バリーリンドン
1975年米。監督 スタンリー・キューブリック。主演 ライアン・オニール。
とても面白いです。何年か前にはじめて見たときは恐ろしく退屈な映画だなぁ、と思いましたが、何かひかれるものがあり、二度見たらすごく面白く感じたのを覚えています。
18世紀。アイルランドの片田舎に住む青年レイモンド・バリーがどうでもいい女のどうでもいいような将校と取り合いのすえ決闘、故郷にいられなくなりそこから彼の破天荒な、それでいて淡々とした人生の後半がスタートします。
とにかく映像がすごい。スタンリー・キューブリックを語るともう凄い凄いの連続になりますが、ホントに凄いとしかいいようがないのだから仕方がないです。
ほとんど自然光でとった映像が素晴らしいです。風景もいいですが、ろうそくの明かりだけでとった室内の映像には驚きです。
そう、実際の中世の生活は電気がなく、ろうそくの明かりだけで暮らしていたので、リアルといえばリアルなのですが、スタジオの明るいライトで作られた映像を見慣れた目に新鮮、目からウロコです。
「フルメタル・ジャケット」「現金に体を張れ」そしてこの「バリーリンドン」の3作品は何度でも鑑賞に堪えうる傑作だと自分は思います。
これらよりも有名な「時計じかけのオレンジ」や「2001年宇宙の旅」「シャイニング」などはそれほどでもないと自分は思います(もちろん駄作というわけではなく、キューブリックの作品の中で較べると、という意味で)。

誰かこの映画と同じ技術を使い、日本の時代劇をとってくれないかなぁ。でも日本家屋はいくらなんでも照明が少なすぎるかなぁ。
もしくは去年(2003年)の「スパイゾルゲ」を、こっちは撮影技術ではなく、登場人物に対するスタンスをこんな感じでやってくれたらよかった。もっと辛辣にやってくれたら。非国民あつかいだった尾崎秀樹が戦後、英雄扱いされる民衆のいかげんさまで描いてくれたら面白かったのに。

黒いジャガー
1971年米。監督 ゴードン・パークス。主演 リチャード・ラウンドツリー。
主人公はニューヨークの黒人私立探偵シャフト。ある日、二人の男がシャフトのことをかぎ回り、警察も2週間前にハーレムでおきた事件を追っていてシャフトを頼りに来る。シャフトに接触してきた黒人二人組は町を取り仕切る黒人グループのボス、バンピーの手下。シャフトは手下ともみ合いになり一人は窓から転落。次はバンピー自身が来る。2週間前に彼の愛娘が誘拐され、彼はその捜索をシャフトに依頼してきた。
主人公がちょっとむかつくいやな面も持ち合わせていますが、黒人俺様映画といった感じ、でもとても面白いです。
自分はおそらくテレビ放映も含めると4回は見ています。
テンポがよく、アクションシーンなんかはシャープ。それと時代の雰囲気もすくっていてオススメです。

デス・レース2000年
1976年米。監督 ポール・バーテル。主演 デヴィット・キャラダイン。
近未来のアメリカ。全体主義の国家。人々の娯楽はデス・レースと呼ばれる、ニューヨークからロスまでのラリー、順位だけでなく、途中ひき殺した人のポイントでも争われる、という過激なモノ。
5台の改造車が参加。そのデス・レースをレジスタンスが邪魔に入る。
凄く面白いです。自分は通算5回(最初はテレビで。確かテレ東。20年以上も前)は見ました。その度に発見があり、ただの低予算のB級映画では片づけられない、奥の深さがある映画です。
ちょっと雰囲気が「時計じかけのオレンジ」に似ています。
でもこっちの方が100倍は面白いです。
シンプルな構成とブラックなギャグ、アクション、ファッション(衣裳はもちろんヘルメットまでこってる、車のデザインも)と見所満載。
自分のツボは病院のシーンです。大笑い。
それと単純に自動車の疾走シーンにもほれぼれ。ハレーション気味の画面がいい味を出しています。
シルヴェスター・スタローンが無名時代に出ていて、マシンガン・ジョーを好演しています。
出ている他のレーサーたちも皆個性的。ただのアウトローではなく、人殺しはしても、スポーツ選手であるところが強調されていて、それがこのデス・レースの異常さを引き立てます。
傑作。
TOP