発作(seizures)

発作とは脳神経が伝達する電気信号がショートしてしまっている状態のことです。

神経障害または意識喪失、異常運動、精神障害、感覚異常とともに、ヨダレをたらす、嘔吐する、オシッコ、ウンチを漏らすなどの症状がみられます。

てんかん

てんかんは

1.特発性てんかん(脳に器質的変化がない。遺伝性疾患で若いうちに発症する)

2.症候性てんかん(脳に器質的病変がある。外傷、水頭症、など)

3.疑似症候性てんかん(脳の器質的病変から生じると考えられるが、その病変がはっきりしない場合)

4.頭蓋外疾患(肝性脳症、低血糖、中毒などで生じる発作。てんかんとは言えない)

に分けられます。

皆さんが痙攣と言って来院する中には、ただの震えである事がよくあります。神経障害が伴っているかどうかよく観察して下さい。

また、発作と間違えやすい症状として、失神(痙攣が見られず、倒れてすぐ回復する)、急性前庭疾患(転げ回ったり、斜頸、眼振が見られる)、などがあり、注意が必要です。

てんかんの診断は、普通身体検査や神経学的検査をしても何も異常がない事が多く、発作を観察しているのが飼い主さんだけの事から、その病歴の聴取が大事になります。

1.いつから発作が始まったか?

2.発作の頻度は?

3.前駆症状は?

4.どのような発作か?

5.どのくらい発作が続くか?

6.発作後に異常な行動が見られるか?

7.発作と発作の間は正常か?

8.食事や、睡眠、運動や、ストレスが引き金になるか?

9.中毒の可能性は?

10.ワクチンは適切に接種されているか?

11.頭部外傷をおった事は?

12.家族に発作のある犬はいるか?

以上の事をメモしておくと診断に大いに役立ちます。

治療

てんかん発作が一度あったからと言って必ずしも治療が必要になるわけではありません。

1.発作が月に2回以上あった場合

2.発作が24時間以内に2回以上起こった場合(群発発作)

3.一回の発作が5分以上続くとき

以上の時は抗てんかん薬を投与しますが、いずれも獣医師が発作を見られる事はまれですので、飼い主さんが注意深く観察して、メモを取る事が大切です。

人間の記憶などいい加減なもので前回の発作がいつか、どのような経過を取ったかなど忘れてしまいがちです。こと発作に関しての情報源は飼い主さんだけです。

初めて発作を見るととてもびっくりしますが、その時少しでもメモしておいていただけたら、とても役立ちます。