
少し驚いた声で返してみれば
パタパタと涙を散らせた顔がこちらを振り返る
欲に濡れた瞳で

「ん、ぁ…ツナァ、うまく…はいん、ねぇ、の…ぉ…つな、つなぁ…いれ、て?」

そんなことをいわれたら

「…いいよ」

そもそもさっさと終わらせたかったという事情をぬいても
応えないわけにはいかなかった

ぐっ

「ひぁっ!ん!!」
「いくよ、山本」
「ん、ぁ…」

ずぷぷっ

「ひゃんっ!あ、あーっ!」
「っきつ」

跳ねる体を押さえ込みながら、ついでとばかりに首筋の汗を舐め上げれば
前方からはそんならしくない声
それが酷く楽しくなってしまって

「…いいでしょ?山本の。きつくって、あつくって、ね、雲雀さん」

挑戦的な笑みを投げかけた


「…っく」
「ん、ぁ…はぁ…くる、し…んんぁ」
「ふふ、見てご覧よ、山本。雲雀さんの表情。山本の中が気持ちよくて、ああなっちゃってるんだよ?」
耳を甘噛みするついでとばかりにそういってやれば、快楽で閉じていた目がゆるゆると開かれた
「は、ぁ…んん、ひば、り?」
「…っ」
「ひぁんっ!!」
ずぷっ!ずん!!

あからさまな照れ隠しの突き上げ
けれど、微肉を限界まで広げられ、雲雀さんのペニスを奥深くまで重く沈められた山本にも
同様、いやそれ以上に思考能力なんてものがあるわけもなく
「あぁ、はぁんっ!すご…んぁあぁ、ちが…ぅ…あ、ツナのと、ちがぅぅっあ!」
「「いっしょにしないでほしいな」」
…二人の声が無意味にハモッた

ずぷ、じゅぷ、ぐぷん
上下に腰がゆすられる
それは雲雀さんの突き上げのせいでもあるし
たぶん、体には素直な山本が自分でうごかしているのもあるのだろう
動くたび、それなりに立派な男性器が見え隠れし、つられて微肉が赤い襞となって顔をのぞかせる
その光景に、ズクンと下腹部に熱がたまるのを感じれば

「あ、あぁ…ぁ…やぁ、いく、いきた…んん、やらぁ…はずしてぇっ」

悲鳴のような泣き声がした
「ダメだよ、山本。俺のじゃないんだから、いかせてあげない」
「ん、ぁ…そん、な…ふぁぁ、つなっ…ツナァッ、んぁ、あ!」
「…っ、は…」
それとは別に熱い吐息
俺の名前を呼ぶのが気に入らないのか、単純に快感を抑えているだけなのか
どちらにしろ、目の前の男にだって、それなりにかわいい部分はある
ぐぷ、ぐちゃ、ずぷん
ゆれる腰に手を添えて、汗を滴らせる肌を味わいながら
うっとりと俺も先ほどの感触を思い描く
やわらかい肉の壁にアレをこすり付ける感触
容赦なく中へだした精液が、生暖かい潤滑剤となっているであろう体内
血液だとか、精子だとか、そういったものがどんどん集まって
自分のモノを中から広げて、さらに腸壁へとグリグリおしつける

「あ、やぁ…おっき…ひぅ…く、る…ひばりの、くるぅっ!あ!!」
「く」

ドク、ドク、トクン
射精は心臓が脈を打つリズムに似ている



「…ん」

ジャラッ
ふいに存在を忘れられていた鎖が音をたてた

「山本、お疲れ様」
そういって、体を引き離す

「んぁっぁ」

抜ける感触でビクつく肌


ぐっ

「なにいってるの?まだ一回しかやってないんだけど?」

「…一回やれば十分じゃないでしょ?」

ジャラッ、ぐっ、ジャララっ、ぐぐっ

鎖を引けば、雲雀さんの腕がのび、だから再び鎖を強く引く、応酬

「返せ!コレはオレのだ!」

「嫌だ!僕のだよ!」

火種は一思いに引火した
最初からそうしておけばよかったといわんばかりに
(そうだよ、そうしたら山本を雲雀さんに犯らせることもなかったのに)
しかも




「十代目!瓜のやつがこっち…に………えぇぇっ?!」



バターンと派手に扉をあけ、飛び火して。

「獄寺君?」
「え、あ…ちょ、おとりこみ、中…ですよね、すいませ…」
登場したときの勢いはどこへやら
あからさまな修羅場に遭遇し、さすがの右腕もおたおたと退散する

