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アウトライブ |
韓国。
2003年初映画鑑賞、この映画から始まってとてもラッキーでした。
傑作、怪作。
アクションシーンは迫力も、見栄えもよく、会心の出来。
しかしそれのさらに上を行くのが物語。これほどまでに先の読めない映画も、自分の培ってきた映画の価値基準をぶちこわす過剰なドラマを持つ映画も他に類を見ません。
舞台は14世紀中国。モンゴル民族の娘と高麗人の少年。娘が漢民族に政略結婚させられて別れ別れに。後に少年は出生の秘密を知ることになり、自分の家を滅ぼしたのは娘の父親だと知る。娘と少年を縦糸に、様々な人物が交差する、ぶつかり合う、絡み合う、暴走する、愛と復讐の「熱い」ドラマ。
自分は映画を見ながら、30分をすぎた頃、この映画のただならぬ気配を皮膚で感じました。
ふと昼メロの「真珠夫人」が頭をよぎりました。
「この映画は真珠夫人だ!」
それから畳みかけるような熱いドラマ(ホントに熱い!)に翻弄されっぱなしです。
自分の泣き所は、ヒロインは不本意ながら結婚した漢民族の男(ヒロインに心底惚れている)に、「息子はあなたの子ではない、あなたの家の血筋を滅ぼすためにあなたと結婚したのだ」というと、男は「知っていた」と言うところ。もう涙なくしては見られません。
制作は韓国ですが、東海テレビと書かれてもよさそうなくらい、これでもかこれでもかと見せ場を押しつけ見る者の魂を揺さぶり、ついには燃え上がらせます(「真珠夫人」の他にひきあいに出すとしたら、その昔吉田栄作がやっていたジェットコースター・ドラマ「もう誰も愛さない」のノリ)。
ちょっと予算が足りなかったのか、画面が薄っぺらい、特にクライマックス、森で終わるのはどうも、急に日本の自主製作映画「VERSUS」のよう。人の数も少ないし。やっぱり都に乗りだし、屋敷炎上くらいのことはやって欲しかった。
でもそのことをのぞけば、傑作、怪作であることは間違いなしです。
評価。
DVD化されたら買います。
とても面白かった。
一緒に見た人のコメント。「韓国人は秘伝の書好き」 |
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猟奇的な彼女 |
韓国。監督 クァク・ジェオン。出演 チョン・ジヒョン チャ・テヒョン。
兵役を終えたばかりのボンボン学生のキヨヌ。地下鉄で「理想的な容姿」を持つけど性格は最悪の彼女と出会います。はじめはいやいやながら彼女につきあっていたキヨヌも、彼女の行動の裏に隠されていた心の傷と彼女の優しい性格に気がつき、いつしか恋に落ちていきます。
面白すぎ! 最初はゲラゲラ。でも途中から、見ている中年男の自分も柄にもなく胸が痛くなってきました。
二人の微妙に変化していく関係が、空気が、フィルムに焼き付けられていて、説明的な場面がなくても「あー、もうじき二人は別れなくてはならないんだなぁ」と伝わってきました。こんなどうしようもない別れの雰囲気は「シェルブールの雨傘」を思い出します。
ラブラブ・カップルのようでいても、忍び寄る二人の仲の終りの気配をうまくとらえています。この雰囲気を取り込めるのも、小説や舞台ではきっと無理、映画ならではかもしれません。
映画ならではというと、写真のカットの彼女の表情もそう。キヨヌが彼女を家まで送り、家の前で彼女がキヨヌの横顔をわずかな時間見ている、というだけのカットですが、見ている自分らには彼女は正確には何を考えているか分からない、でも何かの感情でいっぱいいっぱいになっている、言葉ではうまく表現できない、でも確かに映画館の暗闇でスクリーンを見つめていたときには切なくなるような「想い」で胸を締めつけられました。まさに映画ならではの技です。映画ってすばらしい、と水野晴郎ばりに再認識。
「あなたみたいな人は愛を知るべきよ」彼女の台詞。
キヨヌの成長物語でもあります。はじめは優柔不断な、ダメ男だと思ったのですが、いくら命令とは言え、気が弱いだけでは女子大に潜入してバラの花を届けることは出来ないなぁ、むしろ気の弱いダメ男なら逃げてしまうだろうし、するとキヨヌはけっこう男らしいのかも。
切れのあるギャグ満載。魅力的なヒロイン(最初はおたふく顔に見えた彼女も途中からはかなり可愛いい!)。恋愛物としても人の気持ちが丁寧に描かれていて、話も、とくにラストは1本とられた、やられた、と言った感じの素晴らしい映画。見て損はないどころか見ないと損です。
評価。
DVD化されたら即日買います。
DVD化が待てない、待ちきれない。
もう1回映画館で見たい。
