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ジェヴォーダンの獣
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フランス。監督 クリストフ・ガンズ 主演 サミュエル・ル・ビアン。 これを見終えて思ったことは映画館で見て良かった、ビデオなら途中でやめてしまうところだった、ということです。 なぜそう思ったかというと、獣狩りに力点を置くのかと思えばラブロマンスになり、獣そっちのけでカルト教団の謀略になり、アクションになったかと思うと近親相姦がからむ。 主人公もフェイスペインティングして雄叫びあげて馬鹿丸出し。脳みそが女のことだけでいっぱいいっぱいのIQが低そうな抜け作で、自然科学者という設定だけどちっとも伝わってこない。絵がちょっとうまく書けるのを自慢して回るバカにしか映らない。もっとひどいのは肝心の獣、寂しくなるような作り。ちゃっちい。これなら最後まで出番なしで終わり、森の中でそっとしておいてあげた方が良かったかも。それとインディアン=神秘的、というのも知恵が足りない。白人てバカ? と疑いたくなるような迷信深さ。白人こそ未開人なのでは? そうでなければこの監督クリストフ・ガンズがただの田舎者。 たくさん盛り込みすぎて消化不良を起こした中途半端なだけの映画。 しかし、見ていた自分にも責任があります。もっと格調の高い、まともな映画を想像していたからです。 例えて言うなら、富士急のフジヤマを想像して乗ってみたら、花屋敷のジェットコースターだった、と言った感じです。 フジヤマを期待していたからつまらなくなっただけであり、最初から花屋敷と思って乗れば、それはそれで楽しみようがある、ということです。そう考えれば、そんなに悪くはない映画でした。 それと映画とは別に面白かったことが一つ。パンフに「ジェヴォーダンの人食い狼の謎」の訳者が寄せている文章があり、それのおわりのところ「映画化されたと知った時、ベートがどのような姿で現れるのかと興味津々だったが、現実のスクリーンに映し出されたベートにあっと驚いた。最新のCGによるこのような表現もあるのか納得さぜるをえなかったものの、私のベートはどこへ行ってしまったのか、との思いは消えないだろう」ホント、どこに行ってしまったのだろう? 映画を見たあとこの解説を読むと涙を誘います。
一緒に見た人のコメント。「パールハーバー以来の問題作。悪夢のようだった。これがフランスで宸Pヒット? フランス人てやばい。国家の危機、国も滅びようとしているんじゃないの」
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ロード・オブ・ザ・リング
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ニュージーランド。監督 ピーター・ジャクソン。主演 イライジャ・ウッド。 絶大な闇の力をもつ指輪。指輪自体が意志を持ち、持つ者の精神をむしばんでいく。ホビット族の青年フロドは指輪の誘惑に屈しない精神の持ち主で、物語の大筋は指輪が悪人にわたる前に破壊してしまおうと、唯一指輪を破壊する手段である滅びの山に捨てに行く旅に出るフロドを含め9人の仲間。指輪を狙う闇の勢力との戦い。
圧倒的な映像の質量に脳がしびれっぱなしです。京極夏彦の本を読んだときに似た脳細胞のむず痒さ、容量オーバーを感じてしまいます。とにかく感想は「凄い」の一言。 食べ物に例えるとコース料理を頼んだら前菜もスープもデザートも食後のコーヒーすらもなく、ただひたすらメインディッシュ(それも一流の!)を次々と繰り出されたような物。脳が消化不良を起こしています。 その麻痺した脳でいま感想を書いています。 原作を読んでいないので腑に落ちない点が。エルフって何? 自分には人間にしか見えないし、設定では不老長寿、だったら薬が発達しているのもおかしくない? それと人間とは非なる者。だとしたらリブ・タイラーとアラゴルンが恋に落ちるのも変。黒人白人カップルくらいの人種間の問題ではなく、人間と牛や馬くらいの差でしょ? いくら馬が好きな人がいても恋には落ちないし、それって獣姦? なんかそういったおぞましさ、禁忌が伝わってこない。 なーんてアラを探してみましたが、そんなことはこの超弩級の映画の前では些細すぎる問題。どうでもいいことのような気がします。 全編是クライマックス。スーパーハイテンション。フルスロットルでラストまで大爆走。