「ごくでらぁっ」

はずだった

「は?」
「もーやだぁっ!獄寺、助けてなのなーっ!」

そんな無邪気な一言がなければ

「え゛ぇぇぇぇぇっ!?」

「獄寺、獄寺、助けてっ」
「ちょ、おま…このバカ!野球バカ!自分がなにいってんのか」
「獄寺、お願い…」
「えぇぇぇぇっ、って、ちょ…だ、だってよ…その…」
「ツナも雲雀も酷いのな!なぁ、獄寺ぁ」
死ぬ気の炎をともし、世界大戦勃発一歩手前の二人の間で
そういっていろいろヤヴァイ姿の山本は手を伸ばす
「そ、そうはいっても…つか…」
「…で、獄寺君はどうするの?」
「へぁ?!あ、いや、ど、どうするって、その、じゅ、十代目」
「山本が助けを求めてるわけだけど…見捨てる?それともお願い、きいてあげるの?」
にこりと笑いつつ、あからさまなくらいの威圧感をもってたずねれば
「え、あ、いや、な…なんでオレが山本のいうことなんざ!」
「だよね!良かった。それでこそ獄寺君。10年前から同じパターンでいまだに童貞なだけあるね」



「え、獄寺、童貞なのな?」
「じゅ、じゅうだいめぇ?!ど、どうしてそのこと…あ、いや、違!それは違います」
「ふぅん。そうなんだ」
「って、雲雀、てめぇ、なんだその可哀想な者を見る目つきは!!果てさせるぞ!!」
「山本、獄寺君はね…十年前からずっと山本に同じ態度で友情こそかろうじて保っているものの
 恋愛に関しては笑っちゃうしかないくらいでね」
「うん?」

話題はいまや完全に、対決を邪魔した功労者の恥ずべき過去へと変わっていた

「最初の相手は山本だ!って決めたせいで、あの年でも童貞なんだよ」
「…獄寺、かわいそうなのな?…ん、あれ、それってオレのせい?」
「まぁ、そういえないこともないかな。とはいっても、獄寺君が勝手に自滅しただけだけど」
「ごくでら」
「な、なんだよ、やめろ、そんな目で見んじゃねぇ!お、オレはお前のことなんかこれっぽっちも!」

さらに哀れみのまなざしを、よりにもよってその対象から向けられて
さすがの獄寺君も悲惨な顔をしていた
うーん、なんとなくかわいそうかな
そもそも、なんだかんだといってもこの場の空気をかえてくれたわけだし
ま、山本に助けを求められたなんてのはちょっとムカつくけど

「獄寺、かわいそうなのな…ごめんな」
「ちが!」
「じゃぁ、山本」
「うん?」
「獄寺君の筆下ろし、山本がやってあげたら?」
「え、いいの?ツナ?」
「うん、いいよ。ただし」

ついっ

「ん、あ…」
「これはそのまま、ね?」

オレは先程から絶頂を許されず、ピクンと快楽が収まっていないことを主張している
山本の小さなかわいいペニスを指でふれてなぞり上げた
そうすれば、なりを潜めていた悦楽が湧き上がってきたのか、山本の瞳が欲を湛えだす
コクリ、ちいさなうなづき

「勝手に話をすすめないでほしいんだけど?」
「いいじゃないですか。どのみち、このまま俺たちがやってたら、山本も壊れちゃいそうですし」
「…まったく」
「え?え?ええ?」
「よかったね、獄寺くん。山本の優しさとオレの器に感謝してね」

