皮膚病とお手入れについて(シャンプー法)

 私のところに寄せられる質問で一番多いのは、皮膚病についての質問です。

 イタグレは短毛種で皮膚にほんの少しの変化であっても気が付きやすいうえに、脱毛がいつまでも気になるというのもその原因だと思われます。
そこで、普段の管理から異常が見られたときの初期治療まで簡単にご説明します。

 皮膚の管理と言えばまずシャンプーですが、シャンプーの回数、シャンプーの選択、シャンプーの仕方と考えなくてはいけません。我が家ではシャンプーの回数は多くありません。だいたい月に1回くらいだと思います。だいたいというのは間隔を決めてシャンプーするのではなく、汚れたなと思ったら洗うためで、中には二ヶ月洗わなかったり、一週間おきに洗ったりする場合もあるのです。回数の目安としては二週間に一度くらいがいいと思いますが、それ以上したい場合にはシャンプー剤の選択に気をつけて下さい。

 私が今使っているシャンプーとリンスは「ラファンシーズ」NK18NK33です。私自身が使っているシャンプーより高価です。(笑)かわいいイタグレのためにちょっと無理していますが、犬のためには良いようです。これは普段使いのシャンプーですが、皮膚にトラブルがあるときには各種の薬用シャンプーを選びます。皆さんは一口に薬用シャンプーと言いますが、ノミ取りも消毒系も十把一絡げに薬用という人が多いようです。確かに薬用シャンプーには違いないのですが、細菌性の感染症にノミ取りシャンプーが効果ないのはおわかりですよね?トラブルにあわせて選択します。

 健康な皮膚を維持するためのシャンプーには高価でも良質なものを選んだ方が結局は安くつきます。獣医の診察料は高いですからね〜(笑)

 シャンプーの仕方も誤解されている方が多いように感じます。良く雑誌などに書かれていますが、人肌のお湯(37〜8度)で全身を濡らしシャンプー剤をむら無く広げてマッサージします。このとき寒いかろうと温かいお湯(人間が入るお風呂の温度くらい)で洗うと痒みがある場合にはそれをひどくしてします。

 また、イタグレは短毛のため泡がたちづらいのでスポンジなどでシャンプーを泡立ててその泡を利用するのも手です。人の顔を洗うときにまず泡を作り、その泡でこすらないように洗うのと一緒です。そうすればシャンプーの節約にもなります。その後ぬるま湯で良く洗い流してあげます。シャワーを使いますがシャワーヘッドを体のそばに当ててあげると静かに流させると思います。高い位置からシャワーをかけられると嫌がりますので、気をつけてください。顔を流す場合、慣れないうちはスポンジやガーゼなどを使い、含ませたお湯で根気よく洗い流します。鼻を下に向けて頭部にシャワーヘッドを当てるようにして流せば割と嫌がらずに流せますのでおためし下さい。

 その後リンスまたはコンディショナーをします。短毛でもするかしないかで毛のつやが違うような気がします。ラファンシーズでは繰り返し薄めたリンスをかけたあと、よ〜くすすいでしまいます。

 乾燥は我が家ではバスタオルを使用して良くふき取っただけで自然乾燥です。気温の低い時期は室温には十分気をつけています。幸い皮膚にトラブルがないので無精させてもらっていますが、ドライヤーを使う場合、風量は多く、中温で乾かしてください。乾燥したら爪切り、耳掃除もお忘れ無く。

 以上、私がしている皮膚のお手入れですが、一番大事なのは毎日よく見ることだと思います。昨日と違うところがないか?毛が薄いところは?痒がっている様子は?皮膚にでこぼこはないか?頭を振っていないか?被毛に隠れた皮膚の色は?赤みは?それらに気が付けば皮膚病の早期発見につながります。

 またイタグレはアレルギーの多い犬種だと思いますが、深刻なアトピー性皮膚炎はあまり聞きません。多くは皮膚がまるで蚊に刺されたように腫れるとか、皮膚が赤くなり痒みが出るとかです。しかし、ひどい場合は背中一面がぼこぼこ腫れて、あたかも鱗があるかのように見えることもあります。その原因は食べ物(与えたものに限らず拾って口にしたものも含む)や、触ったもの(敷物や外でふれた植物など)、吸い込んだもの(塵や埃、家ダニなど)いろいろなので特定するのは難しいのですが、何かを食べさせると痒みが出る、など分かっている場合は避けるようにしてください。

 飼い主が気をつける事で防げる皮膚病もあります。外部寄生虫による皮膚病です。
ノミ、マダニ、シラミなど目に見えるものから、ニキビダニ、疥癬、のように小さくて肉眼では見えないものまでありますが、一般的に予防できるのは目に見える外部寄生虫です。予防というか、駆虫というかとにかく被害を防ぐための薬で、フロントラインとか、アドバンテージなどがありますが、私の住む千葉県はマダニの害もかなりあるのでフロントラインをおすすめしています。住む地域、環境によって違いますので、皆さんは掛かり付け医と相談していただければいいと思います。
あらゆるアレルギー性皮膚炎はノミの寄生がある事で悪化する可能性がありますので十分気をつけて下さい!

 短毛種はふけも目立つため、ふけがでるとそれを洗い流そうと一生懸命シャンプーする人がいますが、たいていの場合皮膚の過剰な乾燥をおこし、かえってふけが増える結果になってしまいます。ふけが気になるときには皮膚に潤いをもたらす効果のあるシャンプーを使うといいと思います。(オーツ麦成分入りシャンプーなど)またシャンプーの仕方も前に書いてあるように気をつけて下さい。
 それでも不幸にして部分的な脱毛が見られたり、痒みが強かったり、皮膚の状態が異常であったりしたら、獣医師に診てもらって下さい。なるべくあるがまま、シャンプーしてから連れて行くよりそのまま見せていただいた方が情報が多く診断のためになります。皮膚病と一言で言っても人間で皮膚科という独立した診療科があるくらい幅広い病気ですので、自己判断で家にある薬を使ってみたり、人にもらった薬をつけたりしないで下さい。私たちが診ても診断できないものを皆さんが治せる確率は低いのですから(笑)。

皮膚病について相談する場合、出来たら

1.いつから始まったか?(気づいたか?)

2.脱毛はあるか?あるとしたらいつから毛が抜け始めたか?それは徐々に抜けたか?急に抜けたか?

3.皮膚は盛り上がっているか?皮膚の厚さは?硬さは?

4.地肌の色は?病変部の中心と周辺で色は違うか?

5.痒みは強いか?

6.フケやカサブタはあるか?

今している治療は?

以上、出来る限り正確にお伝え下さい。診断、治療にとても役立ちます。