展開に緩急がない、息抜きがない、等と言う人は感性の体力がない、感性の老いた人の言う事。この映画はきっとこれでいいのです。映画化不可能と言われた原作を映像化するには、今までの映画の常識の枠を超えてみせなければならなかった、また超える覚悟がなければ映画化は無理であったと想像させられます。それ故の「映画化不可能」というレッテルでしょう。誰も見たことのない映画を作らなければならない。作り手の気迫がにじみでている映画。 おそらくこの映画は好き嫌いは別にして、受け入れる受け入れられないで、その人の感受性の器をはかることが出来るかと思います。ちなみに自分はいっぱいいっぱいで、この映画を咀嚼するにはしばらく時間がかかりそうです。
それにしても、ホビットたちはどうやって撮影したんだろう? あまりにも自然、あまりにも普通に小人として画面に収まって他の登場人物とからんでいる。
一緒に見た人のコメント「こりゃ3部作全部見ないと話が分からない。原作を知っていればもっと映画に入りやすい。何がCGで何が実写なのか、途中からどうでもよくなってきた。女優がしょぼい」
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ブラックホーク・ダウン
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アメリカ。監督 リドリー・スコット。主演 ジョシュ・ハートネット。 1993年10月3日。アフリカ東部ソマリア。米国のレンジャー・デルタフォース混成部隊が、独裁者アイディード将軍の側近2人の身柄を拘束するため捕獲作戦が開始する。当初作戦は1時間ほどで終わる予定だったが、2機のヘリ・ブラックホークが撃ち落とされたことから事態は急変、敵陣に取り残された仲間を救うべく、15時間に及ぶソマリア民兵との大殺戮戦へと突入してしまう・・・。 実話だそうです。自分は当時、こんな事があったとは全く知りませんでした。 映画の構成は始めの30分くらい導入部があり、残りはすべて戦闘シーンで押し切ります。 ドラマ的なものは極力抑えてあり、映画は戦場を映し出すことに終始しています。 雑誌・映画秘宝に「プライベート・ライアン」に戦闘シーンが影響を受けているようなことが書かれていました。戦闘シーンのみ比べてみますと、「プライベート・ライアン」の方が勝っていると自分は思います。なぜなら、自分は「プライベート・ライアン」は自宅でビデオで見たにもかかわらず、思わず弾丸をよけてしまったからです。「危ないじゃないか、当たったら痛いじゃないか」とあたかも自分が戦場にいる気にさせてしまうほどの臨場感。最近の良くできたヴァイオレンス映画に見られる、弾丸が当たったから人が死ぬのではなく、被弾により肉体が破壊されて人は死ぬのだ、と言うことをより明確に知らしめていました。 ちなみ「プライベート・ライアン」の他に、自分が不覚にも弾丸をよけてしまった事のある映画は「天国の門」「炎628」です。どちらもオススメです。 「ブラックホーク・ダウン」は確かに戦闘シーンでは「プライベートライアン」を超えていないと思いますが、映画として(あくまでも自分の感想で)はどうか? となると「ブラックホーク・ダウン」の方が突き抜けています。自分はこちらの方が好きです。 青臭い理想主義者のジョシュ・ハートネットが、自分の心配をよそに意外と出番が少なかったのがとてもポイントが高いと思います。戦争映画にありがちな主人公の説教や、「戦争は悲惨だろう?」と作り手の押しつけがましさがなく、すべては受け手、判断はすべて観客しだい、という潔さがその理由です。 傑作、でもってきっと良心的な層にとっては問題作。見る人によってかなり感想がわかれる映画。
写真はパンフなのですが、これが今時珍しく(写真では分かりづらいですが)劇場名が「日劇1」と印刷されています。ダブルネーム? それとパンフの出演者の欄で分かったのですが、「ロード・オブ・ザ・リング」の弓の名手役の俳優がこの映画にも出ていて、自分はこのパンフを見るまで全く気がつきませんでした。あまりにも面かげなさすぎ。向こうでは金髪、ロン毛だし。
一緒に見た人のコメント「面白かった。スクリーンに釘づけ。迫力がある、でも途中が少し退屈。はじめの奥さんに電話するところはいらない。今年見た中では一番。死体を置き去りにしないところや、発砲されてからでなければ攻撃できないところが、今時の戦争って気がする」
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