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ソレは、小さな赤い痕。いつ、どうやって付いたのかも判らない程に微かで、でも鮮やかな赤。
”どうしてこんなトコロに・・・?”
胴着を着替えようとした時、ふと目に入った。すらっとしたやや細めの足の、左膝の少し上の内側のアタリ。
ナニかで引っ掛けた?それとも気触れだろうか。
すっと指を這わせてみるけれども、ぴんと這った滑らかな薄い皮膚に荒れや傷はナイ。
じゃあ一体コレは?そしてふっと思い出す、つい先日にこのアタリを熱心に彷徨ってた唇を。
「当たり前だ、俺以外にこんなトコロにキスをする奴がいる訳がナイ」
それともお前は、心当たりがあるのか?だとしたらソレは由々しき問題だな。
ひやっとした言葉と視線、でも触れる指先と掛かる息は正反対に甘く優しく。
だから困る、何時だって自分はこう肌を意識をバラバラにかき乱されてしまって。
今だってそうだ、こんなコトをするなと忠告をしに来た筈なのに、気付いたら追い詰められてる。
ちりっとしたキスから始まって、耳朶に項に触れられて、珍しくルーズに弛んでた胴着の襟元から滑り込んだ指先に熟れた粒を捕らえられて。
それにしてもこの恰好は何だ、その”ココロアタリ”と遊んでた途中か?そいつにこの痕を責められたのか?
バカを言え!コレは即刻お前に文句を言ってやろうと思って、着替えの途中で急いで来たからっ。
じゃあそういうコトにしておいてやるよ。
イジワルな囁きの影で、慣れた手付きで緩められる袴の紐。
同時に自分に被い被さっていた長身が、落ちた袴と一緒にすうっと膝を折る。そして、
「・・・中嶋っ!?」
イキナリ片足を持ち上げられた。その内腿に、ぴりっとした感覚。
動くな、曲がる。
跪いた肩に担がれてる、あの痕がある左脚。
まあ”ココロアタリ”なんてある訳がナイ。お前のこんな場所に触れられるのは俺だけだ、そうだろう?
関節の目立たない綺麗な手が、すうっと滑らかな肌を撫で下ろす。
「だからそういうコトをするなと、俺はっ・・・・!」
じん、とした熱みたいな感触。そしてソレに導かれて、身体の奥から沸き上がるじゅん、とした湿り気。
アカイシルシ、快楽の刻印。
そうだ、その通りだ。こんなトコロに触れさせるコトを許す相手は、こんなトコロに触れる相手はヒトリしかいない。
お互いに脳裏で呟く、秘密の本音。ちゃんと判ってる、そんな相手は他にはいないんだって。
「・・・少しずつ刻んで行ってやろう」
こうやって毎日々々、少しずつ上へ上へと。
ひやっとした眼鏡のフレームが、思いの他に柔らかい前髪が、敏感な肌をするっと登って行く。
その感覚に、全身が粟立つ。
上へ、上へ?科白を思い出し、そしてかあっと染まる頬。
その様子を傅いた姿勢からじいっと見上げてる、レンズ越しの冴えた双瞳。
何だ、何を想像したんだ。
「全く、お前と言う奴は・・・」
だからっ。慌てて否定をしようとするけれども、今度は踝のアタリの薄い皮膚をかしっと咬まれる。
片足を抱えられた不安定な姿勢、だから振り解くコトも侭成らない。それに既に、そんなチカラも奪われてて。
いつもはヒトを見下した様に高圧的に来るクセに、今日はどういう訳かその長い足と権高い自尊心を折り畳んで、自分の足元に付いている。そういう態度は何だか酷くバカにされてる様で、でもその反面ぞくっとする
。だから困る、困るんだ。そんな甘ったるいジレンマに苛まれてた脳裏に、苦笑まじりの小声が届く。
「参った、毎日とか言いながら今すぐ一気に駆け登りたい気分になって来た」
「・・・バカっ」
『シルシ(・67)』
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わーん!甘い中篠最高〜vvこちらは、葉月ましゃさんの書いて下さいましたお題NO:67『印』であります!
夜毎篠宮と氷室の話題が交錯するメッセの中で、葉月ましゃさんを無理矢理100題に引き込んでみました(汗)
本当にこんなに可愛い二人を有り難う〜vv
中嶋の何気ない独占欲に悶えました!そして、中嶋が篠宮の前で膝を折る姿が〜(悶絶)
こんな姿、本当に自分の認めた相手の前だけでしかしませんもんね!
本当に、ラブラブな二人を有り難うございました!!
また・・気が向いたらよろしく〜(図々しい)
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