ジャラ、ン
そこでオレはずっと山本の首とつながっていた鎖を手放した
重力に従い、落下する

「え、ちょ、ま…こ、心の準備が、どわっ!!」

ドサッ、ギシッ
大人一人分の体重をうけてベットが軋む
すんでのところで、オレは一歩さがってベットを降りる

「バカ面してないで、さっさと終わらせなよ。童貞喪失」
「だから、違ぇって…え、あ、あの…じゅ、十代、目?」
「山本、じゃ、獄寺君をよろしくね」

チュ、と口付けをひとつ落として即せば
耳まで真っ赤にした山本がひとつうなづいた

「獄寺が童貞なの、オレのせいなのな?だから…」

そっと、手がのびプツプツとシャツのボタンをはがしていく

「え、あ、お、おい!野球バカ、おまえ、なにやっ…っ」

「責任、とるのな」

「バッカ!ちげーよ!やめろ、野球バカ!!」

その意図を読んだのか、獄寺君の指輪で装飾された手がひとまわり小さい山本の手を掴もうとする
けれどなぜか、それはするりするりとかわされ

「ごくでら…オレのこと、嫌い?」
「…そ、そうじゃねぇけど…って、違う!だから、オレがいいたいのはっ」

あせる獄寺君とは対照的に
山本はなれた(というかオレが仕込んだ)手つきで次々と準備をすすめていく

「もっと自分を大切にしろって!そういう…山本っ」

「ん。獄寺の、童貞、見つけた」

シャツのボタンをはがし、ベルトを緩め、スラックスの隙間から
ほどよく反応を示していた、ソレを取り出す

「おっき…これで、童貞なのな?」
「〜っ」

ちゃぷっ

「う、ぁ…」
ビクッと獄寺君の腰がはねた
体が大きいほうとはいえ、14歳の少年の口に、そのペニスは大きいのだろう
…童貞でも
ちゅ、ちゅぷ
かすかな水音をたてながら、口に含めるだけの亀頭に下を這わす
「へへ、獄寺…きもち、いい?」
「…っこの、ばか」
吐き出される言葉には熱がこもっていて、どんな答えより明確
口に含みきれないから、舌でせっせと奉仕を加える
じゅぷ、ちゅぷん、くぷくぷ
先走りがあふれ、それを舐めとりながら、どんどん山本は濡らす範囲を広げていく

「って、ぁ、やまもとっ、はなせっ!」
「え?んぁっ!」

ピュッ

「っ」

「ワオ、早いね」
童貞で早漏かい、と後ろで高みの見物をしていた雲雀さんのそんな声が聞こえた

「〜っ」
「獄寺、はやいのなー」
「わ、わるいかよ」
「それに、濃い…んん…」
「て、てめぇ、そんなもん、舐めるんじゃ…」
「ん。獄寺の、だし?ちゅ、ちゅく…ん、ふ…」
山本は顔にかかった白濁を手ですくっては舐め取る
その無邪気に淫靡な様にうっかりみとれていると

「あ、獄寺の、もう回復してるのな…ん、これなら、も、大丈夫かな?」

ふいに、手が再びのび、自己を主張するソレにふれた
「や、まもと…」

まさぐられ熱い吐息をもらす獄寺君に、山本はほんの少し笑顔をうかべて
ゆっくりと肉棒に自分の入り口をかぶせていく

「…っ」
「ん、ぁ…おっき、ごくでらの…童貞…んんぁっ、あつ」
「おま、ドーテー、ドーテー、いうなっ!!」

ずぷ、ぷぷ、じゅぷ

卑猥な音をたてながら、その場所からは許容量を超えた精液がところてん式にあふれだし
二人の結合部を白く汚していく

「すげ…あつ…おい、野球ばか…だいじょうぶ、かよ?」
「は、ぁ…あぁっ、ん…ま、まだ…半分くらいしか…んぁ」

グプッと山本の腰の動きがとまる
まるで引っかかってしまったかのように
あぁ、そういえば雲雀さんとしていたさっきも…
そんなことを思ったそのとき

「あ、や…だ、だめ、ごくで…」

ふいにあせった山本の声が

「わ、り…ん!!」

ぴゅるっ、どぷっん

「ひゃっぁん!ひぃ、や、だ、だした…ぁっ」

プジュ、ジュププッ
重い音とともに、結合部から新しい白い液体があふれ出してくる

「うぅ、ぁ…ひどい、のな…ごくでらぁっ」
「…っ、わるいっていってるだろーが、そもそも、てめぇが」
「ん、また…これで、いれずらくなったし…ん、ぁ…」

ぐちゅ、くちゃっちゃぷ
山本は何度か腰を揺らすが、内部圧の関係もあるのか、さっきよりも進まない
あぁ、もうほんと、仕方のない友人たちだ

「山本、獄寺くん。手伝ってあげるよ」
「ツナ」
「十代目!え、いえ、そんな…めっそうもないというか…その、あの」
「いいから、いいから。っていうか、さっさと終わらせてほしいしね」

