エレファント
米。監督・脚本・編集 ガス・ヴァン・サント。主演 ジョン・ロビンソン。
コロンバイン高校事件を元ネタにした映画。映画は物語らしい物語はなく、雰囲気、空気をすくうことに終始。どうしてこのような事件がおきたか、とか、一体どんなことを犯人は考えていたのか、みたいな突っ込んだ描写はいっさいなく、最後まで淡々と進みます。それだけではつまらないと思ったのか、時間軸の解体をさせ、クライマックスの討ち入りにつなげます。
自分はこれは不謹慎ではありますが、ドキュメンタリー・タッチにした、娯楽映画のような気がしました。それくらい面白く、興味津々に見られました。

アメリカの高校は日本とちがい、大学のよう。とても自由な感じがします(本当はどうだかわかりません。自分の想像)。停滞した雰囲気は学校だから仕方ないとして、日本よりアメリカ人は恵まれていると思います。まぁ、そんなこと言っても、自分も高校時代を思い返すと、あれはあれで毎日楽しかったので、それほどの不満はありませんが。

殺す側と殺される側も境界線があいまい、生き残る側も死んでいく側も。殺す生徒にも殺される生徒にも肩入れできず、観客は放り出されたまま映画は終わります。
静かな、力のこもった作品。
とてもよかったです。
もういちど見ればまた違った感想があるかもしれません。
それにしてもミッシェルは生き残ると思ったのに予想がはずれました。

一緒に見た人の感想「よかった。退屈な映画かと思ったら途中から俄然面白くなった。学校の雰囲気がうまくでていて良かった。あの映画の物足りなさもねらい目通りでよかった。フット・ボール部のネイサンってあれでイケメン?★★★★」

キル・ビルVol.2
米。監督 クエンティン・タランティーノ。主演 ユマ・サーマン。
待ちに待った「キル・ビル」の第2弾。込むだろうなぁ、と予想していたらそんなことはなく、劇場は7割程度の埋まり方。前作の方が混雑してました。
映画は前作につづき、ザ・ブライドがアメリカに渡り、バド、エル・ドライバー、ビルへと復讐していく。
見終わっての感想は「長かった」です。かなり退屈。面白くなかったです。
登場人物がしゃべりすぎ、語りすぎで、絵的に動きがなく、自分が期待していたのは、ギャグ、キャラ、アクションだったので肩すかしもいいところでした。
構成が「地獄の黙示録」に似ているかもしれません。はじめにどかーんと見せ場を作って、あとはしょぼしょぼと収束して自然消滅してく、といった感じです。
復讐モノとしても不出来。ユマ・サーマンからは何の怨念も伝わってきません。「修羅雪姫」や「さそり」の梶芽衣子のほうが100倍、業を背負っています。
もっとド派手な映画を想像していたので、落胆も大きいです。
でももう一度見に行く予定なので、ひょっとしたら今度は細部に目がいくと思うので、次は意外と感想も変わるかもしれません。とにもかくにも1回目の見た感想は「駄作」です。

一緒に見た人の感想「つまらなかった。眠くなった。前作のゴーゴー夕張のような魅力的なキャラがいなくて残念。最後も地味すぎ。登場人物たちもしゃべってばっかいないで動けよ★」

CASSHERN
監督・編集・脚本 紀里谷和明。主演 伊勢谷友介。
舞台は大亜細亜連邦共和国。第七管区ではテロが頻繁に起き、戦闘状態。主人公の東鉄也は父親に対する反発から陸軍に志願、恋人ルナをおいて戦場へ赴く。鉄也の父、東博士は新造細胞の研究に没頭。理論上はできあがっているのだが、施設がなかった。そこへ軍部が協力してくる。1年後、研究施設に雷が落ち、新造細胞に異変が起き、バラバラの細胞が接合をはじめ、次々と新造人間が生まれる。
鉄也は戦場で死亡、無言の帰宅。新造人間を抹殺している混乱のさなか、溶媒の中に東博士は鉄也の死骸を浸し、鉄也を新造人間としてよみがえらせる。
研究施設を逃げ出し生きのびた新造人間はわずか4人。彼らは放射能汚染された荒野をさまよい、創造主たる人間に復讐を誓う。

マリオンで見ました。第1週「キル・ビルVol.2」がピカデリー1(席数802)、「CASSHERN」がピカデリー2(席数582)で上映していたのですが、第2週めの今週は入れ替わっていました。客の入りは「CASSHERN」に軍配があがったようです。
そして映画自体も「CASSHERN」の方がはるかに自分には上に思えました。
映像の力。黄金色の未来。まるで無声映画に着色を施した感じ。少し宮崎駿チック。
手作り感覚の映像がとにもかくにもすばらしい。
話もいいです。ちょっとフランケンシュタイン物としては自我の目覚めとかが弱い気もしますが、登場人物たちの業の輪廻の輪が最後には収束して破裂、生きた人間と魂との境界線のとっぱらいかたも斬新、カット割り、破綻しているとも言えるつなげ方、ルナと鉄也との会話が絶妙、破綻しているといえば展開もそうで、主人公であるキャシャーン自体も物語が進むに連れ、狂言回し、物語の1ピースにすぎなくなってくる、映画も後半は大島渚(「日本の夜と霧」とか)ばりのディスカッションドラマとなり、カオスとなってはじけてしまう。
自分の不満な点は唯一、自分の意志で鉄也がキャシャーンにならないところ。たとえ人間に迫害されようとも、人間であることを捨て戦いに望む、という孤高のヒーローではなかったのか? しかし映画版では成り行きでなってしまったとしても、最後まで見ればわかりますが、鉄也自身も「業」を背負い、ヒーローではなく、あくまでも人間にすぎないところがミソなので、これはこれでOKなのかもしれません。
登場人物が魅力的。主役、ヒロインはもちろんのこと、脇役の新造人間4人も。佐田真由美はかっこいいわりには早く死にすぎ。残念。要潤には最後の明らかになる設定に泣かされます。
監督の紀里谷和明は自分よりひとつ年下の35才。ほぼ同年代。よく新造人間キャシャーンを覚えていたなぁ。自分も見ていましたが、さすがに細部までは覚えてなく、しかもその暗いトーンが好きではなく、ハリケンポリマーの方が明るいし、人間だし(キャシャーンは人間には戻れないという設定だった)、ということで好きでした。
監督が宇多田ヒカルの旦那ということで色眼鏡でみてしまいがちですが、とても優れた作品なのでオススメです。
監督もテレビのインタビューで答えていたのですが、世間では賛否両論らしいです。自分はもちろん賛成・賛同の方。
ラストはサンライズ・アニメの傑作「イデオン」になるのも、多感な時期にイデオンを体験した30代のなせる技?

一緒に見た人の感想「すごい映画だった。衝撃的。映像がすごい。感動した。伊勢谷友介かっこいい。麻生久美子の服がかわいい(もちろん本人も)★★★★★」

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