OK牧場の決斗
1957年米。監督 ジョン・スタージェス。出演 バート・ランカスター。カーク・ダグラス。
西部劇の題材でポピュラーな物の一つ、ワイアット・アープとドク・ホリディたちがクラントン一家とOKコラルで対決する話。
いちいち挿入される物語を説明してくれる歌がいい味を出しています。
登場人物は白人ばかり、セットも衣装も塵・シミ一つない、舞台劇のような生活感のない昔の西部劇。古い時代劇と似た雰囲気。
出てくる人間も類型的。特に女。ドク・ホリディの彼女はまだしも、ワイアット・アープの彼女ときたらエピソードといいひどいもの。
だから面白くないか?
いえいえそれがそんなことありません。これが見ているうちにハマります。
バート・ランカスターもカークダグラスも、まるで形式美の職人芸。歌舞伎に通じるような味わい。映画の展開も、偽善的なことなどどこ吹く風、例えるなら赤穂浪士と一緒、これはこれでいいのだと納得です。
映画ではクラントンらがメキシコで盗んだ牛を運ぶには保安官と組むしかなく、ワイアット・アープたちがこれを拒否したため弟を撃ち殺し、「私闘」という形にしてアープ兄弟を亡き者にしようとした、ということになっています。
これは史実とは実際は違うらしいです。一番史実に近い映画は「ドク・ホリディ」という映画だそうですが、自分は未見ですし、史実もよく知らないので見たとしても真相はわかりません。
他に同じ題材OKコラル物では「ワイアット・アープ」(主演ケヴィン・コスナー。1994年)「トゥーム・ストーン」(主演カート・ラッセル。1993年)も見ましたが、3本の中ではこの「OK牧場の決斗」がダントツの一番です。他の2作品はたいして面白くありません。

大いなる決闘
1976年米。監督 アンドリュー・V・マクラグレン。出演 チャールトン・ヘストン。ジェームズ・コバーン。
ユタ刑務所を脱獄したプロボ。仲間と共に自分を刑務所にぶち込んだ保安官サム・バーゲードに復讐をしようとする。
一方引退していたサムはプロボ脱獄の報を聞き、プロボ捜査に身を乗り出す。現金輸送の噂を流しプロボを誘い出そうとするが、裏をかかれ娘を誘拐されてしまう。
西部劇というよりバイオレンス映画。劇内で、人物たちはすべて時代遅れ、時代の変貌をこれでもか、と見せつけていき、西部劇自体も時代遅れの産物であることを意識させます。
電話、電報、自動車、自動拳銃。悪人のプロボはインディアンとの混血児で文盲、サムは老眼鏡がなければ文字が読めない、と言った具合。
サムに付き添いするのがカウボーイではなく、東部から来た青年というのも象徴的。しかも
彼の活躍(足をひっぱらないところがミソ。ここでも西部時代の終わりを見せる)により、サムは助けられプロボを追いつめる。
普通ならヒロインがあわや、というところで助けられるところをこの映画はそんなこともなく、ラストの二人の対決の血なまぐささを含めて、すべてが「終わってしまった」西部劇です。

明日に向かって撃て!
1969年米。監督 ジョージ・ロイ・ヒル。出演 ポール・ニューマン。ロバート・レッドフォード。
この作品をはじめて見たのは中学生の時(1982年ころ)のテレビ放映です。
当時名前だけは知っていて、この映画をネタに今は亡き沖田浩之が平凡だか明星でコスプレしていたのを覚えています。
中学の時、これを見る前に「新・明日に向かって撃て!」(若き日のブッチとサンダンス)と「続・明日に向かって撃て!」(その後のエッタ・プレイスとフォーレスがからむ)を見て、本作に対する期待もウナギ登り満を持しての初見だったわけですが、はじめて見た感想は「がっかり」でした。
自分が想像していた西部劇とは大分違うし(「荒野の用心棒」「続・荒野の用心棒」他にジュリアーノ・ジェンマが出ているマカロニウエスタン。当時はイタリア製だとは知らなかった)、銃撃戦もほとんどなく(これなくしてなんの西部劇?殺陣のない時代劇のような物)、青春映画っぽかったからです。
で、今回、約20年ぶりに見ての感想。
端的に述べると「昔感じたほどつまらない映画ではなかった」ということです。
あの自転車二人乗りのシーンもいらないし、これなら別に西部劇にするなよ、とも言いたいですが、自分も大人になって心が広くなったのか、こんな毛色の違った西部劇もあってもいいんじゃないの、と思いました。
主人公たちが自分たちを年寄り扱いしています。見た目はそんなに年寄りっぽくありません。やっぱり「ワイルドバンチ」くらい一目で年寄りと分かるくらいにしないと。
ちなみに両作とも設定が似ています。「ワイルドバンチ」という盗賊団名。もう若くはない主人公。最後は本国から追ってきた追跡者と対決するのではなく、土地の軍隊との戦闘。どっちが素晴らしい作品かははっきりしてます。「ワイルドバンチ」のほうが100倍は熱くて、哀しくて、ズシーンと胸に来ます。
「ワイルドバンチ」のマパッチ将軍と「明日に向かって撃て!」の最後に出てくる軍隊の隊長は同じ役者? 顔が似ているよな気がしますけど、勘違いかなぁ。

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