スクール・オブ・ロック
米。監督 リチャード・リンクレイター。主演 ジャック・ブラック。
やりすぎ(最初のライブ・シーンから笑える。神がかりのパフォーマンス)の熱いロック野郎ヒューイ。バンドをクビになり、居候している部屋も家賃滞納で追い出されそうになる。同居人になりすまし、私立の名門小学校に代用教師になった彼は、子供たちを使ってバンドを結成、バンド・バトルに出場する。
子供たちにはそれほどの比重は置いてなく、あくまでもヒューイの物語です。
どうみてもダメ人間なのですが、それも本人の気持ちの持ちようひとつ。彼は世間からみたら負け犬であろうとも、その目は死んではいません。あきらめていません。
情熱はあるけれど、彼自身は自分の才能のなさを承知しているのがミソ。でもロックは才能ではなく、魂なので、彼自体の存在が非常にロックです。
同居人のネッドに「よく簡単にロックを捨てられたな」というとネッドもとても苦しかったと答えます。とても痛いです。夢をあきらめ、もしくはみないで現実と折り合いをつけてる大多数の人の代表(自分も)。
笑いだけでなく、人生のドラマとしても盛り上がるロック・バトルのシーンはとても熱いです。ヒューイが客席にダイブをして観客が受け止めるところで、場内に拍手が起きました。映画が終わったときも。映画館で拍手が起きたのはとても久しぶり。
終わりの方はちょっとご都合主義かもしれませんが、とても面白い映画でした。
自分もまた明日からがんばらねば、という気にさせられました。

一緒に見た人の感想「「アンデッド」と違い、映画館内の笑いはさわやかだった。とてもいい映画。主人公の生き様がよかった。「食べることが好きだからダイエットはしない!」という主人公の言葉にはしびれた★★★★」

ドーン・オブ・ザ・デッド
米。監督 ザック・スナイダー。主演 サラ・ポーリー。
ウィスコン州エヴェレット。看護婦のアナ。ある日目覚めると、隣家の娘ヴィヴィアンが夫に襲いかかり夫は死亡、その夫が生き返り今度はアナに襲いかかる。アナは家を飛び出すと、町中は大混乱になっていた。車を走らせ木に激突、黒人警官に助けられ、ショッピング・モールに立て籠もる。町中のゾンビがショッピング・モールを取り囲みはじめる。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」は大好きで何回も見ているのですが、この映画の元ネタになった続編1979年度版の「ゾンビ」はもうかれこれ20年も前にテレビ放映の時に見たきりで、記憶もかなり薄れてしまっています。「ゾンビ」が公開された時はまだ自分も小学生。いまとなっては自分は36歳の中年ですが、「ゾンビ」の世間で言う衝撃みたいなものは覚えています。だいたい小学生あたりの自分ですら、「ゾンビ」という単語を覚えて、悪口に使っていたくらいですから。
で、今回そのリメイクですが、「ゾンビ」は記憶があいまいなので較べてどうのこうのということはできません。でも現時点での自分の感想は、これはひょっとしたらオリジナルをこえたかも、ということです。
なんといってもこっちのほうが怖い。走るゾンビ! しかも大量。オリジナル版はのろのろとした動きだったので、この「ドーン・オブ・ザ・デッド」を見たあとではかなり物足りないかもしれません。
それくらい自分にはこの映画はインパクトがありました。もう走るゾンビだけで十分です。
それと冒頭の一夜明けたら世界が破滅、といった感じが上手いです。ものすごい力量。スピードはパワーである、そんな感じです。
サラ・ポーリーの車を追いかけるゾンビ化した旦那にまず爆笑。サラ・ポーリーの車をかすめて交差した車の爆発炎上、素通りするヘリ、ロックスターを取り囲むグルーピーのようなゾンビたち、黒人ヤンキーVSおばさんのジョン・ウーばり至近距離銃撃戦とそのほかにも印象に残る場面多数。
ただしエンド・ロールはいただけないかも。船が旅立って終わりか、それとも別のシークエンスを作ってもよかったのでは。
まぁとりあえずゾンビ映画の大革命。
元の「ゾンビ」も見直してみたくなりました。

一緒に見た人の感想「面白かった。ゾンビが怖い。あとどうしてもゾンビが走ってると笑える。サラ・ポーリーはチビ★★★★」

シルミド
韓国。監督 カン・ウソク。主演 ソル・ギョング。
1968年1月。31人の北朝鮮特殊部隊が韓国に侵入。韓国警官隊と銃撃戦を演じ鎮圧される。報復措置として韓国側は31人の死刑囚やらヤクザ者、社会の底辺にくらすはみ出し者たちを集め、金日成暗殺部隊を組織する。
シルミ島に集められた彼らは地獄の訓練をへて、精鋭部隊となる。ついに金日成暗殺に乗りだしたとき、本部から作戦を中止される。
それから二年。無用となった彼らに抹殺指令が出る。
とても熱い映画です。コテコテなのですが、自分は素直に感動しました。教官との友情、囚人兵同士の友情。名前を捨てられた者たちの哀しみ。虫けらのように扱われる彼らに思いっきり感情移入して見ました。
映画は途中、中だるみをしますが、はじめの訓練と終わりの反乱はすさまじい迫力です。
特に後半はキムチ味の「ワイルドバンチ」といったところです。
このころの韓国政府の身勝手さ、非人間的なところは北朝鮮といい勝負、どっちもどっち、同じ穴の狢、泥仕合にしか見えません。
連座制が残っているのに驚き。まだ封建的な国なのかも。
最後のロッカーのシーンはいりません。まさかこれをやるとは。教訓めいててやりすぎ。

一緒に見た人の感想「つまらない、とは言わないけど、長い! そして面白くない。ダメ人間は最後までダメ人間。ソウルなんかに乗り込まず、ダメ元で北朝鮮に行って金日成のクビでもとってくりゃいいじゃん。なんだかおしつけがましい人情話でうんざり★」
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