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テス
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1979年英仏。監督 ロマン・ポランスキー。主演 ナスターシャ・キンスキー。 トーマス・ハーディ原作「ダーバビル家のテス」 19世紀末のイギリス。極貧の生活をしている若くて美貌の持ち主テス。テスの飲んだくれの父親が牧師から「貴族ダーバビル家の末裔だ」と明かされるところから映画が、テスの悲劇がスタートします。 金持ちの同族から援助をしてもらおうと両親が考え、テスを使いにやります。いやがるテスに、一族なんだから物乞いじゃない、と両親は説得。テスはダーバビル家を訪ね、そこで使用人として奉公することになります。 ダーバビル家の息子アレックに見初められるテス。有名ないちごを食べさせる官能的なシーン。昔テレビ放映したとき解説者がこのシーンから映画の撮影は始まった、と言っていました。ポランスキーも力を入れて撮影に望んだと予想されます。 実はアレックの家、ダーバビルは箔をつけるため家名を買っただけの成金。テスを援助しようとするのはアレックがテスを狙っているから。 口笛の練習をするテスにアレックが「君のかわいらしさは至上の物だ」と言うのも、口説くため、というのもあるだろうけど、きっと本心、と思えるくらいナスターシャ・キンスキーのかわいらしさは炸裂しています。 やがてテスはアレックに孕まされ未婚の母に。ダーバビル家を出て、教会に祝福をされない子どもを育てるが、赤ん坊は死んでしまう。 テスは今度は酪農家の家に奉公に出ます。そこで農業を志す牧師の息子エンジェルと出会い(はじめのダンスのシーンであっているので再会なのだが、エンジェルの方は覚えていない)、二人は恋に落ちます。 水たまりをエンジェルが抱き上げて渡してやるシーン、昔、麻生祐未主演の昼メロでそのまんまパクっていました。 牛の乳搾りをしているテスとエンジェルとのキス。テスの表情が恋する表情、胸がムズかゆくなります。人を好きになると、人はみんなこういう表情をすると納得させる渾身の演技。 この映画を見ていると、キリスト教を信仰すると人は不幸になるのでは? と思えてきます。信仰心が厚いためアレックの愛人に収まるのを良しとせず、赤ん坊の洗礼と埋葬のことで悩み、過去に起こした不実のためにエンジェルとの結婚に悩み、結婚する者はお互い秘密を持っていてはならぬ、という戒律を破ることが出来ず初夜の晩告白、破局と実直に生きようとすれば傷つくことばかり。 エンジェルも宗教の呪縛にとらわれていて、テスを許すことが出来ない。テスをおいて傷心のあまりブラジルに旅立ってしまう。 今の日本人ならエンジェルを「器の小さい男」とけなすことも出来るけど、宗教的倫理観が染みついた当時ではむずかしかったはず。 純真→愚か。愚か→純真。 自分はこの映画の主題は「神」対「人間」だと思います。 その神も人間が都合良く作った戒律・道徳でしかないのですが、当事者から見れば戒律=神の言葉。 人間を不幸に追いやる古めかしい道徳なんかいらない、と自身不道徳なポランスキーは言っているのかも。そう考えると映画の後半はテスの神への謀反であり、神との対決です。 傑作。長尺物の大作ですが作りは細部にわたり丁寧。美しい映像。見応え十分です。
劇中テスの父親の没年が1988年。首都ロンドンで切り裂きジャックが活躍(?)した年。コナン・ドイル作シャーロック・ホームズがデビューしたのはその前年だそうです。
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惑星ソラリス
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1972年露。監督 アンドレイ・タルコフスキキー。主演 ドナータス・アニオニス。 SF映画。舞台は21世紀。宇宙の彼方の惑星ソラリス。謎に満ちた海に覆われた星。軌道上の観測ステーションに心理学者のケルビンが来る。観測ステーションにいるのは3人。スナウト、サルトリウス、ギバリヤン。だがギバリヤンは自殺していて、なぜか10年前に死んだはずのケルビンの妻が現れる。。。 未来都市のロケーションを首都高で行われているのは有名だったので、自分もそのシーンは目を凝らして見ました。 とても静かな映画。それと長い。どのシーンも長い。けっこう話を切りつめているような所も、カットの省略もあるので、無駄に長いのではないらしい。 でも全然意味が分からない。とても1回見ただけでは理解出来ないです。最後なんてまったくすっきりしない。惑星自体が夢を見ているのか、本人の夢なのか、あるいは現実なのか? 愛する妻と再会。このまま暮らしていこうとしてしまう主人公の気持ちは分かります。それも主人公が疲れた感じの中年男なので余計に伝わってきます。職務なんて放棄してしまえば良かったのに。まぁ、それでは映画にならないか。 見る人によってはいかような解釈もできる映画。とても深いです。しばらくしたらもう1回見ようかと思います。
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空爆大作戦決死のエアーバトル
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1970年伊。監督 エンツォ・G・カステラーリ。主演 フレデリック・スタッフォード。
第二次世界大戦。ドイツ軍が優勢。連合国軍は敗走。主人公の中隊長ポールも建て直しをはかろうと本国イギリスへもどる。その時、ドイツ軍のスパイが連合国兵士になりすまし潜入した形跡があり、ポールは幹部たちに調査を願い出る。
一方スパイたちは制空権を握るため、レーダー基地破壊を画策する。
ポールと共に帰還したマーチンも実はスパイの一人で、祖国愛は旺盛だが、スパイの非情さに徹しきれず。。。
とにかく大味な映画。イギリス人なのに誰も英語を使っていない、というつっこみはなしにしても(そんなこと言ったら「スターリングラード」なんて何でウラルの羊飼いがばりばりの英語をしゃべっているんだ?)、展開も何もあったものではなく、たいがいの事件は勝手に向こうから結末がやってきてしまうようなご都合主義。かなりの力業。ロマンスのはさみ方もそう。見た人は脱力感いっぱいになるはず。
でもこちらも力を抜いてみれば、結構楽しめました。作風は昔のにっかつ、あるいは大映のテレビドラマと言ったところです。あまり考えてはいけません。身を任すのみです。
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