一緒に見た人のコメント「面白かった。ゲロシーン、あれをやれる女優はすごい。制服ダンスもよかった。一番笑えたのは夕立のところ。★★★★★★★★・・・・30★くらい」
◎2回目の感想。
銀座ではじめて見た翌週、渋谷まで行って「猟奇的な彼女」を再び見てきました。
劇場は大混雑、立ち見が出るほど。それと銀座と較べ客層が若かったせいか、映画が終わると泣いてる人続出。こんなに泣いてる人が多かった映画は自分の知ってる限りでは「タイタニック」以来です(もちろん泣いてる人の数は「タイタニック」の方が多かった。あれは見渡す限り女の子が泣いていた。しかも中には男まで泣いているのを見た)。
自分も再び感動です。後半は鳥肌が立ちっぱなしです。
自分が一番好きなシーンは後半戦の田舎の駅、電車で別れ別れになるところ。
二人の行動から人を好きになるって言うのは理屈ではないんだ、というのが伝わってきました。しかも映画はそれを強烈なギャグにまで昇華しています。
2度目見る前はUFOや五つ子の裏設定を確認しようと言う野心があったのですが、いざ映画が始まると主人公たちの一挙手一投足に目は釘付け、ふたりの恋に心ががはまってしまい、裏設定を確認する余裕がありませんでした。
非常にいい映画。ちなみに自分が複数回、劇場に足を運んだ映画は「スカーフェイス」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「ベスト・キッド」「タクシードライバー」「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「フルメタル・ジャケット」等々まだその他にもいくつか2本立てのプログラムでみたような・・・そして今回「猟奇的な彼女」、「フルメタル・ジャケット」から実に15年ぶりのことです。でも昔はビデオを持っていなかったのと当時はまだ名画座が健在だったと言うこともあり、今回とはかなり条件が違います。
とにかく素晴らしい映画。
一緒に見た人のコメント「まさかホントに2回同じ映画を見るハメになるとは思わなかった。でも面白かった。2回目の方が主人公たちの行動の裏に隠された気持ちがわかった。
それと伏線の張り方がしっかりしているのがわかった。すごく良くできてる。
好きなシーンは向かいの山に向かって叫ぶところと、ラスト近くに駅でニアミスするところ。
笑うという意味だと、げろシーンと夕立。
やっぱり40★くらい」
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ロード・オブ・ザ・リング「二つの塔」 |
監督 ピーター・ジャクソン 主演 イライジャ・ウッド
「猟奇的な彼女」のところで、同じ映画を映画館で見るのは15年ぶり、と書きましたがその舌の根も乾かないうちに、なんと2本続けて同じ映画を2度、映画館で見てしまいました。
「猟奇的な彼女」を見た翌週、翌々週とこの「二つの塔」を見たのです。
話の内容は前回の「旅の仲間」で別れ別れになった仲間たちのその後、迫り来る冥王サウロンと立ち向かう人間、エルフ、ドワーフの連合軍、みたいなところ。
前作も見ている間は脳がしびれっぱなしだったのですが、今回はさらにスケールアップ(もう自分の脳の容量を完全にオーバー)です。2作目でここまでやってしまって、残りの「王の帰還」はどうするんだろう? と不安になってしまいます。
アラゴルンがかっこよすぎ。レゴラスもいい! それと今回はメリーとピピンも大活躍。フロドは失神芸(顔がELTの持田香織)が板に付き、サムはもっそりと動きながらも男泣きをさそいます。男泣きと言えば、今回はアクションに比重を置いたせいか、前回のボロミアの時のような、強烈な涙の場面はありませんでした。残念。
とにかく後半のヘルム渓谷の籠城戦は映画史に残る大激戦。まだ見ていない人、これからはじめて見る人が羨ましいです。きっと今黒澤明が生きていて、もう1度「七人の侍」を撮ったらこんな感じかなぁ。この映画の正当な評価は10年くらいあとになるかもしれません。現在は、ただただ「見て」「驚く」これしかできません。燃える映画。
一緒に見た人のコメント「あともう1回見に行く予定。イノシシの怪物が出てくるところまでが2回めはやたら長く感じた。正直眠くなった。ただし、後半の戦闘シーンはひたすら気分が高揚。アラゴルン様がフェロモンだしすぎ! メロメロ。「旅の仲間」の最長バージョンが見たいけど9800円はちとお高い。でも買う。「二つの塔」が出たとき一緒に買う。どのシーンが追加されているか楽しみ」
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