ぐっ
オレは山本の肩に手を置き
「あ、つ、つな…」
「ん?」
「その…できたらでいいんだけど…キスしてて、ほしいのな」
「…やまもと」

何かを期待するようにほんの少しあいた口元
オレを見つめてるみたいで、でもどこも見てないみたいに、焦点のあわない瞳
凄く、可愛かった。凄く、厭らしい、俺の…親友

「いいよ」
「ん、ぁ…んちゅ…んんぅ」

もうたまらなくなって、オレはその唇をむさぼる
視界の端に、少し呆然としたあと、なにかを諦めたかのように笑った獄寺君が見えた
口付けをして、深く口内を犯しつつ
オレは、ぐっと手にちからをこめ
そのまま

ずぷ、ずぷぷぷ、じゅぷん!!

「んぐっ、ん、んぁ…はぁん…ぅむ、ん!!」

ありとあらゆる抵抗を打ち破るかのように、その肢体を下へと叩き落した

「っ、は、!すげぇ」
「ぁあっ、ひぁ…ん、ちゅ、んんっ」

山本の体を伝わって、挿入の衝撃がオレにも伝わってくる

じゅぷ、じゅぷ、ずぷぷ、ぐぷ

「ふぁぁ、や、はげし、…ひゃぅんっ!あ、あぁ」

腰からも、下腹部からも、性器からも、尻穴からも、そうして戯れに重なる唇からも
とまることない水音が粘着音とまざってあふれてはこぼれる
精液は泡立ち、鳴り響き、獄寺くんの童貞ペニスが抜けて突き入れられる度に量を増やして

「あ、ぁあ、やぁ、も、なか…すご…んんぁ、はぁ、すご…んん」

「「やまもと…っ」」

犯される喜びに泣き叫ぶ山本の体を、上からはオレが、下からは獄寺君が
逃げられないようにと掴み、快楽の底なし沼へと押し込む
まるで大切なものをしまうように

「ひゃぅっ!あ、あぁ!も…いく…あ、獄寺の童貞でイク…ぅ…んんっ!」

「くっ、ぁ…」

三人目の男の精液を最奥で受け止めさせられて
もう何度目になるのかわからない絶頂を迎えて
痙攣をくりかえす体を抱きしめながら

「やまもと」

それでも愛しく、君の名前を呼べば、

「ん」

君はかすかにわらって、誘われるがままに、口付けをひとつ施した。

 

教えられなければ、ソレとわからないような
そんな早春のような、小さい、確かな幸せが、ここにある


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こちらは『Apus pacificus』のK様からいただきました小説です!
先日K様宅で行われた絵チャにてE様が描かれた絵で盛り上がった設定をK様が小説にされたものなのです!
もうもう、絵も凄かったのですがこちらの小説がまた素晴らしく萌えといいますか悶えます!!あの時のE様の絵もまざまざとよみがえってくるかのようでして!!
こちらのお話は、先日の絵チャに参加した方のみお持ち帰り可とのことでしたので、早速さらって参りました!
私は緊張でろくろくおしゃべりもお絵かきも出来てない、はた迷惑な参加者だったのですが、美味しい所はがっつりと頂いて帰る欲望に素直というか図々しさで…。
ツナ様の静かな独占欲とかヒバリさんの山本への抑え切れない愛しさだとか、獄寺の健気な決意とか…。そしてなんと言いましても!!山本の天然で皆を翻弄する小悪魔っぷりといいますか、もう何をしても可愛いんですが……!!!なんだかんだ山本が居れば皆幸せvみんなが幸せなら山本も幸せ!…なんではないかと、思う次第であります!

K様、素敵な小説を太っ腹にもお持ち帰りさせてくださいまして、本当にありがとうございました!!
憧れのK様の小説を拙宅に飾る事が出来まして、凄く幸せです〜〜vv