プライベートライアン
1998年米。監督 スティーブン・スピルバーグ。主演 トム・ハンクス。
戦争映画の大傑作。おそらく最高峰。
ミラー大尉率いる小隊がライアン二等兵を捜す、という物語を縦軸に、戦争そのものを再現した映画。
そこにあるのは善悪ではなく、ただひたすら人間同士の殺し合い。
この映画が画期的なのはその映像。いまだにこの映画を超える戦闘描写を見たことがありません。もう5年もたつけど、古びません。それと戦争物だけでなく、アクション映画を変えてしまったエポックメイキング的な存在の映画。「プライベートライアン」以前と以後に、アクション映画は分類されてしまうのではないと思うくらいの映像革命。弾丸は決まったところに当たるのではなく、情け容赦なく人体を破壊する様子、弾着技術のすばらしさ、臨場感、本当に革命的、革命そのもの。
最近のでいいセンいってるのは「ワンス・アンド・フォーエバー」で、「ブラックホーク・ダウン」はまだ一息。
現時点(2003年)での戦争映画の最高傑作。スピルバーグの底力、イマジネーションの凄さが分かります。
それと良くできた、娯楽作。見ていて「かっこいい」とも思いますし、なんと言っても気分が燃えます。ひょっとしたら好戦的な映画なのかも。これは見る人によって、どちらともとれる映画です。

今思うと「火山高」は「マトリックス」の影響というより、こちらの影響が大とみました。とくに雨のシーンにそれを感じます。

終わり近くの橋の攻防戦。トム・ハンクスが戦車に向かってコルトでパチンパチンと撃つと戦車が爆発するシーン、自分はP51戦闘機の爆撃によって戦車が破壊されるのだと勘違いしていましたが、実は砲身の中身を狙っていて、そこに弾丸が入ると戦車は壊れてしまうのだということを会社の人から聞き、トム・ハンクス自身が爆破したことが判明。

とにかく、唖然、驚愕、ひれ伏すしかない破格な映画です。

ワイルド・パーティー
1970年米。監督 ラス・メイヤー。主演 ドリー・リード。
田舎で活動しているロックバンド、ケリー・アフェアの3人娘がハリウッドに上京して、という話。
噂には聞いていたので、見るのを大変楽しみにしていたカルト映画。感想は想像通り、想像をはるかにこえた破壊力をもつ映画でした。大傑作。
まずその編集の仕方が今見ても斬新。細かすぎるカット割り、意味があるのかないのか、物語を語るのをぶちこわすギリギリのつなげ方。
ハリウッドへ向かう時のカット割り(かぶさる音楽もいい)と、ケリーに袖にされたハリスの挿入の仕方が印象的です。
そしてその手法以上に濃いドラマと人物が見所。その凝縮されたドラマはむせかえるような濃厚さ。
ケイシーはハリスと「間違い」を起こした後の彼女の言動があきれるやら笑ってしまうやら(相当笑ってしまいます。コントみたいです。シュールにも感じます)。
ペットも「間違い」のあとの言動が最高。
ケリーは歌がよく(吹き替えらしい)、ランスに悪態をつくところが笑えます。
そして一番の見せ場はハリスが見せる(魅せる?)最後にZマン邸での衝撃シーン。えー!まさか!!と驚く展開。ここで?こんな時に?
クライマックスの後のハッピーエンド、それっぽいナレーションにはあっけに取られます。
どんなことがあろうとも、泣いたり笑ったりするのが人生なんだと、人生そのものを濃縮還元して描ききった希有な映画です。
それと時代の空気みたいなのが感じられていいです。「ファントム・オブ・パラダイス」や「ロッキー・ホラー・ショー」とかと似た雰囲気があります。
オススメです。

イルマーレ
2000年韓国。監督 イ・ヒョンスン。主演 チョン・ジヒョン。
「猟奇的な彼女」の彼女が主演したSFメロドラマ。
1999年、海辺の貸家イルマーレ(イタリア語で「海」)を引っ越すときにポストに書き置きをおくと、なぜかその前の住民、1997年の建築家の卵に届いてしまい、そこから二人の文通がはじまり、恋が芽生えていく。
実際にあんな家はないだろう?とか考えながら見ました。
下水の配管はどうしてるんだろう?
海辺に浮かぶように作られた家。
土地もどうなってるんだ?
あと主人公たちの優雅な暮らしぶり。
賃金が高いのか、物価が安いのか、それと家賃とかも安いのかも。日本じゃいまとなっては赤貧洗うがごとしの、キツキツの生活ですが、彼らは仕事に追われることなく、ゆったりと生活してます(でもひょっとしたらこちらで言うトレンディドラマと一緒で、実際にはこんな生活をしている人はいないのかも。それにしても「猟奇的な彼女」と言い、何かと留学というシチュエーション。やっぱ生活水準が日本より高いのかも。留学どころか、自分は国内線の飛行機すら乗ったことないのに)。
映画は最後まで一気に見ました。
この先はどうなるの? と思わせる映画で、とても良かったです。
意表をつくような展開も、魂を揺さぶるような感動もありませんでしたが、十分楽しめる映画でした。

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